VUCAとは?OODAフレームワークとビジネスリーダーのあり方、企業施策

皆さん、VUCA(ブーカ)とは何かご存知でしょうか?

VUCAとは、将来の予測が難しい状態のことを指します。

昨今のITやAIを代表とするテクノロジーの発展やグローバル化などによって、世界中ではさまざまな変化が生じ、その変動の予測は難しくなりました。

そんな変化の激しい時代において、VUCAそのものを認識していない、またその対応策を行えていない企業は、世界で起こっている変化に取り残されてしまいます。

世界の潮流に乗り遅れないためにも、まずは現状を認識し、そしてその対策を考える必要があります。

この記事では、
・VUCA時代とは何なのか
・VUCA時代におけるビジネスリーダーのあり方OODAフレームワーク
・VUCA時代における具体的な企業施策

について述べ、VUCAに関して網羅的に把握することを目的とします。

VUCAとは?時代背景とともに解説!

VUCA(ブーカ)とは簡単にいうと、ビジネスを取り巻く未来が変動的で不確実であることを指します。

テクノロジーの発展やグローバル化などによって社会の構造は大きく変化し、人々の求めるものや国・社会的規範など、ビジネスを取り巻くさまざまな事柄も大きく変化しています。

特にビジネスにおける、予測不可能な未来の状態を表す言葉として、Volatility, Uncertainty, Complexity, Ambuguityの頭文字をとって、VUCA(ブーカ)と表現されるようになりました。

以下では、Volatility, Uncertainty, Complexity, Ambuguityそれぞれについて、VUCAでの用いられ方と例を上げながら、詳細に解説します。

Volatility

「変動性」という意味です。物事の変わりやすさやその不安定さを指します。

ネット辞書の「英辞郎」によると、volatilityの意味は、

1. 〔価格などの〕不安定さ、変わりやすさ、変動性
2.《株》乱高下
3. 《経済》予想変動率

(引用:英辞郎 on the WEB, 「volatilityの意味・使い方」, 〈https://eow.alc.co.jp/search?q=volatility〉, 2020年9月閲覧)

と紹介されています。

VUCAにおいては、人々の趣向経済価値観など、あらゆるものが移り変わりやすいという意味で用いられています。

SNSの浸透やグローバル化によって、これまで以上に世界を跨いだ情報の流通が促進され、新規トレンドや多様な価値観が浸透しやすくなっているのです。

具体例として、「日本におけるソーシャルメディアの変遷」が挙げられるでしょう。TwitterやInstagram、Youtubeなど、短期間の間にさまざまなソーシャルメディアが登場し、その移り変わりが起こっています。

Uncertainty

「不確実性」という意味です。物事の成り行きが不確実で、確信が持ちにくい状況のことを指します。

ネット辞書の「英辞郎」によると、uncertaintyは、

1. 確信のないこと、疑念
2. 不確実なこと[もの]、当てにならないこと[もの]、不確定要素◆通例複数形のuncertaintiesで
3. 《統計》不確かさ、不確実性
4. 〔金融市場などの〕不透明感

(引用:英辞郎 on the WEB, 「uncertaintyの意味・使い方」, 〈https://eow.alc.co.jp/search?q=uncertainty〉, 2020年9月閲覧)

と紹介されています。

VUCAにおいては、経済市場の動き企業の将来予測不確実的であるという意味で用いられています。

テクノロジーの発展やグローバル化に伴った市場の需要・価値観の変化や、近年多数生じている異常気象や感染症の蔓延によって、ビジネスの将来予測が不確かとなっているのです。

具体例として、「新型コロナウイルスの蔓延による飲食業を代表とする様々な業界の不振」が挙げられるでしょう。新型コロナウイルスの蔓延によって、突如として飲食業を代表とするさまざまな業界が打撃を受けました。

Complexity

「複雑さ」という意味です。物事が絡み合い状態が複雑になっていることを指します。

ネット辞書の「英辞郎」によると、complexityは、

1. 複雑さ、複雑であること2
2. 複雑なもの[こと]

