サービスマネジメントとは?重要な4つの特性や実践方法を解説
サービスマネジメントとは、自社のサービスを適切に提供し利用者が快適に利用できるよう組織のあり方を管理することを指します。
企業活動においては必ず顧客に向き合うため、どの業界でもサービスマネジメントは欠かせません。そのため、CS(顧客満足)の向上をさせるべく信頼できるサービスの提供、そして社内においても業務の効率化を進めるために、サービスマネジメントを導入する企業が増えています。
そこで本記事では、サービスマネジメントの概要や役割、企業が導入するメリットとおすすめのサービスマネジメントツールについて詳しく解説します。
サービスマネジメントとは?
サービスマネジメントとは、自社のサービスを適切に提供し利用者が快適に利用できるよう組織のあり方を管理することです。
ユーザーファーストな視点がないとできないことですが、商品・サービスの内容を問わず全ての企業に必須の考え方のひとつでもあります。サービスマネジメントの最適化が図れていれば顧客満足度が上がり、ファンの獲得や新規顧客の発掘にも役立つのです。
また、近年は社内におけるサービスマネジメントに着手する会社も増えました。業務の効率化・労働生産性の向上に最適な方法として注目されています。
サービスマネジメントとITサービスマネジメントとの関係
ITサービスマネジメントとは、ITサービスを適切に管理するための仕組みのことです。特にシステムやソフトウェアのオンボーディングやアプリケーションのカスタマーサポートのことを指すことが多く、誰もが安心してITを使えるサポートとして広がりました。
つまり、サービスマネジメントのなかにITサービスマネジメントが含まれているのです。サービスマネジメントはITに限らず制度や仕組みそのものをサポートすることも含まれており、より広義を意味することがわかります。
サービスマネジメントの4つの特性
サービスマネジメントには、4つの特性があります。下記でそれぞれの考え方を解説するので、チェックしてみましょう。
無形性
無形性とは、「無形商材」という言葉でも使われている通り実態のない商品・サービスなどのことを指します。
無形性のある商品・サービスとしては、コンサルティング・学習指導・コミュニケーションツールなどが該当します。他にも、顧客とコミュニケーションをするタイミング・回数・スピードなど可視化しづらいものも含まれます。
社内において無形性のあるものとしては、人事評価制度や就業規則などの「ルール」が該当するのでイメージを深めておきましょう。
消滅性
消滅性とは、提供と同時に消えてしまうため蓄積することができないものを指します。
例えば、セミナーや勉強会などの場に登壇している講師が話す内容は、一度聞き漏らしてしまうと再度聞くことができないので消滅性のあるものに該当します。一方、セミナーの内容を録音・録画するなど工夫しておけば消滅性を下げることができ、後から見直せるなどメリットが生まれます。
同時性
同時性とは、サービスを提供する側とサービスを受ける側とが同じタイミング・場所に居合わせる必要のあるものを指します・
具体的には、美容室やエステサロンなど直接的な接触が必須のサービス形態などが該当します。オンラインではできないセレモニーやスポーツイベントなども、同時性のある代表的な催しと言えるでしょう。
変動性
変動性とは、サービスを提供する側やサービスを受ける側の性質次第でクオリティや内容に差が出るものを指します。
例えば、新人とベテランとで提供するサービスのクオリティに差が出る場合、変動制のあるものとして認められます。また、個別最適化されたサービスを提供する場合、サービスを受ける側の性質により内容が変動するので、こちらも同時性のあるものとして扱われます。
サービスマネジメントに重要な3つの視点
サービスマネジメントを万全にして顧客満足度を高めたい場合、下記3つの視点を持つ必要があります。いずれの場合でもサービスマーケティングが必須となりますが、まずは概要をチェックしてみましょう。
人的要素
人的要素は、サービスに関わる「人」の要素を指す言葉です。一度に大人数の顧客が訪れても問題なく機能するだけの人数がいるか、従業員に十分なスキルが身についているかなどを見直しましょう。
接客マニュアルを作成して徹底することができれば、従業員のスキルや店舗が違っても一定のクオリティでサービスを提供できます。また、ITツールを活用して業務効率化できれば従業員の教育・育成にかける時間が生まれることも特徴です。
物的要素
物的要素は、実際に提供するサービスの「質」を指す言葉です。
同じメニューを提供するレストランでも、味・量・盛り付け・レストランの内装・セレクトする皿やグラスなどにより評判は大きく分かれます。また、立地の良し悪し・クーポンの有無・予約の取りやすさなどにも客足が影響されていくでしょう。
客が期待するサービスを確実に提供することが、サービスマネジメントにおける物的要素のひとつなのです。
プロセス
プロセスは、サービスを提供するまでの「流れ」を指す言葉です。
どのような人をターゲットに、どのような広告戦略で人を呼び込むか、また一度来てもらったあとにどのようにリピーターになってもらうかなどを検討します。質が高く満足度のある顧客体験を提供できれば、自社のファンになってもらうことができるでしょう。
