モチベーションを上げる・維持する9つの方法とは?心理学の理論も解説

人が行動を起こす契機や刺激となるモチベーション。ビジネスにおいては、社員のモチベーションを上げる(あるいは高い状態で維持する)ことで、労働生産性の向上、離職率の低下や人材育成コストの削減が期待できるため、多くの企業でモチベーションが重要視されています。
そこでこの記事では、
- モチベーションが低下する原因
- モチベーションを上げる・維持するメリット
- モチベーションを上げる・維持する方法など
について徹底解説します。
この記事を読めば、社員のモチベーションを失敗することなく効率的に上げることができるはずです。
モチベーションとは

モチベーションとは、意欲の源となる動機・熱意・やる気のことを指します。
仕事だけでなく学業・スポーツ・音楽活動などありとあらゆるシーンで使われる用語であり、目的を持って行動する際のエネルギーだと言えるでしょう。
モチベーションを持って行動するか次第で成果が変わることもあり、特に仕事に対する高いモチベーションはパフォーマンス向上に役立つとして注目されるようになりました。
モチベーションを左右する要素として、「外発的動機付け」と「内発的動機付け」があります。下記でひとつずつ詳しく解説します。
外発的動機付け
外発的動機付けとは、周りから与えられる評価・報酬をモチベーションの源に変えることを指します。
高い収入を得るため、近しい人からの信頼や人気を集めるため、資格試験に合格するためなど、成果を重視することが特徴です。
モチベーションアップのために高い効果を発揮しますが、目標を達成してしまうと次の外発的動機付けが見つけられず、意欲を損ねてしまうことが考えられます。
内発的動機付け
内発的動機付けとは、自己の興味・意欲・関心をモチベーションの源に変えることを指します。
自分が好きなことだから努力する、自己満足のために行動するなど、自分の気持ちを優先することが特徴です。
具体的な目標がなくともモチベーションを維持しやすく、長期に渡ってコツコツ努力しやすくなるでしょう。
仕事と内発的動機付けが結びついている場合、より長期的なモチベーションが期待できます。
モチベーション上げる・維持する心理学の理論

ここからは、モチベーションを上げたり維持したりするための理論を心理学の観点から紹介します。
どんな要素がモチベーションに影響しているか改めて確認し、足りている部分・欠けている部分の認識に役立てましょう。
マズローの欲求5段階説
アメリカの心理学者であるアブラハム・マズローが提唱した「マズローの欲求5段階説」が、モチベーションについて考える際に役立ちます。
マズローは、人間の欲求が「生理的欲求」「安全欲求」「社会的欲求」「承認欲求」「自己実現欲求」の5段階に分かれると考えました。
生理的欲求は、食事・睡眠・排泄など生命維持に欠かせない基本的な欲求のことを指します。
生きていくための本能的な行動であり、どんなときでも優先すべき項目だと言えるでしょう。
安全欲求は、身の周りの危険から自己の命を守り、快適な環境を得たいと考える欲求です。
清潔な衣服・栄養のある食事・雨風をしのげる住居など衣食住環境を整備し、安定した生活を送るための欲求だと分かります。
社会的欲求は、コミュニティに帰属して仲間を得ようとする欲求です。
仲の良い家族・親しい友だち・切磋琢磨できる同僚などを得ることで、人の心理的安全性は格段に向上します。孤独感や社会的不安を感じないためにも、必須の欲求だと言えるでしょう。
承認欲求は、集団のなかでも特に秀でた人間であるとして評価されたいという欲求です。
周りから認められることが活動意欲の根源になるという考え方であり、前述した外発的動機付けに近いものです。自分が生きる価値を見出すためにも、人からの評価が欠かせないものだと分かります。
自己実現欲求は、前述した4つの欲求が満たされたときにはじめて生まれる欲求です。
個人の理想・目標に向かって行動したり興味・関心と周りへの還元を両立したりするフェーズであり、広い視点で自分の人生と向き合えるようになります。
基本的に下位の欲求が満たされていない限り上位の欲求を望むことはできないとしているため、モチベーションの要因がどこにあるかを探るために役立ちます。
ハーズバーグの二要因理論
アメリカの臨床心理学者であるフレデリック・ハーズバーグは、「ハーズバーグの二要因理論」を展開しています。
仕事内容や職場環境への満足度調査から提唱された理論であり、「満足を得るための要素(動機付け要因)」と「不満足になる要素(衛生要因)」とに分かれると考える理論です。
動機付け要因は、評価・昇進・昇給・成長の実感・目標達成など、獲得することで満足につながる要素のことを指します。
一方で衛生要因は職場内における人間関係・会社の方針・身体的安全性・心理的安全性など、不足があると不満足になる要素をことを指します。
つまり、モチベーションを上げるためには動機付け要因を十分確保する必要があるものの、衛生要因が多いと却ってモチベーションは下がってしまうという理論です。
どちらもバランスよく配慮していくことが、モチベーションを考える際のポイントだと言えるでしょう。
モチベーションが低下する5つの原因

