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組織開発に役立つ9つの手法!人材開発との違いや導入のプロセスも解説

組織開発(Organization Development)とは、企業などの組織に属する人同士が協力し合い、組織を活性化、成長させる取り組みです。組織開発の手法は、コミュニケーションを活性化させるものや、目標を共有させるものなど、多岐にわたります。それぞれの手法がうまく機能すれば、近年多様化している従業員同士の統率が取れ、企業の成長にも繋がるでしょう。

本記事では、組織開発の手法として活用できる9つの手法のほか、実際に現場に導入する場合のプロセスと成功事例について解説します。

目次

組織開発とは

組織開発とは、組織の戦略や制度といったハード面だけでなく、所属する人材の関係性といったソフト面にも働きかけ、組織を活性化させる取り組みです。英語では「Organization Development」と表記され、「OD」という略称が使われることもあります。

組織開発の目的は、組織目標の達成のために組織と人材の状態を最適化することです。組織と人材、人材どうしの信頼関係を強化することにより組織が活性化し、全体のパフォーマンスも最大限に発揮されます。あらゆる組織課題にも、問題点を明らかにしつつ解決が図られ、事業成長につながっていきます。

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組織開発が必要とされる背景

近年、組織開発が必要とされ重視されるようになった背景には、働き方の変化が顕著になったことがあるようです。年功序列や終身雇用の崩壊、働き方改革の推進など、企業は多様化する働き方へ対応を迫られています。

かつてのように画一的な価値観は通用せず、組織の方向性を統一することは難しくなりました。加えてテレワークの普及など、コミュニケーションの質も変化しています。こうした変化のなかで、組織としての一体感を醸成するために、組織開発が注目されるようになったのです。

組織開発と人材開発の違い

組織開発と人材開発の違いは、アプローチする対象の違いであるといえます。人材開発は、特定の個人を対象に、スキルや知識の不足を補いパフォーマンスを向上させる取り組みです。具体的には、社内研修や、キャリア開発、OJTなどの取り組みが挙げられます。

対して、組織開発は個人だけでなく、人と人との関係性にアプローチしていきます。上司と部下、同僚どうし、他部署との関係性に着目し最適化することで、組織としてのパフォーマンスを最大化する取り組みです。

組織開発の9つの手法

ここでは、組織開発の代表的な手法を9つ紹介します。いずれの手法も効果的な「対話」がポイントとなるようです。

  • 1. コーチング
  • 2. AI(アプリシエイティブ・インクワイアリー)
  • 3. フューチャーサーチ
  • 4. OKR
  • 5. ワールドカフェ
  • 6. MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)
  • 7. タックマンモデル
  • 8. アクション・リサーチ
  • 9. オープンスペーステクノロジー(OST)

それぞれ詳しく解説します。

1. コーチング

コーチングは質問と対話を繰り返すことにより、自ら考え、答えを導き出すように支援する手法です。一方的に指示を与え行動させる「ティーチング」とは違い、新しい視点や気付きをもたらし、自発的な行動を促せる点が特徴です。

コーチングにおける質問と対話の繰り返しは、相互のコミュニケーションを深めることにつながります。対象者の成長を促すだけでなく、相互協力が深まるなど組織内の関係性の強化にも効果を発揮するとして、組織開発の手法としても注目されています。

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2. AI(アプリシエイティブ・インクワイアリー)

AIは「Appreciative Inquiry」の略で、それぞれの単語の意味は、アプリシエイティブ「価値を認める」、インクワイアリー「問いかけ・探求」を指します。ポジティブな問いかけにより個人や組織の価値や強みを見いだし、その価値を認めることにより、可能性を最大限に活かそうとするアプローチです。

AIでは、問題解決を直接の目的とせず、組織や人材の潜在能力に着目します。組織や人材の強みを発見し、その強みを最大限発揮できる環境を整えることで、組織のパフォーマンスを向上させることを目的とします。

3. フューチャーサーチ

特定の課題に対し、利害関係者が一堂に会するなかでディスカッションをおこない、共通認識を形成する手法です。集められた出席者は、利害の対立や不一致を超えた議論により、目指すべき未来に向け合意形成を図り、具体的なアクションプランを策定します。

フューチャーサーチの優れた点は、課題に対し多様な視点で議論できることです。利害関係を超え合意にいたった結論は、より最適解に近い答えであるといえるでしょう。

4. OKR

目標管理の一手法であるOKR(Objectives Key Results)も、組織開発の有効な手法として注目されています。OKRは、達成にはかなりの努力を要する「ストレッチ目標」を設定することが特徴です。その目標を、「企業」「チーム」「個人」でリンクさせ、高い頻度で評価・進捗確認をおこないます。

各個人・チームの目標に対する進捗度を高い頻度で共有することにより、対話の機会も増加し、目標達成に向け一丸となっていきます。組織をまとめあげる手法として、取り組む企業が増えているようです。

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5. ワールドカフェ

ワールドカフェは、少人数かつリラックスした雰囲気のなかでおこなわれる会議のことです。カフェにいるときのような、和やかな雰囲気で対話を重ねることで、自由な発想を促すことが目的です。

