経営理念とは?意味や効果・作り方・有名企業の経営理念を紹介

「経営理念」という言葉は一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

多くの企業のコーポレートサイトで経営理念ページがあり、変化が激しいこの世の中で、経営理念は企業が成長する上で欠かせないものになってきました。

しかし、「経営理念ってどうやって作るの?」「他企業はどんな経営理念を掲げているの?」と疑問を抱かれている方も多いと思います。

そこで今回、この記事では、経営理念の意味や企業理念との違い、効果、作り方、有名企業の経営理念を紹介します。

この記事が何かしらの役に立てれば、嬉しいです。

経営理念とは?

経営理念とは経営上の方針や手段を明文化したものです。
経営者の交代や時代やニーズの変化によって、経営理念は変わることがあります。

実際に、誰もが知る大手企業、三井物産株式会社は経営理念を2020年5月に変更しました。

企業理念との違い

企業理念とは、その企業の存在意義を明文化したものです。

経営理念とは違って、その企業が何のために存在しているのかを定めた言葉なので、企業理念が変更されることは滅多にありません。

以下に、経営理念と企業理念の定義をまとめておきます。

  • 経営理念:企業の経営における信念や価値観、方針を明文化したもの
  • 企業理念:その企業の存在意義を明文化したもの

ここで、具体例として株式会社ツムラの経営理念と企業理念を紹介します。

経営理念:自然と健康を科学する

企業理念:漢方医学と西洋医学の融合により世界で類のない最高の医療提供に貢献します

(引用:株式会社ツムラ,「経営理念・企業使命・ビジョン」<https://www.tsumura.co.jp/corporate/policy/>,2020年9月閲覧)

上記のように、経営理念は経営上の手段や方針を示し、企業理念は企業の目的や存在意義を示していることが分かると思います。

ここまで企業理念と経営理念の定義を説明してきましたが、実はしっかりと使い分けている企業はそこまで多くありません。

(「経営理念の考え方・つくり方 」でも、
「経営理念」と「企業理念」はほぼ同等の使われ方をしてもよいと評価している。)

この記事を読んでくださった方は、経営理念と企業理念の違いを理解した上で、明文化を進めていただけると嬉しいです。

MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)との関係

ここでは、MVV(ミッション、ビジョン、バリュー)と経営理念との関係を説明します。

ミッション、ビジョン、バリューの概要はこちらの記事をご覧ください。

関連記事:ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)とは?定義と活かし方、つくり方のポイント


正直なところ明確な定義はなく、経営理念とミッション、ビジョン、バリューの関係性は企業によって解釈が違う、というのが結論になります。

有名企業3社を例に挙げて解説します。

例1:リクルートマネジメントソリューションズ

リクルートマネジメントソリューションズでは、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)をまとめて経営理念と表現しています。

(引用:リクルートマネジメントソリューションズ,経営理念
<https://www.recruit-ms.co.jp/company/mvv/>,2020年9月閲覧)

例2:タイガー魔法瓶株式会社

タイガー魔法瓶株式会社では、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)をまとめて企業理念として示されており、経営理念は記載されていません。

(引用:タイガー魔法瓶株式会社,企業理念
<https://www.tiger.jp/corporate/policy.html>,2020年9月閲覧)

例3:日本ハム株式会社

日本ハム株式会社では、企業理念、経営理念、行動指針(=value)となっており、上記2つとは体系が違うようです。

(引用:日本ハム株式会社,企業理念
<https://www.nipponham.co.jp/group/vision/ci.html>,2020年9月閲覧)

上記のように、各企業のようにMVVと経営理念、さらには企業理念の解釈が違うことがお分かりいただけたと思います。

ただ、一般的にはMVVをまとめて経営理念もしくは企業理念としている企業は多いようです。

経営理念を策定する目的

一体何のために経営理念を策定するのでしょうか?
経営理念を策定する目的は大きく2つあります。

  • 経営上の判断軸とするため
  • 従業員が同じ方向を向いて働くため

それぞれ詳しく説明します。

目的1:経営上の判断軸とするため

経営を進める中で、問題にぶつかるときや判断に迷うことは多々あるでしょう。そんなときに経営理念は役立ちます。

経営状況が危なくなったとき、冷静な判断をするのは難しいですが、経営理念があることで自分たちの信念に立ち返ることができます。

そうすることで、行き当たりばったりな判断や誤った判断を避けることができます。

実際、米IBM社は理念を再定義したことで、経営危機を乗り越えることができました。(パトリシア・ジョーンズ著「世界最強の社訓」より)

