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【創業6年で年商60億円規模】Oh my teethの組織の強さは、徹底したカルチャー醸成にあった。

髙橋 新平

公開日:

2025.11.26

更新日:

2025.11.28

【創業6年で年商60億円規模】Oh my teethの組織の強さは、徹底したカルチャー醸成にあった。
西野 誠さん

西野 誠
(にしの まこと)

インタビュイー

株式会社Oh my teeth
代表取締役CEO

1994年生まれ。大学在学中に物流スタートアップ「オープンロジ」にて創業期を経験。新卒でワークスアプリケーションズに入社。2019年10月、株式会社Oh my teethを創業。代表取締役CEOに就任。Onlab 21th「DemoDay」最優秀賞&オーディエンス賞。ICC 2022「D2C&サブスク カタパルト」優勝。ICC 2024「DX カタパルト」優勝。Forbes NEXT100 2024選出。

今回は、「未来の歯科体験を生み出す」をミッションに掲げ、創業6年で年商60億円規模という急成長を遂げている株式会社Oh my teethの代表取締役CEO 西野 誠さまにインタビュー。

同社の成長の裏側には、ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)を軸とした強力な組織カルチャーがありました。本記事では、強い事業を支える組織づくりの秘訣や、カルチャーを浸透させるための具体的な取り組みについて深掘りしていきます。

「組織のカルチャーを醸成したい」「一体感のある組織をつくりたい」といった課題を持つ経営者や人事担当者の方はもちろん、

  • 20代で圧倒的に成長したい
  • プロフェッショナルとして鍛えられる環境を探している
  • MVVドリブンな組織で働きたい
  • 事業成長の“中心”で仕事がしたい

という方も、ぜひ最後までご覧ください。

目次

圧倒的にやり切るカルチャー&コミットメントが競争優位の源泉

ー 早速ですが、創業からわずか6年で年商60億円規模にまで成長させ、現在は100億円を目指すフェーズとのことですが、ここまでの急成長を遂げられた最も大きな要因は何だとお考えですか?

色々ありますが、最も大きな要因は2つあると考えているんです。

1つは、なんといってもビジネスモデルそのもの。僕たちは、マウスピースの製造からユーザーのサポートまで、すべてを一気通貫して行っているんですよ。だからこそ、高品質なサービスを低価格かつスピーディーに提供できる。

実は、この仕組みを知ったユーザーさんから「スピーディーな接客と素晴らしいビジネスモデルで感動しました」なんてお声もいただいて。ユーザーさんにビジネスモデルを褒めていただけるなんて、なかなかないですよね(笑)。

そしてもう1つが、他社がやりたがらないようなことを、愚直にやり抜くカルチャーです。例えば、毎朝の朝礼での唱和(社内では「ステートする」と呼んでいます)や、ユーザーさんの声の共有、メンバー全員の意気込み宣言とか。人によっては「宗教っぽい」とか「少しダサい」と感じるかもしれない。でも、僕たちはこうした一見地味な”儀式”を、一体感のある強い組織を作るために、本気で、そして徹底的にやりきっているんです。

ー なるほど。優れたビジネスモデルと、それを徹底して実行するカルチャー。その両輪が競争優位性になっているのですね。“未来の歯科体験を創る”というミッションに対してチーム全体が強くコミットする中で、その圧倒的なスピードや実行力はどのように生まれているのでしょうか?

「事業成長にコミットできるマインドを持つ人を採用する」、もうこれに尽きますね。実は、私たちの採用の内定率は、ビジネス職、メディカル職ともに5%程度。かなり狭き門なんです。

ー5%、かなり厳しい基準ですね。

そうなんですよ。面接では必ず複数人が会うようにしていて、明確な基準があるわけじゃない。でも、各々が持つ感覚をすり合わせながら、「この人なら僕たちのカルチャーに合うか」を直感的に判断しているんです。

それに、面接を土日や朝7時から設定することもあるんですが、そこに違和感を覚えるような方は、そもそも僕たちの働き方には合わない可能性が高い。そういった選考プロセスを通じて、自然とカルチャーフィットする人材だけが残っていく。そんな仕組みになっているんです。

顔を合わせて話すことは、1,000万円以上の投資価値がある

ー 反対に、組織が拡大する中で、創業初期の強いカルチャーが薄まったと感じた瞬間はありましたか?

ありました…。東京のストアだけでなく、大阪や名古屋にも拠点ができて、物理的な距離が生まれたときですね。

当時の課題は、それまで当たり前だった「ユーザーを驚かせる」という価値観の解釈に、少しずつズレが生まれてきたことでした。

例えば、僕たちのビジネスモデルって、予約枠をできるだけ短く設定して、高回転でサービスを提供することで成り立っているんです。でも、メンバーから「ユーザーに最高の体験を提供するために、予約枠を1時間に広げるべきだ」という意見が出てきたことがあって。

もちろん、ユーザーを思う気持ちは素晴らしいなと誇らしい思いです。でも、それは僕たちの提供価値の根幹を揺るがすことにも繋がってしまう可能性がある。

こうした現場と経営の間に生まれる些細なズレが、物理的な距離のせいで少しずつ大きくなっていったんです。

ーなるほど。解釈のズレをどのように修正していったのでしょうか?