具体的な方法は、参加者を4〜5人のグループに分け、ディスカッションをおこないます。出たアイデアについてはメモを残しておき、メンバーをシャッフルして議論を続けます。一般的な会議よりも活発な意見交換がなされるため、新たな気付きが得られることが特徴です。

6. MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)

MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)は、企業が永続的に発展するために定められた「企業理念」を構成する要素を指します。

  • 存在意義(ミッション)
  • 目指す姿(ビジョン)
  • 価値観(バリュー)

この3つの要素を定義するフレームワークです。MVVを明確化し社員に浸透させることで、組織としての一体感が高められるでしょう。MVVが浸透した組織では、社員の帰属意識が高く、意思決定もしやすくなります。社員が共通した価値観を持つことにより、組織開発も進めやすくなるのです。

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7. タックマンモデル

タックマンモデルとは、心理学者のタックマン氏が1965年に提唱した、チームビルディングの手法です。タックマン氏は組織が成熟する過程を、次の5段階に分類しました。

  • 形成期
  • 混乱期
  • 統一期
  • 機能期
  • 散会期

この5段階のプロセスのなかで、混乱期ではメンバーの意見対立など衝突が発生します。タックマンモデルでは、この衝突は避けるのではなく、歓迎すべきものと捉えています。衝突や混乱を乗り越えることで、より強固なチームが形成されると考えているためです。

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8. アクション・リサーチ

アクション・リサーチは、集団力学者であるクルト・レヴィン氏が開発し、組織開発における基本的な手法として知られています。レヴィン氏は、組織における課題解決にはアクション(実践)と、リサーチ(原因の調査)の両面からアプローチするべきと説きました。

アクション・リサーチでは、まず組織内の潜在的な課題を洗い出し、解決すべき課題として明確化します。そして解決に向けたアクションを起こすことで、課題をクリアし組織成長につなげていくのです。

9. オープンスペーステクノロジー(OST)

オープンスペーステクノロジーは、イギリスの組織開発コンサルタントであるハリソン・オーウェン氏が考案した手法です。複雑で解決が難しい課題に、参加者を積極的に関与させる効果が期待できるものです。

関係者が議題を持ち寄り、出された議題はその場で選択され、議論を進めます。主催者は大まかなテーマ設定をおこなうのみで、議題の選択・進行は参加者にゆだねられます。参加者自らに決定権を持たせることで、より自主的な取り組みを促せる手法といえるでしょう。

組織開発の手法を導入するための4つのプロセス

組織開発の手法を導入する際には、以下の4つのプロセスで段階的に取り組むことが必要です。組織開発の目的を明確化し、社員に浸透させることが成功のためのポイントといえます。

詳しくみていきましょう。

ステップ1|現状把握と組織の目的の明確化

組織開発の取り組みは、組織としての目的・なりたい姿を明確にすることから始めます。企業理念やMVVと照らし合わせ、組織としてのあるべき姿を描くとよいでしょう。そのうえで現状とのギャップを把握する作業に移ります。

現状把握は感覚的におこなうのではなく、客観的な事実を積み重ねる必要があります。社員へのヒアリングやアンケート、サーベイの実施などが具体的な方法となるでしょう。

ステップ2|スモールスタートで実践

課題が明確になったら、解決に向けたアクションプランを策定し実行に移します。このプロセスでは、社内に影響力を持つキーパーソンに課題を共有し、協力を仰ぐことも必要です。

プランは小規模なチームや部門で、試験的に実行することが望ましいといえます。最初から全社レベルで実行した場合、影響が及ぶ範囲が広く調整が困難になるためです。小規模で始めることで、効果検証もしやすくスピード感をもって進められるでしょう。

ステップ3|検証とフィードバック

試験的な施策に対する効果検証をおこなうステップです。実施前と実施後で、社員の意識にどのような変化が生じたか、検証をおこないます。アンケートやヒアリング、サーベイを再度実施のうえ結果を比較し、変化を確認するとよいでしょう。

結果については、組織開発の担当者にタイムリーにフィードバックし、次のアプローチを検討します。こうした分析とアクションを繰り返し、データを収集することで施策の精度を高めていくことが大切です。

ステップ4|成功した手法を組織全体に浸透

検証を重ねることにより、全社的に効果が見込める施策が絞り込まれてきます。最後は、その成功事例を組織全体に展開していくステップです。施策がスムーズに展開できるように、各部門の管理者に協力を仰いでおくとよいでしょう。
小規模の組織ではうまくいった手法も、全社規模では効果が見込めないこともあるかもしれません。大きな混乱を生まないように、全社に展開したあとも効果検証やフィードバックを継続的におこない、調整を図ることも必要です。

組織開発の手法を浸透させるにはweb社内報

組織開発の施策を浸透させるには、 Web社内報の活用が効果的です。自社の企業理念やMVVを繰り返し発信することで、自社の目指したい姿について認識の共有が進みます。組織開発で大切なことは、その目的や意図を社員に正しく伝えることです。

