従業員エンゲージメントを高める5つの方法|向上に取り組む企業事例も紹介

  • 2021-02-24
  • 2021-02-24
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働き方の多様化やコロナウイルスの影響で、より従業員エンゲージメントという言葉が注目されています。

そこでこの記事では、従業員エンゲージメントを高める5つ方法や実際の企業事例を詳しく解説します。

従業員エンゲージメントとは

従業員エンゲージメントとは「従業員の企業に対する愛着や信頼の度合い」を指す言葉として使われます。

従業員が企業のビジョンに対して共感している状態や、企業の目標達成に貢献したいという自発的な意欲を持っている状態が、従業員エンゲージメントが高い状態といえます。

エンゲージメントには、婚約、約束、契約という意味がありますが、人事領域においては、「ワーク・エンゲージメント」と「従業員エンゲージメント」の二種類のエンゲージメントが使用されます。

ワーク・エンゲージメントは仕事と従業員の関係性を指し、従業員エンゲージメントは、企業と従業員の関係性を指して使われます。

本記事では、従業員エンゲージメントを高める方法についてご紹介します。

モチベーションや従業員満足度・ロイヤリティとの違い

人事領域において従業員エンゲージメントは、「モチベーション」「従業員満足度」「ロイヤリティ」などの類似の言葉がいくつかあります。そのため、それぞれの言葉を違いを比較して簡単に説明します。

モチベーションとの違い

モチベーションは、従業員個人の中で生じる意欲のことを指します。

モチベーションが高い状態はあくまでも従業員が自身のために意欲を持って活動することです。それに対して、従業員エンゲージメントは企業のビジョンに対して共感し共に頑張りたいという気持ちをもつことです。

従業員満足度との違い

人事領域においては従業員エンゲージメントに関係する言葉として、従業員満足度が使用されます。

従業員満足度とは、

  • 福利厚生
  • 金銭的報酬
  • 良好な人間関係
  • オフィス環境

のように従業員が会社から一方的に受ける待遇などに対する評価を指します。

従業員満足度は、従業員に自発性がない、業績に影響に関係しないという点に従業員エンゲージメントとの違いがあります。

従業員満足度を向上させたからといって必ずしも業績アップや従業員の自発的貢献が見込めるわけではありません。

ロイヤルティとの違い

人事領域ではロイヤルティもエンゲージメントと似た言葉として使われます。

日本で使われるロイヤルティ(ロイヤリティ)にはLoyaltyとRoyaltyの二つの意味があり、それぞれ

Loyalty:忠誠心。また、誠実さ。

(引用:goo辞書,「『Loyalty』の意味」, <https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%A4%E3%83%AA%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BC/jn-235536> , 2021年2月閲覧)

Royalty:特許権・著作権などの使用料。

(引用:goo辞書,「『Royalty』の意味」, <https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%A4%E3%83%AA%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BC/jn-235536>, 2021年2月閲覧)

という意味があります。

このように、英語では明確に意味が分かれていますが、日本のカタカタ表記ではロイヤルティとロイヤリティを区別せずに使用している場合もあるので、文脈や状況によって判断する必要があります。

※この章では忠誠心という意味のロイヤルティとエンゲージメントの違いについて解説します。

人事領域で使用されるロイヤルティは従業員の会社に対する忠誠心や思い入れなどの意味があり、年功序列や終身雇用といった日本企業の特徴によって形成された海外ではあまり使われない言葉でもあります。

ロイヤルティは従業員エンゲージメントと違い、従業員が会社に対して忠誠を尽くすことが重視された主従の関係にあるという点で異なります。

従業員エンゲージメントの重要性

従業員エンゲージメントが注目されている理由は、離職率の高まり、働き方の多様化、終身雇用制度撤廃といった世の中の変化が主な要因になっています。

これまでの終身雇用を前提とした時代と異なるため、実力のある従業員は、より良い待遇を求めて転職していくことが増えています。

そんな中いかに優秀な社員を企業に残し、より高いパフォーマンスを発揮してもらうかといった背景から従業員エンゲージメントが注目されています。

それではここからは、従業員エンゲージメントを高めることで期待できる効果について紹介します。

離職率が低下する

従業員エンゲージメントを高めることで、離職率の低下につなげることができます。

なぜなら従業員エンゲージメントが高い状態は、従業員が自ら進んで会社のために貢献しようとするからです。そのため従業員エンゲージメントを高めることで離職率を低下させることに繋がります。