目的2:全従業員が同じ方向を向いて働くため

いきなりですが、どちらの方がいいか考えてみてください。

  • 従業員の行動がバラバラ
  • 従業員の行動が一貫している

いかがでしょうか? 多くの人は後者を選ぶのではないかと思います。

従業員が企業の方針を理解しているのとしていないのとでは、従業員のパフォーマンスや主体性に大きく変わるでしょう。
さらには企業の実績にも関わってきます。

その企業の方針を明文化したものが経営理念なのです。

経営理念を策定するメリット

経営理念を策定するメリットを解説します。
メリットは以下の5つです。

  • 迅速かつ納得のいく判断ができる
  • 従業員のエンゲージメント・モチベーションの向上
  • 人材のリテンション(保持)
  • 認知度を高めることができる
  • 経営理念に共感する人材を採用できる

 それぞれ詳しく説明します。

メリット1:迅速かつ納得のいく判断ができる

迅速かつ納得のいく判断ができることは大きなメリットです。

経営上、何か問題が起きたときでも経営理念に準じた、つまり自分たちの信念に従った判断ができます。

そして、経営理念がない場合に比べて選択肢を絞れる分、判断スピードが上がることは間違い無いでしょう。

メリット2:従業員のエンゲージメント・モチベーションの向上

経営理念の策定は、従業員のエンゲージメント・モチベーションの向上につながります。

リモートワークの導入や転職の一般化の流れの中、従業員のエンゲージメントに関心を寄せる方が多いのではないかと思います。

経営理念に共感している従業員は、自分の仕事が自社や社会にどのような影響を及ぼすのか納得して働くことができるので、エンゲージメント・モチベーションの向上につながります。

実際に、ベストモチベーションカンパニーアワード2017で第1位に輝いた、株式会社LIFULLは、インタビューで理念浸透に一番力を入れたと話しています。

さらに、リンクアンドモチベーション元執行役員の麻野耕司も、従業員のモチベーションに最も寄与するのは、経営理念だと話しています。

(詳細はこちらの記事をご覧ください)

従業員エンゲージメントについて詳しく知りたい方、こちらの記事をご覧ください。

関連記事:従業員エンゲージメントを高める方法は?日本の現状・効果・高い企業の事例を紹介

メリット3:人材のリテンション(保持)

少子高齢化・労働人口の減少により、日本企業は優秀な人材の獲得競争が激化しています。その背景から日本企業は、優秀な人材のリテンションする取り組みが急務となっています。

そこで大事な鍵を握るのが、経営理念です。

上述の通り、経営理念に共感している従業員はエンゲージメントが高い状態になります。
その結果として、人材のリテンションへとつながるのです。

メリット4:認知度を高めることができる

経営理念を策定することで、認知度を高めることが出来ます。

自分たちの信念を世間に知ってもらい、さらに共感してもらえれば、支援者が増えるなど企業の発展に大きく寄与するでしょう。

メリット5:経営理念に共感する人材を採用できる

上述の認知度を高めることができれば、経営理念に共感した人材のリクルーティングも可能となります。

最初から経営理念に共感している人材は、モチベーションが高いので、主体的に働いてくれることが期待できます。

その人材が活躍してくれれば、企業の業績は向上し、さらに採用活動がうまくいくことでしょう。

逆に経営理念に共感出来ない人材は採用しない、もしくは応募してこないので、入社前にミスマッチを防ぐことが出来ます。

関連記事:リファラル採用とは?メリット・デメリット、導入事例、成功のポイント解説

経営理念の策定における注意点

ここまで経営理念の概要やメリットについて解説してきましたが、注意してほしいポイントがあります。

注意点は2つあります。

  • 経営理念は浸透しなければ意味がない
  • 経営理念が浸透するまで時間がかかる

それぞれ詳しく解説します。

注意点1:経営理念は浸透しなければ意味がない

経営理念は策定して終わりではありません。
策定した後、従業員に浸透してこそ効果を発揮します。

経営理念を策定しても、浸透せずに放っておくと何も状況は変わらず、従業員もモチベーションも上がらず、価値観もバラバラになったままでしょう。

注意点2:経営理念が浸透するまで時間がかかる

経営理念を策定してから、従業員に浸透するまで、多大な時間がかかります。
経営理念が浸透するまで、数年はかかると思っておきましょう。

浸透させるための施策を打っても、思ったような成果が得られないこともあるでしょう。

しかし、そこで諦めるのではなく、浸透するまで粘り強く取り組むという強い意志が大切になってきます。

経営理念の浸透施策

経営理念は一般には、MVV(ミッション、ビジョン、バリュー)のことを指すことが多いです。

以下の記事に経営理念の浸透施策を解説していますので、ぜひご参照ください。

関連記事:ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)とは?定義と活かし方、つくり方のポイント

経営理念の作り方・変更のしかた

経営理念と似た意味でミッション・ビジョン・バリュー(MVV)という言葉があります。そして、経営理念の作り方はこれらミッション・ビジョン・バリューの作り方と類似するため、以下の記事を参考にしてください。