なかにはインフルエンサーとのコラボやキャンペーンなどによってプロセスを広げる企業も増えています。人を呼び込みやすいフローをイメージし、満足度向上も意識していくことが大切です。
サービスマネジメントの実践方法
サービスマネジメントを実践する際は、「サービス・プロフィット・チェーン」というフレームワークを使うのが一般的です。サービス・プロフィット・チェーンとは、従業員満足度の向上から始め、結果的に向上したサービス品質をもとに顧客満足度を上げていく手法を指します。
なかにはサービス内容の充実や設備投資を優先する企業もありますが、従業員満足度が低いとせっかくの利点を活かしきることができません。「従業員の態度が悪い」「いつも覇気のない対応をされる」など悪い口コミが出回ってしまい、思うようなサービスマネジメント効果を得られないこともあるでしょう。
一方で、従業員満足度が高い会社では覇気のある丁寧な対応をする人が増え、顧客にとっても大きなメリットとなります。多少設備投資が追いつかなくてもポジティブなイメージを抱いてもらえるので、リピーターになってくれる確率が上がるのです。
サービスマネジメントの7ステップ
サービス・プロフィット・チェーンをもとにサービスマネジメントを実践するには、下記のステップを追っていくのがおすすめです。
- 福利厚生の整備などにより従業員満足度を上げる
- 従業員満足度が上がることによる生産性向上を果たす
- 生産性向上によりサービスの質・クオリティが改善される
- 顧客からの評判が上がる
- リピーターや新規顧客を獲得する
- 売上・収益が上がる
- 従業員に収益を還元してさらに従業員満足度を上げる
上記のサイクルを組むことができれば、従業員満足度が下がることはありません。自分の働きが給与・役職として還元されるので、さらにインセンティブとなってモチベーションも上がっていくでしょう。
やりがいを持ってポジティブに働く従業員が増えれば、自然と顧客も増えていきます。収益が改善すれば設備投資などに割く余力も生まれるので、誰にとってもメリットのある取り組みとなるのです。
従業員満足度を向上させる5つの施策
最後に、サービスマネジメントの第1ステップとなる「従業員満足度の向上」について解説します。下記では従業員満足度を向上させやすい施策を紹介するので、自社でも導入できるものがないか探っていきましょう。
1. 理念・ビジョンの浸透
まずは、従業員の意思統一を図るため理念・ビジョンを浸透させることが大切です。自社が何のために設立されたのかという存在意義(パーパス)や企業活動の根幹を担う課題意識から共有し、どういう形で誰にサービスを届けたいのか改めて認識させておきましょう。
理念に共感してもらうことができれば、組織に一体感が生まれます。全体の方針に従う従業員が増えてくるのでマネジメントもしやすく、さまざまなメリットが生まれます。
2. スキルアップ支援
従業員に「自分は成長している」という実感を与えるため、スキルアップ支援に取り組むのもおすすめです。スキルアップできれば自己成長をサポートできるだけでなく、サービス品質向上のきっかけにもなります。
また、「従業員のスキルアップにコストをかけてくれる」「今後のキャリアプランが見てきた」など良いイメージを持ってもらうことで、従業員のエンゲージメントも上がります。
3. 適材適所の人材配置
適材適所の人材配置をすることで、個々に異なるスキル・経験・知識を最大限活かすことができます。成功体験を積みやすく、自信を得られるようになることも少なくありません。
そのためにはタレントマネジメントの視点を導入し、まず従業員ごとの適性を把握するところから始めましょう。そのうえで本人の希望や部門ごとの目標と照らし合わせ、満足度の高い配置にすることが大切です。
4. 360度評価
360度評価とは、直属の上司だけでなく部下・同僚・近隣部門の担当者などから幅広く人事評価してもらうシステムです。特定の人からの好き嫌いな一方的な主観に基づいて評価が決まってしまうことを防ぎ、努力に応じた正当な評価にすることができます。
適切な報酬体系とリンクしていれば、評価が給与・賞与に直結するため働くモチベーションも向上します。評価基準の透明化と合わせればさらに納得感が上がっていくでしょう。
5. トータル・リワード
トータル・リワードとは、金銭的報酬だけでなくやりがい・表彰など非金銭的な報酬も与える制度です。高い成果を上げた人を社内で表彰する仕組みが確立していれば、やりがいやモチベーションが向上します。
他にも、成果を上げた人に特別休暇を付与したり、無料で使える福利厚生を増やしたりするなどの取り組みも活発化しています。従業員のニーズに合った価値のあるリワードを用意できれば、メリットのひとつとして浸透していくでしょう。
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業種・職種・企業規模問わず、サービスマネジメントの視点を取り入れて顧客満足度を上げることが企業成長のカギとなります。そのためには従業員満足度の向上から着手し、誰にとってもメリットのある取り組みとして浸透させていきましょう。
サービスマネジメントを取り入れるときは、社内報を活用し目的・理由・ビジョンまで広く浸透させることがポイントです。ただ従業員満足度を上げるだけでなく、その先にいる顧客・取引先まで見据えた取り組みであると伝えることを意識し、効果的にツールを活用していきましょう。