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「一貫性」と「やり抜く力」で、企業成長の原動力に~インターナルコミュニケーション施策成功の秘訣~

コア・バリューに「ヒト・ファースト」、ミッションに「インサイトに挑み、ヒトにたしかな前進を。」を掲げる株式会社キュービック。どんな場面でもヒトの本質と真摯に向き合う姿勢を貫き、ヒトと社会の可能性をひらくことを目指す同社は、創業以来、右肩上がりの成長を続けています。

キュービックのnoteからも伝わるように、数々のインターナルコミュニケーション施策に力をいれる同社では、コア・バリューを基点とするカルチャーが強く根付いています。その裏側には、どのような思いや出来事があったのか。

同社でコーポレート・ブランディングを推進する平山直子さんに、インターナルコミュニケーションの秘訣をうかがいました。

平山 直子さん

平山 直子
(ひらやま なおこ)

インタビュイー

株式会社キュービック(CUEBiC Inc.)
ピープルエクスペリエンスオフィス ブランディングチーム

中央大学法学部卒。法曹を目指す友人らに囲まれ自らもダブルスクールを決意。ワタナベコメディスクールに入学し、第9期生としてお笑いを学ぶ。2011年4月、株式会社エムティーアイに新卒入社。ソーシャルゲームの企画・運用、PRに従事。その後、新規事業のオンライン英会話サービスの法人営業を担当。2013年12月、株式会社キュービックに9人目社員として入社。WEB広告運用、WEBメディア立ち上げ・運営、採用、組織開発などを経て広報PRおよびブランディングを担当。CI/VIの策定やコーポレートサイトのリニューアルを経験。直近では採用業務を一部兼務しつつインターナルコミュニケーションに注力中。

髙橋さん

髙橋 新平
(たかはし しんぺい)

インタビュアー

ourly株式会社 取締役COO

WEB 社内報CMS「ourly」事業責任者。京都芸術大学非常勤講師。新卒でダイキン工業株式会社に入社。技術営業として都内の再開発案件に多数携わる。その後、株式会社ENERGIZEに入社。4年間主にベンチャー、中小企業の事業コンサル、組織コンサル等に従事して独立。2022年4月からourly 株式会社へ執行役員CSOとして参画。2023年4月より現職。

──キュービックの事業内容やカルチャーについて教えてください。

株式会社キュービックは、「インサイトに挑み、ヒトにたしかな前進を。」というミッションを掲げ、ヒト起点のマーケティング×デザインでビジネスを前進させています。主な事業は比較サイトを中心としたデジタルメディア事業で、『your SELECT.』という心ときめくお買い物メディアや、「もっといい求人」を探す人のための転職支援サイト『ミライトーチ』などを運営しています。

ミッションやコア・バリューに表されるように、どんな場面でも「ヒトに向き合う」というのが私たちの基本行動です。

事業においては、ユーザーやクライアントの表面的なニーズではなく、もう一歩二歩踏み込んだインサイト(本人も気づいていない隠れた本音)を的確に捉えるというのが弊社の強みです。デジタルマーケティングという事業特性上、「定量情報」や「デスクトップリサーチ」のみで完結させようとすればできてしまうものですが、それだけで辿り着けるインサイトには限界があると考えています。より深いインサイトをつかむために、フィールドワークやインタビューなどを通じて「定性情報を取りに行く」「生の声や一次情報を取りに行く」ということを私たちは大事にしています。

社内においても、同様です。既存の制度改善や新しい仕組み導入の際には、オフィス中を駆け回ってインタビューやテストを重ね、社員や経営のインサイトをつかむものに仕上げるよう努めています。目標づくりや評価、1on1などにかなりの時間とエネルギーを注いでいますが、それもヒトに向き合う「ヒト・ファースト」という姿勢の表れであり、社員のインサイトをつかんで一人ひとりを前進させることは「インサイトに挑み、ヒトにたしかな前進を。」というミッション実現につながるものと信じて取り組んでいます。

「ヒト・ファースト」の成り立ち

──強いカルチャーはいつからできあがったのですか?どのようにしてできたのでしょうか?

