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フルリモート“だからこそ”カルチャー醸成は加速? 組織を強固にするコミュニケーションデザイン

「フルリモートだからこそ、カルチャー醸成やナレッジシェアが進むと考えています」
そう話すのは、SecureNavi株式会社(以下、SecureNavi)の営業部長・堀田 健太さん。

もともと出社派だったという堀田さんですが、SecureNaviに入社し、フルリモートワークを体験してからその考えは大きく変化したといいます。今回は、フルリモートワークでもカルチャー醸成が進むと感じたきっかけや、メンバーのコミュニケーションをデザインする方法についてお話を伺いました。

堀田さん

堀田 健太
(ほった けんた)

インタビュイー

SecureNavi株式会社 営業部長

新卒で株式会社パソナに入社。東京・大阪にて、人材派遣、業務委託事業の営業を担当。2016年、株式会社ラクス⼊社後、楽楽精算の営業担当。2018年、インサイドセールスチームの⽴ち上げ、オンラインセールスの立ち上げを経て、30名規模の営業組織(インサイドセールス、オンラインセールス、フィールドセールス)の統括リーダーを務めた。2020年、新規事業(楽楽勤怠)の営業組織立ち上げ、10人以上の営業マネージャー。2023年、SecureNavi株式会社入社。

インタビュアー

2019年よりフリーランスライター・編集者・Webメディアディレクターとして活動。前職ではベンチャー企業のメディア事業部に在籍し、Webマガジンの副編集長としてWebメディアの運営・企画やライターマネジメントに従事。

現在は、ourly magazine編集部にてコンテンツ企画やインタビュー、ライティングを担当している。

目次

フルリモートでもメンバー全員がバリューを体現している!?

──堀田さんはフルリモートだからこそ、カルチャー醸成、ナレッジシェアが進むのだというnoteを発信されていました。そう考えたきっかけはなんだったのでしょうか。

2023年4月にSecureNaviに入社したことがきっかけです。SecureNaviはフルリモートワークを導入していますが、それまで私は基本的にオフィスに出社する働き方をしていたので、フルリモートワークをすること自体が初めての経験でした。

コロナ禍に入って一時期はリモートワークになったのですが、実は私、そのころはもっぱら出社派で(笑)。リモートワークは、どちらかというと苦手なタイプだったんです。

──もともとは出社派だったんですね!?

自宅の業務環境が整っていなかったので働きづらくて……。コミュニケーションも出社して話すほうが早いと思っていました。

でもSecureNaviに入社してすぐに、フルリモートでも環境を整えれば快適に働けること、それぞれが意識すれば問題なくコミュニケーションがとれることを知りました。なによりメンバー全員がバリューを体現している会社なので、フルリモートだからといってうまくいかないことはないのだと感じましたね。

──メンバー全員がバリューを体現。具体的には……?

弊社ではSlackでコミュニケーションをとっているのですが、バリュースタンプを作成しています。バリューを体現するコミュニケーションや行動があれば誰かがバリュースタンプを押し、スタンプが押された会話は全員が見れるチャンネルに表示されるんです。

例えば、誰かが「今日は体調が悪くて、パフォーマンスが出せないので休みます」と言ったら、バリューの1つである“HIGH PERFORMANCE”のスタンプが押されるイメージです。毎日どこかしらでバリュースタンプが押されているので、バリューを目にしない日はありません。

逆に出社になると、バリューを体現するコミュニケーションがあっても個々人間のコミュニケーションで完結して、どこにも残らないケースも多いと思うので、そういう面ではフルリモートだからこそ意識づけができていると言えるのではないでしょうか。

仕組みを整え、日ごろからバリューを意識できる環境に

──1日1回はバリューを目にする機会があるんですね! それはたしかに、意識するタイミングが増えそうです。

また、CEOやCOOとの1on1や全体の会議でもバリューについての発信があったり、週1回のミーティングでマネージャー陣からバリューピックアップという取り組みを行ったりしています。

バリューピックアップとは、「この場面の、こういう行動がバリューを体現していてよかったね」と振り返る取り組みです。このような取り組みを行うことで、フルリモートでもそれぞれがしっかりとバリューを認識し、体現するための行動がとれています。

カルチャーの浸透はとくに日ごろからの意識づけが必要だと思うので、フルリモートだからこそ組織が強固なる場合がある、というのはSecureNaviに入社してから感じたところですね。

──なるほど! もともとは出社派だった堀田さんですが、フルリモートワークでの組織づくりに戸惑う場面はなかったのでしょうか。

はじめは入社してからの業務のキャッチアップはスムーズに進むのかとか、メンバーとの信頼関係を醸成できるのかとか、戸惑いや不安はありましたが、その不安は入社してすぐに消え去りました(笑)。

オンボーディングなど業務のキャッチアップ部分では、必要な情報はすべてNotionにまとまっているのでスムーズに進みました。また3ヶ月に1回出社するタイミングがあったり、月に3回ほど経費でランチができるので部署の違う人ともコミュニケーションをとったりと、信頼関係醸成の部分も不安はありませんでしたね。

