福利厚生となる食事補助とは?4つの方法や導入手順を解説
食事補助は企業が従業員の昼食代などの一部を負担する制度で、従業員からの人気が高い福利厚生の一つです。
同僚同士で一緒にご飯を食べることで自然と会話がはずみ、社内コミュニケーションの活性化も期待できます。
また、一定の条件はありますが、食事補助を福利厚生として経費計上することもできるので企業にとってもメリットがあります。
そこで本記事では、福利厚生として食事補助が認められる条件と提供形態について詳しく解説します。
また、導入する手順やメリットと企業事例も紹介しますので、食事補助を制度として取り入れる参考にしてください。
福利厚生となる食事補助とは?
福利厚生のひとつとして、従業員の食事を支援する方法があります。社食・お弁当・お惣菜・ドリンクなどを現物で支給することもあれば、食事券の提供や食事代の補助などをすることもあり、方法はさまざまです。
まずは、福利厚生となる食事補助について、具体的な内容を確認していきましょう。
福利厚生として認められる食事補助の上限額
まず、福利厚生として認められている食事補助の会社負担上限額は、従業員ひとり当たり月3,500円までです。社食で提供するメニューの材料費やお弁当の購入費など、かかった金額が全て含まれるので注意しておきましょう
3,500円を超えて食事補助をすることもできますが、その場合は福利厚生費として経費計上することができません。3,500円を超えた分だけではなく、かかった費用全てが課税対象となります。
従業員が半額負担することが必要
福利厚生として食事補助を提供する場合、かかった費用の半分以上を従業員が負担する必要があります。つまり、かかった費用の全額を会社が負担したり、半額以下の自己負担に抑えたりした場合は福利厚生費の扱いになりません。
なお、5,000円の食事のうち自己負担が2,000円、会社負担が3,000円だった場合、課税対象となるのは会社負担額である3,000円です。合計の5,000円に課税されるわけでないとはいえ、従業員数が多くなるほど負担も大きくなるので注意しましょう。
福利厚生となる食事補助の4つの提供形態
次に、福利厚生となる食事補助の代表的な形態を紹介します。
手当と称して毎月の給与に上乗せで支給することもできますが、その場合は「収入
」の扱いになるので従業員に所得税や社会保険料がかかるので注意しましょう。
1. 置き型社食
置き型社食とは、冷蔵庫や自動販売機を設置して自由に社食を口にできるサービスです。社員食堂のように広いスペースが必要なく、調理員などの配置も不要なことから、手軽に導入できる方法として注目されました。
また、従業員ごとに異なる食事の量や好みに合わせて調整しやすいのもメリットです。家からおにぎりだけ持ってきておかずを置き型社食で購入するなど、フレキシブルに使えます。
2. 食事券・チケットサービス
ファミリーレストランやファーストフードで使える食事券、またはフードデリバリーサービスなどで使えるクーポンを提供する方法もあります。電子マネーやスマホで使えるチケットにすれば使い勝手にも優れており、エリアを問わず利用できるのも魅力です。
ただし、ランチを伴う社内コミュニケーションが生まれにくい点に注意しておきましょう。社内コミュニケーション促進も兼ねた福利厚生にしたいのであれば、会社近くのレストランで使える食事券にするなど、配慮が必要です。
3. 社員食堂
社員食堂を整備し、作りたての食事を提供する方法です。日替わりメニューや栄養バランスに配慮したメニューを充実させれば、従業員の健康管理にもつながります。
また、社内の設備なので従業員同士のコミュニケーションが生まれやすく、時には部署の壁を超えた会話が出ることも多いです。社員食堂での会話がきっかけで新たなイノベーションが生まれたり、部署ごとの確執をなくしたりできるケースもあるのです。
ただし、十分な広さ・調理員の採用・食品衛生や火災予防に関するノウハウなども求められます。
4. 仕出し弁当・配送サービス
仕出し弁当や配送サービスを使い、その日のうちに食べられる食事を提供する方法です。社食が開いている時間を気にすることなく食事できるので、交代制の休憩にしている企業や早朝勤・夜勤のある会社に向いています。
その日に公休を取得している従業員の分を除いたり、注文内容を取りまとめたりする必要があるので、総務などバックオフィス人員の手間は多めです。近年はクラウド型の注文取りまとめツールを活用している配送サービスもあるので、工数を削減したいときに検討してみましょう。
福利厚生に食事補助を導入するメリット
ここでは、福利厚生に食事補助を導入するメリットを解説します。
代表的なメリットとして「福利厚生費として計上すれば企業側に節税効果がある」ことが挙げられますが、それ以外のメリットも存在するのでチェックしてみましょう。
社内コミュニケーションの活性化
ランチの時間帯に従業員同士でコミュニケーションできれば、日頃の小さな疑問の解消や情報共有に役立ちます。仕事を離れたリラックスできる時間だからこそ、素朴なコミュニケーションがしやすくなるでしょう。
場合によっては、部署の壁を超えたコミュニケーションが生まれたり、役職・年代・性別に関わらない会話ができたりすることも多いです。自然と組織の風通しがよくなる効果も、期待できるかもしれません。
健康経営の実現
栄養バランスに配慮したメニューや、欠食しがちな朝食・昼食を提供することで健康経営を実現できます。従業員の健康管理に関する対策を強めたいときに、導入するのがおすすめです。
なお、栄養バランスの悪化は生活習慣病につながることが多く、プレゼンティーズムが起きやすくなります。欠食も集中力の低下を招き、生産性が下がることもあるので注意しておきましょう。
なかには不足するビタミンを野菜スムージーとして提供したり、塩分量に配慮した社食を提供したりする企業もあります。自社の課題と照らし合わせながら、内容を考案することが重要です、
