エリアマネージャーとは、エリア内にある複数の店舗を管理し統括する役職を指します。特定の店舗のみの売り上げではなく、エリア全体の目標を達成させることが最大の役割です。
本来の役割や仕事内容を理解せずにエリアマネージャーを配置してしまうと、店舗業務の穴埋めや店長業務の肩代わりに日々の時間を費やしてしまいかねません。
そこで本記事では、エリアマネージャーの具体的な仕事内容ややりがい、なるために必要な要素について解説します。
エリアマネージャーとは
エリアマネージャーは、多店舗展開を行う小売業や飲食業、サービス業などにおいて、特定の地域(エリア)に存在する複数の店舗を統括し、その運営に責任を持つ役職です。担当エリア全体の業績向上を最大のミッションとし、本部の経営戦略と各店舗の現場運営をつなぐ、まさに「経営の要」となる存在です。
本部と店舗をつなぐ経営の要
エリアマネージャーの最も重要な役割は、本社や本部が決定した経営方針や販売戦略を、担当エリアの各店舗に正確に伝え、実行を促すことです。 ただ情報を伝達するだけでなく、本社の意図を現場のスタッフが理解し、納得して行動に移せるように働きかける、いわば「翻訳者」としての機能が求められます。
同時に、各店舗の売上状況、顧客の反応、スタッフの意見といった現場の生の情報を本部にフィードバックする役割も担います。 この双方向のコミュニケーションを通じて、本社と現場の認識のズレをなくし、会社全体としての一体感ある店舗運営を実現します。
店長やスーパーバイザーとの違い
エリアマネージャーと混同されやすい役職に「店長」や「スーパーバイザー」がありますが、その役割と責任範囲には明確な違いがあります。
役職 | 主な役割 | 責任範囲 |
店長 | 担当する1店舗の運営全般に責任を持つ | 1店舗の売上、スタッフ管理、顧客対応など |
エリアマネージャー | 担当エリア内の複数店舗を統括し、エリア全体の業績向上に責任を持つ | 複数店舗の売上管理、店長の育成、エリア戦略の立案・実行など |
スーパバイザー | 主に現場のオペレーション指導や品質管理を担当し、業務の標準化を図る | 業務プロセスの改善、スタッフの技術指導、QSC(品質・サービス・清潔さ)の維持・向上など |
簡単に言えば、店長が「1つの店舗」を管理するのに対し、エリアマネージャーは「複数の店舗が集まるエリア」という、より広い視点で経営に携わります。 また、スーパーバイザーがオペレーションの専門家であるのに対し、エリアマネージャーは売上や利益といった経営数値に対する責任がより大きいのが特徴です。
エリアマネージャーの具体的な仕事内容
下記では、エリアマネージャーの具体的な仕事内容を紹介します。エリアマネージャーに課せられているミッションを理解すれば、適材適所での人員配置もしやすくなるでしょう。
まずは店長との役割の違いを浮き彫りにするためにも、参考にしてください。
エリア内店舗の運営方針・戦略の策定
エリアマネージャーは、エリア内店舗の運営方針や戦略を考案・策定します。
そのためには、特にエリアごとに異なる地域特性や顧客層を加味した提案力が求められます。特定の地域で成功した戦略が別の地域にも通用するとは限らず、そのエリアを熟知したエリアマネージャーの存在が欠かせません。
また、複数店舗にまたがる運営方針を築くことも重要です。組織に統一感が出るので部門間連携がしやすくなるメリットもあり、エリアマネージャーがいかに重要な存在か分かります。
売り上げ向上の施策を立案・実行
売り上げ向上を意識した施策を立案・実行します。
店舗ごとに売り上げの総額・単価・リピート率などを分析し、店舗に合った戦略を考えます。個別にアドバイスしながらエリア全体の売り上げ向上を図り、収益の改善に貢献することが大きな仕事と言えるでしょう。
その他、エリア限定のキャンペーン・地元商店街とのコラボ・期間限定イベントへの参画や協賛を決定する立場でもあります。予算取りなども含めて動く必要があり、店長にはない権限を持つこともエリアマネージャーの特徴です。
各店舗と本社との橋渡し
各店舗と本社の橋渡しも、エリアマネージャーに課せられた役割です。
本社が決定した経営方針の意図・目的を理解し、現場に正しく浸透させる潤滑油のような働きをイメージするとよいでしょう。全体の統括を取るのに欠かせない役割であり、橋渡しが円滑だと自社理解も進みます。
また、店舗からの声を本社に届けるボトムアップ型の橋渡しも必須です。顧客から寄せられる生の声をマーケティング部に伝えたり自社の課題を正確に訴えたり、さまざまな役割が求められます。
店長や店舗スタッフの教育や研修
エリアマネージャーはその名の通り「マネージャー」としての役割を持つので、店長・店舗スタッフの教育や研修も担当します。
必要に応じて全体研修を実施し、接客スキルの底上げや商品理解度の向上を図ります。店舗単位・エリア単位で実施したり、入社年次や役職別の研修をしたり、複数の角度から提案することが重要です。
時には現場スタッフからの声を吸い上げて研修に活かすなど、上下の社内コミュニケーションも欠かせません。エリアの課題を可視化することが、効果的な研修施策を打ち出す第一歩です。

