MVVとは?有名企業の事例10選|上場企業100社のMVVまとめも
MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)とは?
MVVとは、ミッション(Mission)・ビジョン(Vision)・バリュー(Value)の3つから構成される企業の軸です。
ミッション・ビジョン・バリューはそれぞれ意味が異なりますが、互いに関係を持って構築されています。バリューはビジョンの土台となり、またビジョンはミッションの土台となる関係性を持ちます。
つまり組織は、独自の「ミッション」の達成のために、「ビジョン」を実現する必要性があります。そして、ビジョン実現のためのより具体的な価値基準として「バリュー」が定められているということです。
ここからは、MVVそれぞれの意味を、詳しく解説します。
M(ミッション):組織・会社の使命
ミッションとは、日本語訳の通り「使命」です。
なぜその組織が存在するのか。その組織が実現を目指す目標を意味します。
分かりやすくイメージするために、総合商社である三井物産を例にとって紹介します。
2020年5月1日に改定された三井物産のミッションは、
世界中の未来をつくる
(引用:三井物産, 経営理念, <https://www.mitsui.com/jp/ja/company/outline/idea/index.html>, 2020年9月閲覧)
大切な地球と人々の、豊かで夢あふれる明日を実現します。
となっています。
世界を相手にする商社としての覚悟や使命が感じられますね。
V(ビジョン):理想の組織像・会社像
ビジョンとは、「理想」の組織像・会社像です。
「使命を達成できる組織の状態」もしくは「達成した組織の状態」が表現されています。
三井物産のビジョンは、
360° business innovators
(引用:三井物産, 経営理念, <https://www.mitsui.com/jp/ja/company/outline/idea/index.html>, 2020年9月閲覧)
一人ひとりの「挑戦と創造」で事業を生み育て、社会課題を解決し、成長を続ける企業グループ
となっています。
これが三井物産の理想の組織状態であるとわかります。
V(バリュー):組織の価値観・価値基準
バリューとは、組織の価値観・価値基準を表します。
「ビジョンの実現のために社員はこのように行動すべきだ」というような価値基準が定められています。
三井物産のバリューは、
「変革を行動で」「多様性を力に」「個から成長を」「真摯に誠実に」
(引用:三井物産, 経営理念, <https://www.mitsui.com/jp/ja/company/outline/idea/index.html>, 2020年9月閲覧)
となっています。
ここでもう一度、三井物産のミッション・ビジョンを見返してみてください。4つのバリューが、ミッション・ビジョンの達成に繋がるように、一貫性をもって設計されていることがご理解いただけると思います。
このように、ミッション・ビジョン・バリューは関係性を持って構築されています。
有名企業のMVV事例7選
ここからは、有名企業7社のMVVを紹介します。各社、それぞれの社会に対する熱い想いが感じられます。
上場企業100社のMVVや経営理念を1つのシートにまとめた資料もご用意しております。実際のMVVを一気にまとめて見たいという方はこちらからご確認ください。
キリンホールディングス
キリンホールディングスは、世界規模で主にビールを扱う飲料メーカーです。キリンホールディングスは、ミッション・ビジョンを全社に浸透させることで事業成果を上げた実績があります。
キリンホールディングスのMVV改革・浸透については、こちらの事例集にてご紹介しています。MVVによって事業成果を上げる方法にご興味のある方は、併せてご覧ください。
ミッションを達成するための手段が明記されていることが特徴的です。また、食に関連するという扱う商材ならではの手段を交えたミッションが立てられていることがわかります。また、ビジョンには昨今話題のCSVが盛り込まれており、未来を見据えたビジョン計画ができていると感じられます。
ミッション
社会における永続的、長期的なキリンの存在意義
ビジョン
食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV先進企業となる
バリュー
熱意・誠意・多様性〈Passion. Integrity. Diversity.〉
