エンゲージメント経営とは?注目される背景から導入メリット・実践方法まで徹底解説
人材確保や働き方改革が進む中で、エンゲージメント経営という考え方が注目を集めています。企業の成長を支えるカギは、従業員一人ひとりの意欲や会社への愛着心を高めること。離職率の低下から生産性向上まで、その効果は多岐にわたります。本記事では、エンゲージメント経営の概要や背景、導入ステップなどを徹底解説します。従業員と企業が互いに信頼を築き合うことで、組織の柔軟性やブランド価値も高まります。自社の課題解決にお役立てください。
エンゲージメント経営とは何か
エンゲージメント経営とは?
エンゲージメント経営とは、従業員が企業や組織に強く共感し、自発的に組織目標の達成に貢献する状態を生み出す経営手法のことです。具体的には、企業のビジョンやミッションを従業員全体で共有し、日頃のコミュニケーションや制度設計、リーダーシップなどを通じて「自分事」として働ける環境を整えます。その結果、従業員は業務に主体的に取り組み、チームワークやイノベーションが自然と育まれる企業文化が構築されます。従来のトップダウン型のマネジメントではなく、従業員一人ひとりの声や想いを尊重し、組織づくりの軸として捉えるのがエンゲージメント経営の特徴です。離職率や生産性といった指標に直結するため、近年は国内外を問わず多くの企業が注目しています。
エンゲージメントと従業員満足度の違い
エンゲージメントと従業員満足度は、いずれも従業員の心理状態を測るうえで重要な概念ですが、指し示すポイントが異なります。従業員満足度は、給与や福利厚生、労働環境などの条件面がどれだけ満たされているかを重視するのに対し、エンゲージメントは組織の目標や価値観に対する共感度、そして「自ら企業に貢献したい」という意欲の高さを示します。つまり、満足度が高くとも、必ずしも従業員が主体的に行動するわけではありません。一方で、エンゲージメントが高い場合には、従業員が自発的に新しいアイデアを出したり、困難な状況にも前向きに取り組んだりと、企業の成果に直接貢献しやすくなります。この違いを理解することで、企業はより戦略的に人材マネジメントを行い、組織力を高めることができるのです。
エンゲージメント経営が注目される背景
働き方改革・労働人口減少への対応
日本では少子高齢化の進行により労働人口が減少し、同時に働き方改革の推進が求められるなど、企業を取り巻く環境は大きく変化しています。限られた人材をいかに活かすか、そして多様な働き方のニーズにどう応えるかは、すべての企業が直面する課題です。エンゲージメント経営は、従業員一人ひとりのやりがいや成長意欲を引き出し、それを組織の活力へと転換する考え方であり、こうした時代の要請にマッチしています。特に、在宅勤務や時短勤務など柔軟な就業形態の導入が進む中、「仕事に対して主体的に取り組む環境づくり」を重視する企業ほど、離職率の低下と生産性の向上の両立を実現しやすくなるのです。結果的に、人材不足を乗り越えるための有効な手段として、多くの注目を集めています。
人材の多様化・価値観の変化
グローバル化や多様な雇用形態の広がりによって、企業内では国籍や年齢、キャリアのバックグラウンドが異なる人材が混在するようになりました。また、若年層を中心に「仕事のやりがい」や「企業の社会的意義」を重視する人が増えるなど、価値観が大きく変化しています。従来の一律的なマネジメント手法では、こうした個々人の違いや希望に十分対応できず、モチベーションを引き出しにくい面がありました。そこでエンゲージメント経営に着目することで、企業は従業員の多様性を尊重しながら、組織全体として共有できるビジョンや目標を確立し、それを軸にコミュニケーションを円滑化することが可能になります。結果的に、従業員が自己のスキルや個性を最大限に発揮でき、企業の成長と個人の成長が両立する魅力的な職場づくりにつながるのです。
企業成長や競争力強化への影響
市場競争が激化する中で、企業が長期的な成長を確保するためには、既存のビジネスモデルにとらわれず、常に新たな価値を生み出す必要があります。エンゲージメント経営を取り入れることで、従業員が当事者意識を持って課題を捉え、新しいアイデアを提案しやすい環境が形成されます。これは、イノベーションの創出や顧客満足度の向上にダイレクトに結びつき、結果として企業の競争力を強化する原動力となるのです。また、エンゲージメントが高い企業は社外に対しても「従業員を大切にする魅力的な会社」として認知されやすくなり、優秀な人材の採用やブランド力の向上にも好影響をもたらします。こうした相乗効果によって、競合他社との差別化を図りながら、持続的に成長を遂げる基盤が構築できるのです。
