社内の透明性担保が、インナーコミュニケーションを加速。LayerXが体現する「Trustful Team」
「すべての経済活動を、デジタル化する。」とのミッションを掲げ、デジタル社会への発展を後押しするLayerX。SaaS+Fintechスタートアップとして注目を集めるLayerXでは、インナーコミュニケーション活性化のために、さまざまな取り組みを実施しています。
今回はLayerX人事の山道 あゆかさんに、インナーコミュニケーションの捉え方や、インナーコミュニケーション活性化の取り組みについてお話を伺いました。
「Trustful Team」の体現がインナーコミュニケーションを活発に
──LayerXでは、インナーコミュニケーションをどのように捉えているのでしょうか。
弊社には、5つの行動指針があります。そのなかの1つである「Trustful Team(トラストフル・チーム)」を実現するうえで、自然とインナーコミュニケーションが強化されています。
つまり、インナーコミュニケーションそのものを重視しているというよりは、「Trustful Team」を体現するためにはインナーコミュニケーションが必要であることを、それぞれが自然と認識しているイメージです。
──なるほど。「Trustful Team」について、詳しく教えてください。
「Trustful Team」とは、各自がプロフェッショナルとして、時にはシビアな判断も含め、実行するチームを目指す。そのためにも、おたがいを信頼し、透明性のあるコミュニケーションを徹底すること、と定義されています。
──透明性のあるコミュニケーションを徹底すること。
1人ひとりが意思決定をしたり、日常の業務を遂行したりするうえで、やはりコミュニケーションは重要です。コミュニケーションを円滑に進めるためには、情報の透明性を担保していく必要があります。
だからこそ、インナーコミュニケーションが活性化するようなアクションが、日々社内で生じています。
例えば弊社は、フルリモート社員と関東圏在住でオフィスに出社する社員が混在しています。オフィスに出社するメンバーはその場で気軽に雑談、質問や相談ができますが、フルリモート社員のなかには「出社メンバーの間で知らないうちに物事が進んでいた」「決定事項は共有されたものの、どのような過程で決まった事項なのかがわからない」などの状況が生じることがありました。
──たしかに、ハイブリッド型だとそれぞれの社員間にギャップが生まれやすいですよね……。
そうなんです。その際、メンバー間でのTrustfulなFeedBackが生じ、「ちゃんと物事が決まった背景やプロセスをテキストにまとめて共有していこう! 」と改めて意識付けされ、よりドキュメント文化は重視されるようになりました。
誰もが同じ情報を確認できる状態を作ることは「Trustful Team」を体現するアクションの1つかな、と思います。
トップダウンだけではない。現場のニーズから始まった取り組みも
──「Trustful Team」の体現、もしくはインナーコミュニケーション活性化の文脈で、HRチームやボード陣から実施している施策はありますか。
例えば直近だと、マネージャーのオフサイトミーティングを実施し、マネージャー同士が集まって各部署の課題感やLayerXのマネージャーとは?をすりあわせる場を設けました。
グループディスカッションやワークショップを通して、横のチームがどのようなことに課題を持ち、どのように考えて動いているのかなどを話し合うことで、より透明性の担保を強化していくためです。さらには、それを言語化し、LayerXのマネージャー向けの羅針盤が作られています。
──横のチームの課題を理解することは、たしかに重要ですよね!
ボトムアップで始まった施策としては、週報がありますね。週1回複数のチームから発信されます。
内容としては自分たちのチームにどんな人が所属していて、どういう役割・仕事をしているのか、自分たちのチームが何に課題を感じていて、何に取り組んでいるのかなどをNotionでまとめています。
──ボトムアップからの施策! 現場の課題感から生まれる施策は、効果がありそうですね。
そうですね。現場から生まれた施策であり、強制されたものでもないので、メンバー間での素直な反応が見られますし、ポジティブな意見が飛び交っていました。
週報の内容ももちろんですが、「ああいう取り組みっていいよね」みたいな会話から、どんどん横のつながりやアクションが広がっていき、結果的にインナーコミュニケーションが強化されている感覚がありますね。
ボード陣と従業員間のコミュニケーションハードルを低く
──先ほど、フルリモート社員と関東圏在住の社員が混在しているというお話がありましたよね。それぞれの社員が実際に対面する機会もあるのでしょうか。
やはり“同じ釜の飯を食う”ことの大切さは代表の福島や松本もよく発信していて。クオーター(3ヶ月)ごとに1度、全社の締め会と懇親会をセットにして、オフラインコミュニケーションの機会を設けています。
──そこでみなさん、東京のオフィスに集結されるんですね!
そうです! あとは、入社してすぐの社員は代表の福島、CTOの松本に対して、「すごい人」というイメージが強すぎて距離を感じてしまっていることが多くて……。なので、新たに入社してくださった社員、インターンの方たちは、必ず入社後に福島、松本とのランチ会を実施し、カジュアルに会話ができる場を設けています。
お互いに自己紹介をしたり、2人に聞いてみたいことをざっくばらんに話したり。このような場を設けることで、Slackなどで連絡が必要なときも心理的なハードルを比較的低くできていると感じます。
──ボード陣との関係性構築は、組織規模が大きくなればなるほど課題になってきますよね。
ボード陣とメンバー間のインナーコミュニケーションもやはり重要ですので、そういった取り組みを積極的に取り入れています。
ほかにも、毎週月曜日に30分間の全社定例を実施しています。前半の10分ほどで福島、松本から毎週交互に、事業と組織で意識していきたいことなどを共有する時間をとっています。
メンバーから何かしら代表たちに会話をしたいときは、オープンドアといって福島、松本と1on1を気軽に申し込める日程調整リンクをポータルサイトに掲載しているので、そこから直接コミュニケーションを取ることも可能です。ちなみにですが、先ほどお伝えした、welcomeランチ会の時に新入社員メンバーにはこういった場の存在を伝えることは必ず行っています。
メンバー間のコミュニケーションを加速させる後押し
──フルリモート社員だと、出社する社員に比べて雑談の機会が少ないというお話しがありましたが、雑談文化の醸成なども意識されているのでしょうか。
雑談文化についても、いくつか取り組みをしています。Slackの雑談チャンネルがたくさんあるのが1つの取り組みですね。「ztd_hogehoge」という形でさまざまな雑談チャンネルがあります。例えば、「ztd_papamama」「ztd_osakenomo」などですね。
誰でも自由にチャンネルを作ることができますし、チャンネルが作成されたら全員が見られる共有チャンネルに通知が来るので、それぞれ気になるチャンネルに自由に参加できます。
──なるほど!
また、弊社は1on1をすごく大切にしているのですが、そのタイミングで個々に雑談をしたり、自己開示の時間を設けたりなどの工夫をしています。
とくに最近ではオンラインの仕事が増えていますが、なかなか相互理解や信頼醸成を進めるのが難しいですよね。そういった意味でも、同じ部署、上司、チーム内だけでなく、別の部署、チームの人とも1on1をしていいんだよ!という発信をボードやHRからもしているので、そういった場を活用して相互理解や信頼醸成を深めているイメージです。
──部署を越えたコミュニケーションを取りやすい雰囲気だと、インナーコミュニケーション活性化の後押しにもなりますよね。
はい。他部署の方ともコミュニケーションや相互理解を深めることができるように、社員名簿(簡素な自己紹介ページ)と深い自己紹介といった各々の自己紹介を入社時にNotionに記載する文化があります。自己紹介にある内容をベースにお互いの共通点を探ることもできますし、相手のバックグラウンドをある程度理解したうえでのコミュニケーションをとることが可能です。
このような、メンバー間のコミュニケーションを加速させる後押しも、重要な施策だと考えています。
組織規模拡大に向けて課題は山積み
──さまざまな施策を打つなかで、「Trustful Team」を体現できていると感じた場面はありますか。
最近、「これすごくいいな」と感じる取り組みがありました。会議の内容をドキュメントに残す際、ただ議事録的な内容を記録するだけでなく、すべてのアウトプットにチーム単位での解釈を取り入れていたシーンです。
例えば、オフサイトミーティングで、「自分たちのチームならではのミッションステートメントはなんなのか」を会話し、さらにはそれを実現するために「LayerXの行動指針を体現するために自分たちのチームにそれを当てはめるとどういった行動に落とし込めるのか」など、チーム単位で咀しゃくをして、言語化して、行動に繋げていこうとしている。それをほかのチームに展開している場面をみて、それぞれが自分ごととして「Trustful Team」を体現していると感じましたね。
──組織のなかで、それぞれが行動指針を自分ごととして取り入れている状態は、まさにインナーコミュニケーション活性化の成果ですね。
ただ、インナーコミュニケーションに限らず、今の組織規模だからこそできることってたくさんあると思っていて。弊社は今後2〜3年のあいだに500名ほどの組織を目指していきますが、組織が大きくなればなるほど今までできていた施策の運用が難しくなってくると思います。
だからこそ、早めにアップデートできる施策はアップデートをしていく必要がありますし、組織規模が大きくなったときに打つ施策も仕込んでいく必要があるというのが目の前の課題です。
また、すでに在籍しているメンバーからすると当たり前の施策や取り組みも、新しく入社したメンバーからすると「なんでこの施策があるんだろう」「この取り組みにはどういう意味があるんだろう」と疑問を抱える場面があると思います。それがしっかりと伝わるような、発信や情報の可視化・言語化は、継続的な課題として、引き続き施策を講じていきたいと思います。
Interview / Write:Sachi Kagayama
Edit:Nozomu Iino
Photo:LayerX HR team
Design:Kise Kawamoto