この記事をシェアする

エンゲージメントスコアが改善!離れて働く社員の心もつなぐ、IT企業の取り組みに迫る。

アバター画像

大野晃貴

公開日:

2025.06.24

更新日:

2025.06.24

エンゲージメントスコアが改善!離れて働く社員の心もつなぐ、IT企業の取り組みに迫る。

1976年に設立され、創業から49年の歴史を迎える独立系IT企業である東京システムハウス株式会社。創業当初より「ESなくしてCSなし(従業員満足なくして顧客満足なし)」という考え方のもと、社員の働きやすさやコミュニケーションを重視した企業文化があります。

今回は、経営企画室 コミュニケーション推進 課長の原口 一孝さんにインナーコミュニケーションの取り組みや実際に得られた成果についてお伺いしました。

社内コミュニケーションは組織の“インナーマッスル”

エンゲージメントスコアが改善!離れて働く社員の心もつなぐ、IT企業の取り組みに迫る。

ー 2023年に社内コミュニケーションを推進する専任チーム「コミュニケーション推進」が設置されたそうですね。設立のきっかけや背景について教えてください。

当社では事業部制を採用しており、さらにお客様の要件により客先常駐で勤務しているメンバーもいることから、社員同士のコミュニケーションが取りづらいという課題を抱えていました。

加えて、新型コロナウイルスの影響によってテレワーク中心の働き方へとシフトしたこともあり、社内のコミュニケーションに対する問題意識が一層高まりました。こうした背景から、2023年に社内コミュニケーションの活性化を目的とした専任チーム「コミュニケーション推進」が立ち上がりました。

ー 会社全体としても、社内コミュニケーションの重要性を強く認識されているのですね。

戦国武将・武田信玄の「人は石垣、人は城」という言葉があります。

この言葉には、「人こそが国を支える礎であり、国を守るには人を大切にしなければならない」という意味が込められています。私たちも同様に、「人」が組織の根幹であると捉えています。

なかでも社内コミュニケーションは、いわば“組織のインナーマッスル”のような存在です。外からは見えにくいものですが、組織の強さにも弱さにも直結する重要な要素です。

そのため、社内コミュニケーションは経営資源のひとつと位置づけ、全社を挙げてその強化に取り組んでいます。

ー 具体的にはどのような施策をされていますか?

まず、毎月「オープンハウスデー」というイベントを開催しています。

これは終業後にオフィスでケータリングの食事や飲み物を囲みながら、普段あまり関わる機会のない社員同士が交流したり、客先常駐の社員が自社オフィスとつながる機会を持てるようにすることを目的としています。

4月のオープンハウスでは76名が参加し、従業員同士のコミュニケーションのきっかけになっていると実感しています。

また、社員のご家族にも参加してもらえる「オープンオフィスイベント」も実施しています。

このイベントでは、社員のお子さんたちに親の働く姿や職場の雰囲気を見てもらうことを大切にしています。

多くの子どもにとって“親の仕事”はまだよく知らない世界ですが、実際にオフィスに足を運び、経営陣や社員と交流しながらその空気を体感することで、少しでも「親の職場っていいな」「おもしろそうだな」と感じてもらえたらと思っています。

創意工夫のイベント設計が、エンゲージメントスコアを押し上げた!

ー イベントを企画してもなかなか参加者が集まらないと悩む担当者の方も多い中で、御社ではどのような工夫をされていますか?

やはり社員一人ひとりの価値観や興味は異なりますので、200人の社員がいれば、参加したいと感じるイベントの形も200通りあると考えています。

そのため、全員を惹きつけるような“魅力的なコンテンツを一方的に提供する”のではなく、社員自身が「参加したくなる場」を企画できる仕組みを用意しています。

具体的には、「〇〇会支援」という制度を設けており、社員が自由にテーマを設定して集まり、その会の費用を会社がサポートするという取り組みです。

ただし、会社としての目的である”社内コミュニケーションの活性化”を見失わないように、「他部門のメンバーを含む3名以上での開催」という条件を設けています。これにより、自然な形で部門横断の交流が生まれるよう工夫しています。

ー あまり接点がない社員同士でも、共通の趣味や話題があれば盛り上がりそうですね!客先常駐の社員が多いからこそ、オンラインイベントにも取り組まれていると伺いました。

オンラインカラオケ大会

そうですね、実際にクライアント先に常駐している社員からは、「本社オフィスまで移動しないといけないのが大変で、イベントに参加しづらい」という声が上がっていました。

そこで、同じ時間・同じ場所に人を集めることは、今の時代では難しいと捉え、リモートでも気軽に参加できる企画として「オンラインカラオケ大会」を開催しました。

結果として、通常のオープンハウスの約2倍の参加者が集まり、参加者からは「新鮮で楽しかった!」という声も多く寄せられました。

物理的な距離や時間の制約を越えて、社員同士がつながる良いきっかけになったと感じています。

ー コミュニケーション推進チームが発足して約2年が経ちますが、具体的にどのような成果がありましたか?

