従業員エンゲージメントとは?メリットや高める方法・企業事例4選


従業員エンゲージメント
を高めるためにさまざまな取り組みをしている企業が増えています。従業員エンゲージメントの考え方は世界的にも重要視されており、会社経営には欠かせないものとなっていますが、いったい従業員エンゲージメントとはどのようなものなのでしょうか。

そこでこの記事では、従業員エンゲージメント意味高める効果有名企業の取り組み事例従業員エンゲージメントを高める具体的な方法などを詳しく解説します。

従業員エンゲージメントとは

従業員エンゲージメントとは、従業員の会社に対する愛着心や貢献意欲を意味します。より簡単に言えば、会社との絆や繋がりの強さとなります。

この会社との絆や繋がりの強さが高めることが、社員のモチベーションアップに繋がり、結果として、離職率の低下や業績の向上、労働生産性の向上などに寄与するとして、重要視されています。

そもそもエンゲージメントとは、

 約束。契約。協約。
 結婚の約束。婚約。
 広告などの各種マーケティング活動において、顧客の興味や注意を引きつけ、企業と顧客の結びつきを強めること。

(引用:「エンゲージメント」の意味, goo辞書, 〈https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88/〉, 2020年12月閲覧)

とされており、広義に繋がりのことを示します。

繋がりを形成するには、どちらか片方からの働きかけのみではなく、両者における双方向の働きかけが重要となります。
この、両者の互いに与えるものが、お互いにプラスの意味を持ち続けられる状態が重要を意識することが大切です。

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従業員エンゲージメント向上による4つのメリット

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それでは、従業員エンゲージメントの向上は、どのようなメリットをもたらすのでしょうか?ここでは、従業員エンゲージメント向上による4つのメリットをご紹介します。

⑴離職率の低下

従業員エンゲージメント向上の最も大きな効果は、離職率の低下と言ってもいいでしょう。

従業員エンゲージメントが高いということは、その分自社への貢献意欲や帰属意識が高い状態です。

企業と従業員の信頼関係が強固なので、転職したいと考える従業員が少なく、優秀な人材の定着にもつながります。

実際、最新の研究によると、エンゲージメントの高さが人材の定着に寄与することが示されています。

これは16カ国の調査平均で、「退職の予定なし」と答えたのは、エンゲージメントが高い層の59%に対し、低い層は24%となっています。

また、「積極的に転職活動を進めている」と答えたのは、エンゲージメントが高い層の3%に対し、低い層は21%となっています。

(引用:株式会社あしたのチーム,『業績を高めるエンゲージメント向上の取組み』,<https://inouz.jp/times/wp-content/themes/inouztimes/pdf/ashita-team_3.pdf>)

現在日本では、多くの企業が人材流出に頭を抱えています。
人材流出については、こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

⑵業績の向上

従業員エンゲージメントを高めることは、企業の業績向上につながります。

最新の研究では、エンゲージメントの高さと企業の業績(営業利益率)は関係があるということがデータで示されています。

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(引用:株式会社リンクアンドモチベーション,「エンゲージメントと企業業績」に関する研究結果を公開,<https://www.lmi.ne.jp/about/me/finding/detail.php?id=14>,2018年9月18日発表)

この研究では、「ES(エンゲージメントスコア)1ポイントの上昇につき、当期の営業利益率が0.35%上昇する」ことが分かっています。

加えて、翌四半期の営業利益率の向上にも寄与することが明らかになっており、比較的短期間での業績向上に寄与することが分かっています。

⑶労働生産性の向上

従業員エンゲージメントを高めることは従業員の労働生産性の向上にもつながります。

こちらも最新の研究で明らかになっています。

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(引用:株式会社リンクアンドモチベーション,『「エンゲージメントと企業業績」に関する研究結果を公開』,<https://www.lmi.ne.jp/about/me/finding/detail.php?id=14>,2018年9月18日発表)

この研究で、「ES(エンゲージメントスコア)1ポイントの上昇につき、労働生産性(指数)が0.035上昇する」ことが分かっています。

労働人口が減り、労働生産性の向上が課題の現代において、エンゲージメント向上は解決策の1つになり得るでしょう。

労働生産性について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

関連記事:労働生産性とは?種類・国別比較・向上の方法を解説

⑷顧客満足度の向上

従業員エンゲージメントを高めることは、顧客満足度の向上にも効果をもたらします。

従業員エンゲージメントが高い状態であるば、その従業員は会社への愛着心が高く、自身が勤めている会社の成功を願うようになります。
そうなると、仕事のクオリティが上がることはもちろんのこと、会社にとって大きなマイナスが発生しないよう、細かなところや仕事外のところにまで目がいくようになり、会社の成功のために良いサービスを提供しようと働くのです。

