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その忘年会、本当に必要?イベント開催のプロに聞いた「これからの忘年会像」

1年の終わりも近づく忘年会シーズン。
その起源は鎌倉時代ともいわれますが、コロナ禍を経て形こそ変わってもいまだ多くの企業が1年の締めくくりとして忘年会をやっています。

とはいえ、昔からの風潮でなんとなくで開催している企業も多いのではないでしょうか?
飲みニケーションの在り方も変わった昨今、行きたくないと感じながら参加する従業員も少なからずいることと思います。

そんななか開催する忘年会は、企業にとって本当に意味があるのか。

そこで今回は「忘年会」をテーマに、企業にとっての忘年会の在り方、そもそも忘年会という文化は企業にとって意味があるのか?などについて、イベント開催のプロフェッショナル集団株式会社IKUSAの宴会武将、元親さんにお話を伺いました。

株式会社IKUSA 元親様

株式会社IKUSA
元親様

インタビュイー

【大好きなもの】
戦国時代、チャンバラ合戦
1983年、大阪府出身。和歌山大学経済学部卒業。
新卒で人材業界に飛び込み30歳からWeb業界に転職。現在では、宴会部長、チャンバラ合戦MC、Web・コンテンツディレクターとして、アナログからオンラインまで対応しています。

好きな言葉は、人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり
By武田信玄

インタビュアー

ourlyのマーケティング担当。
15年間のスポーツ経験を活かし、2017年からはスポーツメディアの立ち上げと運営に携わり100万PVを達成。
その後複数メディアの運営やITベンチャーにてマーケティングを学んだ経験を活かしてourlyのマーケティング担当としてourly Mag.とourlyの成長に全力コミット中。

目次

本質は集まりたいだけ?企業が忘年会を開催する意味

IKUSAさんで開かれた忘年会のお写真

──新型コロナウイルスの影響もあり、飲みニケーションに関する考え方も多様化してると感じますが、このご時世忘年会は必要だと思いますか?

私個人的にですが、忘年会は究極的になくてもいいかなと。ただ、コロナ渦でオフラインからオンラインへと形式が多様化しながらも、ほとんどの企業は忘年会を実施してるのが現状です。

もちろん昔よりは個人の意見が尊重され、コミュニケーションの在り方も変わっているので、強制的な会はよくないですが、会社としてオフィシャルに開催する忘年会にはとても重要な意味があると考えてます。

──企業にとって忘年会とはどういう意味を持つのでしょうか?

企業としての忘年会となると、予算が出ているか出ていないかの2種類が存在します。

予算が出ていない場合は、みなさんがイメージする通りみんなで集まってお酒を飲みご飯を食べて終わるケースがほとんどです。会社が費用を出してる場合、会社側は従業員に何かしら良い影響を還元できるような目的が少なからずあります。

極端な例ですが、弊社が支援してる会社は社員が2名で他が全員フリーランスの組織です。
そんな組織でも忘年会をやっています。

──社員が2名でも忘年会はやる会社があるんですね!

そうなんです。
結局のところ忘年会をやる本質は集まりたいだけだったりもしますが、どうしても組織として開催する以上、組織をより良い方向にすることを狙って開催することが多いです。

特にエンジニア組織だとチャット文化が多い組織もあり、その人の価値観やバックボーンなどは見えにくい。なので忘年会という1年の締めくくりで集まって話すことでその人の思考性や文化的な育ち方などを理解できる。

そういったところに意義を感じている会社は多いと思います。

──「本質は集まりたいだけ」とのことですが、忘年会を開催して集まることで得られる効果には具体的にどんなものがあるのでしょうか。

1年の締めくくりである忘年会を通して従業員が

  • 「この会社でよかった」と感じることができれば帰属意識向上に
  • 「来年もやる気になった、新年も頑張ろう」と思えればモチベーションUPに
  • 普段関わらないメンバーと交流することで、コミュニケーション活性化に

このように、さまざまな形でエンゲージメント向上に貢献できるのが忘年会が持つ大きな意味だと思います。

加えて、1年の締めくくりである忘年会だからこそできる日頃のガス抜きやストレス発散も従業員にとってはいい役割になります。

忘年会を通して組織の問題を解決するのは間違い

──それでは、忘年会を通してエンゲージメント向上が実現できる企業とそうでない企業にはどのような違いがあるのでしょうか。

忘年会をやることでの大前提として、しっかりとしたモラルがあることが重要です。

モラルがあったうえでご飯やお酒を共にすることは基本的にはポジティブに働きます。ただ、そのなかで上司がセクハラ発言をしたり、メンバーに無理に芸を強要したりするといったパワハラ、モラハラがあったり。

