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エンゲージメントとは?高めるメリットや具体的な施策、企業事例を紹介

河野 芳紀

公開日:

2021.01.29

更新日:

2025.09.24

エンゲージメントとは

ビジネスにおいて様々な場面で「エンゲージメント」という言葉を聞くものの、どんな意味なのかがわからないという方もいるのではないでしょうか?

実際にエンゲージメントという言葉は「従業員エンゲージメント」「顧客エンゲージメント」といったように様々な場面で活用されます。

そこでこの記事では、エンゲージメントの意味を活用される場面ごとに解説し、企業や会社ににおいて重要な指標である「従業員エンゲージメント」について詳しく紹介します。

目次

エンゲージメントとは?

エンゲージメントとは繋がり・結びつきを示す言葉として使われ、ビジネスにおいては「従業員エンゲージメント」「顧客エンゲージメント」といった意味で使用されることが多いです。

そもそもエンゲージメントはEngagementという英語から来た言葉で、使用される場面によって様々な意味合いがあります。

Engagement:

・約束、契約、婚約などの意味がある英語表現。

・「深い繋がりのある関係性」を示す際に使われる表現。

このようにエンゲージメントには様々な意味がありますが、

日本の人事領域においては、従業員が会社や組織に愛着心や貢献意欲を抱き、従業員と会社の繋がりを強め、共に成長していくという考え方の「従業員エンゲージメント」。

マーケティング領域においては消費者と企業やブランドとの繋がり示す「顧客エンゲージメント」。

この記事では、様々な場面で活用されるエンゲージメントに関してそれぞれ解説した上で、従業員エンゲージメントについて詳しく解説します。

従業員エンゲージメント(人事領域)

人事領域において使用される従業員エンゲージメントとは、従業員の会社に対する愛着心や貢献意欲を意味します。より簡単に言えば、従業員と会社の絆や繋がりの強さです。

従業員エンゲージメントを向上させ、従業員と会社相互の繋がりを強めることで

  • 会社や部署の業績アップ
  • 従業員の会社への愛社心、貢献意欲向上

など見込むことができ、win-winの関係を築くことができます。

本記事では従業員エンゲージメントが注目される背景や、従業員エンゲージメントを高める具体的な施策、さらには実際の企業で導入された、従業員エンゲージメント向上のための施策例を詳しく解説します。

顧客エンゲージメント(マーケティング領域)

マーケティング領域で使用される顧客エンゲージメントは、企業と顧客との繋がりや結びつきを意味します。

そのため顧客エンゲージメントが高いほど、顧客はその企業の商品やサービスを継続的に使用・購入したり 、他人に勧めるなどをしてくれます。

現代ではあらゆる産業で、他の商品との差別化が難しくなっているという現象を表すコモディティ化が進み、いかに独自性といった付加価値を付けられるかが重要になってきます。

従業員エンゲージメントとは?

前述のように、従業員エンゲージメントとは、従業員の会社に対する愛着心や貢献意欲を意味し、従業員エンゲージメントを高めることで従業員と会社との関係性が向上し業績アップを見込むことができます。

また、従業員エンゲージメントは、「従業員満足度」や「ロイヤルティ」「モチベーション」といった他の指標と混同されがちです。しかし、それぞれ意味合いが異なります。ここでは、その違いを明確に解説します。

従業員満足度との違い

人事領域においては従業員エンゲージメントに関係する言葉として、従業員満足度が使用されます。

従業員満足度とは、「福利厚生」「金銭的報酬」「良好な人間関係」「オフィス環境」のように従業員が会社から一方的に受ける待遇などに対する評価を指します。

従業員満足度は、従業員に自発性がない、業績に影響に関係しないという点に従業員エンゲージメントとの違いがあります。

従業員満足度と従業員エンゲージメントとの明確な違いは、満足度が給与や職場環境といった会社から与えられるものに対する受動的な満足感であるのに対し、エンゲージメントは企業の目標達成に向けて自らの力を発揮したいという従業員の能動的で自発的な貢献意欲であるという点にあります。