コーポレートスローガン
よろこびがつなぐ世界へ
(引用:キリンホールディングス, 「企業方針」〈https://www.kirinholdings.co.jp/company/philosophy/〉, 2023年2月閲覧)
ユニクロ(ファーストリテーリング)
ファーストリテイリングは、世界を代表する日本発のアパレルブランドです。こちらのステートメントはみなさんお聞きしたことがあるのではないでしょうか。文言のスマートさや覚えやすさも大切であるということが感じられる良い例です。
ステートメントとミッションを達成するための大切にする価値観が詳細に定められています。
ステートメント
服を変え、常識を変え、世界を変えていく
ミッション
本当に良い服、今までにない新しい価値を持つ服を創造し、世界中のあらゆる人々に、良い服を着る喜び、幸せ、満足を提供します
独自の企業活動を通じて人々の暮らしの充実に貢献し、社会との調和ある発展を目指します
バリュー
お客様の立場に立脚
革新と挑戦
個の尊重、会社と個人の成長
正しさへのこだわり
行動規範
お客様のために、あらゆる活動を行います
卓越性を追求し、最高水準を目指します
多様性を活かし、チームワークによって高い成果を上げます
何事もスピーディに実行します
現場・現物・現実に基づき、リアルなビジネス活動を行います
高い倫理観を持った地球市民として行動します
(引用:FAST RETAILING , 「FAST RETAILING WAY (FRグループ企業理念)」〈https://www.fastretailing.com/jp/about/frway/〉, 2020年11月閲覧)
ヤフー株式会社
ヤフー株式会社は、検索エンジンなどを提供するIT企業です。
「便利」という言葉がこの会社では重要視されていることが想像できます。また、情報技術というIT企業ならではの方法でミッションを定めていることがわかります。
ミッション
UPDATE JAPAN
情報技術のチカラで、日本をもっと便利に。
ビジョン
世界で一番、便利な国へ
ステートメント
買いたいものが、すぐ手に入る。
知りたいことが、すぐわかる。
世の中を便利にすればするほど、
人はもっと自由に、人生はもっと豊かに。世界に誇れる便利さで、すべての人の可能性を引き出したい。
オンラインとオフラインの境界を無くし、
100を超えるサービスを通じて、
日本を、世界で一番、便利な国へ
(引用:YAHOO! JAPAN, 「ミッション・ビジョン・ステートメント」〈https://about.yahoo.co.jp/info/mission/〉, 2023年2月閲覧)
メルカリ
メルカリは、フリマアプリ「メルカリ」などのサービスを運営する会社です。
「世界的な」という文言から、日本だけでなく世界へと進出する目論見があることが感じられます。具体的な言葉を盛り込むと、その企業のミッションがより明確に見えるものです。
グループミッション
あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる
ミッション
新たな価値を生み出す 世界的なマーケットプレイスを創る
(引用:mercari careers, 「ミッションとバリュー」〈https://careers.mercari.com/jp/mission-values/〉, 2020年9月閲覧)
ソフトバンクグループ
ソフトバンクグループは、携帯事業をはじめとした、IT関連事業をとり行なっています。
IT企業ならではの「情報革命」というキーワードを用いて、経営理念を策定しています。経営理念・ビジョン・バリューのどれも分かりやすい端的な言葉で表されているのが特徴的ですね。バリューもよく世間に浸透しており、バリューに対する従業員の愛着度も高まります。
経営理念
情報革命で人々を幸せに
ビジョン
世界の人々から最も必要とされる企業グループ
バリュー
努力って、楽しい。
(引用:Softbank, 「経営理念・ビジョン・バリュー」〈https://www.softbank.jp/corp/aboutus/philosophy/〉, 2020年11月閲覧)
ランサーズ
ランサーズは、日本最大級のクラウドソーシング事業を行う会社です。こちらも人々の持つ力を効率よく活かそうとする、会社の事業に基づいたミッションが立てられていることが分かります。
ミッション
個のエンパワーメント
ビジョン
テクノロジーで誰もが自分らしく働ける社会をつくる
