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ステークホルダーとは?利害関係者が企業の経営で注目される理由を解説

ステークホルダーとは、企業の経営活動によって影響を受ける利害関係者を指します。「Stakeholder(掛け金の保有者)」が語源とされ、株主や顧客のほか、従業員や地域社会といったさまざまな人や組織を意味するビジネス用語です。

社会的な責任が問われる昨今、企業にはあらゆるステークホルダーと良好な関係を築く姿勢が求められます。また、ステークホルダーはシチュエーションによって意味合いが変わる用語であるため、使用時には注意が必要です。

本記事では、ステークホルダーが注目される理由やステークホルダーマネジメントの4ステップ、用例のほか企業事例などを解説します。

目次

ステークホルダーとは

ステークホルダーとは、企業活動によって生じる利害関係の対象となる個人やグループを指すビジネス用語で、直接的・間接的な影響に関わらず広範囲の対象に使われます。利害関係者といえば、顧客や株主、従業員がすぐに思い浮かぶでしょう。企業活動により恩恵を受ける人々です。

ステークホルダーは、こうした直接的に影響を受ける対象だけを指すのではありません。企業が属する自治体や、必ずしも利害が一致するとは限らない競合他社までが含まれます。つまり、「企業が活動することにより、何らかの影響が及ぶ対象すべて」がステークホルダーといえるのです。

直接的ステークホルダー

直接的ステークホルダーとは、企業活動が直接的に影響を与える範囲の個人や団体を指します。例を挙げると以下のものが該当します。

  • 自社の従業員
  • 商品・サービスの消費者(顧客・クライアント)
  • 自社の株を保有する株主
  • 仕入れ先等の取引業者
  • 融資元である金融機関

企業の業績の浮き沈みにより利益が大きく左右される関係にある対象が、直接的ステークホルダーと呼べるでしょう。

間接的ステークホルダー

間接的ステークホルダーは、企業活動の影響を間接的に受ける個人や団体のことを指します。企業活動にダイレクトな影響を与えたり、与えられたりすることはありませんが、少なからず何らかの影響を受けることになります。

  • 地域社会や住民
  • 従業員の家族
  • 労働組合
  • 企業が所属する自治体・政府
  • 直接取引のない企業(競合他社を含む)

企業が活動することにより、何らかの影響を遠因的に受ける個人や団体が、この間接的ステークホルダーにあてはまります。

ステークホルダーと似たビジネス用語

ステークホルダーとよく似たビジネス用語に、「ストックホルダー」「シェアホルダー」があります。ここで違いを整理しておきます。ステークホルダーは影響を受ける広範囲の団体や個人を指すのに対し、ストックホルダーやシェアホルダーは「株主」に限定した用語です。

ストックホルダーは、単に自社の株を保有している株主を指します。シェアホルダーは、ストックホルダーのなかでも、特に自社の経営に大きな影響を及ぼす大株主を区別する用語です。

ステークホルダーの用例

ステークホルダーは、企業活動が影響を及ぼす、あるいは及ぼされる広範囲を対象とするものであり、それらを包括的に呼称する際に使われる言葉です。日常業務のレベルで、顧客や取引先のことをステークホルダーと呼ぶことはありません。

むしろ、企業全体に及ぶ話題や、社会と自社の関わりを論点とする際に使われることが多い用語です。ひとことでステークホルダーといっても、企業により定義が違うこともあるでしょう。また、利害関係の対象により、使用する文脈やニュアンスにも違いがでてきます。

ステークホルダーが株主を指す場合

株主を対象にステークホルダーという言葉を使用した場合の用例は、以下のようになります。

「ステークホルダーの利益を第一に考えた企業経営を目指す」

「株主総会ではステークホルダーの疑問に答えられるよう入念な準備が必要だ」

ステークホルダーを株主に限定するのであれば、ストックホルダーやシェアホルダーを用いたほうが誤解が少ないかもしれません。

ステークホルダーが従業員を指す場合

ステークホルダーが従業員を指す場合は、以下のような例で用いられます。

「すべての従業員は自社のステークホルダーの一員である自覚を持つべきだ」

「ステークホルダーとの情報共有は、社内の信頼関係構築に欠かせないものだ」

従業員を対象にステークホルダーを使用するのは、経営の視点を従業員に意識させたい場面で用いられることが多いようです。

ステークホルダーが地域社会を指す場合

ステークホルダーが地域社会を指す場合は、以下のような文例になります。

「ステークホルダーの理解が得られるよう説明責任を果たしていく」

「会社が社会的責任を果たすには、ステークホルダーを意識した取り組みが必要だ」
近年の企業経営においては、社会貢献が重要視される傾向が強くなりました。こうした文脈でステークホルダーが用いられることは、今後増えていくでしょう。

ステークホルダーが企業の経営で注目される理由

近年、ステークホルダーという用語が注目されはじめた理由は、「企業の社会的責任(CSR)」が重視されるようになったことが挙げられます。かつて、企業は自社の利潤のみを追求することが、存続に必要なことと捉えられていました。

近年、社会構造が大きく変化していくなかで、社会を構成する一員として企業にも厳しい目が向けられています。企業が発展・持続するためには、社会の持続・発展が不可欠であるという考え方が一般的になりました。企業倫理を問われる不祥事が頻発したことも、こうした風潮に拍車をかけたのでしょう。