エンゲージメント経営の導入メリット
人材定着率の向上
エンゲージメントが高い組織では、従業員が「自分の意見が尊重され、働きがいを感じられる職場だ」という実感を得やすくなります。これにより、転職を考える人が減り、離職率の低下につながります。さらに、組織に長く在籍することで、従業員は業務知識やノウハウを蓄積し、より高度な業務に挑戦しやすくなるでしょう。その結果、企業側は新たな採用活動や育成コストを抑え、安定的かつ継続的に人材を活用できます。特に、エンゲージメント経営を成功させている企業では、従業員同士の相互理解が深まり、チームの連帯感も向上するため、離職率だけでなく欠勤率の低下や組織風土の改善などの副次的効果も期待できます。
生産性の向上と業績改善
従業員が自発的・主体的に業務に取り組むようになると、仕事の質とスピードが同時に高まります。組織の目標や意義を明確に共有している企業ほど、「今、自分が何をすべきか」を従業員が正しく理解し、判断できるからです。また、チーム内のコミュニケーションも活性化し、部門間の連携や情報共有がスムーズになることで、無駄な業務を減らしやすくなります。結果として、顧客対応の迅速化やサービス品質の向上につながり、業績全体を底上げできる可能性が高まります。こうした好循環が続けば、外部からの評価も高まり、新規顧客の獲得や事業拡大にも大きく寄与します。
ブランド価値の向上と競争優位性
エンゲージメント経営を実践している企業は、従業員を単なる労働力ではなく「一緒に価値を創り出すパートナー」と捉えています。その結果、従業員自身が企業のファンやアンバサダーとして働き、SNSなどを通じて社内外にポジティブな情報を発信しやすくなるのです。従業員の声は企業の信頼性を高め、採用マーケットや顧客との接点でも大きなアドバンテージとなります。さらに、口コミや評判が高まることで、「社員を大切にしている企業」というブランドイメージが確立し、優秀な人材を惹きつける好循環が生まれます。競争の激しい業界でも、こうした独自のブランド力によって他社との差別化を図れる点が大きなメリットです。
組織の柔軟性と創造性の向上
エンゲージメントが高い環境では、従業員は「自分の意見やアイデアがきちんと尊重される」と感じやすいため、新しい発想や試みが積極的に生まれます。これは企業が変化の激しい市場に対応し、タイムリーに施策を打つうえで非常に重要です。また、失敗を過度に恐れない文化が根付くことで、迅速なPDCAサイクルが回りやすくなり、社内のイノベーションを促進する原動力になります。組織全体がフラットなコミュニケーションを持ち、必要に応じて柔軟に体制や役割分担を変えられることで、企業は状況の変化に機動的に対応し続けられるのです。このように、創造性と柔軟性を兼ね備えた組織は、市場での競争力を常に維持・強化できます。
従業員の幸福度とウェルビーイング向上
エンゲージメント経営は、従業員一人ひとりの心身の健康や生きがいを重視する考え方とも深く結びついています。単に仕事の成果を求めるだけではなく、「働く人の幸福感」や「職場での自己実現の機会」を創出することが、結果として企業全体の生産性を向上させるという考え方です。具体的には、柔軟な働き方やキャリア開発支援、健康経営の推進など、多角的なアプローチが求められます。従業員が安心して働ける環境が整えば、長期的にモチベーションを維持しやすくなり、業務パフォーマンスの向上に直結するだけでなく、企業に対する忠誠心や愛着も高まりやすくなります。
エンゲージメント経営を導入するためのステップ
現状分析と課題の特定
エンゲージメントを高めるには、まず自社の現状を正しく把握することが欠かせません。具体的には、従業員満足度やエンゲージメントの度合いを計測するアンケート、面談、ヒアリングなどを活用し、どのような点に不満や改善要望が多いのかを把握します。また、経営方針とのギャップも洗い出すことで、「経営層が考えている課題」と「現場が感じている課題」のズレを可視化することが大切です。これらの情報をもとに優先度を設定し、具体的なアクションプランを検討していくことで、より実効性の高いエンゲージメント施策を打ち出せるようになります。
組織状態の可視化はOurly survey
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帰属意識向上を実現する
エンゲージメントサーベイです。
- MVV浸透度合いの測定
- 施策の効果測定
- チーム別エンゲージメントの可視化
- 帰属意識向上ノウハウ