行動指針
最高か最速
プロフェッショナル
チーム・ランサーズ
(引用:Lancers, 「ミッション・ビジョン・行動指針」〈https://www.lancers.co.jp/mission/〉, 2020年11月閲覧)
ワンスター
株式会社ワンスターは、デジタルマーケティング領域のコンサルを強みとするグループ会社です。
「理念経営」の実践企業として、分かりやすく無駄のない理念が立てられています。
ビジョン
無数の新しい価値で、多数の世界一を
企業理念
Be STAR
基本的価値観
信頼:
信頼し合える関係を多く築いていたい。
多くの人から信頼されていたい。
開拓者精神:
自ら道を創り出したい。
新しい価値を生み出したい。
Win-Win:
自分だけでなく、
関わる全ての人が幸せな状態でありたい。
成長志向:
成長し続けたい。
環境に依存せず努力し続けたい。
社会的使命
新しい価値を生み出して、
顧客創造・顧客貢献を行い、
幸せの総量を増やす。
行動指針
「信頼」に基づく行動指針:
相手の立場・挨拶・感謝・No1・約束
「開拓者精神」に基づく行動指針:現場主義・挑戦・スピード・前向きな姿勢
「Win-Win」に基づく行動指針:自立・先義後利・情報共有・仕組み化・コスト意識・協力
「成長志向」に基づく行動指針:自責の念・当事者意識・チャレンジ・目的意識・学び教える・全力
ワンスターの理念経営について、詳しくはこちらをご覧ください。
MVVの浸透による成功事例3選
上場企業100社のMVVまとめ集
ourly株式会社では、上場企業100社のMVVや経営理念などを1つのシートにまとめた資料をお配りしております。
各社特色のある様々なMVVや経営理念の事例がまとめられています。策定にあたってぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
ご興味お持ちの方はぜひこちらよりダウンロードください。
ビジョンの刷新と浸透【シコー株式会社】
従来の企業理念が充分に浸透していないと感じ、ビジョンの刷新と社内報による発信による浸透をおこなっているシコー株式会社の事例です。ただビジョンを作るだけでは浸透しないと考え、仲間とビジョンを作り、コミュニケーションを取りながらWeb社内報で配信するという方法を選択したといいます。
30年以上勤続している従業員の木村さんは、Web社内報の導入により、経営陣の思いを理解して自分ごと化することができるようになったといいます。
全社員がMVVを解釈し、体現する【株式会社リブ・コンサルティング】
株式会社リブ・コンサルティングでは、「若い世代に選ばれ続ける会社」であるためにPhilosophy(理念・目的)による企業のブランディングをおこなっています。フロー型の日報によりMVVを体現した動きができているかを振り返り、ストック型の社内報によって社員と経営層にとってのMVVの解釈をすり合わせることで、ひとりひとりがMVVを体現できる環境を作っています。
社内報の運用が進むにつれて、従業員が組織の理念や文化を自分なりに言語化したものが蓄積されているといいます。経営層の思いと根幹が共通している「ひとりひとりの自社らしさ」が言語化されて広がっていくことが浸透につながると常務取締役・人事担当役員の権田様は考えています。
ビジョンの浸透により事業成果がアップ 【GMO NIKKO株式会社】
GMO NIKKO株式会社は、1人ひとりが「Surprising Partner」というビジョン自分ごと化し、行動できるようになってほしいという思いから、社内報でビジョンの発信をおこなっています。「Surprising Partner」であるためにと、社員自らが社内報を活用してノウハウ共有を積極的に行った結果、コンペの勝率にポジティブな影響を与えているといいます。情報を蓄積できるストック型の社内報だからこそ、ビジョンの浸透とノウハウの蓄積が同時に実現できています。
MVVの浸透施策
ここまでMVVの重要性について解説しましたが、実際には「MVVはあるけどなかなか浸透しない」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。ここからは、企業内にミッション・ビジョン・バリューを浸透させる具体的な方法やツールを解説していきます。
社内報
MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を社内で浸透させるためには、
・MVVを全従業員に直接発信する
