経営理念の作り方とは?7つの作成手順・注意点・浸透方法・おすすめ書籍

  • 2021-04-06
  • 2021-04-06
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経営理念は、組織の活性化や従業員のエンゲージメント向上のために大きな役割を担っており、企業の経営上の意思決定にも影響を及ぼします。

今回は、経営理念の作り方や経営理念を浸透させる方法について説明すると同時に、経営理念作りにおすすめの書籍もいくつか紹介します。

目次

経営理念とは

経営理念とは、経営における方向性や方針を示したものです。

よく混同されるのは企業理念ですが、企業理念は企業の存在意義を明文化したものです。

ただ、実際には経営理念と企業理念に関して明確な使い分けがあるわけではなく、同義で使われていることもしばしばあります。

経営理念とは?意味や効果・作り方・有名企業の経営理念を紹介

経営理念の必要性

経営理念は経営層によって作成されますが、作成されて終わりではなく、実際に現場で働いている社員に浸透しなければ意味がありません。

経営理念が社員の血肉になるぐらいしっかりと浸透することで、組織全体として経営理念に沿った行動をおこなえるようになるでしょう。

経営理念の作り方

経営理念はしっかりとした手順を踏んで作成されることで、腹落ちしやすく伝わりやすいものになります。

以下では、経営理念を作る際の手順を紹介します。

(1) 多くの他社事例を参考にする

まずは、業界にとらわれずにさまざまな企業の経営理念を参照することが重要です。

経営理念は、それぞれの企業における「こうありたい、こう進んでいきたい」ということを端的に伝えているものであり、どの企業でも経営理念には魂なり想いなりが込められています。

先人たちがどのような想いを込めて経営理念を作成したのかを想像して、自社の経営理念のイメージを膨らませましょう。

(2) 他社事例で受けた感想、良し悪しを言語化する

多くの他社事例を見る中で、それぞれについていろいろな感想を持つことになると思います。

よいと感じたものやとても素敵な考え方だと感じたものもあれば、イマイチしっくり来なかったものもあるでしょう。

なぜそのように感じたのかは、自社の経営理念を作成するうえで非常に重要な手がかり・ヒントになります。

自分の中にある想いや気持ちをしっかりと言語化することで、経営理念の方向性がよりしっかりと定まるでしょう。

(3) 自社の判断基準、理想をブレストする

経営理念の核となる、自社が目指す理想や経営上の判断基準などについて、ブレスト形式でアイデア出しをおこないます。

なるべくいろいろな案を出しておくことで、その後意見をまとめやすく方向性が定まりやすくなるので、積極的に案を出すことが重要です。

なお、ブレストでは他人の意見を批判・否定しないことが重要ではありますが、質のいい案が数多く出るのが望ましいことは間違いありません。

そのためには、(2)の工程でいかに多くの他社事例をインプットして自分なりに咀嚼できるかが、大きなカギを握っていると言えるでしょう。

(4) ブレストした理想像をグルーピング・カテゴライズする

ブレストで出てきた意見やアイデアをグルーピング・カテゴライズして、1~3つ程度の大きな方針にまとめます。

このときまとまった意見は、当初想定していなかったような方向性のものになる可能性もあります。

ただ、「あらかじめ想定していたかどうか」よりも、「納得感があるかどうか」のほうが重要なことなので、ブレスト参加者全員が納得したうえで話をまとめられるように心がけましょう。

(5) 過去・現在・未来と照らし合わせる

グルーピングした意見や方針は、その場ではとても整合性のあるもののように思われます。

しかし、組織の経営理念として掲げる以上は、組織の過去・現在・未来と照らし合わせて一貫性のある内容になっていなければなりません。

組織のこれまでの歩み、現在の事業内容、今後目指していく方向性などがグルーピングした意見や方針と一致するかを、このフェーズで今一度確認しましょう。

(6) 社会的意義とすり合わせる

経営理念としてまとまった方針が、自社の歩みや今後進むべき未来の方向性と一致していれば、次にそれが社会的な流れに沿ったものになっているかについても、確認しておく必要があります。