従業員満足度を向上させたからといって必ずしも業績アップや従業員の自発的貢献が見込めるわけではないという点は注意しましょう。

ロイヤルティとの違い

人事領域ではロイヤルティもエンゲージメントと似た言葉として使われます。

日本で使われるロイヤルティ(ロイヤリティ)にはLoyaltyとRoyaltyの二つの意味があり、それぞれ

Loyalty:忠誠心や忠実さ。主に、人や組織に対する忠誠心や、信念や原則に対する忠実さ。

Royalty:特許権、商標権、著作権などの使用料のこと。

という意味があります。

このように、英語では明確に意味が分かれていますが、日本のカタカタ表記ではロイヤルティとロイヤリティを区別せずに使用している場合もあるので、文脈や状況によって判断する必要があります。

人事領域で使用されるロイヤルティは従業員の会社に対する忠誠心や思い入れなどの意味があり、年功序列や終身雇用といった日本企業の特徴によって形成された海外ではあまり使われない言葉でもあります。

ロイヤルティは従業員エンゲージメントと違い、従業員が会社に対して忠誠を尽くすことが重視された主従の関係にあるという点で異なります。

モチベーションとの違い

モチベーションは「動機づけ」や「意欲」を意味し、特定の目標達成に向けた個人の心理状態を指します。仕事に対するモチベーションの源泉は、昇進や報酬、自己成長など人によって様々であり、必ずしも組織の方向性と一致するとは限りません。

エンゲージメントは、個人の意欲が組織の目標達成に向けられている状態を指します。つまり、従業員個人の成長と組織の成長が同じ方向を向いているのがエンゲージメントの高い状態であり、モチベーションよりも広い概念と捉えることができます。

従業員エンゲージメントが注目される背景

従業員エンゲージメントが注目される背景として

  • 価値観の多様化
  • 働き方改革による人材の流動化
  • 終身雇用・年功序列制度の撤廃による成果主義型社会
  • リモートワークの普及
  • 人的資本経営の流れ

といった項目が挙げられます。

価値観の多様化や働き方改革によって年功序列制度が薄れ、成果重視の社会になればなるほど優秀な人材はさらなるキャリアップを求めて転職をしてしまいます。

このように人材の流動化が従業員エンゲージメントが注目される背景にあります。

また、コロナ社会の影響でリモートワークが推進された結果、直接的にコミュニケーションを取る機会が減少し、従業員のエンゲージメント低下に課題を持つ企業が増えたことも、従業員エンゲージメントが注目される要因にあります。

価値観の多様化

ワークライフバランスという言葉が出てきたように、従業員が仕事や会社に求める価値観が多様化しています。

そして、会社に対して単に給料や安定性を求めるだけでなく、やりがいや理念への共感、働く環境や従業員同士の繋がり、将来的なスキルアップに繋がるか否かといった価値観を持って働く人が増えています。

そのため会社や組織側としては、価値観の多様化を理解した上で従業員が抱える価値観を把握することが必要になってきています。

(引用:エン転職,「『仕事に求めること』について」<https://employment.en-japan.com/enquete/report-36/> , 2025年9月閲覧)

人材の流動化

終身雇用や年功序列制度が薄れ、価値観の多様化が進むなかで、若者の転職に対する考え方も多様化しています。

内閣府が公表した16歳~29歳までの若者を調査したデータでは、転職に否定的な考えを示した若者は全体の2割にも満たないという結果が出ています。

この調査から、およそ8割の若者は、能力や適性に合わない職場であれば転職を意識しているということになります。

このように、従業員エンゲージメントが注目される背景には、価値観の多様化によって若者の早期離職といった人材の流動化が進んでいることがあります。

(引用:内閣府「就労等に関する若者の意識」 ,<https://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h30gaiyou/s0.html>2025年9月閲覧)

生産性の向上

下記で詳しく解説しますが、従業員エンゲージメントと企業の生産性には正の相関があるということが、株式会社リンクアンドモチベーションと慶應義塾大学との研究によって結論付けられました。

従業員エンゲージメントが、企業の営業利益率や労働生産性に影響を与えるということが判明したことも、従業員エンゲージメントが注目される背景にはあります。

従業員エンゲージメントを向上させるメリット

これまで従業員エンゲージメントの意味や注目される背景などを解説してきましたが、ここでは従業員エンゲージメントを向上させることで、従業員や会社にどのようなメリットがあるかを紹介します。

