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エンプロイーエクスペリエンスとは?|エンプロイージャーニーマップや事例を解説

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エンプロイーエクスペリエンス(通称:EX)は、人事業界のトレンドワードとして注目を集めています。

近年、転職市場が盛り上がっており、企業としては、人材確保のためにエンプロイーエクスペリエンスエンゲージメントの向上が急務となっています。働き手としても、働きやすい労働環境がある会社は魅力的です。

エンプロイーエクスペリエンスには、どのような背景から注目され、向上によってどのような効果があるのでしょうか。実際の導入事例とともに解説します。

目次

エンプロイーエクスペリエンス(EX)とは

エンプロイーエクスペリエンス(通称EX:Employee Experience)とは、日本語で従業員体験を意味します。従業員体験には、社員が会社で体験するすべての経験が含まれます。

例えば、業務や研修で得られる経験はもちろん、健康状態や給与・昇進昇格などの待遇まで多岐に渡ります。エンプロイーエクスペリエンスは、それら社内向けの施策を通して醸成するものだと言えるでしょう。

似た考え方として、ユーザーエクスペリエンス(UX、ユーザー体験)、カスタマーエクスペリエンス(CX、顧客体験)が挙げられます。

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エンプロイーエクスペリエンス注目の背景

エンプロイーエクスペリエンスが注目されている背景について紹介します。

ミレニアル世代が組織の中心に

エンプロイーエクスペリエンスの歴史はまだ浅く、ここ数年で注目されてきています。理由として、ミレニアル世代(1980年以降に生まれた世代)が組織の中心となってきていることが挙げられます。

幼い頃からデジタル機器に触れており、SNSを積極的に利用しているため、情報処理能力が高く、転職をそれほど厭わない世代と言われています。

企業が人材の定着化のため、エンプロイーエクスペリエンスが認知されるようになりました。

人材の流動化

人材の流動化とは、社会において人材が移動すること、つまり転職がしやすい世の中になったということです。

時代背景として、終身雇用・年功序列制度が崩壊しつつあることが挙げられます。その結果、働き手は、ファーストキャリアで定年を迎えるのではなく、転職を経験しながらステップアップしていくようになりました。

しかし、企業側としては、採用コストが無駄になってしまうため、会社に残って欲しいのが願望です。よって、エンプロイーエクスペリエンスを高め、社員が納得して働ける環境を提供するために、近年、注目が集まっています。

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人材業界のトレンドキーワードに

2017年にデロイトトーマツコンサルティングがまとめた人事業界のトレンドキーワードを取り上げたレポートが注目を浴びました。

エンプロイーエクスペリエンスは、現在日本だけでなく世界的に注目を集め、人事部門においてますます重要なミッションになりつつあります。

グローバル・ヒューマン・キャピタル・トレンド 2017が取り上げる10のトレンド

1. 未来型組織:もう始まっている
2. キャリアとラーニング:リアルタイム・継続的な学びの実現
3. 採用:コグニティブによる採用
4. エンプロイー・エクスペリエンス:組織文化とエンゲージメントとその先を見据えて
5. パフォーマンス・マネジメント:勝利の切り札
6. リーダーシップ革命:限界を超える
7. デジタルHR:プラットフォーム、人材、仕事そのもの
8. ピープル・アナリティクス:新たな道を進む
9. ダイバーシティ&インクルージョン:リアリティ・ギャップ
10. 労働の未来:拡張される労働力

(引用:デロイトトーマツコンサルティング合同会社『人事部門・人材活用の課題とトレンドをまとめた「グローバル・ヒューマン・キャピタル・トレンド2017~デジタル時代の新たなルール~」』,<https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/human-capital/articles/hcm/global-hc-trends-2017.html>,2017年出版)

エンプロイーエクスペリエンス向上の効果 

次に、エンプロイーエクスペリエンスの向上効果について解説します。具体的にどのような効果があるのでしょうか。

従業員のエンゲージメントが高まり、離職者が減る

離職をするということは、ほとんどの場合、業務に関することや職場での人間関係が原因です。エンプロイーエクスペリエンスは、採用段階から退職まで、また評価制度や研修制度から日々のコミュニケーションに至る、すべての従業員体験をさします。

よって、エンプロイーエクスペリエンスを向上させることで、仕事をする上での不満が解消され、離職率の低下に繋がります。

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社会的なイメージアップ

エンプロイーエクスペリエンスの向上は、社員のみに効果があると思われがちですが、間接的に社会的なイメージアップにも繋がります。社員の従業員体験を充実させることで、必然的に企業のブランド力が高まり、その結果、優秀な新入・中途社員の獲得が期待できます。