「企業は社会の公器」である以上、自社の理念が社会的に見て意義深いものであるかどうかは、企業の中にいる人にとっても外にいる人にとっても重要なことです。

社会の空気や流れに迎合する必要はありませんが、自然と受け入れられる内容や方針になっているほうが好ましいのは間違いありません。

(7) 最適な表現を検討する

最後に、実際に経営理念を掲げるにあたって、自社の方針や担うべき社会的意義を示すためにはどのような表現が最適かを検討します。

「顧客第一」と「クライアントファースト」は、ほぼ同じ意味を表すと考えて差し支えありませんが、前者が似合う企業と後者が似合う企業は、それぞれ異なります。
「しっくりくるかどうか」は、経営理念の浸透しやすさにも大きく関わる要素なので、自社にピッタリの表現が見つかるまで妥協せずに考え抜きましょう。

経営理念の作成メリット

経営理念の作成は、経営上の意思決定、組織活性化、人材確保において重要な意味を持ちます。

以下では、それぞれの項目における経営理念作成のメリットについて、説明します。

経営上の意思決定

意思決定に必要な判断基準ができる

経営理念は経営上の方針や手段を明確にしたものであり、経営に関する判断に迷った際に、意思決定の拠りどころになるものです。

事業をおこなっていると意思決定の判断に迷う機会は多々ありますが、そのたびに会社にとってできる限り望ましい判断を下さなければなりません。

経営理念を策定して自社の旗印を明確にしておくことで、常にブレない判断を下すことが可能です。

スピーディーな意思決定ができる

意思決定の判断基準が明確であることは、判断の正しさだけでなく判断を下すスピードにも大きく影響します。

今の世の中は技術も日進月歩で発展していき、市場を取り巻く環境や消費者・顧客の意識も、絶え間なくアップデートされていきます。

そのような環境においては、判断を下すスピードが遅いのは致命的であり、時代に取り残されてしまう原因になりかねません。

経営理念のおかげでスピーディーな意思決定が可能になることで、常に第一線で戦い続けられるでしょう。

組織活性化

組織活性化とは?重要性や妨げる要因取り組む施策とキーパーソン

組織文化を醸成する

経営理念を掲げて事業をおこなうことで、経営指針は自然と一貫したものになるはずでし、ならなければなりません。

一貫した経営指針は社内に一体感をもたらし、その企業独自の文化である組織文化の醸成につながります。

文化がしっかりと根付いた企業や組織は独自の強さを持っており、その文化に惹かれた社員も数多く集まってくるため、組織の活性化が進みやすくなります。

企業文化とは?重要視される理由と醸成・浸透方法、他社事例10社徹底紹介!

エンゲージメントを向上する

一貫した経営指針は、従業員の行動やマインドにまで影響を及ぼすものであり、組織が目指すべき方向性と従業員の目線を合致させるのに効果的です。

自分の目指すべき方向と組織が目指している方向が同じだと感じると、従業員の組織に対するエンゲージメントは自然と向上していきます。

エンゲージメントが向上することによって、従業員のモチベーションが高くなって生産性も向上しますし、エンゲージメントの高い従業員が増えれば増えれば増えるほど、組織の活性化も進みます。

従業員エンゲージメントとは?メリットや高める方法・企業事例4選

人材確保

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離職率の低下につながる

従業員の流動性が以前よりも高まっている昨今においては、従業員の離職率を低下させることが非常に重要です。

離職率を低下させるための施策はいくつもありますが、従業員自身の組織に対するエンゲージメントを高めることは、非常に効果的な方法のひとつです。

経営理念の策定により従業員のエンゲージメントが向上することで離職率が低下し、離職率の低い組織は活性化しやすく、組織が活性化することでさらに従業員のエンゲージメントが高まる、というような理想的なループが生まれることも期待できるでしょう。

離職率とは?計算方法や日本の平均値・離職の原因・改善策・新卒対策

採用市場で強みになる

社員のエンゲージメントが高いことおよび、その背景にある一貫・浸透した経営理念や確固たる組織力は、採用市場で大きな強みになります。

エンゲージメントが高まることで、社員の能力や生産性が向上することは組織にとって重要であることは間違いありませんが、もともとの能力や生産性が高い人材を採用市場で確保できることも、同じぐらい重要です。