ここでは、モチベーションが低下する要因を深掘りしていきます。
時に退職・休職・メンタルヘルスの悪化などにつながるケースもあるため、モチベーションだけの問題と捉えず確認していきましょう。
人事評価への不満
人事評価への不満があると、努力が正当に評価されない体制であるとしてモチベーションが低下します。
「頑張っても無駄だ」「どうせ評価されない」というマイナスインセンティブになりやすく、組織全体への信頼も損なわれてしまうでしょう。
言われたことだけを粛々とこなす最低限の働きをしやすくなるため、パフォーマンスも低下しやすくなります。
自分の仕事への不満
職務・配属部署・担当プロジェクトなど、自分の仕事に対する不満がある場合もモチベーションの低下につながります。
また、責任のない仕事だけを淡々とやらせたり自分の適正と全く反する仕事に従事させられたりすることも、不満の原因となるでしょう。
反対に、自分のスキルや経験を最大限活かせる仕事を任せてもらった場合、自然とモチベーションが上がります。
働き方への不満
残業や休日出勤が多い、家族帯同での頻繁な転勤で負担がかかる、ワークライフバランスが取れないなど働き方に関する不満がある場合もモチベーションに影響します。
近年は「テレワークできる仕事であるのに出勤を強制される」「フレックス制度があるはずなのに事実上朝早くからの出勤が当然になっている」など、多様化する働き方に合わせた悩みが生まれるようになりました。
長く続けられる仕事ではないと判断され、退職・転職につながってしまうことも多いです。
将来に対する不安
10年20年後のキャリアプランが描けず、将来に対する不安が根強い場合も就業のモチベーションを欠いてしまいます。
先輩社員がキャリアアップせず何年も同じポジションで働いている、スキルアップしても勤続年数が上がっても昇進しないなど、不安視されやすい要素があるときは注意しておきましょう。
また、結婚・妊娠・出産・子育て・介護・怪我・病気・住宅購入などライフプランの変化に伴って生まれる不安もあります。
人間関係への不満
職場内いじめ・パワハラ・セクハラなど深刻な人間関係への不満を抱えている場合、モチベーションは著しく下がります。
ちょっとしたやりづらさや折り合いの悪さから居心地の悪さを覚えることもあるでしょう。
上司・経営層に相談しづらいと考えて悩みを抱えてしまう人も多く、問題が表面化しづらいことも注意点です。
モチベーションを上げる・維持する3つのメリット

次に、モチベーションを上げる・維持することでどんなメリットが生じるか、チェックしていきましょう。
本人だけでなく会社の経営上のメリットも多いため、下記をご参考ください。
労働生産性が高まる
モチベーションが高いと、ひとりあたりの労働生産性が高まります。
会社やチームに貢献しようという前向きな姿勢が育まれるため、収益向上施策としても有効です。
また、周りからの期待に応えようとしたり自ら積極的に意見やアイディアを発信したり、意欲的な働きを見せることも多くなります。
高いパフォーマンスを発揮してほしい企業こそ、モチベーション管理を徹底することがおすすめです。

離職率が下がる
モチベーション高く働けていると仕事をすること自体が楽しくなり、離職率が下がります。
新規に採用しなければいけない人数が減り、採用・育成コストを圧縮することができるでしょう。
また、社員が長期間かけてナレッジやノウハウを習得するサポートができ、企業成長を支える根幹にもなります。
人材育成コストを削減できる
モチベーションが高い社員が多いと、人材育成コストを削減できます。
自発的にスキルアップセミナーに通ったり積極的な社内コミュニケーションを取ったりするため、経営層が無理に牽引しなくても問題ない組織として確立するでしょう。
自走力がある組織になることで、細かな研修・育成をする必要がなくなるのです。
また、1回の研修で多くのノウハウを学んだり研修に参加していなかった社員に情報共有したり、育成にかける手間を削減する効果も期待できます。
モチベーションを上げる・維持する9つの方法

最後に、モチベーションを上げる・維持する方法を解説します。
自社に合った施策を立てるためにも、下記の内容を参考にしてみましょう。
適切な人員配置を行う
個人ごとに異なる適正・スキル・資格・経験を最大限活かせるよう、適材適所の人材配置をおこないましょう。
また、人間関係に配慮した人事案を検討することも効果的です。
業務に集中しやすい環境を作ることで高いパフォーマンスを発揮できるようになり、結果的に周りから評価されることでモチベーションを上げる効果が期待できます。
昨今は、適材適所の人材配置を行う「タレントマネジメント」にも注目が集まっています。詳しくは以下の記事で解説しています。

