テレワークの生産性が低い理由は?向上に効果的な対策を解説
コロナ禍の感染対策でテレワークが急速に広まり、多様な働き方の一つとして定着してきました。
その一方、テレワークがもたらす生産性の低下がさまざまな調査で報告され、業務環境の整備やコミュニケーション機会の確保に注目が集まっています。
本記事では、
- テレワークで業務の生産性が下がる理由と対策が知りたい
- テレワークの生産性向上のために社内の体制や環境を見直したい
- 海外のテレワーク事情を知りたい
以上のような方々の参考となるよう、テレワークが生産性の低下を引き起こす4つの理由と向上に必要な対策、そして今後の課題について解説します。
日本のテレワーク生産性は低い?
働き方改革が注目されるようになってからテレワークを導入する企業の数は年々増加し、新型コロナウイルス感染症対策をきっかけにさらに導入数が伸びました。
一方、「テレワークは生産性が低くなる」という声があることも事実です。
経済産業省の調査(※1)では、「在宅勤務のほうが生産性が低い」と回答した企業は全体の92.3%を記録しています。従業員側も同様の気持ちを抱いていることが多く、82.0が「在宅勤務のほうが生産性が低い」と回答しました。
一方、日本を含む世界5ヶ国を対象としたレノボ・ジャパンの調査(※2)では、「テレワークへ移行後、通常と変わらない業務体制の維持ができているか」に対しもっとも「混乱中」答えた割合が高いのは日本であるという結果が出ています。
世界と比較して、日本のテレワーク生産性が低いことが分かる調査だと言えるでしょう。
(※1)引用:経済産業省, コロナ禍の経済への影響に関する基礎データ, 〈https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/seicho/seichosenryakukaigi/dai7/siryou1.pdf〉2022年6月閲覧
(※2)引用:レノボ・ジャパン合同会社, レノボニュースルーム, 〈https://www.lenovo.com/jp/ja/news/article/2021-4-21?orgRef=https%253A%252F%252Fwww.google.com%252F〉2022年6月閲覧
テレワークで生産性が低くなる4つの理由
では、テレワークで生産性が低くなってしまう理由はどこにあるのでしょうか。
下記では、テレワーク中に発生しがちな問題点を解説します。
作業環境の整備が不十分
作業間環境の整備が不十分な場合、オフィスワークと同様のパフォーマンスを発揮することはできません。
例えば自宅のインターネット通信環境が整っていない場合、低速回線でオンラインミーティングしてコミュニケーションに支障が出るなど大きなストレスが生じます。
処理速度の早いパソコン・プリンター・スキャナー・ヘッドマイクの有無なども影響するでしょう。
机周りの環境や生活音も干渉しやすく、作業に集中できなくなるケースがあるのです。
コミュニケーションのとりづらさ
テレワークでは、チームメンバーや上司とのコミュニケーションが取りづらくなりがちです。
報告・連絡・相談が滞ってミスコミュニケーションが生まれたり、作業の重複が後から発覚して時間を無駄にしたり、業務に支障が出ることもあります。
また、気軽な雑談ができなくなり孤独感を覚えたり、愛社精神が育たず離職につながったりすることもあるでしょう。
コミュニケーションは業務面にも精神面にも大きな影響を与えると理解しておく必要がありそうです。
進捗状況の把握が困難
チームメンバーが離れた場所で働くテレワーク中は、進捗状況の把握が難しくなります。
「1日1回送信されてくる日報でしか進捗が分からない」
「細かく進捗を確認しようとするとメールや電話の頻度が上がり煩わしい」
などの悩みが出るでしょう。
プロジェクトリーダーやマネージャーは部下の働きぶりが見えないことに不安を抱くことも多く、管理・監督のハードルが上がります。
管理不足が常態化すると従業員も不満を抱えることになるため、早急に対処する必要があります。
労働管理の難しさ
出勤・退勤という明確なボーダーがなくなるため、労働管理が難しくなります。
勤怠管理にかかる手間暇が多くなり、本来の業務に集中できなくなることもあるでしょう。
また、「着席中か離席中か分からず音声通話をかけづらい」など業務進捗にかかわる悩みや、「人事評価をしたいが数値材料しかそろわず情意評価ができない」などの悩みも生じます。
納得感の高い人事評価が得られないとモチベーションが下がり、生産性も悪化するため大きな課題と言えるでしょう。
テレワークで生産性を向上させる4つの対策
前述したテレワーク特有の課題を踏まえ、ここではテレワーク中の生産性を向上させる施策を紹介します。
該当する課題があった場合は、ぜひ参考にしてみてください。
作業しやすい環境の整備
テレワーク中でも作業しやすい環境を整備し、目の前の業務に集中する工夫を凝らしましょう。
例えばペーパレス化を図りすべての業務をオンライン(もしくはシステム)上で完結できるようになれば、郵送物のやり取りに伴うコストやタイムラグを削減できます。
