帰属意識とは?低くなる原因や高める方法・企業事例

最近では、新型コロナウイルスによるリモートワーク促進の影響で、会社と社員、社員同士の距離が離れてしまい、帰属意識が薄れてきています。
また、エンゲージメントが注目される一方、効果が薄い帰属意識の必要性が疑われています。帰属意識の向上には効果はあるのか、エンゲージメントと何が異なるのかに関して、詳しく解説していきます。

帰属意識とは

帰属意識とは、自身がある特定の組織や集団に属し、その一員であるという意識を意味します。

これは単に会社だけでなく、家族、学校、宗教、国や自治体など、属しているすべてのコミュニティへの意識を指します。元は精神分析学・社会心理学で使われている用語で、コミュニティに対しての貢献度が大きいと帰属意識は高くなり、自身は必要とされていないと感じると帰属意識は低くなります。

エンゲージメントとの関係性

帰属意識と似た言葉として、エンゲージメントがあります。以下で帰属意識との関係性を解説します。

帰属意識=会社やチームに属しているという社員の意識

エンゲージメント=社員と会社の双方的な関わり合い

エンゲージメントとは、会社と社員が双方向的に関わり合い、互いの成長や成功が、相手の成長や成功に寄与している関係を意味します。そのためエンゲージメントが高い状態では、社員は会社のビジョンやゴールを理解したり、また社員間の関係も良好で、社員が会社に対して自発的に貢献しようとする状態になります。

エンゲージメントと帰属意識は、上図のようにエンゲージメントが土台となり、その上に帰属意識が存在する関係性を持っています。つまり、エンゲージメントを高めることが基盤となり、帰属意識を高めることにつながるということです。

エンゲージメントの高い状態では、社員は自然と会社やチームに対して必要であったり、社員同士の関係も良好で、会社に対して貢献ができるという認識を得ることができ、結果として帰属意識を高めることになるというわけです。

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帰属意識が高いことによるメリット

こちらでは、社員の帰属意識を向上させることによるメリットについて解説します。

社員の仕事に対するモチベーションの向上

帰属意識の向上には、社員のモチベーションを高めることが期待されます。

自身が所属する会社やチームの一員としての意識が高い状態であると、その会社やチーム、他社員に貢献したいという意欲が生まれ、自身の仕事や他社員との関係など、会社での仕事全般に対するモチベーションの向上が見込まれます。

また、そうしたモチベーションの向上は、さらなる帰属意識の向上に寄与します。モチベーションが向上すれば、成果や人間関係も良好になり、それまで以上に帰属意識が高まります。

人材の定着による離職率の低下

帰属意識の向上の効果は離職率を低下させることが期待されます。

こちらは感覚として理解しやすいのではないでしょうか?社員の自身の会社に対す帰属意識が高ければ、その会社やチームには自身が必要であるということを強く認識するようになり、責任とともに愛着を感じ、その会社を離れることが少なくなります。

会社としての評判の向上

帰属意識が高まることは、会社としての評判の向上にも効果をもたらします。

社員が定着しており、社員ひとりひとりが仕事にモチベーションを持って仕事に取り組んでいるということが続けば、その社員の帰属意識の高さは自然と社外にも認知されます。帰属意識が高いということは、社員ひとりひとりにケアが行き届き、向き合っているということであり、就職先としての評価が向上します。また、それはサービスへの信頼にも効果をもたらします。

帰属意識が低くなる原因

それでは、帰属意識はなぜ低下してしまうのでしょうか。3つの原因を説明していきます。

理念やビジョンが浸透していない

自社の理念をきちんと認識せず、なんとなくで仕事をしていると、理念を認識していないことによる仕事のミスや意向の違いが生じます。また、自社のビジョンを認識していないと、自分の目の前の仕事が誰の何の役に立っているのか、自分の業務が会社の成長にどう影響しているのかが分からなくなってしまいます。

