VUCAの意味や読み方は?VUCA時代に必要な組織作りとスキルを解説
昨今のITやAIを代表とするテクノロジーの発展やグローバル化などによって、世界中ではさまざまな変化が生じ、その変動の予測は難しくなりました。
そんな変化の激しい時代において、VUCAそのものを認識していない、またその対応策を行えていない企業は、世界で起こっている変化に取り残されてしまいます。
世界の潮流に乗り遅れないためにも、まずは現状を認識し、そしてその対策を考える必要があります。
この記事では、
・VUCA時代とは何なのか
・VUCA時代に求められる組織作りのあり方
・VUCA時代における具体的な企業施策
について述べ、VUCAの基礎からわかりやすく解説します。
VUCA(ブーカ)とは?
VUCA(ブーカ)とは簡単にいうと、ビジネスを取り巻く未来が変動的で不確実であることを指します。
テクノロジーの発展やグローバル化などによって社会の構造は大きく変化し、人々の求めるものや国・社会的規範など、ビジネスを取り巻くさまざまな事柄も大きく変化しています。
Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとった言葉で、予測不可能な未来の状態を表しています。
VUCAは、米ソ冷戦後の不安定な情勢のなか、米国において使われ始めた軍事用語です。世情の不確実性が加速した2010年代から、ビジネス用語としても使用されるようになりました。
VUCAが注目されている背景
VUCAはなぜ注目を集めているのでしょうか?
現在、テクノロジーの発展やグローバル化などによって社会の構造は大きく変化し、人々の求めるものや国・社会的規範など、ビジネスを取り巻くさまざまな事柄も大きく変化しています。これにより、新たな競争相手や市場の動向を把握することが困難になり、地域や国ごとの政治や経済の不確実性にも影響を受けやすくなっています。
また、自然災害や気候変動などの環境変化に対応するための柔軟性や迅速な行動、従来からの新たなリーダーシップのアプローチや組織のあり方が求められています。社会環境の変化によって、従来のビジネスモデルが通用しなくなったのです。
こうした不確実性の高まりを背景に、ダボス会議や経済産業省がVUCAに言及したことで、日本国内でも注目を集めるようになりました。
以下では、変動性・不確実性・複雑性・曖昧性それぞれについて、VUCAでの用いられ方と例を上げながら、詳細に解説します。
Volatility(変動性)
「変動性」という意味です。物事の変わりやすさやその不安定さを指します。
ネット辞書の「英辞郎」によると、volatilityの意味は、
1. 〔価格などの〕不安定さ、変わりやすさ、変動性
(引用:英辞郎 on the WEB, 「volatilityの意味・使い方」, 〈https://eow.alc.co.jp/search?q=volatility〉, 2020年9月閲覧)
2.《株》乱高下
3. 《経済》予想変動率
と紹介されています。
VUCAにおいては、人々の趣向や経済、価値観など、あらゆるものが移り変わりやすいという意味で用いられています。
SNSの浸透やグローバル化によって、これまで以上に世界を跨いだ情報の流通が促進され、新規トレンドや多様な価値観が浸透しやすくなっているのです。
具体例として、「日本におけるソーシャルメディアの変遷」が挙げられるでしょう。TwitterやInstagram、Youtubeなど、短期間の間にさまざまなソーシャルメディアが登場し、その移り変わりが起こっています。
Uncertainty(不確実性)
「不確実性」という意味です。物事の成り行きが不確実で、確信が持ちにくい状況のことを指します。
ネット辞書の「英辞郎」によると、uncertaintyは、
1. 確信のないこと、疑念
引用:英辞郎 on the WEB, 「uncertaintyの意味・使い方」, 〈https://eow.alc.co.jp/search?q=uncertainty〉, 2020年9月閲覧
2. 不確実なこと[もの]、当てにならないこと[もの]、不確定要素◆通例複数形のuncertaintiesで
3. 《統計》不確かさ、不確実性
4. 〔金融市場などの〕不透明感
と紹介されています。
VUCAにおいては、経済市場の動きや企業の将来予測が不確実的であるという意味で用いられています。
テクノロジーの発展やグローバル化に伴った市場の需要・価値観の変化や、近年多数生じている異常気象や感染症の蔓延によって、ビジネスの将来予測が不確かとなっているのです。
