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部下からの退職申告は手遅れ?上司がとるべき対応と危険な兆候

上司にとって部下からの退職申告は、いつも相談なしで突然起きているように感じられるかもしれません。しかし実際のところ、部下は長い時間をかけて退職の意思を固めており、上司に告げた時点ですでに引き止めは困難なことがほとんどです。ただし、部下が退職を意識し始めると態度や行動に何かしらの兆候が表れることもあります。その兆候にいち早く気づければ、部下の退職を引き止められるかもしれません。

本記事では、前半に「部下から退職を申告されたら手遅れなのか」という疑問の答えと上司がとるべき対応を、後半では部下が退職を考えているときに見られる兆候と退職を防ぐための対応を解説します。

目次

部下からの退職申告は手遅れ?

部下から退職申告があった場合、まず引き止め策を考えるのが一般的です。

しかし引き止めが成功した事例は、想定しているより少ないと感じている上司が多いのではないでしょうか。

ここでは、部下からの退職申告があったときには既に手遅れなのか、検証していきます。

退職届を提出された場合はもう手遅れ

退職届を持って退職申告されたときは、ほぼ手遅れと判断してよいでしょう。

「退職届」という形あるものにして自分の退職意思を示す場合、本人なりに十分悩み抜いた結果であることがほとんどです。一度書類を出したら後戻りできないリスクまで考えて行動に移しているので、非常に意思が固くなっています。

その段階でいかに引き止めようと画策しても、「もう決めたことなので」「お言葉はありがたいですが…」と断られることが多いのです。

退職届が出されていなくても要注意

退職届が出されていなくても本人が退職の意思を固めているケースもあるので、注意が必要です。

もちろん書類が提出されるまで退職に向けた手続きは進まず、引き止める猶予はあるでしょう。

しかし、口頭で退職申告をした段階で相当意思が高まっていることが見て取れます。近年はいきなり退職届を出さず、上司の顔を立てるためあらかじめ口頭で報告してから手続きしたいと考える人も増えました。

心理的には退職届の提出と口頭での退職申告は同じ意味を持つと捉えられるので、こちらも同様に手遅れである可能性が高いのです。

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部下から退職申告された上司がとるべき対応

次に、部下から退職申告されたときに上司が取るべき対応を紹介します。

ある日突然やってくるように感じる退職申告ですが、その場で慌ててしまわないようあらかじめ対応をイメージしておきましょう。

退職希望者の引きとめ方や、社員の本音、NG行動に関しては以下の記事で詳しく解説しています。

STEP1|退職理由を確認する

まずは、退職理由を確認します。

軽微な制度変更や一部の配慮のみで解決できそうな退職理由であれば、退職を引き止められるかもしれません。「自分の意見を聞いてくれた」という満足感が出るので、一度退職の話が出てもその後のエンゲージメントが向上する可能性もあります。

ただし、多くの退職希望者が「家庭の都合で」「転職先が決まったので」などおおまかな理由のみ伝えることも事実です。可能な限り本音の理由を聞き出せるよう工夫し、その後の職場環境改善に役立てていきましょう

STEP2|引き止められる可能性があるか模索する

前述の通り、軽微な制度変更や一部の配慮のみで解決できそうな退職理由であれば対応し、退職を引き止めるのが理想です。人間関係が理由である場合、異動・転籍・出向を打診してもよいでしょう。

退職申告した段階でほとんど意思が固まっているとはいえ、一度も引き止められないのは想像以上にショックなものです。「やはり自分はこの会社にとって要らない存在だったのかもしれない」という失望感とともに退職日当日を迎えさせることのないよう、意思が固そうな場合でも引き止めの可能性を探っていきましょう。

STEP3|無理に引き止めず引き際をわきまえる

可能であれば退職を引き止めたいというのが会社側の本音ですが、無理な引き止めはせず引き際をわきまえることも重要です。

しつこい退職引き止めは、時として高圧的な命令やパワハラとして受け取られかねません。「自分の意見を尊重してくれない」「会社側の都合ばかり押し付けられる」と捉えられ、却って態度を頑なにさせてしまうこともあるでしょう。

どうしても引き止めが難しそうだとわかった段階で、本人の意思を尊重する姿勢を見せることがポイントです。

STEP4|就業規則に則った手続きをして気持ちよく送り出す

退職が確定し次第、就業規則に則り確実な手続きを進めましょう。人事・総務・経理など関連部門にも早めに情報共有し、退職手続きに漏れがないよう配慮することも大切です。

最後には、その後も続くビジネスマン人生を応援する気持ちで送り出しましょう。もし会社と個人の相性が合わなかったとしても、総括してよい印象にまとめることができれば会社のイメージそのものが下がることはありません。

部下が退職を考えているときの兆候

本来は、部下から退職申告がある前に兆候に気づき、マンツーマンでサポートしていくことが理想です。

下記では部下が退職を考えているときの代表的な兆候を紹介します。よく接する部下に下記の兆候が現れていないか、チェックしてみましょう。

危険レベル1|頻繁に不満や愚痴をこぼすようになった

頻繁に不満が愚痴をこぼすようになった場合、本人が理想とする仕事と現実とのギャップが大きくなっていると分かります。一切不満が生まれない仕事はほぼないとはいえ、あまりにも頻繁であれば注意です。

また、以前は愚痴を言わなかったタイプの人が愚痴を言うようになるなど、変化の現れにも注意が必要です。常に愚痴を言い続けるタイプの人より目立ちづらいですが、普段の様子との違いをチェックしてみましょう。