「カルチャー」という意味では、2013年頃からです。

それまでも現在のカルチャーにつながるエッセンスはたしかに存在していました。2006年の創業当初から世一はフィールドワークやインタビューを熱心に行っており、「人に向き合う」「インサイトをつかむ」という姿勢は社内で大切にされ、集う仲間も自然とそれを重んじる人たちでした。

しかし、その時点ではそうした「風土」があったということに過ぎません。​明文化されない形で無自覚的に​共有されている、​組織独自の​考え方や​行動パターンがあったというだけです。

自らの​手で​作り上げていく​価値観や規範や信念を「文化」や「カルチャー」と呼ぶ場合、それを築き出したのは、世一が事業と組織の飛躍的な成長を志した2013年のタイミングになります。私たちがより大きなことを成し遂げるためには、より多くのメンバーと共有できる言葉や仕組みが必要でした。

どこを目指すのか、譲れないものは何か、実現のためにどう行動するのか、その行動を促すためにどんな仕組みが必要か。議論を繰り返し、考えぬいた結果行きついたのが、今の「ヒト・ファースト」というコア・バリューや「インサイトに挑み、ヒトにたしかな前進を。」というミッション、4つのクレドとそれに紐づく社内制度・仕組みの数々になります。

理念は「浸透」ではなく、「共創」する

──どのように「理念浸透」を行っていますか?

私たちが行っていることは、「浸透」というより「共創」という方が表現として近いかもしれません。誰かがつくりあげたものを組織に定着させる/させられるのではなく、組織が獲得すべきものを全員で一緒につくりあげていく/つくり続けていくようなイメージです。

もちろん、「理念」みたいなものは何度も何度も頻繁に新しくする類のものではありませんが、たしかめたり見直したりすることはできます。それも「つくる」のうちでしょう。そもそも理念の完成は言葉ではなく、その組織に所属するメンバー全員が体現できるところと捉えているので、「浸透」よりも「共創」がしっくりきます。

言葉に始まりそれを全員で体現するというところまでを「つくる」として、この「つくる」プロセスにどれだけ広く深く社員を巻き込めるか、自分ごととして会社と向き合う機会・仕掛けをつくれるかが要です。

規模も属性もさまざまなワーキンググループで、定量・定性、事業・組織、強み・弱み、各ステークホルダーとの関係性やコミュニケーションなどなど、あらゆる角度から会社としての実態や理想像を、過去・現在・未来と時間軸を変えて考える。対話する。そして、それを繰り返す。

こうした営みを共にしていくことで、表層的でない本質的な理念の理解が進み、解釈も行動もズレにくくなります。弊社の場合、少なくとも四半期に一度は全社員をオフラインで集めてこうしたワークショップを実施する機会を設けており、取り組みの効果を実感しています。

掲げるもので差はつかない、重要なのは「一貫性」と「やり抜く力」

──インターナルコミュニケーションに力を入れる理由を教えてください。

先行き不透明なVUCAの時代、今や経験・知見のあるトップが全てを把握し指示するトップダウン型の組織で勝てるビジネス環境ではありません。ユーザーやクライアントに接している最前線の現場に権限委譲し、タイムリーに状況を把握しつつ、意思決定して柔軟に対応できる「自律駆動型の個人/組織」が求められています。

こうした個人/組織のあり方を実現するために、インターナルコミュニケーションは重要な役割を果たすと考えます。

自律駆動するためには、働く一人ひとりが十分な情報とそれを読み解くリテラシーを獲得しなければなりません。それを助けるのが他ならぬインターナルコミュニケーションです。

──具体的にはどのような取り組みを実施していますか。

実際に行う情報の透明性を高めるための取り組みとしては、

・業績や重要トピックの高頻度な全社共有(週/月/四半期/半期単位で実施)
・誰でも参加可能な経営会議
・CEOとの週末1on1
・ガラス張りの会議室や壁がないオープンスペースによる自然と情報がひらかれるオフィスづくり など