エンゲージメントが高い従業員は、会社での業務にやりがいを感じており、単純に待遇だけで仕事の価値を判断しなくなります。

実際に、CEB社の調査では「エンゲージメントが高い従業員は、エンゲージメントの低い従業員と比べて約87%離職率が低い」という調査結果も出ています。

(引用:CEB社,「Driving Performance and Retention Through Employee Engagement」, <https://www.stcloudstate.edu/humanresources/_files/documents/supv-brown-bag/employee-engagement.pdf> , 2021年2月閲覧)

従業員エンゲージメンを高め、離職率が低下することで、採用にかかるコストも下げることができます。また、従業員エンゲージメントを高めることで、従業員満足度も向上するという場合もあり、職場をより魅力的に表現することにも繋がってきます。

このように、従業員エンゲージメントを高めることで、離職率を下げるだけでなくコスト削減などにも繋がることが期待できます。

生産性が向上する

従業員エンゲージメントを高めることで、従業員は「自分の目標=企業の目標」となり、働くことにやりがいを感じます。従業員がやりがいを持って働くことで、結果としてモチベーションの向上に繋がります。

モチベーションが高い従業員で構成された組織は、目標・目的に向かい自発的に行動します。従業員一人一人が考えて行動する組織になることで、生産性が向上し、業績向上に繋げていくことができます

実際に、ギャラップ社の調査では「エンゲージメントが高い組織は低い組織より17%生産性が向上する」という結果が出ています。

(引用:GALLUP社,「The Relationship Between Engagement at Work and Organizational Outcomes」, <https://employeeengagement.com/wp-content/uploads/2013/04/2012-Q12-Meta-Analysis-Research-Paper.pdf> , 2021年2月閲覧)

このように、従業員エンゲージメントを高めることで、生産性向上を実現し、業績アップに繋げることができます。

従業員エンゲージメントが下がる原因

従業員エンゲージメントは、離職率、生産性向上において重要であるとご理解いただけたと思います。

では、従業員エンゲージメントが下がってしまう原因にはどんなものがあるのでしょうか?

ここからは従業員エンゲージメントが下がる原因を3つご紹介します。

理念やビジョンが不透明

従業員エンゲージメントを下げる要因の一つ目として、企業の理念、ビジョンが不透明である点が挙げられます。

従業員側からすると、企業理念やビジョンが不透明な企業に勤めていると、以下のような不安を覚えます。

  • 経営陣の利益追求のために経営されていないか
  • この企業は今後の世の中に対応していけるだろうか
  • 自分はこの会社で、望むような成長をすることができるだろうか

これらの不安を抱えることで、従業員は、企業と自分との目標の一致などはできなくなり、他の企業に目を向け始めたり副業を開始しようとすることもあります。

コミュニケーションの少ない環境

次に、従業員エンゲージメントが低下する要因として、コミュニケーションの少ない環境である点が挙げられます。

ここでのコミュニケーションとは企業と従業員上司と従業員従業員間のコミュニケーションそれぞれに言えます。

企業側からのコミュニケーションが不足すると、従業員に理念が浸透せず、会社が理念や目標の通りに経営されているのか不安になります

また、企業側が従業員に対して、どのような心情で働いているのか、耳を傾けていく事も大変重要な事です。いくら企業が従業員に対して理念を説いても、一方通行の経営となってしまってはかえって従業員エンゲージメントの低下に繋がってしまいます

また、上司と従業員とのコミュニケーションについても重要です。

昨今では、従業員は、ただ上司から評価を受けるというだけでは満足しません。従業員は、上司からの「成長に繋がるようなフィードバック」をもらえることを期待しています。

従業員の強みが活かせない業務

最後に、従業員エンゲージメントが下がる原因として従業員が強みを活かせない環境にある点が挙げられます。

従業員は、自分自身が活躍できているかどうかによって、仕事にやりがいを感じられるかどうかが変わってきます。

そのため、従業員を強みの発揮できない領域に置くことは企業・従業員共に悪影響しかなく、従業員エンゲージメントも低下していきます。

これも、前述のコミュニケーション同様、従業員の声に耳を傾けて、希望を聞き入れていく姿勢が必要と言えます。

従業員の特徴をよく捉えた上で、最適なポジションを提供していけるかどうかにより、従業員エンゲージメントが変わってきます。

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従業員エンゲージメントを高める5つの方法

では、ここからは従業員エンゲージメントを高める方法を5つ紹介します。

理念・ビジョンの浸透

従業員エンゲージメントを高める一つ目の方法は、理念・ビジョンを従業員全体への浸透をさせることです。

理念やビジョンを明文化し、全社員に公開することで初めて会社の方向が明確化され、企業と従業員が同じ方向を向いて進むことができ、従業員エンゲージメントを高める土台をつくることができます。