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目標設定・経営方針策定:ビジョン・バリューの再確認と共有
エンゲージメント経営を推進するうえで欠かせないのが、組織の目指す方向性を明確にすることです。企業のビジョン・バリューを改めて整理し、従業員全員がその意義を理解・共感できる形で共有する必要があります。単なるお題目ではなく、現場レベルで実感できる形に落とし込むために、ワークショップや対話型の研修などを活用するのも効果的です。また、経営方針や中長期的な目標は、経営層だけで一方的に決定するのではなく、管理職や従業員代表の意見も取り入れながら策定していくことで、組織全体のコミットメントを高めやすくなります。そうしたプロセスを通じて生まれる共通認識が、エンゲージメント向上の土台となるのです。
社内コミュニケーション強化:トップダウンだけでなくボトムアップも含めた施策
エンゲージメントを高めるには、双方向のコミュニケーションが欠かせません。トップダウン型の情報発信だけでなく、従業員からの意見やアイデアをボトムアップで吸い上げる仕組みを整えることで、組織全体が協働しやすくなります。具体的には、経営者や管理職が率先して定期的な全社ミーティングやランチミーティングを開催し、社員との距離を縮める取り組みを行うと効果的です。また、提案ボックスやオンラインアンケート、グループチャットなどを通じて、日頃から自由に意見交換できる場をつくることも重要でしょう。こうしたコミュニケーション強化策は、従業員の当事者意識を高め、結果として業務上の課題解決や新しいビジネスアイデアの創出につながります。
具体的な施策とアクションプランの策定
エンゲージメント経営を成功させるには、現状分析で抽出した課題に対し、具体的な施策を短期・中期・長期の視点で整理することが求められます。例えば、短期的には部署を越えた交流イベントの開催や社内報のリニューアルなど、すぐに実行可能な施策をスタートさせることが有効です。中期的には人事評価制度の見直しや研修プログラムの強化、長期的には組織文化そのものの変革を視野に入れた取り組みが必要になるかもしれません。重要なのは、各施策の目的と目標を明確化し、責任者とスケジュールを設定することです。これにより、組織全体で進捗を共有しつつ、着実にエンゲージメントを高める活動を推進できます。
成果の測定と改善のサイクル構築
エンゲージメント施策は、導入して終わりではなく、常に改善を図り続けることが大切です。アンケートや1on1ミーティングなどで従業員の声を継続的に収集し、定量・定性の両面から施策の効果を検証しましょう。例えば、離職率や残業時間、顧客満足度の推移などを定量的な指標として追いかける一方で、「組織風土が変わった」「意見を出しやすくなった」といった定性的なフィードバックも重要な判断材料になります。PDCA(Plan-Do-Check-Act)のサイクルを回すように、定期的に施策の成果をチェックし、必要に応じて方向性や実施内容を修正することで、エンゲージメント向上を長期的に継続させることが可能となります。
現状を知り、エンゲージメントの向上施策と振り返りのサイクルを実現できるourly
ourlyは、コミュニケーションを意図的に促進させるweb社内報ツールです。
- コミュニケーションの心理的ハードルが下がるリアクション・コメント機能
- 社内のコミュニケーションを可視化できる分析機能
- web社内報をきっかけに社内コミュニケーションが活性化するアイデアを提案するサポート体制
これらの独自の強みによって、社内コミュニケーションの活性化を実現します。
URL:https://service.ourly.jp/
ourly利用企業の支援を通じて蓄積した、豊富なweb社内報の活用事例・運用ノウハウをもとに専門コンサルティングチームが伴走支援。
リリース前には課題ヒアリングを通じて、定性/定量の目標設計を行い、リリース後は分析レポートを用いた定例ミーティングを毎月実施。効果検証と次の施策ディスカッションを行います。
さらに、社内報の記事作成代行や導入時の全社説明会の実施、社員へのライティング研修など、さまざまな支援策を提供しており、継続率は100%です。
エンゲージメントを向上させる具体的な施策
1on1ミーティングの導入
1on1ミーティングは、上司と部下が定期的に1対1で話し合い、業務上の課題やキャリア目標、個人的な悩みなどを共有する場です。これにより、従業員は「自分の成長や意見を真剣に受け止めてもらえる」という実感を得やすくなり、組織への帰属意識が高まります。また、上司側も部下のモチベーションやコンディションを把握しやすくなるため、適切なサポートやフィードバックを行いやすくなるでしょう。特に、新人や若手の育成には非常に効果的で、離職率の抑制にもつながります。週1回や隔週など、定期的な実施とミーティング時間の確保が成功のカギとなります。