(引用:英辞郎 on the WEB, 「complexityの意味・使い方」, 〈https://eow.alc.co.jp/search?q=complexity〉, 2020年9月閲覧)

と紹介されています。

VUCAにおいては、世の中のあらゆるものが絡み合っており、複雑な状態にあるという意味で用いられています。

ITテクノロジーの発展やグローバル化によってビジネスの海外進出が進む反面、各国の制度や宗教、価値観の違いなどによって、既存のビジネスがそのままでは通用しないといった複雑性が世界市場に存在しているのです。

具体例として、「中国におけるSNSへの規制」が挙げられるでしょう。中国では国家の制度方針によってSNSへの規制が行われており、SNSサービスを提供する世界の企業は中国への進出ができない状態となっています。

Ambiguity

「両義性」という意味です。ある事柄に対する意味は明確な1つのものではなく、さまざまにあることを指します。

ネット辞書の「英辞郎」によると、ambiguityは、

1. 〔意味や解釈の〕曖昧さ、不明確さ、両義性
2. 曖昧な[不明確な]表現[言葉]

(引用:英辞郎 on the WEB, 「uncertaintyの意味・使い方」, 〈https://eow.alc.co.jp/search?q=ambiguity〉, 2020年9月閲覧)

と紹介されています。

VUCAにおいては、今後のビジネス新たな取り組みばかりであり、前例のない答えを探す状態で、その答えは1つの明確なものではないことを指します。

テクノロジーの発展やグローバル化によって、ビジネスがより加速度的に、また新たな市場で展開されています。そのような新たなビジネスには、過去のデータはなく何が正解か分からないのです。

具体例として、「アフリカにおける新規ビジネス」を挙げられるでしょう。グローバル化やITの進展によって、昨今アフリカにおける新規ビジネスが行われるようになりましたが、どのようなビジネスが成功するか、その解はまだ十分に確立されていません。既存の解が存在しない領域へのビジネスが今後行われていきます。

VUCA時代に対応するフレームワーク-OODAループ-

「変動的で不確実な未来」に対するビジネスのフレームワークとして、OODA(ウーダ)ループがあります。OODAループとは、Observe, Orient, Decide, Actionの4つの行動の頭文字を取った言葉です。

OODAループは、1950年代の朝鮮戦争での空中戦において、John Boyd大佐が指揮した際の戦略とされています。

空中戦は戦況が著しく変わります。その場その場で変わる戦況に対して、最適な戦略を随時選択するための戦略としてOODAループは発案されました。

OODAループ
・Observe(観察する):外部環境を把握する
・Orient(方向付けする):自分(自社)の立ち位置と方向性を見定める
・Decide(決定する):行動プランを決定する
・Action(行動する):行動する

この4つの行動を繰り返し行うことで、John Boyd大佐は空中戦を指揮しました。このOODAループが、先の見えないVUCA時代に活用できるとして注目されているのです。

OODAループの特徴は、外部環境を把握することに重きを置く点にあります。

PDCAサイクルとの比較

OODAループの特徴を分かりやすく解説するために、PDCAサイクルとの比較を行います。

PDCAサイクル
・Plan(計画する):行動計画を行う
・Do(実行する):計画を実行する
・Check(評価する):実行した計画を評価する
・Act(改善する):評価を元に行動を改善する

OODAループPDCAサイクルはそもそも使う条件が異なるので比較することはできません。あえて違いを述べるとするなら「外部変化を前提としているか否か」になります。

OODAループでは、外部変化を前提としてその外部変化を認識し、自身(自社)の立場を明確にするために、Observe(観察)とOrient(方向付け)を行います。また外部変化を前提としているからこそ、改善というアクションに重きを置きません。

