従業員の半数が抱いていた不満が0に。ヒトクセが取り組んだ“ヒトクセ”ある施策
活躍している従業員の退職者が続いたことをきっかけにさまざまな社内施策に取り組み、約半数近くが抱いていた会社に対する不満を0にさせることに成功したという株式会社ヒトクセ。
そんなヒトクセの、”ヒトクセ”あるインナーコミュニケーション施策についてお話を伺いました。
インタビュイー:島田 賢悟 (しまだ けんご)
2014年にシステムエンジニアとしてヒトクセに入社。
2017年営業本部長に就任し、営業全体の統括を担当。
2018年執行役員、2020年は取締役に就任して経営にも従事。
2022年管理本部長に就任。
株式会社ヒトクセ:https://hitokuse.com/
【プロダクト】
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社員の半数近くが会社に対して何かしらの不満を抱いていた
――活躍している従業員の方の退職が続いてしまった時期があるとのことですが、当時、なぜそのような状況が生まれてしまったのでしょうか。
大きな要因は2つあります。
1つは、当時会社の売り上げが伸び悩んでいて、事業の推進方法や方向性に関してさまざまな議論をした結果、会社の方向性が見えにくくなってしまっていたことです。
もう1つは、コロナによってリモート方針がうまく決まらないままリモートで働くような状況になってしまったことです。
この2つが重なってしまい、普段よりも物事がうまくいかないような状況下で、コミュニケーションロスなどが生まれてしまいました。そして、退職者が出てしまうという結果になってしまったと考えています。
実際に退職した方からは、
- 会社の将来性が見えない
- 経営から意思伝達がないと感じる
- 個人のやりがい / 達成感 / 成長を感じない
といった悩みをいただくことが多かったので、これらを中心に施策に取り組みました。
こちらのグラフを見ていただきたいのですが、当初半数近くの従業員が「会社の将来性が見えない」と答えていましたが、3つの施策に取り組んだ結果結果的に約半年でそれを0にすることができました。
徹底的に従業員に向き合った施策を実施
――およそ5ヶ月で0にまで・・すごいですね!!
それではここからは、従業員の方が抱いていた不満を0にさせるために取り組んだ施策について伺えればと思います。それぞれ簡単に教えていただけますでしょうか。
大きく3つの施策に取り組みました。
まず1つ目は「アンケートQ&Aでスッキリする会」をおこなっています。
これは「会社の将来性が見えない」「経営からの意思伝達がない」という課題を改善するための施策です。
基本的に匿名で質問をしてもらい、それに対して全社会議で私がアンサーをするようにしています。
なので、疑問に思ったことを質問さえしてくれれば、情報は全て伝達できる状況にはしています。
――実際にどのくらいの回答が集まりましたか?
うちの社員が20名くらいなのですが、始めた当初は10件くらいの回答をいただきましたね。
「名前はあげなくてもいいから、聞きたいこと聞くことに協力して欲しい」ということを従業員のみんなに話をした結果、みんな協力してくれました。
――そのほかの施策に関しても簡単に伺えますでしょうか。
2つ目の施策は、先ほど共有した3項目に関するアンケートを実施し、その結果が芳しくない人に対してヒアリングを実施するというものです。3つ目の施策は社員全員との半年に一度人事面談です。
2つ目の取り組みで定量情報は取れますが、じゃあその数字がなぜそうなっているのかという定性部分を確かめる必要があると感じました。
施策の効果が出ているのか否かを確かめるためにも人事面談を行うようにしました。
――聞きたいことを気軽に聞ける環境は、従業員にとって重要ですよね。
反対に、やってみたけど失敗した施策やうまくいかなかった施策があれば教えていただきたいです。
ひとつありますね。
経営会議を覗けるようにしてほしいという案が社内で挙がったのでそれを実施したんですが、会議の時間的に都合が合わない方がいたり、オンラインで覗きにくかったりとあまり人が来なかったので、なくなりました。
そもそも経営会議を覗けるようにする目的も、経営意思や方向性をオープンにして欲しいということからだったので、施策1つ目で紹介したアンケートQAでうまく対応できているかなと思っています。
先ほど紹介した施策をやっているなかで、「わからないことは直接島田さんに聞きにいけばいいや」と思ってくれる人が増えたこともあり、大きく失敗した施策は特にないですね。
新しい社内制度を導入する際は、まず少数で試してから
――一般的な会社の場合、新しい制度をやってみたけどうまくいかなかったという声も聞きますが、失敗しなかったことに何か理由はあるんですか。
新しい人事制度を導入するにあたって、まずは社内の5~6人のメンバーで試してみて、その結果をもとに制度を少し調整して、そのうえで新しい制度を社内にローンチする「wemake」という施策を行なっているので、大きくはずれる施策は生まれにくいと感じています。
――情報をオープンにし、従業員の方の不満がなくなったことで、社内に生まれた変化はありましたか。
これまでは「自分の役割はこれです」「自分はこうしたいです」のように自分中心で考える人が多いような気がしていましたが、「会社のためならいろいろなことにチャレンジする」「会社にとってインパクトの大きい課題を解決しよう」というスタンスの人が増えた印象があります。
そういった意味でも、メンバー同士や会社とのコミュニケーションは取りやすくなったと感じています。
“ヒトクセ”ある組織にしたい
――最後に、今後の展望についてお聞かせください。
今現在ヒトクセとして大きな転換期なので、会社のミッションでもある「よいヒトクセで革新的な世界を創る」を実現して、社会にインパクトを残せるような組織でありたいなと思っています。
編集後記
インタビューを通して、従業員の方と向き合うだけでなく、その会社名の通り他の会社とは”ヒトクセ”ある施策を取り組んでいるなという印象を持ちました。
半数近くもの人が抱いていた会社に対する不満を「0」にするというのは、決して簡単なことではないと思います。
そんなヒトクセは現在が会社としての大きな転換期ということで、今後の組織がどう変わっていくのか、私自身もとても楽しみにしています。
島田さん、貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました。