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終身雇用が崩壊するとどうなる?原因や将来に備えた3つの施策を解説

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終身雇用とは、新卒時に正社員として採用した従業員を定年まで雇い続ける制度を指します。

日本では優秀な人材を囲い込む策として高度経済成長期に広く浸透し、今でも多くの日本企業が終身雇用を採用しています。しかし近年、終身雇用が崩壊していると言われるようになりました。

本記事では、終身雇用の背景やメリット・デメリットを解説したのち、なぜ終身雇用が崩壊したとされるのかについて言及します。さらに、終身雇用の崩壊に備え、企業が取るべき3つの施策を提案します。

目次

終身雇用とは

終身雇用とは、新卒で入社した従業員を定年まで雇い続ける制度のことを指します。

アメリカの経営学者であるジェイムズ・アベグレンが日本に浸透している雇用形態を「Lifetime commitment(終身の関係)」と表現したことからこの名が広がりました。

成果主義が当たり前である欧米諸国にとっては真新しい制度ですが、日本では古くから採用されている雇用制度であり、現在も終身雇用を前提とした企業は少なくありません。

日本で終身雇用が導入された背景

日本で終身雇用が導入された背景には、第二次世界大戦後に訪れた高度経済成長期が挙げられます。

新興企業の創立や新規市場参入が始まって経済界が勢いづいた時期でもあり、「同業他社に負けないよう優秀な従業員を確保しよう」と考える企業が増えました。

そのため、優秀な従業員に長く継続的に働いてもらう「囲い込み施策」として、終身雇用が生まれたのです。企業によっては定期昇格制度や退職金制度を導入するなど、長期就労に対するインセンティブを用意するようになりました。

下記のような「年功序列型賃金」や「新卒一括採用」も、終身雇用に拍車をかける要因となっています。

年功序列型賃金

年功序列賃金とは、年齢・勤続年数の長さに応じて賃金を決定する人事評価制度です。

長く働くベテランほど賃金が高く、反対に入社したての若手社員は低めの賃金になることがほとんどです。

「勤続年数が長くなればなるほど自社に最適なスキルを養える」という考えから生まれた人事評価制度であり、長期就労するインセンティブにもなりました。

そのため頻繁に転職を繰り返す人が少なく、20~30年に渡る会社員人生をひとつの企業で過ごす人が多くなったのです。

新卒一括採用

新卒一括採用とは、学生の卒業時期に合わせて新卒社員をまとめて雇い入れる雇用施策です。

採用コストを削減しやすいこと、組織の成長イメージに合わせて雇用人数を変動させられることなどが大きな利点として注目されました。

また、他社に染まっていない若手社員を多く採用することは、自社の経営理念・ミッション・ビジョン・バリューを浸透させたいときにもメリットとなります。

新卒から定年まで働き続ける「終身雇用」は、新卒一括採用と一体であると言えるでしょう。

終身雇用のメリット

前項でも少し触れましたが、終身雇用にはさまざまなメリットがあります。

なぜ日本では古くから終身雇用が受け入れられてきたのか知るためにも、改めてメリットをチェックしてみましょう。

人材が定着しやすい

終身雇用は長期就労することでメリットが得られる仕組みになっており、従業員の離職が起きづらいです。そのため人材が定着しやすく、愛社精神やチームワークを育てることができるのです。

また、同じ従業員が長く勤め上げてくれれば、自社に合ったスキル・経験を蓄積することも可能です。

ノウハウやナレッジを習得したいときにこそ、人材が定着しやすい終身雇用は大きなメリットとなるのです。

長期的に人材を育成できる

長く働くことを前提とした終身雇用では、長期的に人材育成することが可能です。

次世代のリーダーを育成するために社風や理念を含めてじっくり浸透させたり、習得に時間のかかる専門知識を教え込んだりすることもできるでしょう、

自社の狙いに合わせて育成プランを立てられるため、教育効果が高いことも特徴です。

また、新卒一括採用であれば同時期・同内容での研修をしやすく、育成コストを下げられます。

採用コストが抑えられる

終身雇用で多い新卒一括採用は、比較的コストを抑えやすい採用手法でもあります。

同時期に大勢を採用するため会社説明会や面接の日程を広く確保する必要がなく、採用パンフレット・HP・資料の更新頻度も少な目で済むでしょう。人が抜ける度に採用計画を立てなければいけない中途採用とは、大きな違いがあると分かります。

採用コストを抑えた分、人材教育・育成や設備投資に資金を回せます。収益性を確保するという意味でも、終身雇用のメリットがあるのです。

終身雇用のデメリット

終身雇用にはメリットが多い一方、デメリットも存在します。

なぜ近年は終身雇用する企業が減っているのか知るために、デメリットも併せてチェックしてみましょう。

従業員のモチベーションを維持するのが難しい

終身雇用では定年まで雇い続けることが前提となるため、従業員のモチベーションを上げづらくなります。

「頑張っても頑張らなくてもクビにされることはない」「年齢に応じて年功序列式で賃金が上がるなら若いうちから頑張らなくてもいい」というマイナスインセンティブが働くのです。

ルーティンワークだけミスなくこなすような働き方が多くなり、イノベーションが起きづらいこともデメリットと言えるでしょう。

人件費が高い

終身雇用の場合、従業員の年齢に応じてどんどん賃金を上げる必要があるため人件費が高くなりがちです。

リストラのハードルも高く、毎年同じだけの収益を上げるだけでは破綻してしまう恐れがあるでしょう。

人件費率が高くなりすぎないよう継続して利益率を上げていく必要がありますが、長年終身雇用をしていると従業員のモチベーションが上がらず、負のスパイラルに突入するケースも出てきます。

