パラレルキャリアとは?副業との違い・メリット・デメリット・始め方を紹介!
近年のさまざまな環境変化により、「パラレルキャリア」という考え方が注目を集めるようになりました。
パラレルキャリアは「本業と並行して、他の活動もする」という意味ですが、よく分からないという方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、パラレルキャリアの意味や副業との違い、注目されている背景、メリットやデメリット、始め方について解説します。
この記事が、何かしらの役に立てば幸いです。
パラレルキャリアとは?
パラレルキャリアとは一体どういう考え方を指すのでしょうか。
英語でパラレルは『並列の』という意味を持ち、キャリアは『経歴』という意味を持つので、パラレルキャリアとは『並列の経歴=複数の経歴を並行して身につけること』と解釈できます。
この考え方を提唱したのは、経営学者のP.F. ドラッカー氏で、著書内ではパラレルキャリアとは「本業を持ちながら、第二の活動をすること」と定義づけられています。
(引用:P.Fドラッガー,『明日を支配するもの―21世紀のマネジメント革命 』,ダイヤモンド社,1991年3月1日出版)
第二の活動について明確な定義があるわけではなく、ボランティア活動、他企業への所属や自営業など、さまざまなキャリア活動のことを指します。
また副業の考え方とは違い(下記参照)、1つを本業とするのではなく、本業を複数持つという考え方から、「複業」と呼ぶこともあります。
パラレルキャリアと副業との違い
副業とは収入増加を目的として、本業以外に仕事をすることを言います。
例えば、お金のために本業の勤務終了後や休日はアルバイトをするといった働き方は副業と言えます。
一方で、パラレルキャリアは収入増加が目的ではありません。
パラレルキャリアは、自らのスキルアップや夢の実現、視野の拡大や自己投資を目的とした活動のことを言います。
無報酬で行っていた活動が収入に繋がることはあります。
パラレルキャリアと副業の違いは、まとめるとこのようになります。
- 副業:収入が目的の活動
- パラレルキャリア:収入が目的でなく、個人にプラスの影響を与えるための活動
パラレルキャリアが注目される背景
なぜパラレルキャリアは注目されるようになったのでしょうか。
その背景は以下の2つです。
- 背景1:企業寿命の短命化
- 背景2:ワークスタイルの多様化
背景1:企業寿命の短命化
パラレルキャリアが注目されている背景として、企業寿命の短命化は最も大きな要因と言っても過言ではないでしょう。
一昔前では50年と言われていた企業寿命ですが、テクノロジーの発展やグローバル企業との競争により、現在の企業寿命は23.7年と言われています。
(引用:東京商工リサーチ 2019年「業歴30年以上の『老舗』企業倒産」調査
リクルートワークス,『職業寿命50年・企業寿命25年のキャリアづくり ―テクノロジーがもたらす光と影』<https://www.works-i.com/sp/tech/sp/column01_01.html>,2020年8月閲覧)
一方で、人間の平均寿命は年々上がっており、企業の寿命より私たちの労働年数の方が長くなりました。
その結果、同じ企業で定年まで勤め上げる前に企業が倒産してしまう可能性の方が高く、その際に路頭に迷わないように、複数のキャリアを形成するという考え方が注目を集めているのです。
背景2:ワークスタイルの多様化
先ほど述べた企業寿命の短命化により、終身雇用の実質的破綻など、日本従来のワークスタイルは機能しなくなりました。
そして、代わりにリモートワークの普及化、転職の一般化、フリーランスの増加などワークスタイルの多様化が進んでいます。
特にフリーランスの人数は、労働人口6000万人強に対して1000万人超えと、6人に1人がフリーランスという計算になります。
米国では2027年には過半数がフリーランスになると予測されており、この流れは日本にも訪れるでしょう。
(引用:厚生労働省,『プロフェッショナルな働き方 フリーランス白書 2018』
<https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12602000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Roudouseisakutantou/0000189092_2.pdf>,2018年出版)
こういった背景から、複数のキャリアを同時に歩むという新しい働き方、パラレルキャリアが注目されているのです。
先ほど述べたリモートワークについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
パラレルキャリアのメリット
パラレルキャリアのメリットについて説明します。
パラレルキャリアのメリットは以下の6つです。
- メリット1:人脈が広がる
- メリット2:多様な物事の見方が身につく
- メリット3:(タイム)マネジメント力が向上する
- メリット4:コストをかけずに人材育成が行える
- メリット5:スキルが磨ける
- メリット6:ノーリスク・挑戦できる
メリット1:人脈が広がる
人脈が広がることはパラレルキャリアの大きなメリットでしょう。
企業で働いていると、社内の人脈は広がっていきますが、社外で人脈を広げることが難しいこともあります。
パラレルキャリアとして活動する中で、本業では出会うことのなかったさまざまな人と出会うことで、新しい人脈を形成することができます。
人脈は、目に見えない財産です。
新しい人脈によって、新しい自分を発見できたり、新たなチャンスを手に入れたり、同じ志を持つ仲間が見つかったりなど、かけがえのないものを得られるかもしれません。
また、ビジネスにおいては、新しい人脈が利益を生み出してくれることもあります。
従業員の人脈が広がることは企業にとっても大きなメリットと言えるでしょう。