生産性の向上

株式会社リンクアンドモチベーションが発表した慶應義塾大学との研究では、従業員エンゲージメントの向上が企業の営業利益率・労働生産性にプラスの影響を与えるということがわかっています。

これまで、従業員エンゲージメントが直接的に会社の業績や従業員の生産性に影響あるか否かがわかりにくい状況でした。しかしこの研究によって従業員エンゲージメントを向上には大きなメリットがあるということが示されています。

(引用:株式会社リンクアンドモチベーション,「『エンゲージメントと企業業績』に関する研究結果を公開」,<https://www.lmi.ne.jp/news/pdf/180918_%e8%aa%bf%e6%9f%bb%e7%b5%90%e6%9e%9c%e3%83%97%e3%83%ac%e3%82%b9%e3%83%aa%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%82%b9.pdf>, 2025年9月閲覧)

従業員のモチベーションの向上

また、従業員エンゲージメントを向上させることで、従業員の会社に対する貢献意欲や愛社心が増し、仕事に対するモチベーション向上にも繋がります。

ここで注意しなければならないのは、従業員のモチベーション向上が必ずしも従業員エンゲージメント向上に繋がるわけではないことです。

冒頭でも説明したように、従業員エンゲージメントは会社への貢献意欲や会社の業績にも繋がっています。なので、従業員のモチベーション向上のために新たな福利厚生制度を導入したからといって必ずしも会社への貢献意欲や業績アップにつながるとは限りません。

従業員のモチベーション向上のために、まずは従業員エンゲージメントを向上させることが必要になってきます。

離職率の低下

従業員エンゲージメントが向上することで、会社への貢献意欲や愛社心が増します。その結果離職率を抑えることができます。

従業員エンゲージメントが注目される背景でも説明したように、価値観の多様化によって人材の流動化が活発になっています。

だからこそ従業員の価値観を理解し、従業員エンゲージメント向上のための適切な施策を行うことで離職率の低下を実現することができます。

自社の従業員エンゲージメントの調べ方

ここでは、自社の従業員エンゲージメントの調べ方について解説します。一般的に従業員エンゲージメントを調べるためには、エンゲージメントサーベイという調査が使用されます。

エンゲージメントサーベイ

エンゲージメントサーベイとは、いくつかの質問項目によって従業員のエンゲージメントを数値で表す調査のことです。従業員エンゲージメントを実際に定量化することで、

  • 会社内の潜在的課題
  • 適切な人材配置ができているか
  • どのような施策を行うべきか
  • 現在実施している施策は効果があるのか

などといった潜在的な課題を把握したり具体的な施策を検討することができます。

エンゲージメントサーベイの質問例

ここでは、エンゲージメントサーベイを行っている2社と実際の質問例をいくつか抜粋して紹介します。下記記事ではエンゲージメントサーベイについてより詳細に解説しています。

Gallup社

Gallup社は、組織改善について分析やコンサルティングを行う会社であり、世界各地で事業を展開しています。

そんなGallup社は独自の質問項目を作成するにあたり、世界中で3000万人以上に調査を実施しエンゲージメントサーベイを作成しました

基本的な事柄(一部抜粋)
Q. 仕事において、自分が何を期待されているか知っている

個人
Q. 過去7日間で、うまくいった仕事に対して何らかの評価や賞賛を受けたQ05. 上司や同僚は自分を一人の人間として気にかけてくれている

チームワーク
Q. 会社の掲げる経営理念やミッションは、私の仕事が重要であることを感じさせてくれる。

成長
Q. 過去6カ月で、職場の誰かが自分の成長について話をしてくれた

(引用:GALLUP, “What Engaged Employees Do Differently”, <https://www.gallup.com/workplace/266822/engaged-employees-differently.aspx>, 2025年9月閲覧)

Culture Amp社

Culture Amp社は、文化に焦点を当てた企業に対して、その調査や分析の手助けをする会社です。2000以上の企業に対してエンゲージメントサーベイを行っており、毎年その分析結果から質問を更新しています。