面談や店舗運営のサポート
店舗スタッフのモチベーションアップを図るため個別に面談をしたり、賞与や査定の時期には人事評価をしたり、店舗運営のサポートをおこないます。
万が一人手が足りなければ、エリアマネージャー自ら現場に立つこともあるでしょう。特に大型イベントやキャンペーンを打ち出している間は、自ら陣頭に立ち全体を指揮するシーンも出てきます。
店長の経験値が低ければ自らアドバイスに乗り出すなど、積極的な動きが期待されます。
エリアマネージャーに必要なスキル
エリアマネージャーに必要な要素をまとめて紹介します。
これまで解説した仕事内容を高いクオリティで実行し、部下から信頼を集めるエリアマネージャーになるには下記の要素を備えておく必要があります。確認してみましょう。

高い経験値
エリアマネージャーは、店舗運営や顧客対応など幅広い分野に対する高い経験値が必要です。
座学で知識を仕入れても実際に現場に立った経験がないと、十分に活かすことができません。成功した経験はもちろん、失敗した経験や苦い思い出も含め、全て自分の糧にしていくことが大切です。
高い経験値があれば、部下へのアドバイスや改善策の提案をするときに役立ちます。効果的な施策を打ち出すためにも、経験値を積んでからエリアマネージャーになるのが最適です。
高いコミュニケーション能力
エリアマネージャーには、高いコミュニケーション能力が必要です。
毎日同じ店舗に出勤できるとは限らないからこそ、限られた時間で効率よくコミュニケーションするスキルが欠かせません。伝達ミスなど初歩的なミスをなくすことはもちろん、正確かつ齟齬のない伝え方をして業務効率を改善することが大切です。
また、高いコミュニケーション能力を持つエリアマネージャーには、自然と信頼が集まります。エリア全体に一体感を持たせるためにも、重要なスキルであることを自覚しておきましょう。

高い分析力
店舗の売上が伸びない理由は何か、今打つべき施策は何か、高い分析力を元に検討していく必要があります。課題を解決できる効果的な施策がを打てたり、市場トレンドや顧客ニーズに合った戦略を採用できたりすれば、確実に売り上げはアップしていくでしょう。
また、店舗スタッフのモチベーションやエンゲージメントを正しく見抜き、早期にサポートするスキルも必要です。データにも人にも興味があり、両輪を上手く回せる人がエリアマネージャー向きなのです。
リーダーシップとマネジメントスキル
複数の店舗と多くのスタッフをまとめ、同じ目標に向かって導くためには、強力なリーダーシップが不可欠です。各店舗の店長やスタッフから信頼され、「この人についていきたい」と思われるような人間的な魅力や指導力が求められます。また、人・モノ・金・情報といった経営資源を効果的に管理し、エリア全体のパフォーマンスを最大化するマネジメントスキルも同様に重要です。

課題発見能力と問題解決能力
店舗運営においては、日々さまざまな問題が発生します。売上の停滞、スタッフの離職、顧客からのクレームなど、多様な課題に対して、その根本原因を突き止め、具体的な解決策を立案・実行する能力が求められます。表面的な事象に惑わされず、潜在的な課題を発見し、問題が大きくなる前に対処する先見性も重要です。
ストレス耐性
エリアマネージャーは、本部からの業績目標達成へのプレッシャーと、現場から寄せられる様々な要望との板挟みになることも少なくありません。強いプレッシャーの中で冷静な判断を維持し、ポジティブに業務を遂行するための精神的な強さ、すなわちストレス耐性が求められます。
エリアマネージャーになるには?キャリアパスと将来性
多くのビジネスパーソンにとって魅力的なエリアマネージャーという役職ですが、どのようなキャリアを歩めば就くことができるのでしょうか。
店長からのキャリアアップが一般的
最も一般的なのは、店長として優れた実績を上げた人材が、エリアマネージャーに昇進するケースです。1つの店舗を成功に導いた経験は、複数の店舗を管理する上で大いに役立ちます。店長として、売上管理、人材育成、問題解決といった経験を積み、高い評価を得ることが、エリアマネージャーへの近道と言えるでしょう。
エリアマネージャー経験後のキャリア展開
エリアマネージャーとして経験を積んだ後は、さらに上位の管理職への道が開かれています。例えば、より広域を管轄する「統括マネージャー」や、商品開発や店舗開発、人事といった本部の専門職へキャリアチェンジする道も考えられます。経営に近い立場で培った視点やスキルは、多様なキャリアで活かすことができます。
企業を超えて活躍できるポータブルスキル
エリアマネージャーとして身につけたマネジメントスキルや問題解決能力は、特定の企業だけで通用するものではなく、業界や企業規模を問わず評価される「ポータブルスキル」です。この経験を活かして、より条件の良い他社へ転職したり、コンサルタントとして独立したり、あるいは自ら事業を立ち上げる(独立起業)といった選択肢も現実的なものとなります。
複数店舗の目標達成にはエリアマネージャーの活躍が鍵
複数店舗の売上達成や事業を加速するには、エリアマネージャーが組織の「結節点」として役割を果たす必要があります。なぜなら、経営陣や本社で決定した方針が現場で実行され、または現場のリアルな状況を共有されるためです。
とはいえ、エリアマネージャーのスキルやレベルによって、図のように情報の伝達密度が変わります。そのため、エリアマネージャー任せの伝言ゲームにせず、戦略的な社内広報をおこなうことが重要です。

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