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ブランドエクイティとは?その重要性や構成要素と施策方法を解説

商品やサービスが売れない時代と言われる現代社会。単純に質のいい製品を作っても、短期的に売り上げても長期的売り上げは見込めません。なので、そこに付加価値を足し競合他社と差別化する必要があります。

そこでこの記事では、一つの解決策としてブランドエクイティついて詳しく紹介します。

本記事の前半では、ブランドエクイティの重要性や構成要素、二つのモデル、メリットを解説いたします。また後半には、実際の施策方法、企業の成功事例を解説していきます。

目次

ブランドエクイティとは?

ブランドエクイティとはブランドの認知度など、ブランドが持つ目に見えない付加価値のことです。自社製品を他社の商品と比較し、消費者の記憶に残りやすく、容易に認識でき、品質と信頼性に優れたものにすることでブランドエクイティを確立することができます。

また、一般的に資産というのは利益など会社にとってプラスのものを指しますが、ブランドエクイティの場合はその中にマイナスの面も含めた総合的な価値のことです。

ブランドエクイティの一般的な定義は、マーケティング理論家であるデビッド・アーカー教授によるもので彼の著書「Managing Brand Equity」の中でブランドエクイティを以下のように定義しています。

「ブランドの知名度、ブランドの連想、顧客ロイヤルティなどの資産や負債で、現在または将来の製品やサービスの価値に加算または減算されるもの。」

ブランドエクイティはなぜ重要なのか?

ブランドエクイティの重要性は、ROI(投資収益率)に与える影響が大きい点です。ブランドエクイティが確立された組織は、生産、広告、その他にかける費用を抑えながら、競合他社よりも多くの利益を得ることができます。

例えば、ブランドエクイティを確立することができればブランドにファンがつき、新商品を発売する際、「好きなブランドから新商品が出るから買いたい」というファンの方々もいます。なので新商品をより早く軌道に乗せることができるようになります。

また、複数の企業が同じ素材や効果が同じ商品を販売した場合でも、ブランドに対する信頼や愛着度が高いほうの商品を選ぶ人が多いのでしょう。

さらに、Gartner社によると、約80%の消費者が信頼できないブランドとの取引や購入を拒否し、90%近くが信頼を失ったブランドから離脱する意向を持っているため、これは特に重要なことなのです。

(出典:Gartner社,「Brand Strategies Focused on Dependability Score Highest on Customer Trust」, <https://www.gartner.com/en/marketing/insights/articles/brand-strategies-focused-dependability-score-highest> , 2022年11月閲覧)

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ブランド・エクイティの構成要素と二つのモデル

ブランドエクイティの構成要素のモデルには、「アーカーモデル」と、「ケラーモデル」の2つがあります。この章ではそれぞれのモデルについて説明します。抽象的なブランドエクイティという概念を細分化することによって、より理解しやすくなるでしょう。

アーカーモデル

デビッド・アーカーによって作られた5つの構成要素を特徴とするモデル。

ブランドロイヤリティ

ブランドロイヤリティは、ブランドに対する過去と現在の経験、忠誠度、愛着度から構成されます。ブランドロイヤルティが高ければ高いほどリピート率は上昇し、安定したビジネス構築に繋がります。また、このような顧客は、新製品を発売するとき自発的に購入したり、宣伝してくれることも期待できます。

ブランド認知

ブランド認知度とは、ブランドが消費者にどれくらい知られているかの度合いを表します。ブランド認知が高いと、それだけでブランドに対する信頼度、安心感が高まるため、無意識にその商品やサービスが選ばれやすくなります。

知覚品質

知覚品質とは、消費者がブランドに持つ品質の評価です。この品質は企業側が判断する品質ではなく、消費者が評価する品質のことになります。例えば、「この洗剤はよく汚れが落ちる。」「このスピーカーは音質がいい。」などです。製品そのものは良くても、そのブランドで過去に悪い体験をしていれば、製品やブランドに対してポジティブな評価を示す可能性は低くなります。