社内コミュニケーションツール活用
社内コミュニケーションツールを導入し、テキストチャットやオンライン会議、社内SNSなどを活用することで、情報共有と意見交換のハードルを大幅に下げることができます。特に部署間の連携やリモートワーク中のやり取りが円滑になるため、仕事のスピード感が増すだけでなく、雑談やカジュアルなやり取りを通じて社員同士の距離も縮めやすくなります。全員が活発に利用できるよう、導入時には使い方のガイドラインを整備したり、経営層や管理職が率先して利用する姿を見せたりすることが大切です。円滑なコミュニケーションはエンゲージメント向上の基盤であり、組織内の信頼関係を深める大きな手段となります。
福利厚生・働き方の柔軟化
エンゲージメントを高めるうえで、従業員が「自分のライフスタイルに合わせて働ける」環境を提供することは非常に重要です。在宅勤務やフレックスタイム制、時短勤務などの導入は、多様な事情を抱える従業員にとってありがたい制度となり、ワークライフバランスを実現しやすくなります。これにより、従業員のストレス軽減やモチベーションの維持・向上が期待でき、結果として企業の生産性にも良い影響を与えます。また、健康診断やメンタルヘルスサポートなど福利厚生を充実させることで、「企業が自分たちを大切に考えてくれている」という安心感が生まれ、エンゲージメントをさらに高める要因となるのです。
公正な評価制度とフィードバック
エンゲージメントを維持するには、「従業員が正当に評価されている」と感じられる制度設計が不可欠です。評価基準を明確化し、業績だけでなく行動面やチーム貢献度なども考慮することで、多様な人材が公正に評価されやすくなります。また、評価結果をすぐにフィードバックし、今後の成長目標や改善点を具体的に伝えることが大切です。フィードバックの機会を多く設けることで、従業員が「次に何を頑張ればいいのか」が明確になり、モチベーションを持続させる原動力となります。企業やチームの目標と個人の目標をしっかり紐づけることで、より高いレベルのエンゲージメントが期待できるでしょう。
リーダーシップ開発
管理職やチームリーダーが、組織を牽引する存在として適切なリーダーシップを発揮できることは、エンゲージメント向上に直結します。従業員を支援し、成長を促し、成果を最大化するようなリーダーが増えるほど、組織全体のモチベーションは高まりやすくなるのです。そのためには、リーダーシップ研修やコーチングなどに継続的に投資し、リーダーが自分の強みや弱みを理解しながら、メンバーを巻き込み・励ませる力を磨いていく必要があります。特に、心理的安全性や多様性を尊重するリーダーシップは、個々の従業員が自分の考えを遠慮なく発信できる雰囲気を作り出し、イノベーションの創出を後押しします。
成功事例から学ぶエンゲージメント経営
従業員の声を反映した福利厚生制度の充実 -スターバックス
従業員数: 約400,000人
スターバックスは、従業員エンゲージメントを高めるために、従業員の意見を積極的に取り入れた福利厚生制度を導入しています。具体的には、健康保険や教育支援プログラム、柔軟な勤務時間など、従業員が働きやすい環境を整える施策を行っています。これにより、従業員の満足度が向上し、離職率の低下に成功しました。また、スターバックスは「パートナー」という言葉を使い、従業員を企業の重要な一員として扱う文化を築いています。これにより、従業員の愛社精神が高まり、顧客サービスの質も向上しました。
定期的なフィードバックと評価制度の導入 – ユーザーベース
従業員数: 約300人
ユーザーベースは、従業員エンゲージメントを向上させるために、定期的なフィードバックと評価制度を導入しました。具体的には、上司と部下の間での1対1の面談を定期的に行い、業務の進捗やキャリアの目標について話し合う機会を設けています。この施策により、従業員は自分の成長を実感しやすくなり、モチベーションが向上しました。また、評価制度も透明性が高く、従業員が自分の貢献を実感できるように工夫されています。これにより、従業員のエンゲージメントが高まり、業績向上にも寄与しています。
社内報を活用したエンゲージメント向上施策 ‐アントワークス
従業員数: 約300人