また、上記⑵、⑶のように、業績や労働生産性が上がることによって、自然と顧客満足度が高まることも想像できます。

従業員エンゲージメント向上の取り組み事例4選

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ここでは、実際に従業員エンゲージメント向上に取り組んでいる企業事例を紹介します。

⑴伊藤忠商事-朝型勤務・脱スーツ・デー-

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商社として有名な伊藤忠商事は、従業員の働き方を高める積極的な取り組みを行う企業としても有名です。

朝方勤務

朝方勤務の取り組みとして、深夜勤務(22:00-5:00)の「禁止」、20:00-22:00勤務の「原則禁止」とし、朝5:00からの朝勤務を推奨し、それに伴い朝食を配布する取り組みを行っています。

深夜遅くまで働くことによる生活週間の乱れを抑制することに加え、終わりの時間を決めることで、メリハリのある仕事への取り組みを促していると言えるでしょう。

結果として、一人あたり時間外勤務時間が、導入1年目には、約7%減、5年目には約11%減という成果をもたらしています。

脱スーツ・デー

特定の曜日を「脱スーツ・デー」と定め、画一的なスーツではなく、従来のカジュアルフライデーよりももう一段ドレスダウンした服装を認め、TPOをわきまえた「仕事着」であることを前提に、ジーンズやスニーカーの着用も可として自由度のある伊藤忠らしい装いを推奨されています。

お客さんや周囲との関係性を意識しながら服装を決める機会をつくることで、社員の柔軟な発想力を養うことや、新しいアイデアやコミュニケーションが生まれやすい職場環境づくりをすることを狙いとされているそうです。

カジュアルに仕事のしやすい服装で勤務したり、自己表現をする機会になったりと、従業員に選択の幅を持たせていることが分かります。

(伊藤忠商事株式会社, 雇用・福利厚生, 〈https://www.itochu.co.jp/ja/csr/society/employee/employee_benefits/index.html〉, 2020年12月閲覧)

⑵ユニクロ(ファーストリテイリング)-ステートメントの浸透-

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今や日本を代表するグローバル企業となったユニクロ(ファーストリテイリング)ですが、この企業は掲げるステートメントが社内にしっかりと浸透していることが評価できます。

ユニクロ(ファーストリテイリング)は、

服を変え、常識を変え、世界を変えていく

を企業ステートメントとして掲げています。みなさんも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

このステートメントが社内でよく浸透していることに加え、それを実現する手段として、Life Wearという新たな概念を作り、その浸透も行われています。

ステートメントと、自分の行っている仕事との関連性が強く想像でき、このステートメントと同じ方向を向いて働いている社員の姿が容易に想像できます。

(FAST RETALING, 「FAST RETALING WAY(FRグループ企業理念)」, 〈https://www.fastretailing.com/jp/about/frway/〉, 2020年12月閲覧)

⑶Yahoo!-1on1ミーティング-

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IT企業として有名なYahoo!は、上司と部下が一対一で話をする1on1ミーティングを毎週30分設けています。

Yahoo!は、1on1ミーティングを部下のためのミーティング定め、「経験学習」というスキームの導入を行うこと、また、社員の才能と情熱を解き放つことを的としています。

社員が失敗体験からではなく、成功体験からも成長ができるようサポートを行ったり、社員により適している仕事を見つける機会としたり、また、周りの社員が本人に対して期待していることを理解してもらうことなどを行っています。

毎週30分も一対一で上司と話す機会があれば、お互いに深い関係性を築くことができ、それまでは言いづらかったようなことも、相談し会える仲になれそうですね。

少なくとも、上司から部下に対して寄り添う気持ちが感じられ、信頼関係の構築が期待できそうです。

(引用:Yahoo!株式会社, 「1on1ミーティング」で強い組織をつくる 人材育成のための部下とのコミュニケーション, 〈https://about.yahoo.co.jp/info/blog/20181011/1on1.html〉, 2020年12月閲覧)

⑷味の素-エンゲージメントサーベイの実施-

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味の素株式会社は、従業員のエンゲージメント指標を測るエンゲージメントサーベイを実施しています。

味の素グループ初の調査結果は、80%近くと好意的であることがわかり、会社全体の状態の把握を行うことに寄与しています。

また、「働きがい」に関して好意的に感じている社員は79%「自分のこころとからだが健康だと感じている人」76%と、より詳細に各項目の数値を把握することができます。これにより、従業員エンゲージメント向上施策を効果的に策定することができるのです。

(引用:味の素株式会社, 「働き方改革」で高まる”働きがい” エンゲージメントサーベイで分かったこと, 〈https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/features/report/011.html〉, 2020年12月閲覧)