優秀な人材を採用したうえで、エンゲージメントの向上によって能力や生産性が向上すれば、まさに鬼に金棒と言えるでしょう。

経営理念を作成する上で確認すべき5つのポイント

経営理念を作成する手順については先ほど触れましたが、その手順において抑えておかなければならないポイントがいくつかあります。

経営理念を作成するうえで確認すべきポイントについて、以下で説明します。

(1) 社会性の観点が含まれているか

会社の経営的に正しくふさわしい内容であったとしても、それが社会的な流れに逆行していたり、社会的な意義が不足している場合は、経営理念として掲げるにはふさわしくありません。

企業は社会の公器であるという考え方を今一度思い出して、社会性という観点からは自社の経営理念がどのように見えるかを、客観的に判断しましょう。

(2) 中長期的に掲げられるか

経営理念は、一度掲げたらその後変更してはならないというわけではありません。

ただ、企業の方針を示すものであり、企業の顔としての役割を担うものでもある以上、あまり短期的に変更するのは好ましくありません。

経営理念策定の際に、中長期的な視点をもって話し合いやブレストをおこなっていれば、中長期的に掲げるのに耐えられる内容になっていることが多いですが、そうでない場合は中長期的な視点を加えたうえで、再度内容を練り直すほうがよいでしょう。

(3) 過去・現在・未来との一貫性があるか

どれだけ立派な経営理念であっても、その内容と組織がこれまでおこなってきたことやこれから目指していく方向性が合致していなければ、絵に描いた餅に過ぎません。

また、従業員が納得して受け入れられる経営理念でなければ、浸透するのは難しいですし組織文化を醸成させる助けにもならないでしょう。

経営理念の内容が自社に合っているかを判断する意味も込めて、自社のこれまでの歩みおよび進むべき未来と経営理念の間に、一貫性があるかどうかを確認しましょう。

(4) シンプルかつわかりやすい表現になっているか

経営理念はお題目として掲げられるだけでは意味がなく、各従業員に浸透してその血肉になる必要があります。

そのため、シンプルでわかりやすい表現になっていることが重要なので、経営理念の中身をチェックする場合は、そういった視点からも判断することを心がけましょう。

ただ、必ずしもシンプルな表現にこだわる必要はなく、組織の現場でよく用いられている言葉や考え方があるのであれば、そういった表現を用いることでより従業員に腹落ちしやすい内容になることも考えられます。

(5) 自社で掲げる意義があるか

それぞれの組織には、「自分たちが成し遂げなければならない目標」「自分たちだからこそ目指せるゴール」があるものです。

それこそが存在意義・原動力になっているケースも多いので、経営理念もそれらに沿った内容で、自分たちだからこそ掲げる意義があるものになっている必要があります。

同業他社と同じような表現・方向性のものではなく、自社独自のエッセンスが含まれているかどうかは、経営理念において非常に重要なポイントです。

経営理念を作る際に参考にしたい他社事例

経営理念を作る際には、他社が掲げている経営理念を参考にすることも重要です。

たとえば、ファーストリテイリング、トヨタ、オリエンタルランドの日本を代表する3つの企業の経営理念は、それぞれ以下のようになっています(名称は基本理念や企業理念など、それぞれ少し異なります)。

ファーストリテイリング

服を変え、常識を変え、世界を変えていく

(引用:株式会社ファーストリテイリング, 「企業理念」,
https://www.fastretailing.com/employment/ja/about/frway.html〉,2021年4月閲覧)

