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キャリアアンカーとは?8つの分類で適職がわかる自己診断を解説!

髙橋 新平

公開日:

2025.09.29

更新日:

2025.09.29

キャリアアンカー解説記事のアイキャッチ画像

「現在の仕事に大きな不満はないけれど、このまま働き続けていいのだろうか」「転職を考えているけれど、どんな軸で会社を選べばいいかわからない」といった悩みを抱えていませんか?
キャリアの選択において、自分が本当に大切にしたい価値観を明確にすることは、納得のいくキャリアを築くための第一歩です。その手助けとなるのが「キャリアアンカー」という考え方です。

本記事では、キャリアアンカーの基本的な意味から、あなたのキャリアの軸がわかる8つの分類、そして具体的な診断方法まで詳しく解説します。

目次

キャリアアンカーとは

キャリアアンカーとは、アメリカの組織心理学者エドガー・シャイン氏によって提唱されたキャリア理論の概念です。 キャリアを考える上で、これだけは譲れないという個人の価値観や欲求、能力の自己認識を指します。

キャリアの「錨(いかり)」がキャリアアンカー

「アンカー」とは、船を特定の場所に留めておくための「錨」を意味します。 船が錨を下ろして安定するように、私たちもキャリアの錨、つまり「キャリアアンカー」を自分の中に持つことで、環境の変化や周囲の声に流されることなく、安定したキャリアを築くことができます。 昇進や転職といったキャリアの岐路に立ったとき、このアンカーが意思決定の重要な基盤となるのです。

なぜ今キャリアアンカーが注目されるのか?

終身雇用が当たり前ではなくなり、働き方が多様化する現代において、個人が主体的にキャリアをデザインしていく必要性が高まっています。 

企業側も、従業員一人ひとりの価値観を理解し、適材適所の人員配置を行うことで、エンゲージメントを高め、組織全体の生産性を向上させようとしています。 

このような背景から、個人のキャリアの軸を明確にするキャリアアンカーの考え方が、個人と企業双方にとって重要視されているのです。

キャリアアンカーを構成する3つの要素

キャリアアンカーは、以下の3つの要素が重なり合って形成されると考えられています。

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要素説明
コンピタンス
(才能・能力)
自分が「何を得意としているか」「何ができるか」という自己認識。
過去の成功体験から認識される、自分の核となるスキルや能力を指す。
動機(欲求)自分が「何をやりたいか」「何に関心があるか」という内面的な欲求。
これが満たされることで、仕事に対する高いモチベーションや満足感が得られる。
価値観自分が「どうあるべきか」「何を大切にしたいか」という信念や義務感。
この価値観に沿った仕事をすることで、仕事に意義を見出し、意欲的に取り組める。

これらの3つの問いを自問自答し、重なる部分を探ることで、自分だけのキャリアアンカーを見つけることができます。

キャリアアンカーの8つの分類と適職例

エドガー・シャイン氏は、キャリアアンカーを8つのタイプに分類しました。自分がどのタイプに近いかを知ることで、キャリア選択のヒントになります。

参考:https://gssc.dld.nihon-u.ac.jp/wp-content/uploads/journal/pdf06/6-483-494-mori.pdf

1. 専門・職能別能力|専門性を追求するプロフェッショナル

特定の分野で自分のスキルや能力を高め、その道の専門家になることに価値を見出すタイプです。 管理職への昇進よりも、現場で専門性を発揮し続けることを好みます。

  • 適職例:研究開発、エンジニア、コンサルタント、デザイナー

2. 全般管理能力|組織を率いるリーダー

組織全体をまとめ、責任ある立場でリーダーシップを発揮することにやりがいを感じるタイプです。 出世意欲が強く、経営に関わるポジションを目指す傾向があります。

  • 適職例:経営者、マネージャー、プロジェクトリーダー

3. 自律・独立|自分のペースで働きたい個人主義者

組織のルールや規則に縛られず、自分の裁量で仕事を進めることを重視するタイプです。 マイペースを好み、将来的にはフリーランスや独立を考える人も多いです。

  • 適職例:フリーランス、芸術家、専門職(弁護士、会計士など)