ステークホルダー資本主義とは

ステークホルダー資本主義とは、直接的・間接的に関わらず、企業経営を通じてすべてのステークホルダーに利益をもたらすことを目指す、長期的な企業経営のあり方を指します。顧客・取引先や従業員だけでなく、行政・地域・社会、地球環境までを含めた、企業活動を取り巻くすべての相手との良好な関係構築を目指すものです。

2019年、アメリカの主要企業が参加するロビー団体「ビジネス・ラウンドテーブル」が、株主資本主義を脱却し、ステークホルダー資本主義に移行すると宣言したことで注目を集めました。その翌年の「ダボス会議」では、「ステークホルダーがつくる持続可能で結束した世界」というテーマが掲げられ、ステークホルダー資本主義が提唱されています。

ステークホルダーマネジメントの4ステップ

ステークホルダーマネジメントとは、企業活動に関わるすべての利害関係者を分析し、計画的に管理することで良好な関係を目指すものです。ステークホルダーマネジメントは、以下の4つのステップを経て実行されます。

  • ステップ1.ステークホルダーの把握
  • ステップ2.ステークホルダーの分析
  • ステップ3.ステークホルダーの合意獲得
  • ステップ4.ステークホルダーの管理

ステップ1.ステークホルダーの把握

まず自社のこれまでの活動と今後の事業計画を踏まえ、影響が及ぶ個人や団体をリストアップしていきます。企業規模によっては、数万規模のステークホルダーリストが作成されることもあります。

リストアップされた利害関係者は、企業活動が与える影響の種類や範囲によって分類し、相関図を作成するなどして把握するとよいでしょう。それぞれのステークホルダーとの関わりを明確にし、次のステップで評価していきます。

ステップ2.ステークホルダーの分析

ステップ1でリストアップした、ステークホルダーが持つ影響度や範囲を評価・分析する段階です。それぞれのステークホルダーが持つ権限や影響力を評価し、キーパーソンや優先順位を決めていきます。

ステークホルダーの属性が明確になったら、それぞれの影響度や関心度から、どのようなアプローチが有効か分析していきます。一覧表を用いた分析や、影響度と関心度の2軸で分析するマトリクス分析の手法を用いるのが一般的です。

ステップ3.ステークホルダーの合意獲得

ステークホルダーの把握・評価・分析を経て策定した行動計画を、各ステークホルダーに説明し、合意を獲得するプロセスです。ステークホルダーの重要度や影響度に応じた適切なコミュニケーションにより、関心度を高めてもらい合意を取り付けていきます。

コミュニケーションの手法は、株主総会などの全体への説明だけではありません。個別の訪問や電話・郵送などあらゆる方法でおこない、事業活動へ積極的な関与をお願いしなくてはならないでしょう。ステークホルダーによっては利害が一致せず、難航することも考えられるため、丁寧かつ真摯な姿勢でのぞむことが求められます。

ステップ4.ステークホルダーの管理

各ステークホルダーの合意を得られたら、その後は取り決めが守られているか、計画どおりに進んでいるかといった確認作業が必要になります。同時に、各ステークホルダーの影響度や関与度の見積もりが適性であったか、今後修正の必要はないかといったことも確認しなくてはなりません。

それぞれのステークホルダーの状態を把握し管理することにより、問題への対応や計画を見直し最適化を図っていきます。

ステークホルダーに対する企業の取り組み事例

企業によりステークホルダーに対する考え方は違ってきます。ここでは特徴的な取り組みをしている2社の事例を比較することにより、その違いをみていきます。

  • キリングループ|地域社会への貢献
  • JSR株式会社|従業員一人ひとりを尊重

詳しくみていきましょう。

キリングループ|地域社会への貢献

飲料事業を展開するキリングループが掲げるのは、キリングループ独自のCSVを実現するために、事業活動を通じてステークホルダーと共有価値の創造を目指すことです。

キリングループは、地域社会を自社の事業活動の基盤として捉えています。地域社会とのつながりを深めることで、コミュニティーの豊かさや活気に貢献し、共に健全で持続的な発展をしていくことを目指しています。

JSR株式会社|従業員一人ひとりを尊重

半導体事業を中心に事業活動をおこなうJSR株式会社では、経営方針に「各ステークホルダーへの責任」を明確にし、それぞれに対する対話方法や機会を定めました。

特に、従業員に対するアプローチは特徴的です。研修制度や表彰制度が充実しており、人材が活躍し成長できる環境の整備に努めています。従業員の意識調査など、エンゲージメント向上の取り組みも充実しており、組織風土改革に対する活動も活発です。

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ステークホルダーとの良好な関係が企業を成長させる

企業の社会的責任が重視される昨今において、事業活動を取り巻くステークホルダーと良好な関係を構築することが発展には不可欠です。ステークホルダーの関心度を高め、事業活動への協力を引き出すことが、企業価値を高めることにつながるでしょう。

自社の従業員も大切なステークホルダーです。事業活動に積極的かつ、高い熱意を持って関与してもらえることが理想です。そのためにはWeb社内報を活用し、企業の姿勢を知ってもらうことが有効な施策となるでしょう。

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この記事を書いた人

Kanei Yoshifusaのアバター Kanei Yoshifusa ourly株式会社 コンサルティングセールス・組織開発チーム

前職は店舗ビジネス向けの業務効率化SaaS事業を展開する企業でCSに従事。
その後、ourly株式会社に参画。
200社以上の企業に組織課題解決の提案、現在30社の組織開発を支援。
富山県上市町出身。趣味は筋トレ/声マネ/滝行。

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