エンゲージメント指標を表す質問(一部抜粋)
Q. 私は、[会社]で働くことを誇りに思う
Q. 私は、[会社]を素晴らしい職場としてお勧めする

リーダーシップ
Q. [会社]のリーダーは、会社で何が起きているのかについて、社員が認識できるようにしている
Q. 私のマネージャーは、社員にとって素晴らしいロールモデルである

権限
Q. 私は、仕事を遂行する上で必要なものを十分に利用できる

開発
Q. 私のマネージャー(または管理職の人)は、私ののキャリアに対して偽りなく関心がある

(引用:Culture Amp, “20 simple Employee Engagement survey questions you should ask”, <https://www.cultureamp.com/blog/employee-engagement-survey-questions/>, 2025年9月閲覧 )

このように従業員と会社の関係性や従業員同士の関係性などに関する10~20の質問から、従業員のエンゲージメントを数値として定量化しています。

従業員エンゲージメントの各指標

従業員エンゲージメントを効果的に測定し、改善につなげるためには、複数の異なる種類の指標を理解し、活用することが重要です。エンゲージメントの測定指標は、大きく分けて「総合指標」「レベル指標」「ドライバー指標」の3つに分類されます。これらを組み合わせることで、組織の現状を多角的に、そして深く把握することが可能になります。

指標の分類目的代表的な指標
総合指標組織全体のエンゲージメント状態を総合的に把握するeNPS®(職場推奨度)
レベル指標従業員の仕事に対する心理的な状態を測定するワーク・エンゲイジメント(活力・熱意・没頭)
ドライバー指標エンゲージメントを高める、または下げる要因を特定する上司の支援、同僚との関係、成長機会などに関する質問

エンゲージメント総合指標

エンゲージメント総合指標とは、組織と従業員の結びつきの強さを、一つの総合的なスコアで表すものです。これは、いわば組織のエンゲージメントにおける「健康診断の結果」のようなもので、組織全体の現状をシンプルに把握するのに役立ちます。

最も代表的な指標が「eNPS®(Employee Net Promoter Score)」です。
「あなたは現在の職場を、親しい友人や家族にどの程度すすめたいと思いますか?」という質問に対し、0〜10の11段階で回答してもらい、「推奨者」「中立者」「批判者」に分類してスコアを算出します。

この指標は、組織に対する従業員の総合的な愛着や信頼度を測るためのベンチマークとして広く活用されています。

エンゲージメントレベル指標

エンゲージメントレベル指標は、従業員が仕事に対してどの程度ポジティブで充実した心理状態にあるかを測定する指標です。

仕事から活力を得て(活力)、仕事に誇りとやりがいを感じ(熱意)、仕事に時間を忘れるほど熱心に取り組んでいる(没頭)という、3つの要素で構成されることが多く、これは「ワーク・エンゲイジメント」の学術的な定義に基づいています。

この指標を測ることで、従業員一人ひとりの心理的な健康状態や、仕事へのポジティブな関与度合いを具体的に把握することができます。総合指標が「結果」を示すのに対し、レベル指標はエンゲージメントの「状態」そのものを可視化するものと言えます。

エンゲージメントドライバー指標

エンゲージメントドライバー指標は、エンゲージメントのレベルを左右する「要因」が、組織や職場でどの程度満たされているかを測定する指標です。レベル指標が「What(何が起きているか)」を示すのに対し、ドライバー指標は「Why(なぜその状態なのか)」を明らかにします。

具体的には、「上司のマネジメント」「職場の人間関係」「仕事の裁量権」「成長の機会」「適切な評価」といった項目が該当します。これらのドライバーを分析することで、自社のエンゲージメントにおける具体的な課題がどこにあるのかを特定し、的を絞った改善策を立案することが可能になります。