2022年から年2回、エンゲージメントサーベイを実施しており、社内コミュニケーションに関する設問において、着実な改善が見られています。

【実際の設問と数値の変化】
・上司とはどのくらい気軽に話ができますか? 6.75(2022年2月)→7.19(2024年7月)
・同僚とはどのくらい気軽に話ができますか? 6.64(2022年2月)→7.01(2024年7月)

これらの数値の改善は、社内イベントを通じた社員同士の交流機会の増加が大きく寄与していると考えています。今では、社内イベントが組織の一体感を高めるための重要な手段のひとつになっています。

社員一人ひとりが働きがいを持って、長く活躍できる会社をつくるために

コミュニケーションが活性化した事例

ー しっかり成果が数字にも表れていますね!社内のコミュニケーションが活性化していると感じたエピソードがあれば教えてください。

やはり、これまで業務上で接点のなかった社員同士が、イベントをきっかけに顔見知りになり、その後自然と会話が生まれるようになったり、部門や世代を越えて一緒にランチをとる姿を目にする機会が増えました。

たとえば、カラオケ大会では「〇〇さんがこんな歌を歌うなんて!」「実はあんなに歌がうまかったんだ!」といった驚きや発見があり、社員の顔と名前が印象に残る場面も多くありました。

こうした積み重ねがきっかけとなり、「〇〇会支援」を活用した自主的なイベントや飲み会も活発になってきており、社内のコミュニケーションが着実に活性化していると実感しています。

ー 今後の展望や目標を教えてください。

社内コミュニケーションの活性化に取り組むことで、例えば新商品のアイデア創出やお客様対応の質の向上といった形で、業績アップにつながると考えています。

また、カルチャーにフィットする人材を採用しやすくなり、その結果として定着率の向上にも寄与するはずです。

そうした好循環を生み出すために、これまで取り組んできた社内イベントは引き続き実施しつつ、「インドア運動会」の新企画や、「オープンオフィス」のゲストに取引先や学生を加える新展開なども企画していきたいと考えています。

そして最終的には、“チャレンジする人に対して、周囲が忌憚なくアドバイスやエールを送れる文化”を育み、社員一人ひとりが働きがいを持って、長く活躍できる会社を目指していきたいと思っています。

※本取材は2025年3月12日に実施いたしました。


【事後レポート】ourly社員が運動会に潜入してきました!

2025年6月14日、新企画として「インドア運動会」が五反田JPビルディングにて開催されました!

東京システムハウス株式会社の社員に加え、そのご家族やご友人も参加され、社内外の交流が自然と生まれる、まさにコミュニケーション活性化につながるイベントとなりました。

参加者は4チームに分かれて優勝を目指しましたが、チーム編成は部署や役職の枠を超えてランダムに行われており、普段は接点の少ないメンバー同士の会話や協力の様子が至る所で見られました。

なかでも盛り上がりを見せたのが部門対抗の綱引き。優勝チームには総額13万円相当の賞品が贈られるとあって、各部門のメンバーが真剣に作戦を練る様子は、業務中とはひと味違った一体感を感じさせる光景でした。

なお、ourly社員が参加したチームは惜しくも2位という結果でしたが、インドア運動会は「社内コミュニケーションを育む新しい施策」として非常に意義深い体験となりました。

なお、本イベントの企画・運営を担当されたのは、イベント演出のプロフェッショナル・株式会社IKUSAさん。本メディアでもインタビューを行っていますので、ぜひあわせてご覧ください。

まとめ

イベントを成功させるうえで何より大切なのは、「会社としてイベントをどう位置づけるか」「何のために実施するのか」という目的の明確化です。ourlyは、エンゲージメント向上や企業文化の醸成につながる施策こそが“価値あるイベント”だと考えています。

楽しさだけで終わらせない。
その先に「行動の変化」や「組織のつながり」が生まれてこそ、本当の意味での“インナーコミュニケーション施策”になります。

今後もourlyでは、エンゲージメント向上や社内コミュニケーションの活性化といった組織変革の取り組みをご紹介してまいります!