具体例として、「新型コロナウイルスの蔓延による飲食業を代表とする様々な業界の不振」が挙げられるでしょう。新型コロナウイルスの蔓延によって、突如として飲食業を代表とするさまざまな業界が打撃を受けました。
Complexity(複雑さ)
「複雑さ」という意味です。物事が絡み合い、状態が複雑になっていることを指します。
ネット辞書の「英辞郎」によると、complexityは、
1. 複雑さ、複雑であること2
(引用:英辞郎 on the WEB, 「complexityの意味・使い方」, 〈https://eow.alc.co.jp/search?q=complexity〉, 2020年9月閲覧)
2. 複雑なもの[こと]
と紹介されています。
VUCAにおいては、世の中のあらゆるものが絡み合っており、複雑な状態にあるという意味で用いられています。
ITテクノロジーの発展やグローバル化によってビジネスの海外進出が進む反面、各国の制度や宗教、価値観の違いなどによって、既存のビジネスがそのままでは通用しないといった複雑性が世界市場に存在しているのです。
具体例として、「中国におけるSNSへの規制」が挙げられるでしょう。中国では国家の制度方針によってSNSへの規制が行われており、SNSサービスを提供する世界の企業は中国への進出ができない状態となっています。
Ambiguity(両義性)
「両義性」という意味です。ある事柄に対する意味や解は明確な1つのものではなく、さまざまにあることを指します。
ネット辞書の「英辞郎」によると、ambiguityは、
1. 〔意味や解釈の〕曖昧さ、不明確さ、両義性
2. 曖昧な[不明確な]表現[言葉]
(引用:英辞郎 on the WEB, 「uncertaintyの意味・使い方」, 〈https://eow.alc.co.jp/search?q=ambiguity〉, 2020年9月閲覧)
と紹介されています。
VUCAにおいては、今後のビジネスは新たな取り組みばかりであり、前例のない答えを探す状態で、その答えは1つの明確なものではないことを指します。
テクノロジーの発展やグローバル化によって、ビジネスがより加速度的に、また新たな市場で展開されています。そのような新たなビジネスには、過去のデータはなく何が正解か分からないのです。
具体例として、「アフリカにおける新規ビジネス」を挙げられるでしょう。グローバル化やITの進展によって、昨今アフリカにおける新規ビジネスが行われるようになりましたが、どのようなビジネスが成功するか、その解はまだ十分に確立されていません。既存の解が存在しない領域へのビジネスが今後行われていきます。
VUCA時代に求められる組織のあり方
VUCA時代においては、個人の自主性やスキル向上はもちろん、組織を強化させるために以下のようなポイントが重要です。
ビジョンを明確にする
組織がVUCA時代において成功するためには、明確なビジョンが必要です。ビジョンは組織全体が向かうべき方向を示し、メンバーがその目標に向かって行動するための指針となります。
ビジョンが明確であれば、組織全体が一貫した方向性を持ち、変化に適応しやすくなります。その場しのぎではなく、ビジョンに基づいて一貫した対応をすることで組織を強化できるでしょう。
常にチャレンジする
VUCA時代には、常に変化が起こります。組織が成功するためには、新しいアイデアやアプローチに挑戦し、進化し続けることが重要です。
コロナ禍を経たこれからの時代は、新たな常識やライフスタイルを常にビジネスに取り込んでいく必要があります。リスクを取りながら新しいことにチャレンジすることで、組織は競争力を維持しながら成長できます。
情報収集やインプットを怠らない
VUCA時代においては、情報が急速に変化し、予測不能な状況が生じることがあります。組織は常に最新の情報を収集・分析し、適切な判断を下すことが求められます。
また、組織内外からのフィードバックや意見を積極的に受け入れることで、状況に応じた適切な戦略やアクションを取ることができます。
VUCA時代に対応したい企業におすすめの施策4選
ここでは、VUCA時代における具体的な企業施策を4つ紹介します。
多様性ある人材経営を行う
ジェンダー・性格・得意不得意など、さまざまな観点において多様性ある人材経営を行いましょう。
変化に対応した会社運営を行うには、多様性という観点が非常に重要です。
多様性ある人材経営をしていれば、その時々の外部変化に対応できる内部の人材が、外部変化への理解やリーダーシップを持って企業の方向性を見い出すことができるからです。
