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従業員エンゲージメントとは?必要性やメリット・向上方法・企業事例を解説

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従業員エンゲージメントを高めるためにさまざまな取り組みをしている企業が増えています。従業員エンゲージメントの考え方は世界的にも重要視されており、会社経営には欠かせないものとなっていますが、いったい従業員エンゲージメントとはどのようなものなのでしょうか。

そこでこの記事では、従業員エンゲージメント意味高める効果有名企業の取り組み事例従業員エンゲージメントを高める具体的な方法などを詳しく解説します。

目次

従業員エンゲージメントとは

従業員エンゲージメントの定義

従業員エンゲージメントとは、従業員の会社に対する愛着心や貢献意欲を意味します。より簡単に言えば、会社との絆や繋がりの強さとなります。

この会社との絆や繋がりの強さが高めることが、社員のモチベーションアップに繋がり、結果として、離職率の低下や業績の向上、労働生産性の向上などに寄与するとして、重要視されています。

そもそもエンゲージメントとは、

 約束。契約。協約。
 結婚の約束。婚約。
 広告などの各種マーケティング活動において、顧客の興味や注意を引きつけ、企業と顧客の結びつきを強めること。

(引用:「エンゲージメント」の意味, goo辞書, 〈https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88/〉, 2020年12月閲覧)

とされており、広義に繋がりのことを示します。

繋がりを形成するには、どちらか片方からの働きかけのみではなく、両者における双方向の働きかけが重要となります。
この、両者の互いに与えるものが、お互いにプラスの意味を持ち続けられる状態が重要を意識することが大切です。

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従業員エンゲージメントと混同しやすい用語との違い

従業員エンゲージメントと混同しやすい用語して、「モチベーション」「従業員満足度」「ロイヤリティ」が挙げられます。それぞれの違いを簡単に表すと以下の図のようになります。

*それぞれのイメージ図は編集部で作成しました。

モチベーションは、「従業員個人の中に醸成される意欲」を表す指標です。あくまでも各個人の意欲であるため、エンゲージメントの「企業に貢献する」という気持ちとは区別されます。

従業員満足度は、「従業員が企業に対してどれだけ満足しているか」を表す指標です。一般的には、その企業の労働環境や福利厚生や給与を評価します。エンゲージメントと違い、企業から従業員への一方的な関係であることが特徴的です。

「ロイヤリティ」は企業への従業員の忠誠心を表す指標です。従業員がどれだけその企業の方針に従うかという尺度で測ることが出来ます。従業員満足度とは反対に、従業員から企業への一方的な関係であることが特徴的です。

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なぜ従業員エンゲージメントを高める必要があるのか

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昨今注目されている従業員エンゲージメントですが、そもそもなぜ注目されているのでしょうか。ここではその注目の背景を解説します。

(1)世界最低水準の日本企業

米ギャラップ社は139カ国を対象に従業員エンゲージメントの調査を行いました。その結果によると、日本企業は132位にランクしており、世界最低水準であることが分かったのです。

日本において従業員エンゲージメントの高い社員は、企業全体の5%と言われています。世界の平均が20%ほどであることを踏まえると、従業員エンゲージメントの向上は日本企業の喫緊の課題だと言えます。

数年前から更新されているこの調査結果を踏まえ、多くの日本企業が、さまざまな手法で改善に取り組んでいます。

(引用:GALLUP社,「State of the Global Workplace: 2021 Report」, <https://commsweek.ragan.com/wp-content/uploads/2021/07/state-of-the-global-workplace-2021-download.pdf> , 2021年12月閲覧)

(2)離職率の低下

少子高齢化や働きかた改革で人材の流動化が進み、離職率が課題の会社は増えています。そんな離職率の低下を促すのが、従業員エンゲージメント向上です。

従業員エンゲージメントが高いということは、その分自社への貢献意欲や帰属意識が高い状態です。

企業と従業員の信頼関係が強固なので、転職したいと考える従業員が少なく、優秀な人材の定着にもつながります。

実際、最新の研究によると、エンゲージメントの高さが人材の定着に寄与することが示されています。

これは16カ国の調査平均で、「退職の予定なし」と答えたのは、エンゲージメントが高い層の59%に対し、低い層は24%となっています。

また、「積極的に転職活動を進めている」と答えたのは、エンゲージメントが高い層の3%に対し、低い層は21%となっています。

(引用:株式会社あしたのチーム,『業績を高めるエンゲージメント向上の取組み』,<https://inouz.jp/times/wp-content/themes/inouztimes/pdf/ashita-team_3.pdf>)