家族など同居する人がいて集中しづらい場合やデスクなどが整っていない場合、サテライトオフィスやコワーキングスペースの定額利用を活用する方法もあります。
ソフト面・ハード面どちらの環境も整備できるよう、まずは今の状況を見直してみましょう。
コミュニケーション機会の確保
テレワーク中でも円滑なコミュニケーションができるよう、コミュニケーション機会を確保することも大切です。
いつでも気軽に話しかけられるようにチャットツールを導入するなど、オフィスワークでは使わなかったツールを活用してもよいでしょう。
空き時間に社内情報を収集できる社内報・社内ポータルサイトを活用したり、社内SNSの「いいね」などを活用し頻繁にチームメンバーとつながったりすることも効果的です。
進捗状況の「見える化」
進捗状況の「見える化」を図り、細かな声かけがなくとも情報が1ヶ所に集約する工夫を凝らすのもおすすめです。
プロジェクト管理ツールを導入しリアルタイムで状況を更新したり、事前にガントチャートを作成しプロセスを可視化したりする方法もあります。
また、プロジェクトリーダーやマネージャーだけでなくチームメンバー同士でも進捗を把握できるようにすれば、「手が空いたから〇〇さんを手伝おう」など自発的な判断がしやすくなります。
労務管理の見直し
労務管理の手法を見直し、業務に集中する時間を確保することも大切です。
例えばオンライン上で勤怠申請できる勤怠管理システムを導入したり、パルスサーベイを導入して熱意ややる気を数値化したりするのもよいでしょう。
人事評価が客観的かつ透明性の高いものになるため、従業員満足度も向上します。
また、定期的にリフレッシュタイムを設けるなど、ストレス緩和施策を打つのもおすすめです。
テレワークの生産性が向上した事例
さまざまな施策を打ち、テレワーク環境下でも生産性を向上させている企業があります。
下記では代表的な事例を紹介するため、参考にしてみましょう。
NTTコミュニケーションズ
NTTコミュニケーションズでは、2022年2月から全社的にテレワークを導入しています。
通勤時間がなくなったことで自由時間が増え、リフレッシュや休養をする余裕が生まれました。
また、残業が少なくなる、会議の開催頻度が高くなり情報共有が盛んになる、などのメリットも生まれており生産性が高い状態をキープしています。
組織サーベイでも「生産性高く働ける」と回答した従業員が全体の半数を超えるなど、メリットが大きいことが分かります。
チューリッヒ保険会社
チューリッヒ保険会社では、2020年4月にコールセンターを含む全部門の95%をテレワークに移行しています。
2012年頃から同業他社に先駆けて仮想デスクトップを導入した実績もあり、ITの活用に積極的であるとわかるでしょう。
個人情報を守るパソコン・音声基盤システムなどを採用するなど。テレワーク中のオペレーション向上に向けた施策をおこないました。
テレワーク中でもお客様満足度が下がらず、高い生産性をキープできていると分かる事例です。
URL:会社概要|チューリッヒ保険会社
テレワークの生産性をめぐる今後の課題
テレワークの課題は、作業環境・業務環境の整備や社内コミュニケーションの充実により大半は解消できます。
しかしまだ残されている課題も多く、長期的な悩みとなる可能性があるでしょう。
下記では、今後も不安視されるテレワークの課題について解説します。自社であればどう対処するか想像しながら、目を通してみましょう。
エンゲージメント向上
テレワーク中は「業務パフォーマンスを上げること」「目に見える形で成果を出すこと」に終始しやすくなり、チームビルディングが後回しになりがちです。
結果としてエンゲージメントが向上せず、より好待遇で迎えてくれる企業があれば離職してしまうリスクが出てきます。
企業理念の浸透・社内コミュニケーションの活性化・定期的な1on1ミーティングなど多彩な手を打ち、エンゲージメント向上施策としていくことが求められます。
教育プログラムの見直し
全員が1ヶ所に集合して実施する教育・研修がしづらくなるため、教育プログラムそのものを見直す必要があります。
OJTなど現場主体の学びもできなくなるため、新しく社員が入ったときのことも想定しておくことが欠かせません。
デジタル教材を使って自宅における自発的な学びを喚起したり、テレワーク向けの教育プログラムを導入したりするのがおすすめです。
長時間労働の防止
プライベートと仕事の境界線が曖昧になるテレワーク中は、だらだら残業していつの間にか長時間労働に至るケースも少なくありません。
勤怠システム上は退勤していたことになっていても「隠れ残業」が常態化するなど、マネージャーの見えない部分で長時間労働してしまうこともあるのです。
労働時間を適切に管理できるよう、パソコンのログインシステムや勤怠管理システムなどを活用して意識づけをおこないましょう。
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