従業員エンゲージメントを高める5つの施策

従業員エンゲージメントを高める施策は会社や組織、業界によって様々ありますが、ここでは施策例を5つ紹介します。

これらの施策を導入したからといってすぐに効果が出るわけではありませんが、長期的に従業員エンゲージメントを高めることが期待できます。

ぜひ現状の会社や組織と比べ、どういった施策であれば従業員エンゲージメントを高めることができるかなどを考えてみてください。

企業理念・ビジョンの浸透

従業員エンゲージメントを高め、従業員の自発性や貢献意欲を向上させるためには企業理念やビジョンの浸透が必要不可欠です。

企業側が進むべき方向性を従業員に対してしっかりと示し、共感を得られなければ従業員の仕事に対するモチベーションも低下してしまいます。

さらに、コロナ渦で直接的なコミュニケーションの機会が減少している状況では、企業理念やビジョンの浸透がより一層重要視されています。

社員間コミュニケーションの促進

従業員エンゲージメントを向上させるためには、社員間の会話の機会を増やすなどといった積極的なコミュニケーション促進が大事になってきます。

具体的な策としては

  • 社内イベントで他部署の社員と交流を深める
  • 上司やマネージャーと定期的に1on1を実施する
  • オフィスレイアウトを工夫しコミュニケーションを取りやすくする

などが挙げられます。

上司やマネージャーとのコミュニケーションを増やすことで、上層は従業員個々の状況を、従業員は上司の考えや求めるスキルなどを明確に理解することができます。

上層部に話しかけづらいといった雰囲気は、従業員のエンゲージメント低下につながる可能性があるので、無理のない程度のコミュニケーションを意識しましょう。

適切な人事配置

従業員エンゲージメントを高める上では、従業員に対して適切な人事配置を行うことも効果的な施策の一つです。

従業員の価値観の変化やスキル、従業員が描く理想などを把握し、可能な限り適切な人事配置をすることが従業員エンゲージメント向上に繋がります。

とはいえ、従業員全ての要望に応えることは難しい場合が多いです。そういった場合でも、上層部は従業員を理解した上で、適切なコミュニケーションを取ることが重要です。

従業員が、自分の将来に不安に感じながら仕事を進めている状況を生まないためにも、可能な限り適切な人事配置ができるようにしましょう。

働きやすい環境の提供

従業員が働きやすい環境を提供することも、従業員エンゲージメント向上には効果的です。

代表的な例として、ワークライフバランスを考慮した産休、育休や復職制度、時差出勤やフレキシブルワークの導入などが挙げられます。

また、ここで重要になってくるのが実際に働きやすい制度が行われてる風土作りです。会社として働きやすい制度を導入しているものの「上層部が利用していないため従業員が利用しにくい」といった環境では従業員エンゲージメントは低下してしまいます。

上層部こそ積極的に制度を利用し、従業員が利用しやすい環境を作ることを意識しましょう。

CSRやCSV、SDGsへの取り組み

  • CSR(Corpotate Social Responsibility:企業の社会的責任)
  • CSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)
  • SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)

などの言葉があるように、会社が社会的価値に対する取り組みを行うことでも、従業員のエンゲージメント向上が期待できます。

会社の事業を通して社会や環境問題に対してどのような形で貢献し、どのような活動を行っているのかを従業員に理解してもらうことで、自社が社会に貢献できているという愛社精神が生まれることがあります。

従業員エンゲージメント向上に取り組む企業事例

ここからは、従業員エンゲージメント向上のために、先述した具体的な施策に取り組む企業事例を7つ紹介します。

株式会社リクルートホールディングス

株式会社リクルートホールディングスでは、働きやすい職場づくりの一環として様々な形で「社内報」が取り入れられています。

グローバルに展開している規模のでかい企業だからこそ、社内報を英語でも発信し、グローバルに情報を共有しているという特徴があります。

従業員の仕事の取り組みや良い功績がグループ全従業員に伝えられるということが、従業員の働くモチベーションの向上、従業員エンゲージメント向上につながっていると考えられます。

(引用:株式会社リクルートホールディングス,サステイナビリティ,「働きやすい職場づくり」 <https://recruit-holdings.co.jp/sustainability/people-workplace/workstyle/workplace.html> , 2025年9月閲覧)

株式会社日立システムズエンジニアリングサービス

株式会社日立システムズエンジニアリングサービスでは、「ファミリーデー」という社内イベントを設けています。

従業員のご家族に、従業員の方の上司や働く職場をご家族に知っていただくというイベントです。

このように家族にも職場を知ってもらうことで、従業員の会社に対する愛社精神や貢献意欲は大きく向上することが見込めます。

(引用:株式会社システムズエンジニアリング採用サイト, 「社内行事と福利厚生」 <https://www.hitachi-systems-es.co.jp/recruit/environment/welfare.html>, 2025年9月閲覧)