ブランド連想

ブランド連想とは、顧客がブランド名を聞いたときにイメージするすべてのものを指します。例えば、「コカ・コーラ」という会社名を聞いたとき、その会社を知らない人からしたら何を販売しているのか検討もつかないでしょう。ですが、大抵の人は赤色のパッケージに白の文字、黒の炭酸飲料をイメージしたはずです。このように、「このブランドといったらこれ」といった何かしらのイメージができると、消費者から選ばれやすくなります。

その他

下記についてはブランドエクイティを構成するその他の要素となります。

  • 著作権(特許、商標権など)
  • 独自の技術
  • ノウハウ
  • 取引先や顧客との関係性

ケラーモデル

続いて、ダートマス大学の教授ケビン・レーン・ケラー氏が提唱したモデル。

レベル1:認知 (Brand Identity)

最初のレベルは、ブランドを目立たせ、お客様に認知してもらうことです。これはアーカーモデルの「ブランド認知」にあたります。ケラーモデルはレベル1が達成できれば「普通のブランド」、レベル4まで達成できれば「ブランドエクイティが高いブランド」というようにレベルが上がるにつれて確立するのが難しくなります。なので、このレベルで数多くの認知を獲得しましょう。

レベル2:意味づけ (Brand meaning)

レベル2は意味づけです。これはアーカーモデルの「ブランド連想」にあたります。ここでは2つの視点から企業やブランドの意味づけを確認する。「消費者がブランドに対してどのようなイメージを持っているか」、「ブランドの特徴や価値を消費者が理解してるか」この2つから企業側が意図したとおり顧客に伝わっているか調査します。

レベル3:反応 (Brand Response)

レベル3は、消費者が商品に対してどのような評価をしているのかを判断する反応です。これはアーカーモデルの「知覚品質」にあたり、お客様が自社の製品やサービスをどのように評価しているのか、「理性評価」と「感性評価」の2つから判断します。

理性評価では、品質、信頼性、顧客に対する配慮、優越性があるかどうかを判断・評価を行うことを指します。感性評価では、親しみやすさ、楽しさ、興奮、安心、社会的認証があるかどうかを感情的に判断することです。

これら2つの要素から製品やサービスを顧客が判断します。

レベル4:共感や同調 (Brand Responance)

レベル4は、共感や同調です。これはアーカーモデルの「ブランドロイヤリティ」と同様で、他社の商品では換えが効かないぐらい愛着度と信頼度を確立することです。

企業と消費者の間、またファン同士に絆があり、ブランドや企業を支えてくれる存在になることも期待できます。

ブランドエクイティを確立するメリット

ブランドエクイティを確立させることでさまざまなメリットがあります。

今回は3つのメリットを紹介します。

マーケットシェアの拡大

ブランドエクイティを確立させることで、より大きなマーケットシェアを開拓できることです。ブランドエクイティを発展させることで市場での競争力を高めることができ、業界の注目度を高めます。また、独自のセールスポイントや明確なブランディングによって、あなたのブランドを目立たせ、顧客にアピールすることも重要です。

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プレミア価格を設定できる

プレミア価格を設定することができるのも、ブランドエクイティが確立されることのメリットです。プレミア価格は、相対価格とも呼ばれ、製品の販売価格が製品の市場平均価格を上回る、または下回ることです。ブランドエクイティが優れていれば、市場平均価格よりも高い価格で販売することができます。

認知されやすくなる

最後のブランドエクイティを確立させるメリットは、顧客からの認知度が高くなることです。ブランドを認知してもらえれば、自社製品を買ってもらえる可能性が高くなります。主要な市場だけでなく、新しい市場でもビジネスを拡大しやすくなるでしょう。

また、企業のロゴ、色、キャッチフレーズ、表現などに一貫性を保つことが大事になります。アップルやナイキなど有名なブランドはスローガンやキャッチフレーズ、製品の外観、ロゴ、ブランドメッセージなど、すべてが一貫してブランドイメージを作り上げているのです。

ブランドエクイティを高める施策方法

これまで説明した通り、ブランドエクイティの確立には明らかな効果があります。ですが、ブランドエクイティを構築し維持するためには、事前に多くの作業と調査を行う必要があります。なので、今回はブランドエクイティを高める主な方法を4つ紹介します。