現在日本では、多くの企業が人材流出に頭を抱えています。
人材流出については、こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

(3)業績の向上

従業員エンゲージメントを高めることは、企業の業績向上につながります。

最新の研究では、エンゲージメントの高さと企業の業績(営業利益率)は関係があるということがデータで示されています。

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(引用:株式会社リンクアンドモチベーション,「エンゲージメントと企業業績」に関する研究結果を公開,<https://www.lmi.ne.jp/about/me/finding/detail.php?id=14>,2018年9月18日発表)

この研究では、「ES(エンゲージメントスコア)1ポイントの上昇につき、当期の営業利益率が0.35%上昇する」ことが分かっています。

加えて、翌四半期の営業利益率の向上にも寄与することが明らかになっており、比較的短期間での業績向上に寄与することが分かっています。

(4)労働生産性の向上

従業員エンゲージメントを高めることは従業員の労働生産性の向上にもつながります。

こちらも最新の研究で明らかになっています。

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(引用:株式会社リンクアンドモチベーション,『「エンゲージメントと企業業績」に関する研究結果を公開』,<https://www.lmi.ne.jp/about/me/finding/detail.php?id=14>,2018年9月18日発表)

この研究で、「ES(エンゲージメントスコア)1ポイントの上昇につき、労働生産性(指数)が0.035上昇する」ことが分かっています。

労働人口が減り、労働生産性の向上が課題の現代において、エンゲージメント向上は解決策の1つになり得るでしょう。

労働生産性について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

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(5)顧客満足度の向上

従業員エンゲージメントを高めることは、顧客満足度の向上にも効果をもたらします。

従業員エンゲージメントが高い状態であるば、その従業員は会社への愛着心が高く、自身が勤めている会社の成功を願うようになります。
そうなると、仕事のクオリティが上がることはもちろんのこと、会社にとって大きなマイナスが発生しないよう、細かなところや仕事外のところにまで目がいくようになり、会社の成功のために良いサービスを提供しようと働くのです。

また、上記⑵、⑶のように、業績や労働生産性が上がることによって、自然と顧客満足度が高まることも想像できます。

従業員エンゲージメントの構成要素

従業員エンゲージメントを高めるにあたって、構成要素を把握することが重要になります。

THE ADECCO GROUPによる、「日本はなぜ従業員エンゲージメントが低いのか?」という記事のアンケートによると、グローバル企業や日本で従業員エンゲージメントが高い企業では、次の4つの項目のYesの回答率が高いことがわかりました。

私は会社の目標や目的を信じている

私はこの会社を「良い会社」として推薦できる

私は会社の成功のために求められる以上の仕事をしたいと思う

私はこの会社で働くことを誇りに思う

(引用:THE ADECCO GROUP,日本はなぜ従業員エンゲージメントが低いのか?,<https://www.adeccogroup.jp/power-of-work/029>,2020年8月閲覧)

以上の結果と「日本企業がエンゲージメント経営を実践する5つの要諦」(p.77-)から以下の3つの要素が従業員エンゲージメントの構成要素と言えます。

1.理解度
2.共感度
3.行動意欲

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1. 理解度

理解度とは、企業理念・経営理念(MVV)への理解・納得感の指標です。従業員がどれだけ自社の目指す方向を理解し、それが正しいと信じているかを表します。

この要素に対しての施策としては、理念が時代にあっているかの見直しや、理念浸透のための社内報などが挙げられます。施策について、詳しくは次の章で紹介しますので、そちらを参照ください。

2. 共感度

共感度とは、組織への愛着心や帰属意識の指標です。従業員が自社に対して、帰属意識や誇り、愛着の気持ちを持っているかを表します。

共感度に寄与する施策として、社内コミュニケーション活性化の施策やインナー/アウターブランディングの施策が挙げられます。

3. 行動意欲

行動意欲とは、企業やチームの目標達成への意欲を測る指標です。従業員が自社の成功のため、求められる以上のことを進んでやろうとする意欲があるかを表します。

行動意欲に影響する施策としては、評価制度や上司・チームの関係性を良くする1on1ミーティングなどの施策が挙げられます。

従業員エンゲージメントを高める5つの方法

(1)企業理念・ビジョンの明文化と浸透

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1つ目の方法は企業理念・ビジョンの明文化と浸透です。

まだ企業理念・ビジョンがなければ、それを明文化することから始めます。自社の核となる価値観や思想、経営層の思いは何なのかを確かめて、理念・ビジョンを明らかにしましょう。   