こうしたすれ違いから、会社にとっての必要性を感じられなくなり、帰属意識の低下が生じてしまいます。

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社内コミュニケーションが少ない

同僚、後輩、上司、経営層や現場などで、社内コミュニケーションの欠如は、帰属意識を低下させてしまいます。個人で業務をこなし、社内でのコミュニケーションが少なければ、社員が会社に対する全体意識が弱まり、帰属意識の低下に繋がってしまうでしょう。
また、最近ではリモートワークの普及により、直接コミュニケーションを取る機会が少ないのが現状です。これからの社会において、社内コミュニケーションの確保は重要な課題になっていくでしょう。

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社員が自身の力を発揮できていない

社員が自身の持つ力を発揮できていないことは、帰属意識の低下に影響を及ぼします。

社員は自分自身が会社に対して貢献できていることを認識することで、自身の必要性を実感し、会社やチームに対しる帰属意識を強めることができるものです。

社員の特性を理解していないマネジメントでは、社員の帰属意識を高める機会を逃し、その低下をもたらしてしまいます。

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帰属意識を高める3つの方法

では、実際に帰属意識を向上させるにはどのような方法があるのでしょうか。以下の事例を是非活用してみましょう。

理念・ビジョンの浸透

帰属意識を高める一つ目の方法として、その会社の理念・ビジョンを社員に浸透させることが挙げられます。

会社は、その理念に従って、経営方針といった大きな取り決めから、日々の社員の行動指針などの小さな取り決めまでを決定しています。その会社の理念と社員の理念がそぐわない、もしくは認識の違いがある場合には、仕事のあらゆる場面ですれ違いが生じるでしょう。

また、会社のビジョンを認識できていないと、社員は、自分が日頃行っている仕事が会社全体のビジョンに対してどのように貢献しているのかを理解できず、その必要性を認識ないものです。

会社の理念・ビジョンを浸透させることで、社員は会社と同じ向きを向きながら、必要性とやりがいのある仕事を行うことができます。

社内報

会社の理念やビジョンを浸透させる手段として、社内報が有効なツールとして挙げられるでしょう。

社内報とは、社内広報の1つの手段として、社員やそのご家族に発行される冊子やデジタル記事、動画などです。経団連が実施した2005年全国社内報実態調査によると、

回答した日本の企業706社のうち、85.1%の企業が社内報を実施している」とされており、調査年が15年前と古い情報のため、現在では、より多くの企業が実施していると予想されます。


そのため、導入コストが低い社内報を活用して企業の目指すゴールやビジョンを伝えることで、企業理念の浸透を促し、社員紹介や他部署紹介を通じて、情報共有ができ、帰属意識を高めることができるでしょう。

(引用:2005 年全国社内報実態調査結果の概要, 「多様化する社内コミュニケーション わが国社内報の現状と課題」, 〈https://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2006/007.pdf〉, 2020年11月閲覧)

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研修・ワークショップ

研修・ワークショップは、企業理念やビジョンを直接伝える手段としてとても有効です。また、自社が抱える課題や事業の重要性を伝える場としても最適であり、特にワークショップは、社内報やクレドとは異なり、双方的にコミュニケーションできることが最大のメリットです。経営者や上司ではなく、同僚などと語り合うことで、企業ブランドや理念について共通認識を持つことができます。自然な形で企業理念・ビジョンを浸透させることができ、帰属意識を向上させることができるでしょう。

社内コミュニケーションの促進

帰属意識を高める二つ目の方法として、社内コミュニケーションの促進が挙げられます。

帰属意識の低下の大きな原因として、日頃仕事を共に行う社員同士の人間関係が挙げられますが、その改善に役立つものとして社内コミュニケーションの促進による効果が期待できるということです。

社内コミュニケーションを促進させる具体的な方法としては以下2つが挙げられます。

社内イベント

社内イベントとは、社内で行われるあらゆるイベントを指します。サービスの発表会であったり、表彰式であったり、はたまた社員同士の親睦を図る食事会やスポーツ大会など様々です。