従業員エンゲージメントを高める4つの方法

それでは、前章で紹介した企業のように、従業員エンゲージメント高める具体的な施策5つをご紹介します。

(1)企業理念・ビジョンの明文化と浸透

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1つ目の方法は企業理念・ビジョンの明文化と浸透です。

まだ企業理念・ビジョンがなければ、それを明文化することから始めます。自社の核となる価値観や思想、経営層の思いは何なのかを確かめて、理念・ビジョンを明らかにしましょう。   

企業理念・ビジョンは、その会社の目指す方向性を示します。その方向性と同じ向きを向くことができれば、従業員のエンゲージメントは大きく向上します。

企業の掲げる理念やビジョンをまずは共有する、そしてなぜその理念やビジョンを大切にするのか、その背景も共有することが大切です。

企業理念・ビジョンが決まれば、社内に発信して、浸透させましょう。具体的な施策としては、社内報、クレド、研修などさまざまなものが挙げられます。

関連記事:社内報とは?効果と一からの作り方、webと紙比較、企画ネタ34選!

(2)社内コミュニケーションの活性化

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社内コミュニケーションの活性化もエンゲージメント向上の施策の1つです。

社内でのコミュニケーションが活性化されると、その企業に対する帰属意識や愛着を持つことはイメージしやすいのではないでしょうか。

具体的な施策としては、SNSツールの導入やピアボーナス、社内イベントといったものが挙げられます。自社に合うと思う施策を行うようにしましょう。

インナーコミュニケーションやピアボーナスについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

関連記事:インナーコミュニケーションとは?効果や種類、他社事例、導入ポイントと対策

関連記事:ピアボーナスとは?導入手順や効果、サービス紹介、導入事例を徹底解説!

(3)人材の適正配置と役割の伝達

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人材の適正配置と役割の伝達も有効な施策です。

多くの会社では入社時に一度部署が決まると、その部署で働き続けないといけないことが一般的です。

しかし、配属された部署がその従業員に合っていなければ、パフォーマンスもモチベーションも低いままですし、会社としてもメリットはありません。

従業員一人一人の強みや本人の状態をしっかりと把握し、出来るだけそれに合った配置をすることが重要です。

その上で、その従業員に期待している役割を伝達し、理解してもらうことで、理解度や行動意欲を高めることができ、エンゲージメント向上に繋がるでしょう。

人材の適正配置や役割の伝達は、まとめてタレントマネジメントとも言われます。タレントマネジメントについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

関連記事:タレントマネジメントとは?メリットや導入ステップ、中小、大企業導入事例、他社システムを解説!

(4)評価制度の見直しとフィードバック

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4つ目の方法としては適切な評価とフィードバックがあります。

もし、従業員が今の評価制度に納得していなければ、その従業員の行動意欲の向上は期待できないでしょう。

評価制度を作る上で、企業のビジョンと従業員個人の目標をすり合わせることが大切です。また、従業員の仕事に対してフィードバックをすることで、企業側の考えを理解できたり、納得感を持って仕事を進められたりするので、双方ともにメリットが大きいと言えます。

評価制度について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

関連記事:人事評価制度とは?目的(メリット)や評価手法・作り方・導入事例・成功と失敗のポイント

従業員エンゲージメントが高い状態とは

従業員エンゲージメントが高い状態とは、どんな状態のことを指すのでしょうか。

THE ADECCO GROUPによる、「日本はなぜ従業員エンゲージメントが低いのか?」という記事のアンケートによると、グローバル企業や日本で従業員エンゲージメントが高い企業では、次の4つの項目のYesの回答率が高いことがわかりました。

私は会社の目標や目的を信じている

私はこの会社を「良い会社」として推薦できる

私は会社の成功のために求められる以上の仕事をしたいと思う

私はこの会社で働くことを誇りに思う

(引用:THE ADECCO GROUP,日本はなぜ従業員エンゲージメントが低いのか?,<https://www.adeccogroup.jp/power-of-work/029>,2020年8月閲覧)

以上の結果と「日本企業がエンゲージメント経営を実践する5つの要諦」(p.77-)から以下の3つの要素が従業員エンゲージメントが高い状態に必要な要素と言えます。

1.理解度:自社の目指す方向を理解し、それが正しいと信じている
2.共感度:自社に対して、帰属意識や誇り、愛着の気持ちを持っている
3.行動意欲:自社の成功のため、求められる以上のことを進んでやろうとする意欲がある

会社を経営する側としては、従業員の上記の3つの状態が高いレベルであることを意識しておくことが重要になります。

まとめ

この記事では、従業員エンゲージメントとは何か、混同されやすい用語の解説、従業員エンゲージメントの効果、向上のためのステップ、具体的な方法や取り組み事例について解説しました。

従業員エンゲージメントを高い状態で維持することは、会社運営における軸となる重要な施策です。

この記事が御社の従業員エンゲージメント向上の役に立てば嬉しいです。