企業理念・ビジョンは、その会社の目指す方向性を示します。その方向性と同じ向きを向くことができれば、従業員のエンゲージメントは大きく向上します。

企業の掲げる理念やビジョンをまずは共有する、そしてなぜその理念やビジョンを大切にするのか、その背景も共有することが大切です。

企業理念・ビジョンが決まれば、社内に発信して、浸透させましょう。具体的な施策としては、社内報、クレド、研修などさまざまなものが挙げられます。

社内報

社内報は最も企業理念・ビジョン浸透に適したツールです。既に多くの企業において、さまざまな目的で運用されています。

特に企業理念・ビジョンの浸透を目的として運用する場合は、浸透度やメッセージの到達度を可視化することが重要です。昨今はweb社内報ツールを用いることで、読了率や閲覧率といった分析をできるようになっています。

詳しくは関連記事や以下リンクの記事をご覧ください。

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クレドカード

クレドカードとは、クレドを記載した携帯可能のカードを指します。

ではそもそもクレドとは何かというと、ラテン語で約束や信条を意味し、企業の社員全員に求められる信念や行動規範のことを指します。企業理念やビジョンをベースに作られることが多いです。

従業員には、社員証やセキュリティカードとともにクレドカードを携帯してもらいます。これにより、企業理念やビジョンの浸透と、それにそった行動を促すことができるのです。

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(2)社内コミュニケーションの活性化

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社内コミュニケーションの活性化もエンゲージメント向上の施策の1つです。

社内でのコミュニケーションが活性化されると、その企業に対する帰属意識や愛着を持つことはイメージしやすいのではないでしょうか。

具体的な施策としては、SNSツールの導入やピアボーナス®️、社内イベントといったものが挙げられます。自社に合うと思う施策を行うようにしましょう。

社内SNS

社内SNSとはその名の通り社内版のSNSで、気軽に情報発信やコミュニケーションがとれるツールです。

昨今はリモートワークの普及により、これまで以上に注目が集まっています。

利用者が固定化されるなどの導入失敗のリスクは挙げられますが、運用のポイントをしっかりと抑えることでコミュニケーション活性化を実現できます。

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ピアボーナス®️

ピアボーナス®️とは、社員同士が互いの良い行いを評価し、ポイントやコイン、チップなどを付与する仕組みです。

この仕組みの最大の利点は、「Aさんが事業部の情報を整理してくれた」などの数字で表れない成果を可視化する点でしょう。これにより、組織にとってポジティブなコミュニケーションを創出できます。

「ピアボーナス®️」はUnipos株式会社の商標または登録商標です。
「ourly Magazine.」では商標権者Unipos株式会社から使用許諾を得た上で記事にしています。

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社内イベント

社内イベントは、業務から離れたコミュニケーションを取れる機会です。仕事上ではなかなか話しづらかった従業員同士でも、気軽に会話を行うことができるでしょう。

例えば、もともと接点がなかった他部署の人と会話を始める機会となります。社内イベントをきっかけにして、部署を横断した取り組みなどがスタートする可能性もあります。

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(3)人材の適正配置と役割の伝達

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人材の適正配置と役割の伝達も有効な施策です。

多くの会社では入社時に配属された部署で長期的に働き続けることが一般的です。

しかし、配属された部署がその従業員に合っていなければ、パフォーマンスもモチベーションも低いままですし、会社としてもメリットはありません。

従業員一人一人の強みや本人の状態をしっかりと把握し、出来るだけそれに合った配置をすることが重要です。

その上で、その従業員に期待している役割を伝達し、理解してもらうことで、理解度や行動意欲を高めることができ、エンゲージメント向上に繋がるでしょう。

人材の適正配置や役割の伝達は、まとめてタレントマネジメントとも言われます。タレントマネジメントについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