アントワークスは、従業員のコミュニケーション促進と企業文化強化を目的に社内報を活用し、成功事例の共有や従業員の声の反映、社内イベントの告知を通じて一体感を醸成しました。この施策により、コミュニケーション不足や企業文化の希薄化といった課題を解決し、情報共有の円滑化やモチベーション向上を実現。結果として、エンゲージメント向上、離職率の低下、業務効率の改善につながり、組織全体のパフォーマンス向上を達成しました。
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オンラインキックオフ会 – ビットエー
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キックオフ"
「ourly(アワリー)」とも関係が深くWeb制作事業などを展開するビットエーでは、期末に全社員参加のキックオフを行っています。
キックオフは、これから自分たちが向かうべき方向の目線合わせをおこなうと同時に、目標達成に向けて一人ひとりが何をすべきかを考えてもらうことを目的とし、
- 事業部ごとに今季の振り返り
- 来期の目標や戦略・課題の共有
- 社内表彰
などがワークショップ形式で行われます。
Youtubeの限定ライブ配信機能を活用し、全社員がオンラインで参加できるようになっていて、ニュースのようなテロップを活用するなど、本格的なライブ配信となっています。
さらに、ライブ配信と同時にコメントで盛り上げる施策を実施し、大盛況な様子が見られました。
ワークライフバランスの推進 – LIXIL
従業員数: 約50,000人
成功した施策の手段: ワークライフバランスの推進 LIXILは、従業員のワークライフバランスを重視し、フレックスタイム制度やリモートワークの導入を進めています。これにより、従業員は自分のライフスタイルに合わせた働き方ができるようになり、仕事に対する満足度が向上しました。また、定期的に従業員の意見を集め、施策の改善に活かすことで、エンゲージメントを高めています。これらの取り組みは、従業員の生産性向上にもつながり、企業全体の業績向上に寄与しています。
社内イベントやチームビルディング活動の実施 – パーソルテンプスタッフ株式会社
従業員数: 約1,500人
パーソルテンプスタッフ株式会社は、従業員のエンゲージメントを高めるために、社内イベントやチームビルディング活動を積極的に実施しています。これにより、従業員同士のコミュニケーションが活発になり、チームワークが向上しました。また、定期的に従業員の意見を反映したイベントを企画することで、従業員の参加意欲を高めています。これらの施策により、従業員の満足度が向上し、離職率の低下にも成功しています。
社内プロフィール – 株式会社コンフィデンス・インターワークス
株式会社コンフィデンス・インターワークスでは、社内プロフィールを活用してコミュニケーションのきっかけを作っています。社員の顔・名前・担当業務が分からないという状況であったところから、プロフィールを参照すれば業務上の相談や雑談のきっかけを作ることができるよう変化したといいます。
社内にプロフィールツールが存在することで、「プロフィールを見て相手を知る」「プロフィールを理由に相手に話しかける」ことが自然にできるようになり、自発的に社内コミュニケーションが活性化します。
企業サイト:https://ciw.jp/
1on1ミーティング – LINEヤフー株式会社
ポータルサイトYahoo! JAPANを運営するLINEヤフー株式会社では、会社合併以前から組織運営の向上や社内コミュニケーションの円滑化を目指し、週に1度30分間1on1ミーティングを行っています。
1on1を部下のためのミーティングと定め、
- 『経験学習』というスキームの導入
- 社員の才能と情熱を解き放つこと
という2つのベースを定めて1on1を実施しています。
また、単に1on1を行うだけでなく、外部の専門家にも助言をもらい、1on1のカリキュラム自体を会社に合うものにブラッシュアップさせ、管理職が行う1on1のスキルにも磨きをかけていくことで、徐々に文化として浸透させることに成功したそうです。
この施策はオンラインでも行われ、結果としてLINEヤフー株式会社では約1万人の社員が「1on1」を実施しているということです。
企業サイト:https://www.lycorp.co.jp/ja/
エンゲージメント経営を取り入れる際の注意点・課題
経営者・管理職の理解不足
エンゲージメント経営を組織全体に浸透させるうえでは、まず経営者や管理職のレベルでその意義や手法をしっかりと理解しておく必要があります。トップが理解していない施策は、どれほど現場が頑張っても効果が限定的になりがちです。例えば、人事部門が中心となってエンゲージメント施策を進めても、経営者がコスト削減や短期的な業績だけを重視してしまうと、従業員との認識のズレが生じて施策が失敗に終わるケースがあります。また、管理職の中には「従業員の主体性に任せきりにしては業務が回らない」と考える人もいるため、適切な研修や情報共有を行い、トップからミドル層まで含めたレベルでの認識合わせを行うことが大切です。