パーソルホールディングス株式会社

「はたらいて、笑おう」を経営理念に掲げるパーソルホールディングス株式会社のオフィスでは、ワークスタイル変革の一環として、社員同士がコミュニケーションを取れるようなオフィスレイアウトを導入しています。

実際にこのオフィスで働く社員だけでなく、別のオフィスで働く社員とも交流ができる場所になっているということで、社員間のコミュニケーションに力を入れている企業です。

引用:パーソルホールディングス株式会社ing(イング), 「新社屋オープン!『はたらいて、笑おう。』を目指してワークスタイル変革に挑戦」, <https://www.persol-group.co.jp/ing/2019/20190315_3514/index.html> , 2025年9月閲覧)

伊藤忠商事株式会社

伊藤忠商事株式会社では、働き方改革の一環として「脱スーツ・デー」や「仕事と育児・介護の両立」を支援する制度を導入し、従業員が働きやすい制度設計を行っています。

従来のカジュアルフライデーよりもう一段ドレスダウンした服装を認め、ジーンズやスニーカーの着用を認めた制度を導入し、従業員の働きやすい環境作りに努めています。

引用:伊藤忠商事株式会社, サステイナビリティ,「雇用・福利厚生」, <https://www.itochu.co.jp/ja/csr/society/employee/employee_benefits/index.html> , 2025年9月閲覧)

ソニー株式会社

ソニー株式会社では、気候変動などの環境問題だけでなく難民問題など、積極的にCSRやCSV、SDGsに取り組んでいます。

ソニー株式会社のように積極的に環境問題や社会問題に取り組むことで、企業としての価値向上だけでなく、従業員の会社に対するイメージ向上に繋がります。

そういったことからも積極的にCSRやCSV、SDGsに取り組むことが重要です。

  • CSR(Corpotate Social Responsibility:企業の社会的責任)
  • CSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)
  • SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)

(引用:ソニー株式会社,「サステイナビリティ」, <https://www.sony.co.jp/SonyInfo/csr/eco/> , 2025年9月閲覧)

東京システムハウス株式会社

東京システムハウス株式会社は、2023年に「コミュニケーション推進」を立ち上げ、社内コミュニケーションの活性化に着手。オンラインカラオケの開催やオフィスイベントの実施など、部署や勤務形態を超えて交流できる仕組みを整えました。

その結果、2022年と2024年のエンゲージメントスコアを比較すると、「上司や同僚と気軽に会話できるか」という項目において改善が見られるなど、エンゲージメント向上に成功しています。

マキチエ株式会社

マキチエ株式会社は、2024年にourlyを導入。社内報やプロフィール機能を活用し、社員同士の理解を深めることで、コミュニケーションの質の向上を図りました。

その結果、組織全体に一体感が生まれ、新規参画者のオンボーディングにも良い効果を発揮。さらに、離職率は10.5%から5.4%へと大幅に改善しました。

アイリスチトセ株式会社

アイリスチトセ株式会社は、2023年にourlyを導入。社内報では部署紹介やサンクスリレー、部門長対談といったコンテンツを発信し、社員同士や組織理解を促進。また、プロフィール機能を活用することで、拠点や部署を超えた交流を後押ししました。

その結果、エンゲージメントサーベイにおいて「普段業務で関連する社員の顔と名前が一致する」という項目が10pt改善するなど、一体感の醸成とエンゲージメント向上に成功しています。

まとめ|従業員エンゲージメントの高い企業は強い

人事領域における「従業員エンゲージメント」、マーケティング領域で活用される「顧客エンゲージメント」の違いについて解説し、従業員エンゲージメントを向上させる具体的な施策と実際の企業事例について解説しました。

実際に自社で従業員エンゲージメントを向上させるためには「どのような施策が合っているのか」といったイメージを持っていただければ幸いです。またこちらの資料では、具体的な施策の考え方を解説しておりますので、ご活用ください。