入社前からのカルチャーフィットも重要! 採用ブランディング会社のカルチャー浸透施策
HeaR株式会社(以下、HeaR)では、選考過程での体験入社や、全体会で『愛の話』、『青春の話』をする場を設けるなど、入社前から一貫したカルチャーフィット施策を行っています。今回は、HeaR代表の大上さんに、コミュニケーションを通じた社内でのカルチャー浸透施策について伺っていきます。
カルチャーとは、メンバー1人ひとりがきちんと意思決定をするための軸
──HeaRは企業のカルチャーをどういったものだと考えていますか?
企業のカルチャーとは、職場に犬を連れてきていいとか、休憩室でヨガをできるといったものではないんです。それはただの福利厚生ですし、企業理念も単なる企業の志。
ではカルチャーとは何かというと、 社長がいなくてもメンバー1人ひとりがきちんと意思決定するための軸になるものだと捉えています。
──なるほど。
HeaRでは、ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)ではなく、ミッション・バリュー・ルーティン(MVR)を定めています。MVRはカルチャーを促進するための材料。僕たちの場合は「青春の大人を増やす」というミッションを掲げ、バリューは、「愛を込める」「ハックする」「史をつなぐ」「勝ち切る」の4つです。
これらに紐づいたルーティーンを会社として重視していくことによって、メンバー1人1人が自立して行動できるようにしていく。そんなカルチャーを作っているところです。
──そういったカルチャーを浸透させるためにどんな施策を行っているんですか?
社内でMVRに直接触れ続けることを意識して、コミュニケーション設計をしています。
バリューのひとつである「史をつなぐ」の場合は、個々のメンバーが持っているナレッジや気づきに「これ、史を繋ごう」とテキスト化を促していますし、「愛を込める」の場合は「こう言ったほうがお客さんに対してより愛があるよね」などと使っています。
また、月曜日と金曜日に全員で愛の話や青春の話をする場を設けています。月曜日は、週末の出来事からプライベートも含めて愛を感じた話、金曜日は、その1週間において仕事のなかで青春を感じた話をしています。他にも、全員が集まる機会を月に何度か作っていますね。
──コミュニケーションでカルチャー浸透を図っているんですね。逆に、HeaRにとってカルチャーフィットしていないとはどういう状態なんでしょうか?
カルチャーフィットしていない状態は、2種類に分けられると考えています。
まず1つ目は、僕たちが大事にしているMVRにそもそも共感していなかったり、そのカルチャーを大事だと思っていない場合。
2つ目は、MVR自体には共感しているし、体現したいという心積もりはあっても、結果的になかなか体現できなかったり、体現していても楽しいと思えない、という状態になっている場合。
それを防ぐために、まずは社長である僕自らカルチャーやMVRを体現するようにしています。メンバーにHeaRらしさを感じてもらうことでカルチャーがさらに強化され、メンバー自身もカルチャー体現が楽しいと思えるようになるはずです。
採用段階から入社後まで一貫したカルチャーフィット施策
──入社前の段階からカルチャーフィット施策を行っているとお聞きしましたが、どういった施策を行っているんですか?
採用要件の中にカルチャーフィット的観点が2つ入っています。
1つ目は、面接前に採用ピッチ資料やカルチャーデックを送って判断してもらうこと。最近は減ってきたんですが、一時期は選考前辞退が2〜3割あったんです。「資料を読んで合わないと思った」というような理由で。
実はこの状況はめちゃくちゃポジティブだと思っています。合う合わないイコール良し悪しではありませんからね。
2つ目は、選考過程で見極めの観点にカルチャーフィットを入れることです。面接を設計する際に、どんな行動を取っている人がバリューや理念を体現しやすいかを言語化して判断基準にしています。
また、体験入社も行っています。内定を出す直前に最終面接の次段階として、メンバーとの交流、事業の理解、スキルフィットを見極めています。候補者には基本的に月曜か金曜に来てもらうので、愛の話か青春の話もすることになります。そこも含めて、合う合わないを候補者本人にもジャッジしていただきたいですね。
──そこまで設計されていると、入社後にカルチャー体現できない人の数は減りそうですが、それでも、入社後にフィットしないこともあるんですか?
ほとんどの方が多くのシーンで体現できているとは思いますが、どうしても、忙しい時や壁にぶつかった時など場合によって、バリューに反する言動が起きることはあると思います。
そんな時に重要なのは、周りのメンバーの反応です。傍観や肯定ではなくて「これはバリューと反してるんじゃない」などと逐一コミュニケーションを取っていくことが、解決に繋がると考えています。
──HeaRでは採用前から入社後まで一貫してカルチャーフィット施策を行っているとのことですが、一貫して施策を行うメリットを教えてください!
入社前後のミスマッチが減りましたし、入社後かなり早い時期から活躍できる人が多いです。メンバー自身のエンゲージメントも早くから高まりますし、やっていてよかったですね。
大前提として、カルチャー浸透に特効薬はありません。日々、カルチャーやMVRを意識するタッチポイントを作っていきながら、全員がカルチャー体現に向けて取り組むしかないんです。
ただ、ちょっとやりすぎた気もしていて。カルチャー浸透のための施策含め、組織づくりに注力しすぎて、一時的に事業に向き合う時間が減ってしまった面もあるので、業務とのバランスを見ながらやっていきたいですね。
カルチャー浸透施策でコミュニケーションの土台を作る
──現状、社内のコミュニケーションに課題を感じていることや、その課題に対して今後やってみたい施策はありますか?
カルチャーフィットしている状態であれば、コミュニケーションの土台はできていると思います。現状、コミュニケーション自体は苦労していませんが、事業自体やお客さんのことについて議論をより深める時間は持ちたいなと考えています。
──最後に、採用ブランディングの支援もされているHeaRの社長として、カルチャー浸透やインナーコミュニケーション活性化の施策で悩んでいる人事の方にどのようなアドバイスをしますか?
採用と組織は地続きなので、カルチャーを強くすればするほど採用活動にも良い効果をもたらすと考えています。HeaRの内定承諾率は約90%と、カルチャーを重視した採用ブランディングは間違いなく武器になるんです。
これは弊社が支援した製造業の企業さんの話なんですが、製造業はいわゆる3K(きつい、汚いなど)のイメージが先行していて、そもそも応募が来なかったり、選考途中で辞退されてしまうことが課題でした。
弊社は企業の魅力を可視化するHITOMEという自社の採用BIツール(データ分析ツール)を提供しているんですが、 いざ可視化してみると人やカルチャーに関する値が突出していて、これまで事業や採用のなかで大切にしてきた「優しさ」に3Kを超えるほどの魅力があると分かったんです。それをコンセプトとして打ち出した結果、採用目標を達成することができました。
もちろん全ての会社さんに当てはまるわけではないんですが、企業のカルチャーまで紐解いた上で魅力を打ち出すことで採用活動も変わりますし、カルチャー浸透にも繋がると考えています。
──本日はありがとうございました。