メリット2:多様な物事の見方が身につく
同じ企業で働いていると、日々の業務がルーティンワーク化してしまったり、問題に気づけなかったりなど、物事の考え方や捉え方が偏る可能性があります。
パラレルキャリアの活動を通して、さまざまな人との交流から刺激を受けることで、価値観が広がったり、新たな気づきを得られたり、考え方がガラリと変わったりなど多様な物事の見方が身に付くでしょう。
従業員が柔軟な思考力を身につければ、本業においても効果を発揮し、企業側に大きな利益をもたらすかもしれません。
メリット3:(タイム)マネジメント力が向上する
パラレルキャリアでの活動を始めると、以前に比べて確実に時間と労力を消費することになります。
そのため、複数のキャリアを両立させるためには、自己管理と時間管理をできることが必須です。
パラレルキャリアをすることで、マネジメント力が向上し、本業での仕事も効率化とスピードアップが期待できるので、企業にとってもメリットがあると言えるでしょう。
メリット4:コストをかけずに人材育成を行える(企業目線)
企業にとっては、コストをかけずに人材育成を行えるというメリットがあります。
パラレルキャリアの活動を通じて、従業員はさまざまなスキルを身につけるでしょう。
また、本業とは違うコミュニティで経験を積むことになるので、そこでの経験を本業に活かし、企業に大きな利益をもたらすこともあります。
例えば、こんな例が想像しやすいのではないでしょうか。
「X社に勤めている、釣りが趣味のAさん。
趣味である釣りの面白さを発信したいと思い、Aさんは釣りyoutuberとして活動を始めました。
ちょうどYouTubeを使ったブランディングをしたいと考えていたX社の経営陣は、AさんにYouTubeマーケティングの責任者を任せました。
結果、X社はブランディングに成功し、集客・採用ともにうまくいき、業績を大きく伸ばすことができました。」
このように、「自社×その他の環境」での能力を得た従業員は、企業が求めている以上の人物になる可能性も大いに秘めているのです。
メリット5:スキルが磨ける
パラレルキャリアの活動を通して、本業で身につけられないようなスキルを獲得できます。
例えば、週末の時間を使ってプログラミングを勉強したり、コーチングの資格を取ったりしてみる。週に1回ボランティア活動をしてみる、自分の趣味をYouTubeで発信してみる、などが挙げられます。
そういった活動を通してスキルが身につき、将来の選択肢を広げることができるでしょう。
また、スキルを磨くことで収入アップに繋がることもあります。
メリット6:ノーリスクで挑戦できる
本業で収入が確保されているため、挑戦に失敗しても仕事が無くなったり、収入が減ることはありません。
昔であれば、退職しないと挑戦できなかったので、リスクを取れずに挑戦を諦めなければいけませんでした。
しかし、パラレルキャリアという考え方は、収入が保証されていながら自分のしたいことに挑戦できます。
そんなの最高じゃないですか?
ノーリスクで挑戦できることはパラレルキャリアの最大のメリットかもしれませんね。
パラレルキャリアのデメリット
パラレルキャリアのデメリットについて説明します。
パラレルキャリアのデメリットは以下の3つです。
- デメリット1:本業に支障をきたすことがある
- デメリット2:人材の流出のリスク(企業目線)
- デメリット3:就業規則(企業目線)
- デメリット4:情報の流出
デメリット1:本業に支障をきたすことがある
パラレルキャリアの代表的なデメリットとして、本業に支障をきたす可能性があることが挙げられます。
パラレルキャリアでの活動は、時間と労力を大きく消費します。
そのため、自己管理と時間管理がうまくできなければ、体調を崩したり、本業のタスクがおろそかになったりなど、本業に悪影響を与えてしまう可能性があります。
パラレルキャリアは自己管理や時間管理を身につける手段として有効ですが、デメリットとして表面化することもあるので、無理のないように活動しましょう。
デメリット2:人材の流出のリスク(企業目線)
企業にとっては人材の流出のリスクがあることは念頭に置いておきましょう。
パラレルキャリアでの活動をする中で、その活動を本格的にしたいと思い始め、退職を検討する従業員は少なからず出てくるでしょう。
パラレルキャリアの活動により従業員の成長、そして企業の業績アップを期待できるメリットもある一方で、その従業員が退職する可能性もあるという大きなデメリットもあるのです。
人材流出については、こちらの記事で詳しく書いていますので、是非ご覧ください。
デメリット3:就業規則(企業目線)
パラレルキャリアの導入を検討している企業によっては、就業規則の変更をしなければいけないかもしれません。
その変更に納得しない従業員も出てくることが予測されます。
また、副業との線引きも難しく、社内でトラブルが起こるかもしれません。
もし、パラレルキャリアの導入を検討しているのであれば、就業規則の明確化と従業員への理解の徹底が必要でしょう。
デメリット4:情報の流出(企業目線)
パラレルキャリアは、外部環境で身につけたノウハウや能力を自社で活用してもらえる反面、自社の情報やノウハウが流出してしまう恐れもあります。
自社の核となるような情報やノウハウが流出してしまうと、経営上、大きなリスクを背負うことになります。
パラレルキャリアの従業員とは、しっかりと守秘義務契約を交わすようにしましょう。
パラレルキャリアの始め方
パラレルキャリアの始め方について説明します。
パラレルキャリアの始め方は以下の4つです。
- 始め方1:やりたいことを見つける
- 始め方2:NPO活動
- 始め方3:クラウドソーシング
- 始め方4:スクールに通う
始め方1:やりたいことを見つける
まずは紙にやりたいこと、少しでも興味のあることをたくさん書き出してみましょう。
あまり書けない人は、以下のような質問を自身に投げかけてみてください。
- もし今急な大金が入ったとしたら、何をする?