また、社員の不満が解消されることで、会社内部の評価が高まり、社員の風評被害なども抑制されるとともに、社会的に評判が高まるでしょう。

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エンプロイーエクスペリエンスを高める方法

エンプロイーエクスペリエンスの向上には、さまざまな施策が有効です。ここでは、おすすめの施策を6つ紹介します。

エンプロイージャーニーマップ 

【図1】エンプロイー・ジャーニーマップのイメージ

(引用:アデコ株式会社,「ジャーニーマップで経験価値を見える化 ~エンプロイー・エクスペリエンス施策の導入ステップ~」,<https://www.adeccogroup.jp/power-of-work/092>,2020年11月閲覧)

エンプロイージャーニーマップとは、入社から退社までの経験を「旅」とし、その長い時間軸のなかでの従業員体験を、社員目線でイメージしたものです。(【図1】)

企業ごとに作成方法が分かれますが、「エンプロイーエクスペリエンスを向上させる」ことが目的であり、社員目線でのエンプロイーエクスペリエンスの流れ、求めていること、アクションなどを整理できると、効果的なエンプロイージャーニーマップを作成できるでしょう。

定期的なエンゲージメントサーベイ

エンプロイーエクスペリエンスの向上においては、まず組織が抱える課題を明らかにする必要があります。そのためには、エンゲージメントサーベイが有効です。

エンゲージメントサーベイは、社員のエンゲージメント(企業への愛着心)を調査する手法です。社員の企業や商品への愛着心を測定すると同時に、組織の課題や改善すべき点を把握できます。社員の組織に関する不満や課題を浮き彫りにすることで、改善が必要な点を見つけ、次に紹介する具体的な施策を検討する際の手がかりとなります。

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社内報

社内報とは、社内広報の1つの手段として、社員やそのご家族に発行される冊子やweb記事、動画などを指します。

社内報を通して、企業の目指しているゴールやビジョン、経営理念・企業理念を浸透させることができます。普段関わりを持ちにくい社員も含めて、全社員に情報を共有できるのが特徴です。

また、情報共有だけでなく、新入社員の紹介や他部署紹介、活動報告などを通して、社員間のコミュニケーションを促進させることにも繋がり、さまざまなエンプロイーエクスペリエンス(従業員体験)に取り組むことができるでしょう。

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ピアボーナス®️

ピアボーナス®️とは、社員同士が互いの良い行いを評価し、ポイントやコイン、チップなどを付与する仕組みです。成果に現れない良い行い(ゴミ拾い、他社員のサポートなど)を互いに称賛し、社員のモチベーションアップや社内コミュニケーションの活性化などを目指すことが目的です。

ピアボーナス®️を導入することで、自身の行動が評価され、また、評価者になることで、エンプロイーエクスペリエンスの幅を広げることができるでしょう。

「ピアボーナス®️」はUnipos株式会社の商標または登録商標です。
「ourly Magazine.」では商標権者Unipos株式会社から使用許諾を得た上で記事にしています。

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タレントマネジメント

タレントマネジメントとは、社員が持つ資質(=タレント)やスキルを最大限発揮できるよう、戦略的に人事マネジメントを行う取り組みのことを指します。

社員を適切な部署に配置することによって、モチベーションやエンゲージメントの向上が期待できます。また、社員の適性や能力、育成のために、あえて部署異動させることもエンプロイーエクスペリエンスの1つであり、社員の求めているもの、将来像に近づけることが重要になります。

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1on1

1on1は、上司と部下が、1対1で行う 対話のことを意味します。以前までは、上司が部下に、一方的に指示・指摘する目的で行われており、悪い印象として認識されていました。

しかし、最近では、部下の育成目的で行われており、上司と部下のコミュニケーション機会の創出、部下の業務内容のフィードバック、業務以外の悩みなどを聞くといった内容に変化してきています。1on1は、エンプロイーエクスペリエンスの向上施策の1つとして、信頼関係の構築や満足度の向上など、多くのメリットが期待できるでしょう。

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【資料】エンゲージメント向上に繋げる社内コミュニケーション施策の設計方法

社内コミュニケーションの活性化は、組織にあった施策を適切に行い続けることで実現します。しかし、組織にあった施策を選ぶことは難しく、成果も見えづらいため、活性化に成功する企業は多くはありません。

そこで弊メディアでは、「自社にあった社内コミュニケーション施策の選び方」、「施策設計方法」「活用事例」をまとめた資料を作成しました。

組織の離職率やエンゲージメントスコア、理念・文化の浸透にお悩みの方は是非ご覧ください。

資料はこちら:https://ourly.jp/download_internalcommunication/

エンプロイーエクスペリエンスを重要視する企業事例5選

実際に、エンプロイーエクスペリエンスを導入している企業を紹介します。

⑴Airbnb

Airbnb(エアビーアンドビー)社は、アメリカに本拠を置く宿泊施設・民宿のウェブサイトを運営している企業で、最近では急速に成長しています。同社は米企業の働きやすい企業として評価され、口コミサイトで1位に輝いています。Airbnb社は信頼され、働きやすい環境を提供しており、特筆すべきは人事部のない点です。