従業員満足度の向上
充実した食事補助がある場合、従業員満足度の向上につながります。社会保険料率や課税率の上昇に伴う手取り額の減少や、値上げラッシュに苦しむ従業員がいれば、食事補助は特にありがたい取り組みとなるでしょう。
「生活に配慮した福利厚生にしてくれている」「食事の補助は金銭的にも助かる」と満足してもらうことができれば、社内での評価も高まります。また、従業員満足度の向上は離職率低下につながるため、優秀な人材を長く雇用しやすくなるのもメリットです。
福利厚生に食事補助を導入する手順
実際に福利厚生として食事補助を導入する場合は、下記の手順を実行します。前準備はもちろん、継続して食事補助を提供できるような仕組みづくりも大切です。
1. 現場の声を聞き導入目的を明確にする
まずは導入目的を明確にするため、現場の声をヒアリングします。
「そもそも忙しくてランチをゆっくり取れない」という課題もあれば、「いつもインスタントばかりに偏る食事になっている」など質に関する課題も出てきます。まずは自社の従業員が、食事に関するどんなことを課題視しているのか調べましょう。
なお、課題や導入目的を可視化できれば、その後に続く内容の考案にも役立ちます。課題を解決できるような形態で食事補助を導入し、満足度を挙げていくことが大切です。
2. 食事補助の予算と提供方法を決める
導入目的に合わせて、食事補助の方法を決定します。社食を設置するのか、仕出し弁当を取るのかなど、具体的な方法を探すフェーズです。なお、仕出し弁当屋ごとにメニューやラインナップに特徴があることも多いので、業者ごとに比較しながら決めるのもおすすめです。
併せて、一人当たりの予算も確定しておきましょう。福利厚生費として経費計上する場合は、前述した「1人あたり月3,500円まで」「50%以上の金額を従業員が負担」に焦点を当てながら予算を確定します。
3. メニューを決める
いつどんな食事を提供するか、メニューを決めます。栄養バランスに配慮したメニューもあれば、量の多いスタミナ系メニューまで、幅広く選択肢に加えましょう。
従業員の属性や課題に合わせることも大切ですが、何よりも大切なのは「美味しく継続して食べられること」です。栄養が良くても毎日同じメニューだったり、最初はよくてもやがて誰も利用しなくなったりすると、福利厚生としての効果が薄れます。
年単位で継続しても利用率が高くなるようなメニューを使えば、社内風土として定着しやすくなるでしょう。
福利厚生に食事補助を導入している企業事例
最後に、福利厚生として食事補助を導入している企業の事例を紹介します。自社でも参考にできそうな考えがあれば、取り入れてみましょう。
エスケーメディカル|置き型社食
URL:エスケーメディカル
エスケーメディカルでは、「働く職員を大切にしていきたい」という想いのもと、福利厚生のひとつとして社食サービスを提供しています。置き型の形態であり、最安100円から利用できる手軽さが支持される要因となりました。
また、新鮮なフルーツや不足しがちな野菜を使った製品も多く、自分の体と向き合うきっかけづくりとしても役立っています。冷蔵型だからこそ、お弁当以上に日持ちするというのもメリットのひとつです。
ヤフー|社員食堂
URL:データと地産食材を活用した、おいしくて健康的なヤフーの社員食堂BASE・CAMPを徹底紹介! – linotice
ヤフーでは、おいしくて健康的なヤフーの社員食堂「BASE CAMP」を提供しています。
約1,000坪という広大なスペースに850席を設ける大型の社員食堂であり、朝8時から夜8時までオープンしていることも特徴です。フレックスタイムで出勤した社員でも使いやすく、昼食だけでなく朝食も夕食も摂れる場所として定着しました。
また、朝の時間帯にはおにぎり・みそ汁・サンドイッチなどの軽食を無料で提供しています。欠食しがちな朝食を補うための方法としても有効です。
Looop|食事補助チケット
Looopでは、食事補助チケットを提供しています。全国6万6,000店以上の飲食店やコンビニで利用できるチケットであり、全国47都道府県に対応しているため地域ごとの不平等感もなくなりました。
お店の選択肢が多いので、自由に使い道を選べることもポイントとなり、さらに満足度が高まりました。また、外回りの営業中や出張先でも使えることから、オフィス内に限定しない福利厚生として注目されています。
社内コミュニケーションのさらなる活性化に ourly profile
ourly profile(アワリープロフィール)は、個人のプロフィール機能や組織図機能などにより、組織のサイロ化を解消する社内コラボレーション創出ツールです。
3つの大きな特徴により、リモートワーク下でも部署を超えた相互理解や社内のコミュニケーション活性化を実現します。
- 人となりが一目でわかる自己紹介画面
- 独自の探索機能により、思いがけない出会いを創出
- 組織図により、チーム・部署を超えて組織を理解できる
顔写真や部署、役職などの基本的な項目以外に、強みや趣味、スキルなどが一目でわかりコミュニケーションのきっかけが生まれます。
また、全メンバーに共通のQ&Aを設定することができるので、部署・拠点・役職を超えたメンバー同士の相互理解促進にも役立ちます。
料金については、従業員規模に応じて幅広くご用意しております。詳しくはサービスページをご覧ください。
福利厚生に食事補助を導入して社内コミュニケーションの活性化を
ランチの場で気軽な会話ができたり、デスクを離れて食事することで気分がリフレッシュしたり、食事にまつわるメリットは意外と多いものです。特に社内コミュニケーションの促進を期待するのであれば、福利厚生に食事補助を追加するとよいでしょう。
なお、導入の際は目的・利用方法・メリットなども含めて従業員に共有することが大切です。社内報など情報共有しやすいツールを使い、共感を得ておきましょう。