短期的成果だけを求めるリスク
エンゲージメントは人の意識や行動様式に関わるものであるため、導入してすぐに結果が出るとは限りません。もし企業が短期的な成果を急ぎすぎると、従業員は「どうせまたすぐに方針が変わるのでは」と感じ、逆にモチベーションが下がる場合があります。エンゲージメント経営は長期的に育むべきものであり、定期的なチェックと改善のプロセスを踏むことで、徐々に組織文化が変わり、大きな成果が得られます。経営陣がその点を理解し、腰を据えて取り組む姿勢を示すことで、従業員も安心して新しい文化づくりに参画しやすくなるのです。逆に、短期的な数字目標だけを押し付けるようなやり方は、エンゲージメントを下げてしまう要因となるでしょう。
情報共有やコミュニケーションの停滞
組織が大きくなるほど部署間の連携が難しくなり、情報共有が滞ると、エンゲージメント経営の効果を十分に発揮できません。例えば、トップが出した指示や経営方針が中間管理職のレイヤーで止まってしまい、現場に伝わらないケースも考えられます。また、従業員から上層部へのフィードバック経路がない、もしくは形骸化しているといった問題も、組織の壁を生む要因となります。こうした課題を解決するには、システム的なアプローチ(社内ポータルサイトやチャットツールの整備)と文化的なアプローチ(気軽に意見を言い合える風土づくり)の両面から対策を講じることが必要です。
従業員への過度な負担
エンゲージメントを高める施策として、研修やプロジェクトへの参加など新たな取り組みが増える一方、従業員の日常業務量や残業時間が過剰になってしまうと、逆に不満が高まりかねません。特に現場レベルでは、追加のタスクやミーティングが増えた結果、通常業務が圧迫されると感じる場合があります。そうなると、「エンゲージメント経営を導入したらむしろ大変になった」という誤解が生まれ、モチベーションが下がってしまう恐れもあるでしょう。施策を設計する段階で、従業員の負荷をきちんと考慮し、適切なリソースを割り当てる、または業務プロセス自体を見直すなど、トータルでのバランスを整える工夫が不可欠です。
エンゲージメント経営を持続可能にするために
経営層のコミットメントとリーダーシップ
エンゲージメント経営を成功させるうえで最も重要なのは、経営層がその価値を深く理解し、組織全体にしっかりとコミットメントを示すことです。経営トップが「従業員こそが最大の経営資源である」という考え方を持ち、自らが実践者となってコミュニケーションを図る姿勢を見せると、管理職や従業員も自然と同じ方向を向きやすくなります。また、企業理念やビジョンを具体的な行動指針に落とし込み、経営層自身がその行動モデルを示すことで、組織全体に大きなインパクトを与えます。こうしたトップのリーダーシップがあるからこそ、エンゲージメント経営は長期的・継続的に機能しやすいのです。
持続的なコミュニケーションの強化
エンゲージメント経営は、一度施策を導入して終わりではなく、継続的なコミュニケーションによって組織文化として根づかせる必要があります。定期的な社内イベントや懇親会、部署横断のプロジェクトなどを通じて、従業員同士が顔を合わせたりお互いを理解し合ったりする機会を作りましょう。また、経営層や管理職も積極的に現場へ足を運び、直接的な対話を重ねることが大切です。このように、社内のいたるところで交流や情報交換が行われるようになると、組織全体が活性化し、従業員同士の連帯感とエンゲージメントも高まり続けます。
モチベーション向上施策の継続
従業員のモチベーションを高めるためには、報酬面だけでなく、キャリアパスやスキルアップの機会など、多面的な施策を継続することが重要です。例えば、目標管理制度のなかに個人の成長目標を組み込み、定期的に上司と進捗を確認する場を設けるなど、日々の業務を通じて「自分が成長している」と実感できる工夫が求められます。また、社内起業制度や新規事業コンテストなど、チャレンジの機会を設けることも、大きなモチベーションアップにつながるでしょう。こうした施策を続けていくことで、従業員は「常に前向きに挑戦できる環境がある」と感じ、長期的にエンゲージメントを維持しやすくなるのです。
エンゲージメントに関する定期的な調査とフィードバック