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1on1ミーティング

タレントマネジメントは大きな効果を見込めますが、システムの導入となると金銭的・時間的コストが障害となりがちです。

人材の適正配置と役割の伝達を行うのであれば、タレントマネジメントと同程度に1on1ミーティングも有効です。

1on1ミーティングとは、定期的に、上司と部下で行う面談です。基本的には、上司が1on1ミーティング設計の中心となって、実施されます。

1対1で話す機会となるため、部下の本音を引き出しやすく、部署の状況に合わせて柔軟に役割の伝達を行うことができます。

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(4)評価制度の見直しとフィードバック

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4つ目の方法としては適切な評価とフィードバックがあります。

もし、従業員が今の評価制度に納得していなければ、その従業員の行動意欲の向上は期待できないでしょう。

評価制度を作る上で、企業のビジョンと従業員個人の目標をすり合わせることが大切です。また、従業員の仕事に対してフィードバックをすることで、企業側の考えを理解できたり、納得感を持って仕事を進められたりするので、双方ともにメリットが大きいと言えます。

評価制度の全体像について詳しく知りたい方は、こちらの関連記事をご覧ください。具体的な評価手法については、本記事で続けて紹介します。

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目標管理(MBO)制度

MBOは、経営学者のドラッカーが提唱したことでも有名な、組織における目標管理制度のひとつです。

社員個人、またはグループで目標を設定し、その目標の達成度によって評価を決定する仕組みで、目標設計を主体的に行わせることが特徴的です。

上司など他者から与えられる目標ではないため、従業員は前向きかつ主体的に目標達成を目指せます。

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360度評価

360度評価とは、上司だけでなく、同僚、部下、他部署の従業員など、様々な属性を持つ従業員によって1人の従業員を評価する制度をいいます。

特定の決まった従業員だけでなく、様々な属性の従業員が評価することになり、偏った評価を避けることが期待できます。

360度評価を行うにあたって、ピアボーナスが指標のひとつとして用いられる場合もあります。

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コンピテンシー評価

コンピテンシー評価とは、まず高い成果や業績を上げるための行動特性を明示し、従業員のそれに沿った行動に対して評価を行う仕組みをいいます。

評価基準が実際に成果を上げた従業員の行動特性であるため、従業員の納得のいく評価となるでしょう。

ノーレイティング

ノーレイティングとは、階級(ランク)に沿って人事評価をおこなう従来の手法とは全く異なる、新たな制度です

ノーレイティングの評価制度には、その仕組みに2つの特徴があります。

ひとつが従業員を「S」や「A」「B」「C」や「10」「9」「8」「7」のようにランクを付けて評価する点。

2つ目が、半期や1年毎といった特定の期間を設けた評価を行わず、随時面談の機会を設け、目標設定やフィードバックを行い、評価を行うという点です。

従業員によってビジネススピードや仕事の進め方などが異なることから着想しているため、各従業員に合わせた評価を通し育成につながりやすいという利点があります。

(5)ワークライフバランスの推進

5つ目の方法としてワークライフバランスの推進が挙げられます。

従業員エンゲージメントを高めるためには、前提として心身の健康が求められます。心身の健康に大きな影響を及ぼすのがワークライフバランの考え方でしょう。

ワークライフバランスとは、仕事と生活の調和です。重要なのは調和であり、単に仕事とプライベートそれぞれの時間が十分に取れているかどうかではありません。

仕事と生活で調和が取れ、両者の間で好循環が生まれるように、休暇制度・福利厚生制度の見直しや、長時間労働の削減、フレックスタイム制の導入を進めましょう。

【資料】エンゲージメント向上に繋げる社内コミュニケーション施策の設計方法

社内コミュニケーションの活性化は、組織にあった施策を適切に行い続けることで実現します。しかし、組織にあった施策を選ぶことは難しく、成果も見えづらいため、活性化に成功する企業は多くはありません。

そこで弊メディアでは、「自社にあった社内コミュニケーション施策の選び方」、「施策設計方法」「活用事例」をまとめた資料を作成しました。

組織の離職率やエンゲージメントスコア、理念・文化の浸透にお悩みの方は是非ご覧ください。

資料はこちら:https://ourly.jp/download_internalcommunication/

従業員エンゲージメント向上の取り組み事例4選

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ここでは、実際に従業員エンゲージメント向上に取り組んでいる企業事例を紹介します。

⑴伊藤忠商事-朝型勤務・脱スーツ・デー-

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商社として有名な伊藤忠商事は、従業員の働き方を高める積極的な取り組みを行う企業としても有名です。

