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ゲームを通じて人柄が透けて見える? オンラインゲームを使った社内交流のすすめ

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コロナ禍を経てリモートワークが主流になり、家で過ごす時間が長くなりました。室内でできる娯楽として、オンラインゲームをする人も増えたのではないでしょうか。

実はourlyでも、社内メンバーでオンラインゲームをする機会が増えました。今まで仕事で関わることが少なかったメンバーとも交流ができ、お互いの関係値が深くなっているように感じています。

「もしかして……オンラインゲームってインナーコミュニケーション施策として役立つのでは!?」

ourly mag.編集部は、オンラインゲームとコミュニケーションの関係性についての謎を解くべく、専門的な研究を重ねる筑波大学の藤 桂 准教授に、お話しを伺いました!

藤准教授

藤 桂
(ふじ けい)

インタビュイー

筑波大学 人間系 准教授

筑波大学を卒業後、研究員を経て現在は筑波大学人間系准教授として勤務。また同大学働く人への心理支援研究センターのリサーチユニットリーダーとしても所属する。専門領域は社会心理学、インターネット心理学、メディア心理学。主にインターネットやソーシャルゲーム、メディアコミュニケーションの行動分析やオフィスワーカーなどの心理行動分析をおこなっている。

永見さん

永見 薫
(ながみ かおる)

インタビュアー

ライター

不動産やスタートアップ企業など複数社を経験し、2014年よりフリーライター。インタビュー記事、コラム、店舗紹介、調査レポートを中心に執筆。主な執筆テーマは、ジェンダーや多様性のほか、働き方、子育て、まちづくりなど。ourly magazineではインタビュー、ライティングを担当している。

目次

オンラインゲームはカジュアルなコミュニケーションにもってこい

──コロナ禍になってリモートコミュニケーションが増えましたよね。藤先生は、リモートコミュニケーションの研究をされているとのことですが、対面コミュニケーションとの違いについて、何か見えるものがあるのでしょうか。


現在私は、コロナ禍に増えたリモートコミュニケーションの心理的影響について研究をしています。この研究のなかでは「リモートワークが中心になったことで、一体感が失われた」という結果も出てきています。

顔が見えなくなったことや、対面で仕事するときにあった雑談・冗談がなくなったことが影響しているようです。

オンラインで顔を合わせて話せる環境やトピックがあったとしても、「何月何日何時から何時まで」という形でスケジューリングしたうえで実施すると、時間に追われてしまい、雑談のようなコミュニケーションは敬遠されてしまいます。

──ourlyの一部メンバーは、リモートで定期的にオンラインゲームをしており、お互いの関係値が深くなっていると感じているようです。もしかすると、オンラインゲームはインナーコミュニケーション施策として役立つのではと考えたのですが、その点はいかがでしょうか。

それは、とてもよいことです。ゲームは、たとえ顔が見えなかったとしても「プレーする」瞬間をリアルタイムで共有するため、失われた一体感を取り戻すことができます。

共通の趣味として集まれる場があると、ゲームのことを主軸にしながらさまざまな会話ができますし、他の話題にも広がっていくと思います。こうした話題が、コロナ禍で失われた雑談の機会や、冗談を言い合う機会など、カジュアルなコミュニケーションを取り戻させてくれることは多いでしょう。

顔が見えなくてもオンラインゲームを通じて相手の性格がわかる?

──ourlyではこれまで仕事をするうえで、あまり交流がなかった相手と一緒にオンラインゲームをすることもあります。こうした状況下からお互いが打ち解けていく流れのなかで、心理学的視点からはどのようなことが起こっているのでしょうか。

実は相手のことを知ろうとするとき、顔をあわせなくともかなり正確に相手のことを捉えられることが、さまざまな心理学の研究結果からわかっています。


──驚きました。そうなんですね!

例えば、ある人が暮らしている部屋の様子だけを情報として与えられたとします。本や雑誌をどんなふうに置いているのか、どんな装飾品が選ばれているかなど、その人の顔を見なくても、周辺情報に触れるだけでパーソナリティや性格を捉えることができるんです。

ゲームについても同じです。

オンラインゲームでは基本的に相手の顔を見ることはできません。しかし、どんなふうにプレーするのか、どんなキャラクターを選んでどんな装備を選択するのかだけでも、十分に相手の好みや性格を推測できます。そもそも、人はわずかな情報しか得られなくても、頭の中で、ありありと相手の人となりや様子を描くことができると言われています。

だからこそチーム感の醸成や、相手がそばにいるかのような感覚を受け取れるのではないでしょうか。もちろんそこで会話ができるとさらに相手の情報が増えますし、雑談や冗談の言いあいなどをすることで、より人間関係の構築スピードが加速します。

競争型のゲームではネガティブな影響を与える可能性も…? 

