バーンアウト(燃え尽き症候群)とは?企業で予防する3つの方法と対処策を解説
バーンアウト(燃え尽き症候群)とは、それまで高いモチベーションで仕事に打ち込んでいた人が、突然疲れ果ててやる気を失ってしまうような症状を指します。
バーンアウトは真面目で熱心な人ほど陥りやすい傾向があるとされ、企業の業務効率低下や取引先との関係悪化といった問題を引き起こしかねません。さらには休職や離職のリスクにもなり得るため、企業は日頃から十分な予防対策を打っておく必要があります。
本記事では、
- バーンアウトの3つの症状
- バーンアウトを引き起こす要因
- バーンアウトを企業が予防する3つの方法
- バーンアウトが生じた場合の対処策
これらの内容を解説します。
過重負担の末に従業員が燃え尽きてしまうことのないよう、職場づくりの参考にしていただけると幸いです。
バーンアウトとは
バーンアウトは「燃え尽き症候群」と呼ばれる症状でもあり、それまで高いモチベーションで仕事に打ち込んでいた人が突然疲れ果ててやる気を失ってしまうことを指します。
真面目で熱心な人ほどバーンアウトに陥りやすい傾向があり、少しずつ熱意が消えてしまうのが特徴です。集中力に欠ける・遅刻や突発的な欠勤が増える・自発的なスキルアップに前向きでなくなる、などの傾向が現れている人がいれば、バーンアウトを疑ってよいでしょう。
バーンアウトとうつ病との違い
バーンアウトと似た症状として「うつ病」が挙げられますが、「うつ病」は不安障害や自律神経失調症などを伴うことの多い精神的な疾患です。病気の一種であるので医療機関にサポートしてもらいながら長期的な治療計画を立てることが求められます。
一方、バーンアウトは精神疾患ではなく、診断書が下りないことも多いです。とはいえ深刻な症状が出ると不眠・アルコール依存・引きこもりなどに発展することも多く、結果的にうつ病になってしまうことも少なくありません。
両者は全く別のものですが、バーンアウトからうつ病になることもあるので安易に考えることはできないのです。
バーンアウトの3つの症状
バーンアウトの症状は目に見えづらく、あらかじめ代表的な症状を知って早期に気づくことが大切です。
社会心理学者であるクリスティーナ・マスラークはバーンアウトの尺度であるMBI(=Maslach Burnout Inventory)を提唱しており、下記の症状が出ている場合はバーンアウトに該当する可能性が高いとしています。下記でひとつずつ解説します。
1. 情緒的消耗感┃疲れ果てた状態
悲しい・楽しいなどの喜怒哀楽が薄れ、何をやってもつまらないような情緒的消耗感が現れます。これまでと同じ仕事をしているはずなのに急に楽しくなくなったり、上司に叱責されるようなミスを起こしてもどうでもいいように感じられたりすることもあるでしょう。
自分に起きていることがどこか他人事であるかのように思え、情緒的な気持ちの動きがなくなるのが特徴です。疲れ果てて無感動になっているような状態に近いでしょう。
2. 脱人格化┃思いやりのない態度
脱人格化が起きて思いやりのない態度を取ったり、自己中心的になったりするのも特徴です。「自分以外の人はどうでもいい」と思えていつの間にか勝手な行動をしているケースもあれば、「そもそも相手の気持ちがわからない」など思いやりを持とうと思っても持てないケースもあります。
結果的に相手の背景を理解せず機械的に対応することが増え、周囲からの信頼を失います。
3. 個人的達成感の低下┃やりがいや自信の喪失
情緒的消耗間や脱人格化が現れると、当然仕事やプライベートに影響するようになり、個人的達成感が低下します。「いつも通りやっているはずなのに成果が出ない」「上司や同僚から疎まれるようになった」と気づくことでやりがいや自信を失い、チャレンジ精神もなくなってしまうのです。
失敗を恐れ、言われたことだけを淡々とこなすような働き方になってしまうので、評価されるのは更に難しくなるでしょう。自己否定が続くことでうつ病に近づくなど、リスクの高い状態であることも事実です。
バーンアウトを引き起こす要因
バーンアウトを引き起こす原因は、多数存在します。主に「個人要因」と「環境要因」とに分けられるので、それぞれ代表例をチェックしておきましょう。
個人要因┃バーンアウトになりやすい人
自分自身の正確・思考特性・ストレス耐性などが要因で、バーンアウトになることがあります。例えば、下記のような人がバーンアウトになりやすいと言われています。
- 自責性が強く、何事も自分に問題があると思ってしまう人
- 自己肯定感が低く、周囲に褒められてもお世辞だと思ってしまう人
- コミュニケーション能力が低く、周囲と円滑な人間関係を築けない人
- 「人に嫌われている」という自意識が強く、周囲を信頼できない人
- 人に相談するのが苦手で、問題を抱え込んでしまいがちな人
少しずつストレスが蓄積することでバーンアウトすることもあるので、上記に該当する部分が多ければ要注意です。
環境要因┃バーンアウトになりやすい環境