朝方勤務

朝方勤務の取り組みとして、深夜勤務(22:00-5:00)の「禁止」、20:00-22:00勤務の「原則禁止」とし、朝5:00からの朝勤務を推奨し、それに伴い朝食を配布する取り組みを行っています。

それでは、前章で紹介した企業のように、従業員エンゲージメント高める具体的な施策5つをご紹介します。

深夜遅くまで働くことによる生活週間の乱れを抑制することに加え、終わりの時間を決めることで、メリハリのある仕事への取り組みを促していると言えるでしょう。

結果として、一人あたり時間外勤務時間が、導入1年目には、約7%減、5年目には約11%減という成果をもたらしています。

脱スーツ・デー

特定の曜日を「脱スーツ・デー」と定め、画一的なスーツではなく、従来のカジュアルフライデーよりももう一段ドレスダウンした服装を認め、TPOをわきまえた「仕事着」であることを前提に、ジーンズやスニーカーの着用も可として自由度のある伊藤忠らしい装いを推奨されています。

お客さんや周囲との関係性を意識しながら服装を決める機会をつくることで、社員の柔軟な発想力を養うことや、新しいアイデアやコミュニケーションが生まれやすい職場環境づくりをすることを狙いとされているそうです。

カジュアルに仕事のしやすい服装で勤務したり、自己表現をする機会になったりと、従業員に選択の幅を持たせていることが分かります。

(伊藤忠商事株式会社, 雇用・福利厚生, 〈https://www.itochu.co.jp/ja/csr/society/employee/employee_benefits/index.html〉, 2020年12月閲覧)

⑵ユニクロ(ファーストリテイリング)-ステートメントの浸透-

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今や日本を代表するグローバル企業となったユニクロ(ファーストリテイリング)ですが、この企業は掲げるステートメントが社内にしっかりと浸透していることが評価できます。

ユニクロ(ファーストリテイリング)は、

服を変え、常識を変え、世界を変えていく

を企業ステートメントとして掲げています。みなさんも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

このステートメントが社内でよく浸透していることに加え、それを実現する手段として、Life Wearという新たな概念を作り、その浸透も行われています。

ステートメントと、自分の行っている仕事との関連性が強く想像でき、このステートメントと同じ方向を向いて働いている社員の姿が容易に想像できます。

(FAST RETALING, 「FAST RETALING WAY(FRグループ企業理念)」, 〈https://www.fastretailing.com/jp/about/frway/〉, 2020年12月閲覧)

⑶Yahoo!-1on1ミーティング-

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IT企業として有名なYahoo!は、上司と部下が一対一で話をする1on1ミーティングを毎週30分設けています。

Yahoo!は、1on1ミーティングを部下のためのミーティング定め、「経験学習」というスキームの導入を行うこと、また、社員の才能と情熱を解き放つことを的としています。

社員が失敗体験からではなく、成功体験からも成長ができるようサポートを行ったり、社員により適している仕事を見つける機会としたり、また、周りの社員が本人に対して期待していることを理解してもらうことなどを行っています。

毎週30分も一対一で上司と話す機会があれば、お互いに深い関係性を築くことができ、それまでは言いづらかったようなことも、相談し会える仲になれそうですね。

少なくとも、上司から部下に対して寄り添う気持ちが感じられ、信頼関係の構築が期待できそうです。

(引用:Yahoo!株式会社, 「1on1ミーティング」で強い組織をつくる 人材育成のための部下とのコミュニケーション, 〈https://about.yahoo.co.jp/info/blog/20181011/1on1.html〉, 2020年12月閲覧)

⑷味の素-エンゲージメントサーベイの実施-

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味の素株式会社は、従業員のエンゲージメント指標を測るエンゲージメントサーベイを実施しています。

味の素グループ初の調査結果は、80%近くと好意的であることがわかり、会社全体の状態の把握を行うことに寄与しています。

また、「働きがい」に関して好意的に感じている社員は79%「自分のこころとからだが健康だと感じている人」76%と、より詳細に各項目の数値を把握することができます。これにより、従業員エンゲージメント向上施策を効果的に策定することができるのです。

(引用:味の素株式会社, 「働き方改革」で高まる”働きがい” エンゲージメントサーベイで分かったこと, 〈https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/features/report/011.html〉, 2020年12月閲覧)

従業員エンゲージメントの調査方法

エンゲージメントサーベイとは?

