カルチャーは戦略に勝る 〜テラチャージ社が語る急成長の秘訣〜

EV充電インフラ事業において、最も後発ながらサービス開始から2年7ヶ月でEV充電器の累計設置数10,000口を突破。業界のトップランナーの1社へと急成長を続けているTerra Charge株式会社。(2024年10月時点)
競合がひしめき合う環境の中で成長をし続ける秘訣は何か、同社の代表取締役副社長を務める中川 耕輔さんに事業の競争優位性を生み出している要因についてお伺いしました。
──Terra Charge社はEV充電インフラ事業において、当時最も後発の会社となりますが、ここまでシェアを拡大できた要因はなんでしょうか?
一言でいうならば、「カルチャー」ですね。
私はよく「カルチャーは戦略に勝る」という言葉を使うのですが、我々のようなスタートアップ企業が大企業や先行企業に勝つためには、カルチャーが勝敗を決めると考えています。
そして強いカルチャーを持つ組織というのは、それぞれのメンバーが自分の役割と目標に対してポジティブでアグレッシブであるということです。わかりやすいイメージでいえば、部活の強豪校が醸し出す厳しさや前のめりな感じで、「とにかくもう一本走ろうぜ!」という雰囲気ですね。
結局、事業をスタートするときはこのカルチャーが発射台の角度を決めます。我々はカルチャーが強く、何事も徹底的にやり切るので、成長角度が高い。EV充電インフラ事業では当時最も後発で、かつリソースもない中でスタートしましたが、結果的にここまでこれたのは強い組織カルチャーのおかげだと考えています。
カルチャーの源泉は「Terra Twenty Five」にあり

──ありがとうございます。強いカルチャーを醸成させるために、どのような取り組みをされていらっしゃるのでしょうか?
まず、従業員全員が「強い組織を支えるカルチャーとは何か」をしっかり理解しなければ、実際の行動にはつながりにくいと考えています。そこで、当社ではプロフェッショナルとしての振る舞いを実践できるよう、そのカルチャーを言語化しました。
そして、言語化したカルチャーを意図的に浸透させるために「Terra Twenty Five」という行動指針をまとめた冊子を作成しました。こういった冊子は一般的には抽象度が高く、行動のイメージがわかないこともあります。
しかし弊社では具体的なエピソードを交えて、行動指針やカルチャーの説明をしているので、非常にいいものが出来上がったと感じています。
──実際にカルチャーを体現してもらうための施策や工夫はされていらっしゃいますか?
やはりカルチャーを言語化するだけではいけません。評価制度に組み込むこと、カルチャーを体現することが評価されるという構造を作る必要があります。
具体的には、我々は5つの行動指針「素直さ」「徹底力」「スピード」「向上心」「尊重」を掲げているのですが、これらの行動指針の観点が評価制度にも組み込まれています。
あとはカルチャーと一言にいっても、普段の行動に移すことが難しいので、毎週「仕事の仕方会議」を開催しています。例えば、今週は「素直さ月間」としたとき、この会議では「素直さ」をテーマにした失敗/成功エピソードを共有するのです。
このような施策を通じて、カルチャーの醸成と体現を実現しています。
“修羅場体験”を通じた人材配置と育成

──「Terra Twenty Five」が強いカルチャーの源泉なのですね。
そうですね。あとはカルチャーの醸成だけでなく、コミュニケーションロスの防止やマネジメントにも良い影響を与えています。
我々のようなスタートアップは、事業成長においてスピードが非常に重要です。経営陣が意思決定した情報はそのままの質で直下の従業員に伝わる必要があります。これを実現できているのは「Terra Twenty Five」というカルチャーがあるからです。
またマネジメントにおいてよくあるのが「自分ができていないから言いづらい」という課題。これも「Terra Twenty Five」があることで、冊子の内容をもとにして部下の指導ができるので非常にマネジメントがやりやすくなります。
──人材育成にも良い影響を与えているのですね。Terra Charge社は「修羅場体験」を通じた育成も重視していますよね。
そうですね、やはり大きな壁や困難を乗り越えないと自分の限界値もわからないし、成長することはできないと考えています。
なので、たとえ能力が足りなくても、これをやりたいといった想いやWillがあれば「ポテンシャルアサイン」をしています。失敗しても大丈夫、まずは打席に立つことを推奨しています。
そうすることで結果的に成長角度も上がり、人材マーケットにおける市場価値も高くなります。
──人材の配置に関しても意識していることはありますか。

Terra Charge社のカルチャーに共感されている方であれば、3年で市場で評価される人材になって欲しいと思っています。
例えば、庶務をやってきた方に次は労務を全て任せてみる。労務ができるようになったら次は人材を配置してマネジメントを任せる、とか。そうすることで庶務だけでなく労務やマネジメントができる人材になり、世の中の等級においても市場価値が高くなりますよね。
このように積極的に成長環境を提供できるような人材配置を意識しています。
──ありがとうございます。Terra Charge社の強さはカルチャーと人材育成にあるのですね。最後にスタートアップや成長企業の経営者、人事担当者に向けて「強い組織を作るために最も意識すべきこと」を教えてください。
結論、「どれだけ自分を律することができるか」だと考えていて、組織や従業員のみなさんは意外と自分のことを見ています。ですから強い組織やカルチャーを作るには、自分に厳しくすることがスタート地点です。
数字やインセンティブ、仕組みを設計するだけで組織が回るとは思っていなくて、やはりカルチャーやハートがないと無機質なものになってしまう。 私たちも道半ばではありますが、「カルチャーは戦略に勝る」という言葉のもとに更に強い組織を作り続けていきたいです。

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