・従業員がMVVに常にアクセスできる状態にする
ことが重要です。
MVVを全社に向けて経営層が直接発信することで、認識や解釈のズレを抑えられます。社内報を使うことで、トップダウンの情報共有を継続的におこなうことが可能です。
また、社内報は情報を蓄積できるストック型の施策であるため、従業員がそれぞれのタイミングでMVVを確認し、解釈する機会が生まれます。さらに、Web社内報であれば従業員がMVVに関する発信をどのくらい読んでいるかを測定し、浸透させるための対応を考える材料にもできるのです。
社内報は、企業の情報共有や社員間コミュニケーションの促進などに効果的な手法です。Web・冊子の両方で扱われるため、リモートワークを導入している企業でも活用できます。
MVVの浸透・共感に特化したWeb社内報 ourly
社内コミュニケーションの活性化や、理念浸透を促進させることを得意とする社内報ツールです。
記事に対するコメント・リアクション機能があり、情報共有が双方向のコミュニケーションになるよう活用することができます。
分析機能が充実しており、社員が記事をどれくらい読んでいるのかを確認し、社員に情報を浸透させるための施策を検討することが可能です。
ourly利用企業の支援を通じて蓄積した、豊富なweb社内報の活用事例・運用ノウハウをもとに専門コンサルティングチームが伴走支援。
リリース前には課題ヒアリングを通じて、定性/定量の目標設計を行い、リリース後は分析レポートを用いた定例ミーティングを毎月実施。効果検証と次の施策ディスカッションを行います。
さらに、社内報の記事作成代行や導入時の全社説明会の実施、社員へのライティング研修など、さまざまな支援策を提供しており、継続率は100%です。
クレドカード|目に付く場所に掲載する
クレドカードとは、従業員第一主義で有名なリッツ・カールトンが行っていたことで有名な施策です。クレドとは、企業の行動指針を表したもので、企業によってはバリューで表していたりとさまざまです。
クレドをカードに印刷して発行し、従業員に浸透させました。従業員はそのカードを携帯することで、日々確認することができ、クレド・バリューだけでなく、ミッションまで意識した意思決定と行動を取れるようになります。
クレドについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
1on1|上司が体現し、個別で確実に伝える
1on1とは、上司と部下で行われる、1対1の面談です。
ヤフーにて2012年から、社員6,000人を巻き込んで実施されていることで有名になりました。1on1では、会社のミッションを上司から部下へ、直接の会話を通して浸透させることが狙いです。時間的なコストはかかりますが、社員全体に徹底的に行える、堅実な方法だと言えるでしょう。
表彰・評価制度|評価に組み込む
ミッションやバリュー(行動指針)にあった行動をした社員を表彰・評価する制度です。四半期に1度表彰式を行ったり、日常的に評価し合う仕組みを導入してみましょう。
表彰や評価の際に押さえるポイントは、表彰・評価の基準を明確にして公表することです。「どんな活躍をしたら表彰されるのか」「どんな行動が評価されるのか」など、ミッションを意識した基準を設定しましょう。明確な基準があると社員は、目標設定をしやすくなります
表彰・評価の制度としては、ピアボーナス®️が有名です。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
「ピアボーナス®️」はUnipos株式会社の商標または登録商標です。
「ourly Magazine.」では商標権者Unipos株式会社から使用許諾を得た上で記事にしています。
MVVを浸透させるポイント
上述した方法などを使ってミッション・ビジョン・バリューを社内に浸透させる際に、押さえるポイントを紹介します。
中長期目線で行うこと
浸透が目に見える成果として現れるまでには、時間がかかります。徐々に社員の意識や行動が変わりはじめ、自社の価値提供が進み、ミッションやビジョンに示した社会が作られていくのです。
ミッション・ビジョンの達成が目的であることを意識して、施策の実施を継続しましょう。
MVVの意味・意図を経営者から伝えること
MVVの浸透には、「知っている」だけではなく、社員が「理解している」ことが大切です。
同じ言葉でも、人によって解釈や定義は異なる場合があります。
共通認識をとるためにも、経営者がミッションに関するコラムをかいたり、説明する機会を設けましょう。