エンゲージメント経営を根付かせるためには、組織の状態を客観的に捉えるための定期的な調査が欠かせません。アンケートや面談などで従業員の声を吸い上げ、その結果を全体に共有して具体的な対策を検討するプロセスを回し続けることが大切です。重要なのは、集計結果を公開するだけでなく、「これに対してどうアクションしていくか」を明確に示し、従業員と対話しながら改善を進める姿勢を持つことです。こうした一連の流れによって、「自分たちの意見が組織を変えている」という実感が従業員に生まれ、さらにエンゲージメントを高める好循環が形成されます。
外部専門家の活用とコンサルティング
エンゲージメント経営は企業ごとに状況や課題が異なり、最適なアプローチも変わってきます。そのため、自社だけで取り組むのが難しいと感じた場合は、外部の専門家やコンサルタントの活用を検討するのも有効な手段です。多くの企業事例を知る専門家の意見を取り入れたり、組織診断や研修プログラムの設計・運営を委託したりすることで、社内では見落としがちな改善ポイントを発見しやすくなります。また、外部視点を取り入れることにより、従業員にとっても「客観的な助言」に耳を傾けるきっかけが増え、変革への納得感を得やすいという利点もあります。
エンゲージメント経営を支援するツール・サービス
アンケート調査ツール:従業員満足度・エンゲージメントを可視化
従業員満足度やエンゲージメントの度合いを定量・定性の両面から捉えるには、アンケート調査ツールが非常に役立ちます。定期的にサーベイを実施し、社員の声や評価を集めて数値化することで、部署間の比較や時系列での変化を追跡することが可能となるのです。また、自由回答欄からは定性的な不満やアイデアなどを抽出でき、具体的な施策に落とし込むためのヒントを得られます。こうしたツールを活用することで、経営層が正確なデータに基づいて意思決定を行いやすくなり、エンゲージメント向上におけるPDCAサイクルをスピーディーに回せるようになります。
タレントマネジメントシステム:スキルやキャリアパスを一元管理
従業員のエンゲージメントを高めるためには、一人ひとりのキャリアビジョンや能力を把握し、適材適所に配置する取り組みが必要です。タレントマネジメントシステムを導入することで、従業員が持つスキルや経験、今後の目標を一元管理・可視化し、組織としての育成戦略を立てやすくなります。例えば、新プロジェクトのリーダーを選ぶ際や、ジョブローテーションを検討する際に、システム上で最適な人材を素早く見つけられるのです。これにより、従業員のモチベーションを引き出し、チーム全体のパフォーマンスを最大化する仕組みづくりが可能となります。
コミュニケーションを自発的に生むシステム ourly profile
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ツール"
ourly profileは、社員同士の自発的なコミュニケーションを生むプロフィールサービスです。社内にプロフィールサービスが存在することで、「プロフィールを見たのですが、〇〇って本当ですか?」といった声かけができるようになり、社員同士が自らコミュニケーションを取る文化が生まれます。
「オフィスにいても話しかけるきっかけがない」「オンライン上でのやりとりだと相手の人となりがわからない」といった課題に対してアプローチできます。
URL: https://service.ourly.jp/profile
コミュニケーションプラットフォーム:Slack、Teams、チャットワークなど
現代のビジネスシーンでは、メールだけでなくリアルタイムでやり取りできるチャットツールの導入が進んでいます。SlackやMicrosoft Teams、チャットワークなどを活用することで、テキストメッセージ、ファイル共有、ビデオ会議といった機能を一元的に利用でき、場所を問わずにコミュニケーションを図ることが可能です。特にリモートワークやハイブリッドワークが浸透する中、これらのプラットフォームは従業員同士の距離を縮め、気軽に情報交換できる環境を整えるうえで必須となりつつあります。結果として、組織内の情報伝達スピードが向上し、エンゲージメント向上にも寄与します。
エンゲージメント経営を学べる書籍・情報源
書籍例:エンゲージメントマネジメント関連の国内外の代表的著作
エンゲージメント経営を深く学びたい場合は、専門書や海外の文献を活用するとよいでしょう。例えば「Employee Engagement 2.0」や「The Truth About Employee Engagement」といった海外著書は、さまざまな企業事例やエンゲージメントを高めるための理論がまとめられており、実践的なヒントを得られます。国内でも「エンゲージメント経営の教科書」(仮)など、事例を交えながら日本企業に合った方法論を紹介している書籍がいくつか出版されています。これらを読み比べることで、世界共通の普遍的な知見と、日本固有の文化や組織形態に応じたローカライズの両方を学ぶことが可能です。