4. 保障・安定|安定した環境を求める堅実家

経済的な安定や雇用の保障を最優先に考えるタイプです。 一つの組織で長く働くことを好み、変化の大きい環境やリスクを避ける傾向があります。

  • 適職例:公務員、大企業の社員

5. 起業家的創造性|新しいものを生み出すイノベーター

リスクを恐れず、ゼロから新しい何かを創造することに喜びを感じるタイプです。 発明家や起業家のように、自分のアイデアを形にすることに情熱を燃やします。

  • 適職例:起業家、新規事業開発担当者、アーティスト

6. 奉仕・社会貢献|社会貢献に価値を見出す献身家

自分の仕事を通じて、社会をより良くしたり、他人の役に立ったりすることに強い価値を見出すタイプです。 自身の利益よりも、社会的な意義を重視します。

  • 適職例:医療・福祉職、教育関係者、NPO職員

7. 純粋な挑戦|困難な課題に挑むチャレンジャー

解決困難な問題や手強いライバルとの競争にやりがいを感じる、挑戦的なタイプです。 不可能を可能にすることに喜びを見出し、単調な仕事を嫌う傾向があります。

  • 適職例:営業、戦略コンサルタント、ベンチャー企業の社員

8. 生活様式|仕事と私生活の両立を目指すバランサー

仕事とプライベートの調和を最も大切にするタイプです。 個人の時間や家族との関係を尊重し、柔軟な働き方を求めます。

  • 適職例:事務職、福利厚生が充実した企業の社員

キャリアアンカーの見つけ方

自分のキャリアアンカーを特定するために、簡単な自己診断を行ってみましょう。以下の手順で進めてください。

診断を始める前の準備

静かで集中できる環境を整え、これまでのキャリアや仕事に対する考えを振り返る時間を取りましょう。診断は、自分を良く見せようとせず、直感的に答えることが大切です。

設問への回答と点数計算の方法

キャリアアンカー診断は、40の設問で構成されています。 各設問に対し、「全く違う」から「完全に当てはまる」までの6段階で評価し、点数をつけます。 8つの分類ごとに5つの設問があり、それぞれの合計点を算出することで、どのアンカーが自分にとって最も重要かがわかります。

※権利の都合で診断の質問文は掲載できません。以下の著書をご参照ください。
Schein. E. H(著),金井壽宏(訳):キャリア・アンカー- 自分の本当の価値を発見しよう-,21-55,白桃書房,東京, 2003

診断結果の解釈と注意点

最も合計点が高かった分類が、あなたのキャリアアンカーである可能性が高いです。
複数の分類で点数が高かった場合は、それらの要素を複数持っていると考えられます。

ただし、これはあくまで自己分析のツールであり、結果が全てではありません。診断結果を参考に、過去の経験と照らし合わせながら、自分にとっての「譲れないもの」を深く考えてみることが重要です。

キャリアアンカーの活用方法

キャリアアンカーは、個人だけでなく、企業にとっても有効なツールです。ここでは主な活用方法を紹介します。

個人のキャリアデザインに活かす

自分のキャリアアンカーを理解することで、キャリアの方向性が明確になります。
例えば、「専門・職能別能力」がアンカーなら専門性を深める道を選び、「全般管理能力」がアンカーなら管理職を目指す、といった具体的な目標設定が可能です。

転職や異動の際にも、その選択が自分のアンカーに合っているかを判断基準にすることで、後悔の少ない意思決定ができます。

企業の採用や人材育成に活かす

企業は、採用候補者のキャリアアンカーを知ることで、自社の文化や求める人物像とのマッチ度を測ることができます。 また、社員のキャリアアンカーを把握することで、一人ひとりの価値観に合わせた育成計画を立てることができ、エンゲージメントの向上につながります。

適切な人員配置や異動に活かす

社員のキャリアアンカーを考慮した人員配置は、ミスマッチを防ぎ、離職率の低下に貢献します。 例えば、「保障・安定」を重視する社員を頻繁に異動させるとモチベーションが低下する可能性がありますが、「純粋な挑戦」がアンカーの社員には新しいプロジェクトが刺激になるでしょう。

このように、個々の特性を活かすことで、組織全体のパフォーマンスを最大化できます。

キャリアアンカーを理解する上での注意点

キャリアアンカーは有用な概念ですが、活用する際にはいくつかの注意点があります。

診断結果に縛られすぎない

診断結果は、あくまで自己理解を深めるための一つの指標です。 結果に固執しすぎず、自分の経験や感情と照らし合わせながら、柔軟に捉えることが大切です。
8つの分類に当てはまらない、独自の価値観を持っている可能性も認識しておきましょう。

キャリアアンカーは変化する可能性もある

キャリアアンカーは比較的安定しているとされますが、ライフステージの変化や予期せぬ経験によって、価値観が変化することもあります。 特に社会人経験の浅い若手の場合は、まだアンカーが固まっていないこともあります。
定期的にキャリアを振り返り、自身のアンカーを見つめ直す機会を持ちましょう。

組織全体のバランスも考慮する

企業が従業員のキャリアアンカーを活用する際は、個人の希望を尊重しつつも、組織全体の目標やバランスを考慮することが不可欠です。 個人の価値観と組織のニーズをいかに調和させていくか、という視点が重要になります。

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まとめ

キャリアアンカーは、多様化する現代社会において、自分らしいキャリアを築くための羅針盤となる考え方です。自身の譲れない価値観を理解することで、日々の仕事へのモチベーションが高まるだけでなく、キャリアの重要な岐路において、自信を持った選択ができるようになります。

この記事を参考に、ぜひご自身のキャリアアンカーを探求してみてください。