代わりに、「Employee Experience」というエンプロイーエクスペリエンスに特化した部署が存在します。この部署は、従来の人事部の役割に加えて、オフィス・ワークスペースの設計、エンゲージメント向上、仕事とプライベートの調和のサポートなど、社員が働く上でのあらゆる環境を整える役割を果たしています。

(引用:Airbnb HP 「求人情報」,<https://careers.airbnb.com/positions/>,2020年11月閲覧)

⑵freee株式会社

freee株式会社は、人事部を「メンバーサクセスチーム」と名付け、付加価値業務や社員の成長させることが、価値であると定義しています。具体的な施策としては、週に1回30分、上司との面談を設けることです。

また、人事評価制度において、freeeにとってどのような・どのくらいのインパクトをもたらしたか、という観点で、同僚を含むメンバーからのフィードバックを経て評価を決めています。

その他にも、定期的なメンバーの表彰、部活動のサポートなどさまざまなエンプロイーエクスペリエンスを提供しています。

(引用:freee株式会社HP『採用情報「職場環境と制度」』,<https://jobs.freee.co.jp/benefits/>,2020年11月閲覧)

⑶株式会社ガイアックス

株式会社ガイアックスは、独自の社内制度と働きがいのある環境づくりに注力しています。例えば、部署ごとに独立採算制を導入し、稟議書(企画提案書)は内容にかかわらず全てが許可される仕組みです。取締役会を含む全ての議事録が社内に公開されており、上下関係なく情報が共有されます。

さらに、面談時には全社員がライフプランを策定し、年間計画から直近3ヶ月での目標や希望を定めています。これらの取り組みから、ガイアックスは社員が仕事に取り組む上で様々な視点からエンプロイーエクスペリエンスを提供し、働きがいのある環境を築いていることが伝わります。

(引用:株式会社ガイアックスHP「Gaiax blog 強力な精神的エネルギーをメンバーからどう引き出すか」,<https://www.gaiax.co.jp/blog/2018-03-05/>,2020年11月閲覧)

⑷株式会社グッドパッチ

現在、株式会社グッドパッチはモチベーションクラウドで組織ランクAAA(ランクはDD~AAAの11段階あり、最高ランクのAAAは導入企業の上位1%に属する)を達成しています。しかし、過去には離職率が40%を超える時期もあったそうです。この課題に対処するために、グッドパッチは“People Experience”と呼ばれる社内外のあらゆるステークホルダーの「人」の体験向上に焦点を当て、特に従業員体験(EX)向上を担当するPXチームを設立しました。

主に社内広報の領域を担当し、全社総会などの社内イベントの企画・実施を含む、エンゲージメント向上のための活動を展開しています。イベントの企画・運営では、「何を」「どのように」「なぜ」行うのかに重点を置いています。詳細については以下のインタビュー記事をご参照ください。

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⑸株式会社ヒトクセ

一時期、社員の半数近くが会社に対して何かしらの不満を抱いていたという株式会社ヒトクセでは、大きく以下3つの施策を行いました。

  • アンケートQ&Aでスッキリする会
  • アンケートと基にしたヒアリング
  • 社員全員との半年に一度人事面談

アンケートで取れるのは、定量的な情報です。その情報を基にヒアリングを行うことによって定性的な情報も集め、細かく従業員の不満を回収していることがわかります。

またヒトクセでは、新たな施策を行う際には、まずは社内の5~6人のメンバーで試してみて、その結果をもとに制度を少し調整して、そのうえで新しい制度を社内にローンチする「wemake」という施策を行なっています。

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まとめ

エンプロイーエクスペリエンス(通称EX:Employee Experience)は、日本語で従業員体験を意味し、社員が会社で体験するすべての経験が含まれます。

人材の流動化が進み、離職の防止が企業に求められる現代において、エンプロイーエクスペリエンスの向上は、重要な課題となってくるとともに、社員が満足できるようなエンプロイーエクスペリエンスを提供できる企業は、魅力的であり、今後さらに注目が集まるでしょう。

実際の導入事例を紹介しましたが、日本だけでなく、世界的にエンプロイーエクスペリエンスの向上に取り組んでいます。エンプロイーエクスペリエンスの向上プロセスと課題改善の目的を整理し、効果的な施策を打ちましょう。

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この記事を書いた人

Kanei Yoshifusaのアバター Kanei Yoshifusa ourly株式会社 コンサルティングセールス・組織開発チーム

前職は店舗ビジネス向けの業務効率化SaaS事業を展開する企業でCSに従事。
その後、ourly株式会社に参画。
200社以上の企業に組織課題解決の提案、現在30社の組織開発を支援。
富山県上市町出身。趣味は筋トレ/声マネ/滝行。

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