従業員エンゲージメントを調査することを、エンゲージメントサーベイと言います。ここでは、エンゲージメントサーベイの実施方法を、自社で実施する場合と外部サービスを利用する場合に分けて紹介します。

エンゲージメントサーベイについては詳しく知りたい方は、こちらの記事を参照ください。

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自社でエンゲージメントサーベイ(調査)を実施

自社でエンゲージメントサーベイを実施する場合は、上記画像のような8つのステップで行っていきます。

しかしエンゲージメントサーベイの実施・評価は、専門的な知識と情報量が求められるため、外部サービスに委託することがおすすめです。

自社で行う場合は、従業員アンケートを通して行うと良いでしょう。組織改善コンサルの代表企業であるGallup社によれば、以下12の質問を従業員に行うことで、エンゲージメントの度合いを測ることができます。

エンゲージメントを測る12の質問
基本的な事柄
Q01. 仕事において、自分が何を期待されているか知っている
Q02. 仕事を遂行する上で必要な道具と設備がある

個人
Q03. 仕事において、毎日、自分の力を存分に発揮できる機会がある仕事を行っている
Q04. 過去7日間で、うまくいった仕事に対して何らかの評価や賞賛を受けた
Q05. 上司や同僚は自分を一人の人間として気にかけてくれている
Q06. 職場には、自分の成長を鼓舞してくれる人がいる

チームワーク
Q07. 仕事において、自分の意見が反映されている
Q08.会社の掲げる経営理念やミッションは、私の仕事が重要であることを感じさせてくれる。
Q09. 同僚は質の高い仕事をするようコミットしている
Q10. 職場に親友がいる

成長
Q11. 過去6カ月で、職場の誰かが自分の成長について話をしてくれた
Q12. 昨年、仕事を通じて、学び、成長する機会があった。

(引用:GALLUP, “What Engaged Employees Do Differently”, <https://www.gallup.com/workplace/266822/engaged-employees-differently.aspx>, 2021年12月)

外部サービスの利用

よほどエンゲージメントに詳しい方以外は、エンゲージメントサーベイ用の外部サービスを利用するのが良いでしょう。

エンゲージメントサーベイにはどのような種類の質問があって、どの質問がどのエンゲージメント指数を表すのか、また、それぞれどの程度なら高い・低いとみなすのかなど、細かい部分まで詳細に分析してもらうことが可能です。

以下おすすめサービスです。各サービスの詳細は下記リンクからご覧ください。

  • Wevox
  • Geppo
  • MOTIVATION CLOUD
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エンゲージメント向上には ourly

ourlyは、組織改善に特化した全く新しいweb社内報サービスです。

web知識が一切不要で、誰でも簡単に投稿できるだけでなく、閲覧率や読了率(記事がどこまで読まれているか)などの豊富な分析機能が特徴的です。

またourlyは、社内報運用を成功に導くための豊富な伴走支援体制に強みがあり、web社内報としてだけでなく組織課題を可視化するツールとして活用できることが魅力的なツールとなっています。

ourlyの特徴

  • SNSのように気軽にコメントできる仕様で、社内のコミュニケーション活性化を実現
  • web知識が一切不要で簡単に投稿できる
  • 豊富な支援体制で社内報の運用工数を削減できる
  • 分析機能に特化しており、属性・グループごとにメッセージの浸透度がわかる
  • 組織課題や情報発信後の改善度合いを可視化することができる

エンゲージメントスコアが低い」「離職率が高い」「従業員にメッセージが伝わっているかわからない」といった悩みを抱える方におすすめのweb社内報ツールです。

サービスページはこちら

まとめ

この記事では、従業員エンゲージメントとは何か、混同されやすい用語の解説、従業員エンゲージメントの効果、向上のためのステップ、具体的な方法や取り組み事例について解説しました。

従業員エンゲージメントを高い状態で維持することは、会社運営における軸となる重要な施策です。

この記事が御社の従業員エンゲージメント向上の役に立てば嬉しいです。

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この記事を書いた人

Hiroki Sunagawaのアバター Hiroki Sunagawa ourly株式会社 セールスチームメンバー

ourly magazineのライティングとメンバーマネジメント担当。
アメフトを通じてチームプレイの重要さを学び、組織で一致団結してパフォーマンスを出すことに興味がある。
見た目ゴリラっぽいが、甘いスイーツと泣ける映画が好きな中身は乙女っぽい一面も。

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