理念・ビジョンを公開した後に、社内に浸透させていくには、定期的に企業側が従業員に対して情報発信していく必要があります。

理念・ビジョンを浸透させるための施策は、社内報や社内イベントなどが代表的です。

社内報

社内報は、理念・ビジョンを浸透させるための施策として活用できます。

経営者の想いやメッセージを載せて理念を想起させたり、ビジョン実現に向けた企業活動の進捗状況を社内でアナウンスすることで、理念・ビジョンの浸透を図ることができます。

最近では、web社内報などの活用をして、よりタイムリーに、相互のコミュニケーションに発展させている企業もあります。

Web社内報に関してはこちらの記事をご覧ください。

Web社内報ツール・サービス比較おすすめ10選|選定する7つのポイント【2021年版】

社内イベント

自社の理念やビジョンを深く理解できるような社内ワークショップや研修などを定期的に実施することも理念やビジョン浸透に繋がる施策といえます。

また、経営層やマネージャー陣も一緒になって参加することができれば、一層深くビジョンの浸透をさせることができ、従業員エンゲージメントの向上に繋げられます。

社内イベント企画ネタ80選|簡単・コロナ禍・オンラインなど目的別に解説【2021年版】

社内コミュニケーションの活性化

従業員エンゲージメントを高める方法の二つ目は、社内コミュニケーションを活性化させることです。

企業と従業員とのコミュニケーションに加えて、従業員間のコミュニケーションも活発化させることで、風通しがよくなり企業への帰属意識が高まります。

コミュニケーションが活性化されることで、従業員も働きやすくなり、パフォーマンスの向上も期待できるでしょう。

コミュニケーション活性化に活用できる施策を以下にご紹介します。

帰属意識とは?低くなる原因や高める方法・企業事例

社内イベント

先ほども紹介した社内イベントは理念・ビジョンの浸透だけでなく、コミュニケーション活性化施策としても有効的です。

会計年度初日のキックオフや、創業記念パーティ、オンラインアクティビティなどのイベントを定期的に行う事で、社員間のコミュニケーションの機会を作っていきましょう。

それによって、経営層と従業員、もしくは部署を跨いだ従業員間のコミュニケーションも活性化されます。

社内イベント企画ネタ80選|簡単・コロナ禍・オンラインなど目的別に解説【2021年版】

社内レイアウト

コミュニケーションの活性化には社内レイアウトを工夫することも有効です。

例えば、フリーアドレス制にして自由に座る事で、毎日違うメンバーと接しながら仕事をする環境が作れます。また、社内にカフェテリアを用意して、リラックスした空間を作り、社内のコミュニケーションを促進することもできます。

このように、社内のレイアウトの工夫で、コミュニケーションを活性化させることも期待できます。

適切な人材配置と役割の伝達

次に、従業員エンゲージメントを高める施策として人材配置の最適化を紹介します。

マネージャーなどの管理職の方が各従業員の特徴を理解して、強みを活かせるポジションに従業員を配置することで、従業員がより活躍できる環境を提供することができます。

それにより、自身の活き活きと能動的に働けるようになり、成果もあがり、会社に対しての繋がりを感じやすくなります。

加えて、従業員のポジションが、企業にとってどれほど重要であるか伝える事で、従業員が業務の重要性を理解し、会社の目標と自身の目標とを重ね合わせるように促すことができます。

マネージャーの役割とは?種類や具体的な仕事・必要な能力・育成方法

適切な人材配置と役割の伝達を行うための具体的な施策としてタレントマネジメントについて紹介します。

タレントマネジメント

適切な人材配置と役割の伝達には、タレントマネジメントがあります。

タレントマネジメントとは、従業員の素養を的確に把握して人事マネジメントに活かし、業績の最大化を図る取り組みです。

タレントマネジメントを行う上では、従業員のデータ収集を行い正確に人材の特性を把握することが重要です。そのデータを活用して、人材配置、人材育成、評価、採用基準の明確化や離職防止など幅広く改善を行うことができます。

人材流出を防ぐには?そのリスクや原因と対策・企業事例を解説

適切な評価制度

適切な評価制度の確立を行うことも、従業員エンゲージメントを高めること繋がります。終身雇用が一般的であった従来の評価制度は、上司や経営層が、一方的に従業員の評価を決定し、公平性を欠く場合も多くありました。

しかし、働き方の多様化に伴い、従業員エンゲージメントを強化し強い組織にしていくためには、公平な評価という点だけでなく、従業員の成長に繋がるフィードバックも含めて行われることが重要です