消費者に伝えたいメッセージを決める

まずは消費者にブランドとして伝えたいメッセージを決めます。メッセージはブランドエクイティを高める際に大きな影響を与えるため最初の段階に決めましょう。メッセージを作成する際、重要なのは消費者に自社のポジショニングをテストすることです。

消費者はどう反応するのか?何に一番反応するのか?消費者は何を求めているのか?消費者の目に留まるようなメッセージになっているか?ブランドイメージを決めるときはデータに基づいたプロセスであるべきで、特定の消費者が何に惹かれるかに基づいて行われるべきです。これは、現代市場において、特に重要なことです。

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認知の促進

魅力的なメッセージが決まったら、ブランドと企業理念の両方を認知させなければなりません。これは製品の品質よりもブランドの価値を、売上よりも感情的なつながりを強調することを意味します。 

目先の取引に追われる世の中では、このような長期的な戦略を支持することは難しいかもしれません。ブランドは消費者がメッセージを認識し、それを製品に結びつけるために、より長い時間をかけ実施されなければなりません。ブランドへの意識を高めることは、正しく行われれば将来的に成果をもたらすでしょう。

一貫性を保つ

ブランドエクイティが確立されたら、一貫性を保つことです。ブランドエクイティを定期的に変更していては一度獲得したファンも離れていってしまいます。これには、書体や言葉遣いも含まれます。また広告のアイデアが良くても、それが自社のスタイルから外れている場合は、追求しないようにしましょう。一貫性を保つため、定期的に社内で方向性の共有などを行う必要があります。

UX(ユーザーエクスペリエンス)

ソーシャルメディアの台頭により、ブランドはもはや広告の内容だけで定義されるものではなくなりました。ブランドとは、消費者が判断し評価するものなのです。顧客に焦点を当て、顧客を会社の中心に据えることは、ブランド全体を高めることにつながります。

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ourlyは、組織改善に特化した全く新しいweb社内報サービスです。

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ブランドエクイティ確立の成功事例

スターバックス

スターバックスは、コーヒーの質だけでなく来店した顧客が過ごしやすい空間を提供することでブランドエクイティを確立させました。また、ビジネスに関する記事を配信している米フォーチュン誌で「世界で最も賞賛される企業2022」の第8位に選ばれたスターバックスは、社会的責任を果たすことを誓い、高い評価を受けています。

(出典:Fortune社,「World’s Most Admired Companies」, <https://fortune.com/worlds-most-admired-companies/> , 2022年11月閲覧)

オリエンタルランド

オリエンタルランドは、ディズニーランドとディズニーシーの体験に力を入れることによってブランドエクイティを確立しました。入園してすぐにゲストを映画の中にいるような非日常的な空間を演出したり、キャストの人材育成に力を入れ、ゲストに最高の思い出を作ってもらい、「また来たい」と思えるパークづくりを徹底しています。

ポルシェ

ポルシェは、自動車業界で高い評価を得ているブランドであり、高品質でユニークな素材を使用することで、そのイメージと信頼性を獲得しています。高級車に分類されているポルシェは、その車のオーナーに製品だけでなく、体験も提供しています。オンラインニュースサイトU.S. News & World Reportによると、同クラスの他の自動車ブランドと比較して、ポルシェは2022年に高級ブランドとしてトップとなりました。

(出典:U.S News社,「Best Luxury Car Brands for 2022」, <https://cars.usnews.com/cars-trucks/advice/best-luxury-car-brands> , 2022年11月閲覧)

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この記事を書いた人

Kanei Yoshifusaのアバター Kanei Yoshifusa ourly株式会社 コンサルティングセールス・組織開発チーム

前職は店舗ビジネス向けの業務効率化SaaS事業を展開する企業でCSに従事。
その後、ourly株式会社に参画。
200社以上の企業に組織課題解決の提案、現在30社の組織開発を支援。
富山県上市町出身。趣味は筋トレ/声マネ/滝行。

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