逆に、ある特定の分野や考え方の社員しか存在しない人材経営では、皆が同じような思考を持つ傾向にあるため、外部変化に対する理解や適切な対応策が浮かびにくいのです。
株式会社ローランド・ベルガーは、「VUCAワールドで戦う経営者が取り組むべき9つのプラン」のうちの1つとして、異質を認めることを述べています。
イノベーションを促進する組織であるためには、多様なバック グラウンドを持った人材がいたほうが良い。 企業としての価値観など全員が共有すべきことはもちろんあるが、「金太郎飴」 の ような組織からはイノベーションは生まれづらい。
(引用:Roland Berger INSIGHTS, 「【視点100号】VUCAワールドを勝ち抜くために経営者は何をするべきか」, 〈https://rolandberger.tokyo/rolandberger-asset/uploads/2018/04/Roland_Berger_Shiten100_20140930.pdf〉, 2020年9月閲覧)
としており、多様性のある人材経営の重要性が見受けられます。
外部変化に応じて企業ビジョンを変化・構築する
OODAループのOrient(方向付けする)にあたる、外部変化に対応した企業行動の方向付けを企業ビジョンを変化・構築させることで実施します。
多くの企業には、その企業が成し遂げるミッションや進む方向であるビジョンがあります。
ミッション・ビジョン・バリューを、外部変化に対応した形で随時修正・構築することで、社内全体で共通の指針を持つことができ、 1つの方向へ向かうことができます。
経済産業省は、「人材競争力強化のための9つの提言(案) ~日本企業の経営競争力強化に向けて~」において、経営トップが率先して、VUCA時代におけるミッション・ビジョンの実現を目指し、組織や企業文化の変革を進めることを提言しています。
多様な人材を組織の目指す方向に惹きつけ、巻込んでいく上で、ミッション・ビジョン・バリューの共有は極めて重要
と述べており、VUCA時代において社員の共通指針となる企業ビジョンを掲げることの大切さが見受けられます。
(引用:経済産業省HP, 「人材競争力強化のための9つの提言(案)~日本企業の経営競争力強化に向けて~」, 〈https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/jinzai_management/pdf/004_02_00.pdf〉, 2020年9月閲覧)
イノベーションを積極的に創出する
VUCAの時代には、過去の成功体験や固定概念にとらわれず、イノベーションの創出を積極的に進めていくことで、新たな状況に対して迅速に対応することが重要です。
自社のみに留まらず、オープンイノベーションで他業種の企業や大学、研究機関など外部と共同で開発を行うことも有効です。
そのためには、これまでにない発想でビジネスが展開できるよう、さまざまな人材が活躍できるような環境を整えなければいけません。具体的には、テレワークといった働き方改革や失敗を恐れずにチャレンジできる体制の整備が挙げられるでしょう。
社内コミュニケーションを活性化させる
Decide(決定する)したVUCA時代に対応する企業方針を、社内全体に浸透させるためには、社内コミュニケーション施策が重要です。
社内コミュニケーションによって、VUCA時代に対応する企業方針を社員に浸透させることで、社員が一丸となって取り組む風土を作れるでしょう。スムーズな社内コミュニケーションは、仕事の効率化や離職対策にも繋がります。
具体的な社内コミュニケーション施策としては、社内報や社内イベントの開催、社内研修、社内SNS、社内レイアウトの変更などが挙げられます。
自社に合う施策を比較検討し、社内コミュニケーション施策を実施しましょう。
VUCA時代の離職対策に web社内報のourly
ourlyは、組織改善に特化した全く新しいweb社内報サービスです。
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変化に対応する企業が生き残る
ITやAIを代表とするテクノロジーの発展やグローバル化などによってもたらされた「変動的で不確実な未来」であるVUCA時代は、変えることのできない現実です。
この現実に対して、企業としてどのような対応を取るのか取らないのか、その違いが将来の企業の存続を左右します。
この記事を通して、VUCA時代という現状を認識し、それに対応するビジネスリーダーとしてのあり方を考え、その対策を実行に移すことの一助となれば幸いです。