こういったモラルがない忘年会は、従業員にとってマイナスに働く影響がどうしても大きくなります。

──「飲み会自体が悪」という風潮もありますが、モラルの有無が重要なんですね。

そうなんです。もちろん働く時間が短い人やリモートの人など、そもそも参加が難しい人もいますが、イベントに参加するしないは日頃の雰囲気に尽きますね。

日頃から風通しの良い環境でパワハラやモラハラがなければ参加するはずです。
逆に参加率が顕著に低いような会社は帰属意識が低いというのがわかりやすく出ているなと感じます。

──今現在うまくいっていないような会社は何を意識すべきでしょう。

単刀直入にいうと、組織の問題を忘年会でなんとかするのは違います。

そもそも会社の制度や上司と部下のコミュニケーションの仕方といった組織の内側に何かしら問題があると思うので。

なので、忘年会などの社内イベントを通して問題を解決しようとするのではなく、普段の組織のあり方を見直すべきだと考えています。

忘年会開催のコツは“一体感”にあり!

──今後継続してオンラインで開催する企業もいれば、数年ぶりにオフラインで開催する企業もいるか思います。まず、オンラインで忘年会を開催する際のコツなどがあれば教えてください。

僕がおすすめするのはバーチャルオフィスサービスです。オンラインだとzoomやteamsなどが一般的ですが、バーチャルオフィスの良いところは「実際に集まってその場にいる」と一体感を感じられる点にあります。

司会者が全体に対して会話を始めたり、それに従って自分で動いてテーブルに座ってクイズ大会を楽しんだり。リアルに近い体験をできるのがバーチャルオフィスの良いところです。年に1度のイベントなので、日常とは違う環境で開催してみることをおすすめします。

──やはり一体感は重要ですよね。続けて、オフラインで忘年会を開催する際のコツなどもあれば教えてください。

ただ単に集まって食べて飲んで終わるだけでも楽しいですが、先ほども説明したとおり何かしら組織をよくするための仕掛けとして「全員で行う余興」があるといいなと思います。意図的な席替え程度の簡単なものでも、ないよりはあったほうが一体感が得られます。

正直、忘年会で数字的な振り返りをするのは微妙だなと。数字の振り返りをしたいのであれば忘年会とは別の会で行うべきです。

──全員で行う余興として盛り上がるのはどのようなものがありますか?これまで経験されたなかで印象的なものがあれば教えてください。

忘年会ではないが、IKUSAさんで開かれたチャンバラ合戦時のお写真

うちの場合はチャンバラ合戦をしてチャンバラの強さを決めたりしています(笑)。ただ、忘年会の余興だからといって何か特別なことはしなくていいと考えてます。

──チャンバラ・・・!おもしろいですね。

結局は全員が参加できてその場が盛り上がれば良いので、王道ですがクイズ大会は間違いないです。その際、一般的な時事問題をテーマにするというよりは、自社ネタを入れたクイズ大会にしたら盛り上がります。

事前に情報を仕入れておき、

  • 部長や課長が今年1番失敗したことは?
  • 部長や課長が今年1番買ってよかったものは?

など、その人のキャラが伝わるような問題、かつ多くの従業員がその人のことを知ってる人を問題にすると盛り上がります。

余興に本気になりすぎても冷めてしまうこともあるので少し難しいですが、無理に難しいことはしなくてもいいかなと。

忘年会が持つ意味を理解し、企業にとっての正解を

──「忘年会でやってはいけないこと」などもあれば教えてください。

忘年会の形式や在り方は企業によってさまざまなので、正解はないです。

ただ、ハイブリットで行うことはあまりおすすめしません。従業員を優先した結果ハイブリットで開催する企業もありますが、オンラインの人はオフラインの人に完全に置いてかれてしまうので、開催するならオンラインかオフラインの2択にすべきです。

また、忘年会後に良かった点悪かった点を集めて反省会をし始めると仕事になってしまいます。これからの時代はとくに、忘年会は遊びと仕事の中間くらいのポジションがちょうどいいので、これもおすすめしません。

──それでは最後に、これからの忘年会はどうあるべきだとお考えですか。

当たり前ですが会社として忘年会の立ち位置、目的を明確にすること。忘年会運営担当者は会社としての方針をしっかりと理解することが大事です。

以前にもまして働き方が多様化し、従業員の皆さんが集まる機会が少なくなっています。そんななか従業員のモチベーションUP、コミュニケーション活性化、帰属意識向上など、忘年会が果たせる役割は組織にとって大きな意味を持っています。

これからの忘年会は、会社や運営担当者はそういった役割をしっかり理解したうえで、地道に開催し続けていくのが必要かなと思います。

【インタビュー後記】
実際のオンライン取材にも武将姿で登場していただいた元親さん。
正直最初は戸惑いでした(笑)が、そんな愉快な人柄をお持ちの元親さんに「この時代だからこそ生まれる忘年会の価値」についての考えを伺い、お話の随所からイベント開催に対する熱い想いをひしひしと感じられました。
本記事が、最低限のルールを守り自社にあった社内イベント開催の一助になれば幸いです。

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