危険レベル2|懇親会などの集まりへの参加が減った

懇親会など社内の集まりへ参加する頻度が減り、少し孤立しがちなときも要注意です。エンゲージメントの低下が原因で懇親会へ参加する意義を見失っていたり、既に退職意思を固めていてあえて付き合う必要性がないと判断していたりする可能性があります。

同様に、勉強会・スキルアップ研修会などへの参加率もチェックしておいた方がよいでしょう。以前と比べて明らかに参加頻度が下がっているのであれば、個別にフォローした方がよいかもしれません。

危険レベル3|上司や他の従業員とのコミュニケーションが減った

上司や他の従業員とコミュニケーションを取る機会が減っている場合も、前項と同じ懸念が浮かびます。懇親会だけでなく、日常的な雑談に加わろうとしなくなったり社内SNSでの投稿が極端に減ったりしたときも要注意です。

また、いつも時間ぴったりに出勤(もしくは退勤)するなど、働き方に変化が見られたときも注意が要るかもしれません。残業・休日出勤を極端に断る場合、その間に転職活動をしている可能性もありそうです。

危険レベル4|業務へのモチベーションが低下した

業務へのモチベーションが明らかに低下している場合、仕事や職場に対して何か思うところがあるのかもしれません。ミスが多い、クレームが続く、適切な報告・連絡・相談がない、遅刻や欠勤が多いなどの様子からモチベーション低下を読み取ることもできます。

最初はたまたまいやなことがあってモチベーションが下がっているだけあっても、適切なフォローがされず放置される状態が続くと、退職が頭をよぎってしまうものです。パフォーマンスにも影響するので、早めに手を打ちましょう。

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危険レベル5|遅刻・欠勤・有給休暇の取得が増えてきた

遅刻・欠勤・有給休暇が増えた場合、退職申告一歩手前と考えてよいでしょう。業務へのモチベーションが下がっている、その間に転職活動をしている、ストレスでメンタルのバランスを崩しているなどさまざまな要因が考えられます。

遅刻や欠勤が続くと、社内からの評価も悪くなります。同僚から煙たがられるなど徐々に居場所をなくしていき、結果として退職してしまうこともあるでしょう。根本的な理由を探り、フォローしていくことが大切です。

部下の退職を防ぐためにできること

最後に、部下の退職を防ぐためにできることを紹介します。

何が最適解かは人により異なりますが、下記のような相互理解施策を取り適切なフォローをしていきましょう。その積み重ねが「話しやすい上司」「信頼できる会社」づくりに向けた第一歩です。

積極的なコミュニケーション

部下とは日頃から積極的にコミュニケーションを図り、普段の様子がわかるようにしておきましょう。モチベーションの低下やどこか覇気のない様子を感じ取りやすくなるので、早めのフォローができるようになります。

また、コミュニケーションが円滑であれば業務上必要な報告・連絡・相談もスムーズに進みます。部下側からアイディアを発信してくれるなどイノベーションが起きる可能性も高く、退職予防以外のメリットが得られるかもしれません。

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定期的なストレスチェック

定期的にストレスチェックを実施し、上司が気づけない慢性的なストレスおよび体調不良を可視化することが大切です。

現在は常時50名以上の従業員が在籍する事業所にのみストレスチェックの実施義務が課せられていますが、該当しない事業所でも積極的に導入した方がよいでしょう。実施の頻度を年1回から半年に1回にしたり、パルスサーベイなど高頻度な調査をしたりするのも効果的です。

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キャリア設計やスキルアップ支援

10年以上後も自社で活躍する自分を想像してもらうため、キャリア設計やスキルアップ支援に乗り出すのもひとつの手法です。

ロールモデルを示して成長の可能性があると気づいてもらったり、こまかなフィードバック面談をして方向性をすり合わせたりしてもよいでしょう。一辺倒に会社が理想とするキャリアを押し付けず、本人の希望に沿ってキャリアパスを提案するのもおすすめです。

「この会社にいる価値がある」と思ってもらえれば、退職は避けられます。具体的なキャリアパスを提示できているか見直し、対策していきましょう。

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同業他社より給与水準が低い、残業・休日出勤が常態化している、業務時間外のコミュニケーションが多いなど、労働環境に問題がある場合は改善する必要があります。長く居続けられる職場ではないと判断されてしまうと、どんなにマメな社内コミュニケーションをしていても離職率が高いままになってしまいます。

また、人事評価基準を明確にして、納得感と透明性のある制度になるよう工夫することも大切です。成果に応じて評価されることがわかり、自分が努力すべき方向性が明確になれば、自然とモチベーションも上がります。

働きがいも得やすくなるので、待遇の改善と評価基準の明瞭化にはセットで取り組みましょう。

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手遅れになる前に部下の退職を防ごう

部下から退職申告があった場合、手遅れである場合が多いです。円滑な社内コミュニケーションや「居続けたい」と思う職場環境をつくり、小さなモチベーションダウンも率先してフォローできるような体制にしていくことが退職予防の鍵となるでしょう。

Web社内報は、開封率や「いいね」による参加など従業員の動きを可視化できる社内コミュニケーションツールです。参加率が悪い従業員を個別にフォローするなどコミュニケーション促進以外の側面も多く、さまざまな活用方法があります。

エンゲージメント向上施策としても活きるので、退職予防をしたいときに検討してみましょう。

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この記事を書いた人

渡辺 瞳のアバター 渡辺 瞳 ライター

フリーライター。総務人事の仕事を9年経験し、フリーランスとして独立。
HR戦略・労務管理・組織づくりなどのテーマを中心に記事を執筆中。
趣味が高じて音楽系コンテンツを黙々と執筆することもある。

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