経営者やリーダーが動くことの重要性は、弊社で行っているインビューの中でも明らかになっています。詳しくはこちらからご覧ください。
従業員自身でも同様に解釈させること
従業員にミッション・ビジョンの解釈をアウトプットする機会を与えてみましょう。従業員によって少しずつ異なる解釈を共有することで、ミッション・ビジョンを自分ごと化して再解釈することができます。
こうした取り組みは、企業のミッションと従業員の価値観を結びつけるため、エンゲージメントに良い影響を及ぼします。
浸透度合いを数字で測定する
MVVが浸透しているかどうかは、そのまま目で確認することはできません。そのため、数字を用いた方法で視覚化することにより、その浸透度を測定することができます。
・認知度・理解度についてアンケートをとる
・MVVに触れているかがわかるツールを利用する
などの方法で数値化を図り、浸透度を可視化することで現状の把握と施策の達成度が明らかになるため、より徹底したMVV施策をおこなうことが可能になります。
MVV策定・浸透のメリット
自社らしさ(カルチャー)の醸成
MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)が定まり、浸透することの大きなメリットは、「自社らしさが醸成される」ことです。
自社が向かう方向や、自社の提供する価値とは何かについての目線がそろうことで、従業員それぞれが「うちの会社はこうしてくべき」「こうあるべき」と考えるようになり、それが組織文化を醸成していきます。
従業員の自発的な行動の喚起
MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)が明確であり、従業員に浸透することで、従業員が自発的にMVVを体現した動きをするようになります。
MVVを体現した動きが増加するということは、会社がおこなうべき価値提供のために必要な行動・判断を従業員ひとりひとりが実行することを意味します。つまり、MVVが浸透することは、企業の提供価値を向上することにつながるのです。
エンゲージメントの向上
MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)が明示され、従業員に伝わることで、従業員が自分の仕事の価値や社会的意義を感じながら働くようになります。仕事にやりがいを感じることで従業員エンゲージメントが向上する点は、MVVの策定と浸透の大きなメリットです。
また、従業員にMVVが浸透していて、経営層による意思決定がMVVに基づくものであれば、従業員は経営層の判断に納得することができて、従業員エンゲージメントが向上します。
株式会社ペンシルでは、経営層と従業員間の双方向的なコミュニケーションにより経営層と従業員の間の認識をそろえることでエンゲージメントスコアが改善したといいます。
(エンゲージメントスコアが40.9→64.8と20ポイント以上アップ)
MVVの策定手順
これから社員を増やし、会社を大きくしていくにあたって、ビジョン・ミッション・バリューを策定される方に、具体的なつくり方を紹介します。
PEST分析を行う
PEST分析とは、政治(Polotics)、経済(Economy)、社会(Society)、技術(Technology)の4つの観点から、社会環境を分析するためのフレームワークです。顧客を取り巻く環境や、世の中の変化を捉えることができます。
ここでの目的は「自社は社会に対して、どのような使命を負おうとしているのか」「どのような課題を解決したいのか」を明確化することです。
社会環境の分析から始めることで、より腹落ちしたミッションの策定ができます。また、社員には共感してもらいやすくなるでしょう。
3C分析を行う
3C分析とは、顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)、3つの特徴から自社の戦略を設計するためのフレームワークです。顧客のニーズだけなく、競合の動きも分析することで、自社としては社会にどのような影響を及ぼしたいのかを、明確化することができます。
経営理念の作成においては、以下の視点を参考にし、分析を行いましょう。
- そもそも顧客にはどのようなニーズがあるのか。
- 競合はどのようなミッションを掲げているのか。
- 競合はどうやってニーズを満たそうとしているのか。
分析を基にミッションを定める
分析を基に、自社が社会に対してどのような使命を背負うのかを、言語化しましょう。