トヨタ

1. 内外の法およびその精神を遵守し、オープンでフェアな企業活動を通じて、国際社会から信頼される企業市民をめざす

2. 各国、各地域の文化・慣習を尊重し、地域に根ざした企業活動を通じて、経済・社会の発展に貢献する

3. クリーンで安全な商品の提供を使命とし、あらゆる企業活動を通じて、住みよい地球と豊かな社会づくりに取り組む

4. 様々な分野での最先端技術の研究と開発に努め、世界中のお客様のご要望にお応えする魅力あふれる商品・サービスを提供する

5. 労使相互信頼・責任を基本に、個人の創造力とチームワークの強みを最大限に高める企業風土をつくる

6. グローバルで革新的な経営により、社会との調和ある成長をめざす

7. 開かれた取引関係を基本に、互いに研究と創造に努め、長期安定的な成長と共存共栄を実現する

(引用:トヨタ自動車株式会社, 「トヨタ行動指針」〈https://global.toyota/pages/global_toyota/company/vision-and-philosophy/code_of_conduct_001_jp.pdf〉, 2021年4月閲覧)

オリエンタルランド

自由でみずみずしい発想を原動力に

すばらしい夢と感動

ひととしての喜び

そしてやすらぎを提供します

(引用:株式会社オリエンタルランド, 「企業理念」,
http://www.olc.co.jp/ja/company/philosophy.html〉, 2021年4月閲覧)

それぞれの理念は、各企業が目指すべき方向性を踏まえた分かりやすいものになっており、非常に納得できる内容になっていることがお分かりいただけるでしょう。

その他の事例をもっと知りたい方は、ぜひ下記の記事をご覧ください。

経営理念の事例14選・作成メリット・業界別の比較・各社の特徴

経営理念を浸透させる方法

経営理念を浸透させるためには、社内にしっかりと周知徹底することが求められます。

社内報や企業内SNSで経営理念について通知するのもよいですし、研修内容に経営理念を組み込むという方法も考えられます。

また、組織を取り巻く外部の情勢に敏感になったり、社員が生き生きと自己表現できる環境を用意したりすることも欠かせません。

経営理念を浸透させる方法については下記の記事で詳しく説明していますので、ぜひ参考にしてみてください。

企業文化とは?重要視される理由と醸成・浸透方法、他社事例10社徹底紹介!

効果的な理念浸透には社内報CMS「ourly」

ourlyは株式会社ビットエーが提供する、全く新しいweb社内報サービスです。

web知識が一切不要で、誰でも簡単に投稿できるだけでなく、どのweb社内報よりも豊富な分析機能が特徴的です。

またourlyは、web社内報としてだけでなく組織課題を可視化するツールとして使えることが魅力的なツールとなっています。

特に「社内報は発行しているものの、会社のメッセージが従業員にどの程度届いているのか分からない」という方におすすめのツールです。

ourly「アワリー」について詳しく見る

経営理念作りにおすすめの本/書籍

経営理念を作る際には、他社事例を確認するのと同様に、経営理念の考え方や作り方についての本や書籍を読むのもおすすめです。

経営理念作りにおすすめの本・書籍を、以下でいくつか紹介します。

経営理念の考え方・つくり方

経営理念の考え方や作り方についての基本的なノウハウがまとめられています。

実際の企業の社是や社訓なども数多く取り上げられており、経営理念の作成フォーマットも掲載されているので、経営理念作りの第一歩を踏み出す際に非常に便利です。

日本一わかりやすい経営理念のつくり方

経営理念の根本的な考え方について触れられているので、経営理念について学ぶ際の最初の一冊におすすめです。

経営理念の作成フォーマットも載せられているので、本書を読んで学んだことや理解したことをすぐに実践することができます。

経営理念の教科書

経営理念を策定して運用するための方法を、実際の企業を例にしながら学ぶことができます。

企業の経営者はもちろん、管理職やチームリーダー、今後独立や起業を目指している人も必読の内容と言えるでしょう。

自社にあった経営理念を作成しよう

経営理念とは、組織の経営上の方針や方向性を示したものです。

経営理念を策定することで、組織上の意思決定、組織の活性化、人材確保といった観点で大きなメリットを享受することができます。

実際に経営理念を作る際は、他社事例を参考にしたうえで、自社が目指すべき理想を明文化し、それを自社に合うようなワーディングで表現するという手順を踏むことが重要です。

社会性や中長期的な視点、自社独自の内容が含まれているかどうかを確認しながら作成することを心がけましょう。