- 仕事を3年休んでもいいと言われたら、何をする?
- 今までで時間忘れるくらい熱中したことは何?
- もし自分が1年後に死ぬとしたら、何をする?
- 今まで、人に感謝されたことは何?
世界一周する、ギターを始める、プログラミングスクールに通ってみる、自分の映画を作る、などなど……
この質問に答えることで、やりたいことが少し見つかるのではないでしょうか?
これがやってみたい! と思うものが見つかれば、それに向けて小さな一歩でもいいので踏み出してみましょう。
始め方2:NPO活動
パラレルキャリア始めることになるきっかけの1つとしてNPO活動があります。
地域のゴミ拾いや災害地域の支援、自然保護やいじめ問題に取り組む団体など、日本各地でさまざまな団体が活動しているため、興味のある団体に参加してみるといいでしょう。
NPO活動は社会貢献の要素が強いので、やりがいを感じやすいのもメリットです。
今まで自分が培ってきた経験やスキルが活きるような活動であれば、より良いでしょう。
始め方3:クラウドソーシング
クラウドソーシングとは、仕事を依頼したい企業と仕事を受けたい個人のマッチングサービスのことです。
パラレルキャリアとして活動していきたい分野が決まっていれば、クラウドソーシングサービスを利用してみるのもいいでしょう。
例えば、文章でを書くことが好きであれば、ライターの仕事を受けてみるといった感じです。
仕事を受けることができれば、スキルを磨くと同時に収入を得ることも可能です。
始め方4:スクールに通う
最近はスキル系のスクールの通う人が増えており、特に、プログラミングスクールに通う人は急増しています。
他にもwebデザイン、コーチングや経営といったスクールに通うなど、必要とされているスキルを磨くことは、自分の選択肢を広げるという面においては有効な手段でしょう。
今の組織を変えるなら ourly から
ourlyは、組織改善に特化した全く新しいweb社内報サービスです。
web知識が一切不要で、誰でも簡単に投稿できるだけでなく、閲覧率や読了率(記事がどこまで読まれているか)などの豊富な分析機能が特徴的です。
また社内報運用を成功に導くための豊富な伴走支援に強みがあり、web社内報としてだけでなく組織課題を可視化するツールとしても魅力的なツールとなっています。
ourlyの特徴
- SNSのように気軽にコメントできる仕様で、社内のコミュニケーション活性化を実現
- web知識が一切不要で簡単に投稿できる
- 豊富な支援体制で社内報の運用工数を削減できる
- 分析機能に特化しており、属性・グループごとにメッセージの浸透度がわかる
- 組織課題や情報発信後の改善度合いを可視化することができる
「離職率が高い」「部署間・役職間に隔たりがある」といった悩みを抱える方におすすめのweb社内報ツールです。
まとめ
この記事では、パラレルキャリアの概要説明、メリットやデメリット、始め方などを解説しました。
最後にそれぞれの項目について、簡単にまとめておきます。
パラレルキャリアとは「本業を持ちながら、第二の活動をすること」とP.F.ドラッガー氏が定義づけており、収入を主目的とする副業とは異なり、自己実現やスキルアップを目的とした活動です。
パラレルキャリアは、企業寿命の短命化やワークスタイルの多様化といった理由から、近年注目を集めている考え方です。
そんなパラレルキャリアのメリットは以下の6つです。
- メリット1:人脈が広がる
- メリット2:多様な物事の見方が身につく
- メリット3:(タイム)マネジメント力が向上する
- メリット4:コストをかけずに人材育成が行える
- メリット5:スキルが磨ける
- メリット6:ノーリスク・挑戦できる
また、パラレルキャリアのデメリットは以下の3つです。
- デメリット1:本業に支障をきたすことがある
- デメリット2:人材の流出のリスク(企業目線)
- デメリット3:就業規則(企業目線)
- デメリット4:情報の流出(企業目線)
パラレルキャリアの始め方は以下の4つです。
- 始め方1:やりたいことを見つける
- 始め方2:NPO活動
- 始め方3:クラウドソーシング
- 始め方4:スクールに通う
この記事がパラレルキャリアを検討しているあなたの後押しになれば、嬉しいです。