あとは先ほどお話ししたとおり、私はリモートワークで働く環境が整っていなかったので、前職でのリモートワークは苦労したんですが、弊社では机や椅子などリモートワークに必要な備品をレンタルできるサービスを活用しているので、その点の不安もなくなりましたね。

フルリモートで組織を作っていくにあたって重要なのは、

  • 働く環境に惜しみなく投資し、支援をする
  • カルチャーやバリューを毎日言葉や文章にする
  • コミュニケーションをデザインする

の3つ。これらを組織側やマネージャー陣がしっかりと意識できれば、フルリモートワークでもカルチャー醸成が加速すると考えています。

なにより大切なのは、いかに「情報の透明性」を高められるか

──noteのなかでも「コミュニケーションデザイン」の重要性について触れられていましたよね。具体的に伺ってもよろしいでしょうか。

私は、フルリモートワーク導入の課題としてよく挙げられるのは「カルチャー醸成」「育成・オンボーディング・ナレッジシェア」「モチベーション」「偶発的な発想」の4つに集約されると考えています。そして、その根っこにあるのは「コミュニケーション」です。

言い方を変えれば、コミュニケーションをうまくデザインできれば、これら4つの課題は解決できます。

──なるほど。では、コミュニケーションデザインをするうえで、もっとも意識すべきことはなんですか。

なによりも意識すべきなのは、各々のコミュニケーションを含め情報の透明性をできるだけ高め、オープンにすることです。そのために弊社では、ドキュメント文化の醸成を心がけています。

フルリモートワークでのコミュニケーションは、出社時のコミュニケーションよりも、視覚や聴覚から得られる情報が少なく、ニュアンスを伝えたり、相手の思いを汲み取ったりすることが難しくなります。だからこそドキュメント文化を取り入れ、仕事を円滑に進めるために必要な情報に全員がアクセスできる状況を作ることが重要です。

業務の進捗状況やタスクの管理、会議や議事録の作成、プロジェクトのスケジュール管理など、ドキュメントは仕事を円滑に進めるための重要なコミュニケーションツール。入社年次に限らず、メンバー全員が公平にアクセスできる環境を作れば、誰もが同じ条件や認識で業務に取り組めるようになり、組織としても高いパフォーマンスが発揮できるようになります。モチベーション維持の面でも効果的です。

組織にマッチしたコミュニケーションデザインを

──情報の透明性を高めるための、さまざまな取り組みをされているんですね。では、フルリモートでのカルチャー醸成について、これからやっていきたいことはありますか?

これから組織が大きくなっていくにあたって、新しく入社される人も増えてくると思います。そういう人たちが弊社のカルチャーをより理解した状態で入社してもらえるように、「カルチャードック」を作成しました。

カルチャードックはメルカリなどでも導入されている、自社のカルチャーをより具体的に文書化したものです。社内・社外に対して自社のカルチャーを発信することで、入社後のギャップを防ぐこと、入社したてのメンバーがカルチャーを体現しやすくなることなどを期待しています。

SecureNavi株式会社「 カルチャードック
SecureNavi株式会社 note「カルチャードックの作成プロセスを全公開します

──カルチャードック! 

はい。あと弊社はフルフレックスを採用しているので、組織規模が大きくなったときに、それぞれのメンバーがストレスなくコミュニケーションをとれるようにすることは課題だと感じています。その課題を解決するために「チームラーニング」を取り入れたいなと思っているところです。

チームラーニングはメンバーそれぞれの取扱説明書みたいなもので、前職でも自分のチームで取り入れていました。例えば、「働く時間帯は……」「私は朝型です」「テキストでは文章が堅くて不機嫌に見えるかもしれませんが、怒ってません!」など、コミュニケーションや業務をするうえで知っておいてほしいことを共有するんです。それぞれのメンバーが心地よくリモートワークに取り組めるように、ほかにもできることがあれば取り入れたいと思っています。

──ありがとうございます! 最後に記事を読んでいるみなさまに、メッセージをお願いします。

フルリモートワークには、組織やメンバーによって、合う・合わないがあると思います。まずは、フルリモートワークが組織にマッチするのかを見極めることが重要です。

また、今回お話しさせていただいたことはあくまでも一例。もちろん組織によってカルチャーは異なるので、組織にマッチした方法を模索することが重要です。もし、フルリモートワークでのカルチャー醸成に悩んでいる人がいれば、ぜひ今回の例を参考に、仕組みづくりや、コミュニケーションデザインを取り入れてみてください。

「ドキュメントにまとめるのは得意なんです」と伝えたい内容をテキストでまとめてきてくださった堀田さん。その出来事からも、組織内でのドキュメント文化や情報の透明性を意識されているのが感じ取れました。「フルリモート“でも”カルチャー醸成はできる」ではなく「フルリモート“だからこそ”カルチャー醸成が加速する」という考えはまさにそのとおり。ぜひ、組織にあった施策や仕組みを取り入れてみてください。(ライター・加賀山)

Interview / Write / Design:Sachi Kagayama
Edit:Nozomu Iino

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