社内イベントは社員同士のコミュニケーションの機会を提供します。また、普段なかなか話せないような経営層や他部署の方々と話すこともできます。

プライベートな場面も想定される社内イベントでは、これまで関わりを持てなかった社員と交流ができ、これまでは見られなかったような一面を、お互いに見ることができるでしょう。

オフィス・レイアウト変更

オフィスのレイアウトを変更することで、社員間の交流の促進に役立たせることができます。働く場所を固定しないフリーアドレス制や、従業員が ”食” を共有したり、リラックスした会話を楽しんだりできるカフェテリアのような空間など、オフィス空間を多様に用いることで、社員間の交流を促進することに繋がります。
その結果、コミュニケーションをとることができ、帰属意識の向上が期待でるでしょう。

適切な人材配置

社員の長所や短所、興味関心などに合致した適切な人材配置も帰属意識を高める重要な項目になります。

社員が自身の持つ力を発揮できたり、自身が興味関心を持てたりする環境に人材を配置することで、その社員の会社に対する貢献度合いや人間関係の向上に効果をもたらし、結果として帰属意識の向上が期待できます。

自信が活躍できない職場や仕事では、自身の必要性や積極的な人間関係の構築が難しいものです。適切な人材配置により、社員が活躍できる環境を整えることで、社員がのびのびと仕事に取り組めるようにしましょう。

タレントマネジメント

タレントマネジメントとは、社員が持つ資質(=タレント)やスキルを最大限発揮できるよう、戦略的に人事マネジメントを行う取り組みのことを指します。タレントマネジメントを実現することにより、企業側は社員の能力と業務内容のすり合わせができており、企業と従業員が同じ方向を向くことができます。
また、社員が悩んだりストレスを抱えているときも最適なマネジメントができるので、モチベーションが下がることなく仕事に打ち込めます。その結果、会社やチームに貢献できる度合いが大きくなり、帰属意識が向上します。

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帰属意識を向上させることに成功している企業事例

それでは、実際に企業はどのように帰属意識を成功させているのでしょうか。以下2社の事例を参考に、自社での取り組みを検討してみてください。

ニトリ-社内報-

家具メーカーとして有名なニトリは、40年以上途切れることなく社内報を発行し続けています。

社内報を発行する理由は多岐にわたり、トップの想いや会社の方向性を従業員に共有することに加え、社員が自律したキャリアを描くためのサポート従業員同士のつながりの強化、そして、社内コミュニケーションの活発化といったことが挙げられています。

会社のビジョンやゴールを共有すること、そして次章で述べますが、社内コミュニケーションを促進し、社員間のつながりを深めることなど、帰属意識に効果をもたらす取り組みを狙いを持って行っていることが分かります。

(引用:ニトリ株式会社, 「40年以上の歴史があるニトリの社内報─社内報制作も自前主義!従業員のキャリアを本気で応援」, 〈https://www.nitorihd.co.jp/nitorimedia/culture/post-3217/〉, 2021年1月閲覧)

Yahoo! Japan-オフィスレイアウトの工夫-

具体的に取り組む企業事例を参照してみましょう。

IT企業として有名なYahoo! Japanは、「オープン・コラボレーション」と題して、オフィスのレイアウトを工夫することにより、社員間コミュニケーションの活性化を見込む取り組みを行いました。

オフィスのレイアウトを、机をジグザグにしたフリーアドレスにすることで、結果として従来の約2倍のコミュニケーションを生むこととなりました。

既存のレイアウトの変更と制度の工夫といった、費用をかけずに行うことができる取り組みの例として非常に参考になります。

(引用:Yahoo! Japan株式会社, 「『変えたいのは働き方』ヤフーの新本社オフィス」, 〈https://about.yahoo.co.jp/info/blog/20161007/kioicho.html〉, 2021年1月閲覧)

まとめ

帰属意識は、「自身がある特定の組織や集団に属し、その一員であるという意識」を意味し、ビジネスの分野だけでなく、幅広く用いられる用語です。

離職率の低下やモチベーションの向上には、帰属意識を高めることが効果をもたらします。また、エンゲージメントを向上させることによって帰属意識を高めることができるということも認識しておきましょう。