一方、PDCAサイクルでは、外部変化を前提としていません。同一条件下で、自身(自社)の行動をその都度改善していくためのフレームワークとして有効です。

外部変化を前提としていないため、Observe(観察)やOrient(方向付け)のステップがなく、再度同一条件下での効果的な行動を行うために改善を行います。

VUCAのような、ビジネスの外部環境が頻繁に変化する場合においては、外部変化への着目を注視するOODAループが有効なのです。

ODDAループ実践例

フレームワークだけではイメージが沸かないと思うので、実際のビジネスにおけるOODAループの実践例をご紹介します。

「新型コロナウイルスの蔓延下におけるマスク販売・撤退」

新型コロナウイルスの蔓延によって日本全国民にマスクが必要であるという需要(外部変化)が生じました。

この変化をObserve(観察)した小売店やアパレル店、はたまた飲食店は、自社がマスクを売るというOrient(方向付け)を行い、その実行をDecide(決定)、そしてAction(行動)しました。

また、数ヶ月後には国内におけるマスクの供給が多くなり始め(外部変化)、マスクは国内に溢れるようになりました。

その変化をObserve(観察)した同じく小売店やアパレル店、飲食店は、自社がマスクを販売しないという(方向付け)を行い、その実行をDecide(決定)、そしてAction(行動)しました。

このように、マスク需要が高まるという外部変化に素早く反応できた企業は、マスク販売を行うことで利益を出せたり、また反対に、マスク需要が低くなるという外部変化に素早く反応できた企業は、マスクの在庫余りによる損益を回避できたりするのです。

VUCA時代におけるビジネスリーダーのあり方

それでは、このようなビジネスの予測が立てづらいVUCA時代において、ビジネスパーソンはどのようなことを意識すればよいのでしょうか?

ここではビジネスリーダーのあり方として、以下4点をご紹介します。

外部変化に注目する

まずは変化する外部環境にアンテナを張り、その外部変化を認識することが大切です。世の中の変化を認識できていないと、対策を行うこともできず、変化に取り残されてしまいます。

外部変化を早く認識すればするほどそれに対応する時間が確保できたり、新たな事業を行えたりするため、競合他社にリードできます。

変化に柔軟に対応する

外部変化を認識することができたら、その変化に柔軟に対応できるかどうかという観点が大切になります。

たとえ外部変化を認識できたとしても、その変化に対応できなければ意味がありません。外部変化に合わせた必要な変化柔軟に行いましょう。

この際に意識しておく大切な点として、過去の通例に捉われすぎないことが挙げられます。常に変化し続ける未来においては、過去の通例や経験がないことばかりです。

過去の通例を重要視しすぎることなく、常に変化し続けられる企業が変動の激しいグローバル社会において生き残ることができます。

社員を導くリーダーシップを持つ

VUCA時代には、外部変化に柔軟に対応し、社内も変化する必要があります。そしてその際には、社員を導くリーダーシップを持つことも大切です。

外部変化に応じてビジネスの目標や方法が変わる度に、その目標や方法を社員全体と共有し社員を導くことで、社内全体で一体感を持って業務に取り組むことができます。

社員とコミュニケーションをとる

外部変化に応じたビジネスの目標や方法を、社員全体で共有し一体となって進めていくには、社員とのコミュニケーションが欠かせません。

社員を導くリーダーシップに加え、同じ目線に立った社員とコミュニケーションをとることで、リーダーと社員間で生まれる齟齬を小さくすることができ、社員全体で目標に向かって取り組めます。