経営理念(ミッション・ビジョン・バリュー)策定のためのワークシートも用意していますので、ぜひご覧ください。

ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)とは?意味の違い・作り方・企業事例9選

有名企業の経営理念 10選

ここでは、有名企業の経営理念10選を紹介します。

Googleの経営理念

Google の使命は、世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできて使えるようにすることです。

(引用:Google,Googleについて,<https://about.google/>,2021年1月閲覧)

facebookの経営理念

”Give people the power to build community and bring the world closer together.”

訳)コミュニティづくりを応援し、人と人がより身近になる世界を実現します。

(引用:Facebook,Company info,<https://about.fb.com/company-info/>,2020年9月閲覧)

NIKEの経営理念

世界中の全てのアスリートにインスピレーションとイノベーションをもたらす

(引用:NIKE,NIKEについて,<https://nikeats.avature.net/careerJP/AboutUs>,2020年9月閲覧)

ANAの経営理念

安心と信頼を基礎に、世界をつなぐ心の翼で夢にあふれる未来に貢献します

(引用:ANAグループ,ANAグループ経営理念・ビジョン・行動指針,<https://www.ana.co.jp/group/about-us/vision/>,2020年9月閲覧)

パナソニックの経営理念

綱領:産業人たるの本分に徹し社会生活の改善と向上を図り 世界文化の進展に寄与せんことを期す

信条:向上発展は各員の和親協力を得るに非ざれば得難し 各員至誠を旨とし一致団結社務に服すること

私たちの遵奉すべき精神:産業報国の精神、公明正大の精神、和親一致の精神、力闘向上の精神、礼節謙譲の精神、順応同化の精神、感謝報恩の精神

(引用:Panasonic,ブランドスローガン経営理念,<https://www.panasonic.com/jp/corporate/management/philosophy.html>,2021年1月閲覧)

トヨタの経営理念

Vision:可動性を社会の可能性に変える

Misson:幸せを量産する

Value:トヨタウェイ

(引用:TOYOTA,トヨタフィロソフィー,<https://global.toyota/jp/company/vision-and-philosophy/philosophy/>,2021年1月閲覧)

丸紅の経営理念

丸紅は、社是「正・新・和」の精神に則り、公正明朗な企業活動を通じ、経済・社会の発展、地球環境の保全に貢献する、誇りある企業グループを目指します。

(引用:丸紅株式会社,経営理念,<https://www.marubeni.com/jp/company/policy/>,2020年9月閲覧)

楽天の経営理念

イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントする

(引用:楽天株式会社,企業理念,<https://corp.rakuten.co.jp/about/philosophy/>,2020年9月閲覧)

セブンイレブンの経営理念

私たちは
いかなる時代にもお店と共に
あまねく地域社会の利便性を追求し続け
毎日の豊かな暮らしを実現する

(引用:株式会社セブン-イレブン・ジャパン,企業理念,<https://www.sej.co.jp/company/principle.html>,2020年9月閲覧)

ユニクロの経営理念

服を変え、常識を変え、世界を変えていく

(引用:ファーストリテーリング,基本理念,<https://www.fastretailing.com/jp/about/frway/>,2020年9月閲覧)

どの企業も簡潔な言葉で、自分たちの信念を明文化しているのが分かると思います。
こちらの記事にも、企業文化、理念や行動指針についてまとめていますので、ご参照ください。

関連記事:企業文化とは?重要視される理由と醸成・浸透方法、他社事例10社徹底紹介!

経営理念は経営や人材確保に重要

この記事では、経営理念の概要や経理理念策定のメリット、注意点や有名企業の経営理念の紹介をしました。

経営を進める上で、問題にぶつかったときや判断に迷ったときに、判断軸として経営理念は役立ちます。

さらに、経営理念が従業員に浸透していることでエンゲージメントの向上や外部へのブランディングにつながり、人材のリテンションや採用が可能となります。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
この記事が御社の経営に役立てば、幸いです。