ウェブサイト・専門家の情報:経営コンサルタントや研究機関のレポート
大手コンサルティングファームが発行するレポートや、経済産業省・厚生労働省などの公的機関が提供する資料も、エンゲージメント経営を考えるうえで有益な情報源です。多くの企業データや調査結果がまとめられているため、最新動向や成功事例、失敗事例などを踏まえて自社に合った施策を立案しやすくなります。また、経営コンサルタントや学識経験者が運営するブログやポッドキャスト、YouTubeチャンネルなども積極的に活用することで、現場のリアルな声をキャッチすることができるでしょう。定期的に情報を収集し、アップデートされた知見を取り入れることが、長期的なエンゲージメント向上には不可欠です。
オンラインセミナー・講演:最新事例を学べる機会の活用
企業やNPO、コンサルティング会社などが主催するオンラインセミナーや講演会は、実際にエンゲージメント経営に取り組んでいるリーダーや専門家と直接交流できる貴重な場です。成功事例の具体的な施策だけでなく、導入時に直面した課題やその解決方法を生の声で聞けるため、自社の状況に当てはめて考えやすくなります。また、質疑応答の時間を活用することで、自分の抱えている疑問や悩みに対してアドバイスをもらえる可能性もあります。こうしたイベントには他企業の担当者も多く参加しているため、情報交換や人的ネットワークの構築にもつながり、結果としてエンゲージメント向上のアイデアがさらに広がるでしょう。
まとめ
エンゲージメント経営の本質:人を大切にする企業文化づくり
エンゲージメント経営の根底には、「従業員を大切なパートナーとして尊重し、組織全体で成長していく」という考え方があります。これは、単に生産性や利益を追求するだけの経営手法とは異なり、人の気持ちやモチベーションを最大限に引き出すことで、企業価値を高めていくアプローチです。経営者や管理職、現場の従業員が協力して「働きやすさ」と「挑戦しやすさ」の両面を整えることで、離職率の低減や新たなビジネスチャンスの創出など、多面的な成果を得られます。従業員一人ひとりが自分の能力を伸ばしながらやりがいを持って働く姿勢は、組織全体の活力とブランド力を飛躍的に高める原動力となるのです。
長期的視点の必要性:短期的対策だけでは十分な効果が出ない
エンゲージメント経営は人の意識と行動に働きかける取り組みであり、短期的な施策だけで大きな効果を得ることは難しい場合が多いです。例えば、一度のアンケート調査や単発のイベント開催だけでは、根本的な課題解決につながらないケースが少なくありません。むしろ、継続的なコミュニケーションとフィードバックの仕組みを確立し、経営層から現場まで一貫した意識改革を行うことが成功の鍵となります。長期的な視点を持ち、焦らずに施策を継続しながらPDCAサイクルを回すことで、組織文化が段階的に変化し、従業員一人ひとりのエンゲージメントが深まっていくのです。
組織全体で取り組む重要性:経営陣・管理職・従業員全員の理解と協力が不可欠
エンゲージメント経営を実践するには、経営陣だけ、または人事部門だけが頑張ればよいというものではありません。組織全体が「従業員の意欲を高め、組織の目標に結びつける」ことの価値を共有し、各自が当事者意識を持って協力する姿勢が不可欠です。管理職は、日頃から部下との1on1ミーティングや評価面談を通じて信頼関係を築き、経営陣はビジョンや戦略をわかりやすく伝えることで「なぜこれをするのか」を徹底的に共有する必要があります。従業員同士も、互いを尊重し合い、学び合う文化を形成することで、さらにエンゲージメントを高める好循環を作り出すことができるでしょう。
エンゲージメント経営は、企業を取り巻く環境が激変する現代において、組織の成長と従業員の幸福を両立させるための大きな鍵となる手法です。まずは自社の現状を分析し、長期的な視野で具体的な施策を進めながら、コミュニケーションとフィードバックを絶やさないように心がけることが大切です。ぜひ本記事で紹介したステップや事例、ツールを参考に、エンゲージメント経営の導入・強化を前向きに検討してみてください。継続的な取り組みを通じて、従業員が意欲的に活躍できる魅力的な組織を作り上げ、企業全体の持続的な成長を実現していきましょう。
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