環境が原因でバーンアウトになる人もいるので、注意しておきましょう。例えば下記のような要因が挙げられます。
- やりがいのある部署からルーティンワーク中心の部署に異動になった
- 数年単位で続く長期プロジェクトが終了した
- 自分がいないと回らない業務が多く、精神的なプレッシャーが強い
- 残業・休日出勤の量が多く慢性的な身体疲労が取れていない
- 努力しても評価されない環境に長く身を置いている
理想と現実とのギャップが大きくなったときや、精神的・肉体的疲労が蓄積したときはバーンアウトしやすいのが特徴です。また、「自分は何のため働いているのか」という目的を見失ったときも、一気にやりがいが減ってバーンアウトが訪れます。
バーンアウトを企業が予防する3つの方法
バーンアウトは個人的な努力で予防することもできますが、それ以上に企業による環境の整備が重要です。バーンアウトが起こりづらい組織であれば、従業員が悩み・不満を抱えても解消しやすくなるでしょう。
下記では、企業ができるバーンアウト予防法を紹介します。
1. 業務に過重負担がないか見直す
まずは、業務に過重負担がないか見直しましょう。
特定の部署でひとりにだけ負担が寄っていたり、属人化が起きていてプレッシャーが集中していたりする場合は要注意です。また、勤怠実績を見ながら過度な残業・休日出勤がないか分析したり、ノルマが正当な範囲か見直したりするのも効果的です。
万が一問題があれば、人員を拡充する・交代で有給を取得させる・目標を策定しなおすなど柔軟に対応していきましょう。目の前の仕事に集中できる環境が整えば、バーンアウトのリスクは自ずと低下します。
2. 職場の心理的安全性を高める
職場の心理的安全性を高め、相談しやすい環境を整えることも大切です。
例えば、部下からアイディアが提案されたり新たな発言があったときは、頭ごなしに否定せずまず傾聴する姿勢を見せましょう。「自分より上の人間が自分の意見にしっかり耳を傾けてくれる」という状況はエンゲージメント向上に効果的であり、意欲を増す要因になります。
また、同僚の頑張りを評価しあう制度を作ったり、社内SNSで気軽に自分に関する情報を発信できるようにしたりする方法もあります。インナーコミュニケーションの促進もひとつのキーワードとなるので、取り組んでみましょう。
3. 身近なサポート役を設ける
身近なサポート役を設けて、業務内外のことをフォローアップするのもおすすめです。
年齢やこれまでの環境が近いメンターがいれば、職場での愚痴や相談を気軽に吐き出しやすくなるでしょう。親身な上司がいれば不満も正面から伝えられるので、心理的なストレスがなくなります。
また、業務上欠かせないスキルを身につけるためコーチをつけたり、スキルアップをサポートする部門を設けたりする方法もあります。「気軽に」利用できることが重要なので、組織に浸透するよう対策していきましょう。
バーンアウトが生じた場合の対処策
最後に、万が一バーンアウトが生じた場合の対処策を紹介します。「バーンアウトが起きたら休職・退職一直線」と思ってしまいがちですが、効果的な対策をすることで十分元の状態に戻ることは可能です。
個人の対処策┃バーンアウトからの立ち直り方
個人でできる対処策としては、十分な休養が挙げられます。
バーンアウトは、焦れば焦るほど努力が空回りしやすく、逆効果になりやすいのが特徴です。「今まで十分頑張ったから」とポジティブに開き直り、睡眠時間を増やしたり趣味に熱中したり、リフレッシュできる方法を探りましょう。
また、自分のキャリアを等身大に見つめなおし、できることからスモールステップで努力することも大切です。最初から大きな目標を掲げようとするといつか無理だと思ってしまうタイミングが訪れるので、できる範囲の努力から始めましょう。
企業の対処策┃従業員の復職を支援
企業でできる対処法としては、従業員の復職支援が挙げられます。
まずは、最も焦っているのは本人だと理解し、無理に復職を迫ったり状況を細かく管理したりするのを辞めましょう。最初からフルスロットルで復職してもらわなくても済むよう、比較的人員に余裕のある部門へ復職させたり任せる業務を最小限に抑えたりすることも効果的です。
ただし、配慮しすぎることで「自分は期待されていない」とネガティブな印象を植え付けてしまう可能性もあるので注意が必要です。会社が何を期待しているのかは伝え、少しずつ復帰してもらえるよう対策していきましょう。
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バーンアウトを予防して長く活躍できる職場に
バーンアウトが起こると、パフォーマンスが著しく低下して取引先・顧客の印象を損ねたり、本人のキャリア形成にマイナスの影響が出たりすることも多いです。最終的にうつ状態になって休職・退職するなど、思わぬ結果を招くケースもあるので注意しましょう。
まずは、会社による手厚いサポートをすることが大切です。大きなプロジェクトが終了したときは個別にフォローアップしたり、本人のキャパシティに合った業務量を任せたりできれば、むしろ会社への信頼感は増していきます。