やったことはとても原始的ですけど、物理的に顔を合わせる機会を意図的に設けることにしたんです。

まず、リモート中心だった働き方を出社中心の文化へ切り替えました。さらに、これまでリモートでやっていた月1回の全社イベントも、全拠点のメンバーが東京に集まるオフライン形式に変えたんです。

イベントのたびに、博多、大阪、名古屋からも毎月メンバーが集まります。交通費や宿泊費、会場費などを合わせると年間1,000万円以上のコストがかかるし、開催日はストアの営業も止めなきゃいけない。特に遠方の拠点だと1日半くらい営業できなくなるので、売上の減少は覚悟の上です…経営的には厳しい判断ですけど、それだけの対価を払ってでも、やる価値があると信じているんです。

ー大きな投資ですね。その意思決定ができたのはなぜでしょう?

メンバー間の連携不足による機会損失の方が、よっぽど大きいと判断したからです。

以前、コワーキングスペースからマンションの一室にオフィスを移したとき、チームの熱量が格段に上がった経験があったんですよ。やっぱり、顔を合わせて話す価値は絶大だなって。

物理的に距離が離れていると、ストアのメンバーが「もっとこうだったらオペレーションが改善するのに」と思っていても、話したことのないエンジニアには「なんだか怖くて言いにくい」と感じてしまう。逆も同じで、エンジニア側も「ストアのメンバーは忙しそうだから」と遠慮しちゃう。こういう心理的な壁が、事業のスピードを鈍化させるんです。

でも、オフラインの全社会で顔を合わせて、一緒にご飯を食べたら、そんな壁はすぐになくなります。実際、オフライン開催にしてから、職種間の連携は驚くほどスムーズになりましたし、新人メンバーもすぐに組織に馴染めるようになったんです。

ー御社では毎朝「Oh!礼」と呼ばれる朝礼を実施されていますよね。そこではミッションや行動指針を全員で唱和するなど、カルチャー浸透への強いこだわりを感じます。

そうですね。毎朝、自分の言葉で「圧倒的にやりきる」と宣言することで、無意識のうちにその言葉に責任が生まれて、行動が変わっていく。本人たちは意識していないかもしれないけど、日々の宣言が、自然とビジョンを体現するカルチャーを創り上げていると実感しています。

それに、僕らは「唱和」を「ステート」、「朝礼」を「Oh!礼」と呼ぶように、言葉の定義にはかなりこだわっているんですよ。

行動指針も「Oh!nerスタンス(オーナースタンス)」と名付けています。外から見たらちょっと変わってるかもしれないけど、こういう独自の言葉や場づくりが、組織としての一体感を生むと信じているんです。

ー伸びる企業は、社内用語へのこだわりが強いという共通点はありますね。MOP(Most Oh!ner Player)というユニークな表彰制度も運用されていますが、これはどのような意図があるのでしょうか?

MOPは、MVVを最も体現して、素晴らしい成果を上げたメンバーを年に一度表彰する制度です。ただ表彰するだけじゃなくて、受賞者の感動を最大化するために、サプライズで10分ほどのドキュメンタリー動画を制作しているんですよ。

ー10分の動画ですか!制作もかなり力を入れてそうですね…

僕が担当しているのですが、曲の歌詞も僕自身で書き、作曲もAIを活用してオリジナルで作るなどかなりこだわって作っています。

前回は受賞メンバーのご両親や、たまたまうちのユーザーだった彼女さんにもこっそり取材したことがあります(笑)。そこまでやるから、受賞者はもちろん、他のメンバーにも「次は自分が!」「あの人のように輝きたい!」って強い動機が生まれるんです。カルチャーを浸透させるには、頭で理解させるだけじゃダメ。感情を揺さぶることがめちゃくちゃ重要なんです。

社内イベントの満足度調査の結果。試行錯誤を繰り返し、満足度(NPS)は右肩あがり。
社内イベントの満足度調査の結果。試行錯誤を繰り返し、満足度(NPS)は右肩あがり。

社員がカルチャーの“伝道師”になることで強い組織がつくられる

ー西野様ご自身が経営者として、組織を一つに束ねる上で意識されていることは何でしょうか?

言葉よりも「行動で示す」ことですね。先ほどのMOPの動画制作もそうですが、「プロとして圧倒的にやりきる」というOh!nerスタンスを、まずは自分自身が体現する。その背中を見せることで、言葉に重みが生まれるんだと思います。

あとは、「感謝」を伝えること。創業から2年間、社員ゼロで事業をやってきた経験から、一人じゃ何も成し遂げられないってことを痛感しているんです。

具体的には、最初の2年間は結構悶々としていて、売り上げで言うと年商5〜6億ぐらい。そこからCOOやマーケティング責任者といった仲間が増えて、30億までいったんですけど、やっぱり本当に1人じゃ何もできないというか、限界があるなって痛感しましたね。

だからこそ、ミッションに共感して、力を貸してくれるメンバーへの感謝は常に忘れないようにしています。

ー 最後に、今後の展望についてお聞かせください。全国、そして世界へと展開していく中で、現在のカルチャーをどのように維持・進化させていきたいですか?

僕自身が「翻訳者」であると同時に、「今いるメンバー一人ひとりがカルチャーの伝道師になる」ことが不可欠だと思っているんです。

特に海外では言語の壁もありますから、言葉だけじゃなく、僕たちが大切にしているスタンスを行動で示していく必要がある。「Oh my teethらしさ」を全員が体現して、新しい仲間を巻き込んでいく。そうやって、カルチャーをさらに強いものへと進化させていきたいですね。

ー事業の成長とカルチャーの深化、その両輪を力強く回していくということですね。

そして、Oh my teethでの仕事は、目の前のユーザーのことを徹底的に考え、歯科というアプローチでユーザーの人生を変えていくことです。一人一人のユーザーとの向き合いの積み重ねが、僕たちのカルチャーを作り、世界を変えていくと信じています!