VUCA時代における具体的な企業施策3選

ここでは、VUCA時代における具体的な企業施策3つ紹介します。VUCA時代に対応するための策として、是非参考にしてください。

多様性ある人材経営を行う

ジェンダー性格得意不得意など、さまざまな観点において多様性ある人材経営を行いましょう。

変化に対応した会社運営を行うには、多様性という観点が非常に重要です。

多様性ある人材経営をしていれば、その時々の外部変化に対応できる内部の人材が、外部変化への理解やリーダーシップを持って企業の方向性を見い出すことができるからです。

逆に、ある特定の分野考え方の社員しか存在しない人材経営では、皆が同じような思考を持つ傾向にあるため、外部変化に対する理解や適切な対応策浮かびにくいのです。

株式会社ローランド・ベルガーは、「VUCAワールドで戦う経営者が取り組むべき9つのプラン」のうちの1つとして、異質を認めることを述べています。

イノベーションを促進する組織であるためには、多様なバック グラウンドを持った人材がいたほうが良い。 企業としての価値観など全員が共有すべきことはもちろんあるが、「金太郎飴」 の ような組織からはイノベーションは生まれづらい。

としており、多様性のある人材経営の重要性が見受けられます。

(引用:Roland Berger INSIGHTS, 「【視点100号】VUCAワールドを勝ち抜くために経営者は何をするべきか」, 〈https://rolandberger.tokyo/rolandberger-asset/uploads/2018/04/Roland_Berger_Shiten100_20140930.pdf〉, 2020年9月閲覧)

外部変化に応じて企業ビジョンを変化・構築する

OODAループのOrient(方向付けする)にあたる、外部変化に対応した企業行動の方向付けを企業ビジョン変化・構築させることで実施します。

多くの企業には、その企業が成し遂げるミッションや進む方向であるビジョンがあります。

ミッション・ビジョン・バリューを、外部変化に対応した形で随時修正・構築することで、社内全体で共通の指針を持つことができ、 1つの方向へ向かうことができます。

経済産業省は、「人材競争力強化のための9つの提言(案) ~日本企業の経営競争力強化に向けて~」において、経営トップが率先して、VUCA時代におけるミッション・ビジョンの実現を目指し、組織や企業文化の変革を進めることを提言しています。

多様な人材を組織の目指す方向に惹きつけ、巻込んでいく上で、ミッション・ビジョン・バリューの共有は極めて重要

と述べており、VUCA時代において社員の共通指針となる企業ビジョンを掲げることの大切さが見受けられます。

(引用:経済産業省HP, 「人材競争力強化のための9つの提言(案)~日本企業の経営競争力強化に向けて~」, 〈https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/jinzai_management/pdf/004_02_00.pdf〉, 2020年9月閲覧)

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社内コミュニケーションを活性化させる

Decide(決定する)したVUCA時代に対応する企業方針を、社内全体に浸透させるためには、社内コミュニケーション施策が重要です。

社内コミュニケーションによって、VUCA時代に対応する企業方針を社員に浸透させることで、社員全体で取り組むことに寄与します。

具体的な社内コミュニケーション施策としては、社内報社内イベントの開催、社内研修社内SNS社内レイアウトの変更などが挙げられます。

自社に合う施策を比較検討し、社内コミュニケーション施策を実施しましょう。

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変化に対応する企業が生き残る

ITやAIを代表とするテクノロジーの発展グローバル化などによってもたらされた「変動的で不確実な未来」であるVUCA時代は、変えることのできない現実です。

この現実に対して、企業としてどのような対応を取るのか取らないのか、その違いが将来の企業の存続を左右します。

この記事では、ビジネスリーダーのあり方として
外部変化に注目する
変化に柔軟に対応する
社員を導くリーダーシップを持つ
社員とコミュニケーションをとる
4点が重要であると述べました。、

また、VUCA時代に対応するフレームワークとして、
OODAループ
・Observe(観察する):外部環境を把握する
・Orient(方向付けする):自身の立ち位置と方向性を見定める
・Decide(決定する):行動プランを決定する
・Action(行動する):実際に行動する
があることを述べました。

そして、VUCA時代における具体的な企業施策として、
多様性ある人材経営を行う
・企業ビジョンを外部変化に応じて変化させる
・社内コミュニケーションを活性化させる
3点を述べました。

この記事を通して、VUCA時代という現状を認識し、それに対応するビジネスリーダーとしてのあり方を考え、その対策を実行に移すことの一助となれば幸いです。