終身雇用が崩壊する原因

終身雇用が崩壊する原因は数多く、日本を代表する大企業でも終身雇用を取りやめる動きが始まっています。

2019年には経団連の中西会長が「終身雇用の継続は難しい」と発言するなど、波紋が広がりました。

下記では、終身雇用を続けられなくなる原因を解説します。

日本経済の低迷と少子高齢化

終身雇用は、右肩上がりの経済状況を前提とした雇用制度です。

従業員の年齢が上がるにつれ支払う人件費が多くなるにも関わらず終身雇用を維持するには、収益率を毎年どんどん向上させていく必要があるのです。

これは企業単位での努力だけで賄えるとは限らず、経済界全体の成長が期待されます。そのため、日本経済が低迷しつつある昨今、終身雇用の維持が難しくなってるのです。

また、少子高齢化の影響も少なくありません。

新卒として採用市場に出てくる労働人口が減り続けている今、新卒一括採用だけでは十分な労働力を確保できなくなっているのです。

新たな評価基準や雇用システムの台頭

少子高齢化の影響を受けて若い労働人口が減りつつある昨今、若手人材に魅力を感じてもらえるよう「成果主義」を導入する企業が増えています。

成果主義は成果・実績・スキルを重視した人事評価基準であり、成果さえ発揮できれば若いうちから高い報酬を得ることができるのです。

「終身雇用では若いうちから努力しても無駄」「本当はもっとスキルアップしたいのに会社から評価されない」とストレスを感じている若手人材にとって、成果主義の方がよりメリットを感じられるのでしょう。

この流れを受け、年功序列による終身雇用から成果主義に切り替える企業が増えているのです。

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終身雇用が崩壊したと言われるのはなぜ?

終身雇用を継続している企業は未だあるものの、「すでに終身雇用は崩壊した」と考える人が少しずつ増えています。

下記の調査では、終身雇用を支える「生え抜き社員(新卒で入社して勤務し続ける社員)」比率が下がっていることが分かりました。

総務省の調査では転職率の増加が(※1)、東京商工リサーチの調査では早期退職・希望退職を募る企業の増加が(※2)確認されており、終身雇用の崩壊が始まりつつ

あると分かります。

スキルアップを目指して成果主義の企業へ移る若手社員の狙いも、人件費の高いベテラン社員を切り離したい企業側の狙いも、どちらも読み取れる調査と言えるでしょう。

(※1)引用:総務省統計局, 労働力調査(詳細集計),〈https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/dt/index.html〉, 閲覧日2022年6月
(※2)引用:東京商工リサーチ, 上場企業早期・希望退職実施状況,〈https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20200115_01.html〉, 閲覧日2022年6月

終身雇用の崩壊に備えた3つの施策

終身雇用の崩壊は、「従業員の定着率が下がる」「長期的な育成計画を立てづらくなる」など企業が不安を抱くきっかけにもなっています。

まずは、終身雇用が崩壊しても従業員の定着・育成ができる社内体制を構築する必要があるでしょう。

下記では、どちらにも効果のある施策を紹介します。

離職防止については、下記の記事でも解説しています。

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働き方に柔軟性を持たせる

ワークライフバランスを重視する人が増えている昨今、働き方に柔軟性を持たせられる企業の人気が高まっています。

オフィスワークだけでなくテレワークやサテライトオフィス勤務を導入したり、フレックスタイム制度・時短制度を活用したりするのもよいでしょう。

多様な働き方が認められれば、妊娠・出産・子育て・介護・病気療養など従業員のライフステージが変わっても就労継続しやすく、離職を防ぐことができます。

優秀な人材も獲得しやすくなり、多くのメリットが得られるでしょう。

公平な評価制度を取り入れる

公平な評価制度を取り入れ、評価内容に対する納得感を高めていくことも効果的です。

「なぜこの評価なのか」「どうすればさらに評価が上がるのか」を具体的に提示しながら人事評価できれば、例え一時期に評価が下がっても納得できるでしょう。

次の評価期間中における努力の方向性も固まりやすく、企業と従業員が同じビジョンを共有できることもメリットです。

反対に、年齢・勤続年数など本人の努力だけではどうにも変えられない要素ばかり評価される場合や、上司の一方的な好き・嫌いだけで評価される場合、納得感が得られる離職につながります。

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従業員のキャリアプラン実現に努める

自社にいることがメリットであると感じてもらえるよう、従業員のキャリアプラン実現に努める方法があります。

従業員のスキルアップを支援する福利厚生を導入したり、部門横断型で参加できる教育・研修の場を提供したり、目指すキャリアに到達できる仕組みをつくるとよいでしょう。

また、個人ごとに異なるキャリアプランをヒアリングし、可能な限り要望に沿うことも大切です。立候補制度などの導入も、キャリアプラン実現を支える施策となります。

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終身雇用の崩壊に影響されない体制を

終身雇用はメリット・デメリットどちらもありますが、近年は終身雇用の継続が難しいと感じている企業が増えています。

年功序列・新卒一括採用でなくとも自社に在籍し続けるメリットを感じてもらえるよう、社内体制を構築していくとよいでしょう。

社内報によるエンゲージメントの創出も、離職予防に役立ちます。自社の課題を見据えながら、効果的な施策を考えていくことが大切です。

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この記事を書いた人

ourly magazineのライティングを主に担当。
働くにあたって、自分も楽しみつつ会社も成長できるようなバランス感覚に興味を持ち、ourlyに参画。
純文学と歴史のある喫茶店が好き。おばあちゃんと猫に好かれやすい。

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