──コミュニケーション促すという観点で、オンラインゲームにはほかにどんなメリットがありますか。

まずは、コロナ禍で増えたコミュニケーションロスやストレスを、ゲーム中は思う存分発散できるメリットがありますね。個々人のストレスケアにもつながっている面が大いにあると思います。

──逆に、デメリットはありますか。


ゲームが人々の心理に及ぼす影響は、心理学でもとてもホットなテーマで、長く研究されています。やはりポジティブな面でもネガティブな面でもゲームが人に及ぼす影響というのは大きいと言われていますね。

最近注目されているのは、協力的にプレーをするか競争的にプレーするかで、ポジティブ影響かネガティブ影響かの命運が別れるという研究結果です。

──その研究は、社内コミュニケーション促進のためにも知っておきたいです!


オンラインで誰かと一緒に協力してプレーする場合、現実生活と同じかそれ以上に相手に気を遣ったり、役割分担のために密にコミュニケーションをとったりなどの行動が求められます。ですので、オンラインで協力的にプレーすることがある種の訓練となり、リアルの世界に戻ってからもコミュニケーションがスムーズになるという研究結果もあるんです。


一方、対戦の形で競争的にプレーすると、上記のような効果は得られにくかったり、その後攻撃的に振舞いやすくなったりするという研究結果も出ています。

チームの雰囲気にあわせて協力型ゲーム・競争型ゲームを使い分ける

──チームワークを作るうえでは、協力型ゲームをプレーするほうが向いていそうですね。

そこは一概に協力型ゲームの方がよいと言い切れない面もありますね。チームの環境次第だと思います。

──と言いますと?

メンバー同士の関係が温まっていないうちから、対戦型ゲームをメインでプレーしていくと、お互いにものすごく疲弊してしまいます。また、チーム対抗戦のような形式だと、1人のミスがチーム全体の負けにつながる重要なきっかけになってしまうこともあり、慣れない方にとっては、緊張感や罪悪感が大きいんです。そのため、お互いにギスギスしてしまうことがあるかもしれません。

しかし、メンバー同士の関係がすでに構築されている場合は別です。互いの得意不得意をよく知ったうえで、それをカバーしあいながらプレーをすることで、難関なミッションをクリアする達成感や爽快感を味わえる場合もあります。

──なるほど。チームメンバーの関係値がそれほど高くない場合は協力型、すでに関係が構築できている場合は競争型がよいのですね!

協力型ゲームはいわばチームプレー。関係がまだ温まっていない時期でも互いに手を取り合ってプレーできるので、関係促進につながることが期待できます。

──ourlyでは今話題の「スプラトゥーン3」をプレーしていますが、インナーコミュニケーション促進においておすすめ、もしくは避けたいゲームパッケージはありますか。

「スプラトゥーン」は、社内コミュニケーション促進という点でおすすめですね!協力型としてもプレーできますし、人数が多い場合は競争型としてもプレーできるので、うまく使い分けられるとよいと思います。

他にも大人世代は、昔のファミコンなどで流行った、いわゆるレトロゲームで盛り上がるのもおすすめです。過去に自分が経験したことがあるものは共通の話題として会話や雑談ができるので、コミュニケーションが深まります。

一方で格闘ゲームなどは、ある程度人間関係が構築できているメンバーで対戦するのがおすすめです。

上手にオンラインゲームを取り入れてコミュニケーション活性化

──社内の人とゲームをすると、仕事でのイメージとは異なるプライベート感が丸出しになりそうな気もしますが、その点はいかがでしょうか。

そうですね、今まで仕事で知り得なかった一面が見れる、という点はあると思います。それも新たな楽しみだと思って受け止めてみると、仕事の際によりコミュニケーションが深まるかもしれません。

──社内のメンバーでオンラインゲームをするとき、気をつけるべきことはありますか。


ゲームをしながらも、没頭しすぎず、気楽に楽しみ、雑談をすることが大切です。つまり、ゲームの結果にこだわりすぎないことですね。

仕事でもそうですが、冗談や雑談が交わされている職場の心理的安全性は高いという研究が出ています。ゲームの場でも、関係ない話を交えつつ、気楽にユーモアをもって楽しむことで、チーム全体の安全性を高めることができます。ひいては個々人の持っている力を発揮できたり、知らなかった一面を知れたりする機会になるのではないでしょうか。

コロナ禍を経て、オンラインを通じたコミュニケーションがもやは当たり前になりました。オンラインでは欠落しがちな雑談・交流・深い関係の構築を模索していくのは「アフターコロナ」の課題なのではないでしょうか。しかし、たとえオンラインであっても実は相手の様子や性格がわかってしまうというのは、実に興味深い点だなと感じます。こうした視点をちょっと意識して行動するだけでも、画面の向こうの相手のことがより深く理解できるようになるのかもしれませんね。(ライター・永見)

Interview / Write:Kaoru Nagami
Edit:Sachi Kagayama
Photo:Yuma Miyanaga
Design:Kise Kawamoto

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