人事評価制度を見直す
人事評価制度を見直し、結果や努力に応じて正当に評価するシステムを作っていきましょう。
年功序列や勤続年数による評価だけでなく、成果・成績・結果を可視化して評価してくれる企業であれば、パフォーマンスをより向上させようと考える社員が増えるでしょう。
また、努力する姿勢や仕事との向き合い方など数値に見えない部分も評価する場合、若手社員や経験年数の浅い人材も前向きなモチベーションを持ちやすくなります。
実例として、考え抜かれた人事評価制度を背景に、「働きがいのある会社ランキング」に7年連続ランクインしたナイル株式会社を紹介します。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

ワークライフバランスを整える
ワークライフバランスを整えることも、モチベーション向上に効果的です。
例えば無理な残業・休日出勤を廃止するためにノー残業デーを導入したり、有給取得率を向上させて休みやすくしたりする方法があるでしょう。
プライベートとのオン・オフを上手に切り替えることができれば、仕事に集中しやすくなります。
過労や睡眠不足によるパフォーマンスダウンを防ぐ手法としても有効であるため、働き方改革も兼ねて実施してみましょう。
職場環境を整える
職場環境を整え、心理的安全性を高めることでモチベーションを上げることも可能です。
例えば積極的な意見・アイディアの発信や新たな挑戦を歓迎する社風であれば、「自分でも手を挙げて発言していい」という心理的安全性を高められます。
また、失敗やミスがあっても必要以上に責めることなく、お互いカバーしあう風習が根付いている企業であればエンゲージメントも高くなるでしょう。
怪我をしない安全な職場を作ることはもちろん、気持ちの安全についても考える必要がありそうです。

社内コミュニケーションを活性化させる
社内コミュニケーションを活性化させ、上司・同僚・部下と共に努力するイメージを共有することもモチベーションにつながります。
人間関係がよく風通しのよい職場であれば社内コミュニケーションも活性化しやすくなり、業務上の連絡漏れやミスを減らすことができるでしょう。
普段やり取りしない部署と交流したり経営層からのメッセージを頻繁に目にする機会があれば、会社全体への理解度も上がります。
「この会社だからこそ頑張りたい」というモチベーションを喚起できれば、高いパフォーマンスを発揮する組織となるでしょう。

挑戦しやすい環境・制度をつくる
新たなチャレンジを歓迎し、挑戦しやすい環境・制度を作ることも効果的です。
例えば立候補制度を構築して、次年度自分が異動したい部署・支店・役職に対する熱意やアピールを募ってもよいでしょう。
企画力やプレゼンテーション能力を競う社内イベントを実施し、高いスキルを持つ人を表彰する手法もあります。
ミスや失敗を恐れず挑戦する人材が増えれば、組織の成長を支える要因となります。

非金銭的なインセンティブを導入する
給与・賞与とは別に非金銭的なインセンティブを導入し、承認欲求を満たしていく手法もあります。
前述した社内イベントによる表彰は、非金銭的なインセンティブとして有名です。
その他、希望するプロジェクトへ優先的に関われる、親会社に勉強も兼ねて栄転出向できるなどさまざまな取り組みが考えられます。
挑戦を促進する取り組みとしても有効であるため、導入を検討してみましょう。
キャリアデザインを明確にさせる
1on1ミーティングや全体研修の場で、キャリアデザインに関する訴求をしてもよいでしょう。
個別でコミュニケーションができる場では、本人が今後進みたい道や希望する給与・役職に対し、どんな努力が必要か提示していくことができます。
全体研修や社内報など大勢に向けて情報発信できる場では、既に出世している社員に対しこれまでのキャリアパスをインタビューしたり会社が用意しているキャリアを提示したりすることが可能です。
自分の将来に対する明るい展望が持てると、モチベーションも上がりやすくなるでしょう。

企業のミッションやビジョンを伝える
入社時の説明・社内ポータルサイト・社内報・研修などをフル活用し、自社のミッション・ビジョン・バリューを伝えることもモチベーションアップ施策として有効です。
会社が目指す方向性と自分の努力の方向性とをすり合わせできれば、目的意識を持って業務に取り掛かりやすくなるでしょう。
また、会社が欲している人材像に合わせて努力するなど評価につながる努力を欠かさず、モチベーションに変えていく方法もあります。
高いエンゲージメントを育成できれば、内発的動機付けにも役立ちます。
ミッションやビジョンを伝える場が十分かもう一度検討し、不足があれば訴求手段を考えていくことがおすすめです。
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モチベーションを上げることができれば、労働生産性の向上・離職率の低下・人材育成コストの削減などさまざまな効果が期待できます。
従業員満足度やエンゲージメントも上がりやすく、社員にとっても会社にとってもwin-winな組織となるでしょう。
社内報によるミッション・ビジョン・バリューの浸透や社内コミュニケーションの活性化がモチベーションに与える影響も大きいです。
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