Web社内報サービスoulyは、豊富な分析機能により、様々な組織課題の発見や分析が可能です。組織開発施策の精度向上に、十分な効果が期待できるでしょう。

ourlyは、組織改善に特化した全く新しいweb社内報サービスです。

web知識が一切不要で、誰でも簡単に投稿できるだけでなく、閲覧率や読了率(記事がどこまで読まれているか)などの豊富な分析機能が特徴的です。

またourlyは、社内報運用を成功に導くための豊富な伴走支援体制に強みがあり、web社内報としてだけでなく組織課題を可視化するツールとしても魅力的なツールとなっています。

ourlyの特徴

  • SNSのように気軽にコメントできる仕様で、社内のコミュニケーション活性化を実現
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従業員にメッセージが伝わっているかわからない」や「web社内報を活用して組織改善したい」という方におすすめのweb社内報ツールです。

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様々な手法を用いて組織開発に成功した事例

ここでは、様々な手法を用いて組織開発に成功した企業の事例を、6社紹介します。いずれの企業も「対話」を重視した施策を実施して効果を上げているようです。

詳しくみていきましょう。

ヤフー

ヤフーでは、組織の肥大化による事業展開スピードの鈍化に危機感を持ち、2012年より組織開発に着手します。専門チームを組織し、時間をかけ各部署にアプローチすることで組織開発を進めます。

この取り組みのなかで、始まったのが「1on1ミーティング」です。月1回・週1回など短いスパンで定期的に上司と部下が面談をおこないます。コーチングの手法を用い、上司が部下への問いかけを繰り返すことで両者の結びつきが強くなり、組織運営によい影響をおよぼすようになりました。現在では全社レベルで組織開発の意識が高まり、企業文化として定着しつつあるようです。

アイ・オー・データ機器

アイ・オー・データ機器では、社員が自主性を発揮できる組織を目指し、組織開発に取り組みます。対話合宿やカルチャーブックの発行などをおこないますが、効果を実感できない状態が続きました。原因調査のため、全社員を対象に「組織行動調査」を実施。その結果人事部門と現場スタッフに、大きな価値観の相違があることがわかります。

外部の専門家に協力を仰ぎ、「OKRの導入」「カンバセーション」「評価制度の変更」を3本柱とした人事施策を立案し、徐々に効果を上げているようです。

パーソルキャリア

総合人材サービスを提供するパーソルキャリアでは、2019年にミッション・バリューを改訂します。新たなミッション・バリューは、企業としてのミッションを社員が当事者として捉えることを促す内容です。

こうした、ミッション・バリューを前提に、組織文化に関する対話を繰り返すことで、社員一人ひとりに組織との関わり方を意識するきっかけを与えています。社員各人が会社のあり方を主体的に考えることで、意識が高まり働きやすい環境が確立されているようです。

ニトリ

ニトリのケースは、人材開発と組織開発を連動させる手法により、成果を上げている事例です。同社は人材の成長が、組織の成長に直結すると考え、独自の教育システムを構築し人材育成を進めています。

また、ニトリではタレントマネジメントと教育システムを連携させています。これは、人材の一元的なマネジメントを目指すものです。これまでの教育成果を個人レベルで把握し、個人の興味や希望に沿った施策により、個人の成長を企業の成長につなげるべく人材育成に注力しています。

楽天

楽天は、2018年に専門機関である「楽天ピープル&カルチャー研究所」を設立し、組織開発の基盤整備に取り組んでいます。この機関の目的は、企業文化や組織開発の理論体系の構築を目指すことです。そのために海外事例の情報収集や、自社グループ内の実証実験の分析をおこなっています。

同社には70を超える国籍の社員が在籍しており、国際色がゆたかな楽天グループにおいて、組織文化がもたらす経営への影響は、重要な研究対象ということでしょう。

スターバックスコーヒージャパン

スターバックスコーヒージャパンは、企業文化を重要なものと捉え、組織開発においてもその方針を貫いています。同社が大切にしているのは、価値観に基づいた対話です。会社と個人のつながりを重視し、研修プログラムに「価値観」や「ビジョニング」についての対話を盛り込んでいます。

「企業価値を高めるのは店舗における個人の行動である」と多くの社員に浸透し、一人ひとりの責任感とコミュニケーションへの積極性を高めています。フレンドリーで心地よいスターバックスの接客は、こうした裏づけがあってのことでしょう。

組織開発の手法を活用して組織のさらなる成長を

企業が永続的に成長をしていくためには、組織内における人材の関係性にアプローチすることが不可欠なようです。組織開発の手法の多くは、人材間の対話を活性化させる取り組みであるといえます。

組織を活性化させるのは、良質なコミュニケーションです。企業理念の浸透と社内コミュニケーション向上の施策として、Web社内報の導入を検討してみてください。

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この記事を書いた人

Kanei Yoshifusaのアバター Kanei Yoshifusa ourly株式会社 コンサルティングセールス・組織開発チーム

前職は店舗ビジネス向けの業務効率化SaaS事業を展開する企業でCSに従事。
その後、ourly株式会社に参画。
200社以上の企業に組織課題解決の提案、現在30社の組織開発を支援。
富山県上市町出身。趣味は筋トレ/声マネ/滝行。

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