ミッションは経営理念の中で、最も重要な概念であると言われています。同業他社のミッションも参考にして、経営者が心から納得のいくものを作成してみましょう。
ミッションを基にビジョンを定める
ミッションを明確化したら、ビジョンを策定します。ビジョンとは、ミッションの達成で実現する、理想の社会・組織の状態です。
ビジョンは以下の2つの要素を組み合わせることで言語化しやすくなります。
- 事業に対する創業者の想い
- ミッションを基に、実現したい未来の社会・組織
押さえたいポイントとしては、ミッションと関連のあるビジョンにすることです。たとえば、スーパーマーケットを経営する企業のビジョンが『360° business innovators』(三井物産のビジョン)だったら違和感がありますよね。
自社の分野で実現したい社会・組織を言語化しましょう。わかりやすく、印象の良い文言であることも大切です。
ビジョンを基にバリューを定める
最後にバリューを策定します。バリューは企業の価値基準であり、社員の価値基準でもあります。言い換えると行動指針です。バリューには「ミッション・ビジョンの実現のために社員はどのような行動をとるべきか」を、わかりやすく言語化しましょう。
その例として、スターバックスのミッションとバリューの一部を見てみましょう。
ミッションは「人々の心を豊かで活力あるものにするために-」から始まります。そしてバリューは、「私たちは、Valuesを日々体現します」「お互いに心から認め合い、誰もが自分の居場所と感じられるような文化を作ります」など、より具体的な行動指標が制定されています。
以上5つステップにより自社に沿ったMVV策定の理解度はあがることと思いますが、自社の課題を自社だけで理解した上でMVVまで落とし込むのは非常に困難な作業になります。
MVV策定の注意点
ミッション・ビジョン・バリューを定めるにあたって、押さえたいポイントがあります。浸透しやすいミッションを策定するために参考ください。
共感しやすく、頭に残りやすい言葉で表す
社員・社会が解釈しやすいように端的な言葉で表しましょう。有名企業のミッションを見ても、短くわかりやすく策定されています。
必要がないと判断する場合は、MVV全てを設定する必要はありません。特にスタートアップの企業では、ミッションのみであったり、ビジョンのみを掲げている企業は少なくありません。大切なポイントは、経営者自身だけなく、社員や社会が、簡単に自分自身の価値観と照らし合わせて考えられるミッションであるかどうかです。
時代や社会性を考慮する
MVVは社外への影響力もあるため、「第三者が見たときにどう思うか」を考えることが必要です。特に昨今はSNSなどですぐに情報が広まる時代なので、その点を意識しましょう。
採用への好影響を期待するのであれば、新入社員の視点や言葉選びを取り入れてみると良いでしょう。求職者が共感しやすい言葉がすっと出てくるかもしれません。
策定しただけでなく、浸透施策も同時に検討する
皆さんもご理解の通り、ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)は策定したからといってそれが従業員に浸透するとは限りません。むしろMVVを策定して終わりにしてしまっては、企業側が一方的に従業員に押し付ける形になってしまい、企業への不信感が募ってしまう結果になりかねません。
そうならないためにも、ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)は策定とともにどうやって浸透させるかを一緒に検討することを意識しましょう。
MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を浸透させて組織を活性化
MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を策定し浸透させることは、組織の目線を揃え、従業員エンゲージメントの向上や会社の提供価値の増進につながります。
しかし、浸透させることは決して容易ではありません。
弊社がお話をお伺いした企業様からは、
「MVVを決めたはいいものの、浸透していない」
「発信はしているが、社内で認知されているのかわからない」
といった声が上がっています。
弊社は、複数企業様のMVV浸透をお手伝いしており、MVV浸透のための幅広いご提案が可能です。MVVの策定・浸透についてのご不安があれば、お気軽にこちらからご連絡ください。