そういった観点からも、360度評価やピアボーナスといった、従業員を多面的に評価する仕組み作りが不可欠です。

それぞれについて詳しく解説します。

人事評価制度とは?目的(メリット)や評価手法・作り方・導入事例・成功と失敗のポイント

360度評価

360度評価とは、従来の上司からの評価だけでなく、関係部署や同僚、部下からも評価を受けて、より正確な評価を行うことをいいます。

上司から見ると、十分に成果を上げていないように見えても、他部署からはすごく仕事がしやすかったり、同僚から好意的に見られていたりする事もあります。企業としては、従業員を評価する視点を複数もつことによって、より正確な評価が実現でき、優秀な人材を見逃さなくなります。

また、従業員は、多面的に評価を受けることで、自分自身の特徴を的確に捉え、改善点を発見しやすくなります。

360度評価の効果は?成功事例・導入ポイント・メリット・デメリットを解説

ピアボーナス

ピアボーナスとは、社員間で、お互いの良い行いを評価して、チップやコインなどを付与し合う仕組みです。

付与されたコイン等は、ボーナスで換金されたり、評価に反映される、または社内サービスが受けれる疑似通貨として利用されたりします。

ピアボーナス導入により、企業は、従業員に対して、仕事上の成果だけでない部分を評価できるようになります。

また、もう一つのピアボーナス導入効果として、従業員間の関係性を良好にし、組織力の強化が期待できます。

ピアボーナスとは?導入手順や効果、サービス紹介、導入事例を徹底解説!

定期的なサーベイの実施

従業員エンゲージメントを高めるためには、従業員エンゲージメントの施策が正しく進んでいるかどうかを図るため、定期的にサーベイ(調査)を行う事も重要です。

健康診断のように、今の状態がヘルシーなものかどうかをしっかりと数字で把握し、正しく改善していくことで従業員エンゲージメント施策の効果を最大化することにも繋がります。

また、数値化した結果、従業員エンゲージメントの効果が出ている場合は、施策が効果的とわかるので推進しやすくなります

従業員エンゲージメント施策を正しく舵取りするために、定期的なサーベイは重要と言えます。

エンゲージメントサーベイ

従業員エンゲージメントを測定することに特化した、エンゲージメントサーベイを行う企業も増えています。

会社に対する愛着や、思い入れ、社員間の関係性の深さを図るようなアンケートを実施して、そのタイミングでのエンゲージメント度合いを数値化します。

サーベイ項目としては、目標やビジョンの理解から、健康面、報酬面、コミュニケーション面など多岐に渡ります

企業は従業員に対して網羅的なサーベイを行うことで、改善点が正確にわかり、それ以降の従業員エンゲージメント施策に活かすことができます。

エンゲージメントサーベイとは?効果や導入手順・実施方法・おすすめサービス比較5選

従業員エンゲージメントを高めた企業事例

ここからは、実際に従業員エンゲージメントを高めた企業事例を紹介します。

ニトリ

(引用:株式会社ニトリ, ニトリン,「40年以上の歴史があるニトリの社内報─社内報制作も自前主義!従業員のキャリアを本気で応援」 <https://www.nitorihd.co.jp/nitorimedia/culture/post-3217/>, 2021年2月閲覧)

ニトリでは、1979年から40年もの間自社で社内報の制作を続けており、従業員エンゲージメント施策として成功しています。

経営層のインタビューや、部署紹介などを、従業員が自ら作成することで、生々しく面白みのある内容となり、しっかり読まれる社内報、期待される社内報となっています。

従業員に読まれているからこそ、従業員に対してしっかりと理念やビジョンが浸透し、これまでのニトリの成長に貢献してきているといえます。

デンソー九州

(引用:株式会社デンソー九州, 「社内イベント」 <https://www.denso-kyushu.co.jp/recruit/motivation/event/>, 2021年2月閲覧)

デンソー九州では、社内イベントに力を入れることで、従業員エンゲージメントを向上させています。

例えば、運動会を全社で行い、チームのTシャツを作ったりと学生のように楽しむことで、一体感を生み出すことに成功しています

また、ファミリーオープンハウスデーという、家族を職場に招待して、仕事現場を案内したり、おもてなしをするという企画も大変好評です。

従業員も、家族ぐるみの付き合いが職場で生まれたり、家族も、職場での頑張りを知って好意的になってくれるなど、様々な効果が生まれています。

このように多様な社内イベントにより、デンソー九州では従業員エンゲージメントを高めています。

従業員エンゲージメントは重要な経営課題

従業員エンゲージメントを考えることは、今後の経営環境の中においては重要です。

もしも、理念・ビジョンを明確化せず、従業員の特性を考慮しない人材配置を行って従来通りの一方通行な評価を行っていれば、従業員エンゲージメントを下げることになります。

また、コミュニケーションの活性化や、サーベイを行わず現状を把握しないと、それも同様に従業員エンゲージメントを下げる原因となります。

強い組織を作り成長を続けていくためにも、従業員エンゲージメントの向上に取り組んでいきましょう。