があります。社内報(テキスト/動画/音声)や日報サイト、経営陣がつぶやくSlackチャンネルなど、オンライン上の情報発信も活発です。ちなみに、この「情報の透明性を高める」というのは、4つのクレド(行動指針)のうちの「Dive into Insights(本質を追求しよう)」で定める「あるべき姿を明らかにする」という項目や「Team CUEBiC(チームでやろう)」で定める「ブラックボックスを作らない」という項目と紐づくものです。

リテラシー向上のための施策としては、

・週ごとの役職者朝会
・月ごとの成功施策共有会
・四半期ごとの全社ワークショップ
・各種勉強会 など

を行っています。この「リテラシー向上」は「Act with Pride(プロフェッショナルであろう)」というクレドで定める「評論家にならず解決者として課題と向き合う」「好奇心と探求心を持ち、学び続ける」という項目と紐づいています。

情報とリテラシーを備えた上、具体的行動へ移すには、組織の関係性も大切です。そこで、タテ・ヨコの繋がりを超えたナナメの関係構築にも力を入れています。

社内にはさまざまなプロジェクトがありますが、基本は手あげ制。意志のある個人が部署を超えて協働しています。趣味や同じ目標を持ったメンバーで集まるCmC(CUEBiC Margin Community)という部活動制度もあり、楽しく活動しながらナナメの関係を育んでいます。これもクレド「Team CUEBiC(チームでやろう)」の「互いに理解を深め合う」「強みを活かし合う」と紐づく取り組みとして推進しています。

──インターナルコミュニケーションについて大事にしていることを教えてください。

強い企業・強い組織を見るにつけ思うのは、掲げるものや形式的なものでは差がつかないということです。

ご紹介のように弊社もさまざまな取り組みを行っていますが、個別に見ると正直真新しいものや奇抜なものは何ひとつありません。どの企業様でも同じような取り組みをされていることと思います。

その上で理念浸透やカルチャー醸成の度合い、そしてそれらが経営にもたらす力を左右するものは何なのか。度々向き合う問いですが、結局のところ「一貫性」と「やり抜く力」なのだろうと私は思います。その企業のありたい姿、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)と組織の取り組みと個人の日々の行動、それらの一貫性がどこまであるか。経営陣から今日入社してきた社員やインターンに至るまで、どれだけMVVと真摯に向き合い、インターナルコミュニケーションに本気で取り組めるか。徹底的にやり抜けるのか。それが何よりも大事です。

人事評価制度・表彰制度・オンボーディングのコンテンツ・福利厚生といった大きなものはもちろん、会議体の設計・会議室のネーミング・Slackのスタンプひとつとっても、働く一人ひとりがふれあうもの全てがメディアです。それらメディアをどこまで最適化して、理想的なコミュニケーションをデザインできるかが、インターナルコミュニケーション担当としての腕の見せ所だと思っています。

──今後のインターナルコミュニケーションにかける想い、展望を教えてください。

幸い弊社の場合は、CEOである世一が誰よりもインターナルコミュニケーションをやり抜く力と覚悟を持ち合わせています。担当者としてこんなにありがたいことはありません。この大きなアドバンテージを活かして、インターナルコミュニケーションと本気で向き合いながら、引き続きコーポレートブランディングを推進したいです。

冒頭でお伝えの通り、キュービックはヒト起点のマーケティング×デザインの会社。みんなのインサイトをつかみながら、「動かす」ではなく「自然と動きたくなる」、「浸透」ではなく「共創」という意識で文化づくりに取り組みたいですし、それが結局ビジネス成果やキュービックのミッション実現に繋がっていかないと意味がない。常に会社の向かう先を見据えながら、築くべき文化をアップデートし続けていきたいと思います。

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この記事を書いた人

Kanei Yoshifusaのアバター Kanei Yoshifusa ourly株式会社 コンサルティングセールス・組織開発チーム

前職は店舗ビジネス向けの業務効率化SaaS事業を展開する企業でCSに従事。
その後、ourly株式会社に参画。
200社以上の企業に組織課題解決の提案、現在30社の組織開発を支援。
富山県上市町出身。趣味は筋トレ/声マネ/滝行。