ラポール形成とは?ビジネスの場での実践方法やポイントを解説
ラポール形成とは、お互いに信頼し合い、打ち解けた関係を形成することです(「ラポール(rapport)」とは、フランス語で「架け橋」という意味です)。
ラポール形成には、相手の価値観を尊重し、自分と相手との類似性を意識して距離感をつめ、会話を適切な方向へ誘導することが必要になります。
この記事では、ラポール形成に必要な3つの要素、ラポール形成の方法や注意点を解説します。この記事を読めば、失敗することなくラポール形成を上手に進められるはずです。
ラポール形成とは?
「ラポール(=rapport)」とはフランス語で「架け橋」を意味し、ラポール形成とは、お互いに信頼し合い、打ち解けた関係を形成することを指します。
互いの価値観を尊重し合える居心地の良い関係性であれば、ラポールが形成されていると捉えられるでしょう。
相手と安心してコミュニケーションが取れるため、ビジネス上の相手ともラポール形成することが重要だとされています。
ミスコミュニケーションによるトラブルを予防するためにも、心理的安全性の高い状態で忌憚のない意見交換をするためにも、ラポール形成が欠かせないのです。
ビジネスの場でのラポール形成の重要性
ラポール形成の有無は、仕事におけるパフォーマンスに直結することから重要性が高いとされています。
例えば営業マンが取引先と良好な関係性を構築できれば、相手から信頼されて契約単価やリピート率が向上することが期待されます。
同僚同士の関係性がよくなれば、批判や反対意見を気にしすぎることなく柔軟なアイディア交換やノウハウの共有ができ、業務効率が各段に向上するでしょう。
会社にとっても社員にとってもメリットが高いことから、ラポール形成の重要性が高まっているのです。
ラポール形成に欠かせない考え方
ラポール形成を叶えるためには、「尊敬」「類似性」「ペーシング(およびリーディング)」が欠かせません。
これらの3要素が満たせてはじめてラポール形成ができるため、下記を参考にイメージを固めていきましょう。
相手を尊重する
尊重とは、相手の価値観・体験・感情・立場を尊重して共感を示そうとする姿勢のことを指します。
自分と異なる意見でもまずは耳を傾け、遮ることなく聞き通すことが重要です。たとえ最終的に異なる方向に進むことになっても、「話を最後まで聞いてもらえた」という実感はずっと胸に残るものです。
お互いに尊重し合うことがラポール形成の第一歩だと捉え、相手をコントロールしようとする考えを排除していきましょう。
類似性を意識して会話する
類似性とは、相手と自分の共通項を見つけて一体感を得ていくことを指します。
一見すると意見が異なる相手同士でも、根本となる目的意識が共通していたり、危機感を抱くポイントが同じであったりすることは多いものです。ちょっとしたことでも共通項があればお互いが安心しやすく、あえて言葉に出して伝えることによりその安心感は増大していくでしょう。
また、趣味など共通の話題をコミュニケーションのきっかけとしていくことも効果的であり、ラポール形成が進みやすくなります。
ペーシングとリーディングを使う
「ペーシング」とは、相手に話すスピード・呼吸・視線・間の取り方を合わせていく手法です。
緊迫感のないリラックスしたコミュニケーションがしやすくなり、波長を合わせることができるでしょう。また、目的に合わせて会話をリードする「リーディング」ができれば、会話のペースを掴めます。
ペーシングとリーディングをうまく組み合わせることで質問や提案を受け入れてもらいやすくなるため、会話の手法として参考にしてみることをおすすめします。
ラポール形成の実践方法・テクニック
実際にラポール形成を叶えるためには、下記のような方法・テクニックを参考にするとよいでしょう。
スムーズなコミュニケーションをするきっかけとしても有効であるため、ひとつずつ特徴を解説します。
ミラーリング
ミラーリングとは、相手の仕草・姿勢・声のトーン・会話のテンポなどを真似る方法です。
鏡に映したようにそっくりにすることから「ミラーリング」という名前がつけられ、今ではコミュニケーション手法として確立するようになりました。
親近感が湧きやすく壁のないシームレスなコミュニケーションがしやすくなる一方、ミラーリングをしていると相手に悟られると気分を害されてしまう可能性もあるため注意が必要です。
キャリブレーション
キャリブレーションとは、言葉以外の情報から相手の心理を把握する方法です。
前述した相手の仕草・姿勢・声のトーン・会話のテンポなどに加え、表情・呼吸のペース・身振り手振り・服装・視線なども含まれます。
ノンバーバルコミュニケーションが言語コミュニケーションを補完するという意見がある通り、言葉以上の信頼関係構築に役立つとされています。
ただし、相手の心情を間違えて解釈することを防ぐため、キャリブレーションだけに頼らないよう注意することが大切です。
バックトラッキング
バックトラッキングとは、いわゆる「オウム返し」とも呼ばれる返答の方法です。
相手の言葉を繰り返し発言することで、「理解してくれている」という感覚を与えることができるでしょう。また、意味を変えず適宜内容を言い換えながら発言することもバックトラッキングに含まれます。
相手が伝えたいと思っていることを整理するためにも、効果的に活用していきましょう。
マッチング
マッチングとは、声の大きさや話し方を相手に合わせることで警戒心を解いていく方法です。
話し方の癖にその人の性格が現れることが多いため、自分も似た属性の人であると伝える効果があるでしょう。同じ雰囲気を共有しやすいこともメリットであり、コミュニケーションに対する心理的ハードルを下げられることもポイントです。
コミュニケーション手法に関しては、以下の記事でも解説しています。
ラポールをうまく形成するためのポイント
ラポール形成を成功させるに当たり、下記のようなポイントを意識しておく必要があります。
あくまでも自然かつ安心感のあるコミュニケーションをするためにも、ラポール形成をすること自体を目標に据えすぎないよう注意していきましょう。
相手の感覚のタイプを理解する
人は目・耳・身体感覚から得られた情報を処理する際、その人なりの優先順位で処理を行います。この優先順位付けはその人に癖として染み付いている、いわばタイプであるため、それぞれが心地よいと感じる対応の仕方があります。
相手が視覚・聴覚・身体感覚のどれを重要視するタイプなのかを見極め合わせることで、相手に居心地の良さを感じてもらえるでしょう。
相手の思考の癖を理解する
誰にでも、その人なりの思考の癖や考え方の方向性を持っています。ラポールを形成する際には、相手の思考の癖に合わせて、伝え方や接し方を変えると良いでしょう。
例えば、目的を重要視するタイプなのか、問題回避を重要視するタイプなのかという切り口があります。それぞれ重要視している点が違うため、伝え方を工夫することで意見を通しやすくなったり、信頼してもらいやすくなったりするでしょう。
相手を否定せず、価値観を尊重する
ラポール形成に欠かせない項目として、相手を否定せず尊重することが挙げられます。
どんなに親近感のある人でも、自分の意見をあまり聞かず真っ向から否定されてしまっては関係性にヒビが入ってしまうでしょう。反対に、第一印象が多少伴わなくとも意見にしっかり耳を傾け検討材料として活かしてくれる人であれば、会話をする度に信頼感が強まります。
ディベート(討論)ではないことを意識しつつ、相手への高い共感の姿勢を示すことが重要です。
テクニックのしすぎは逆効果
前述の通り、ラポール形成にはミラーリング・キャリブレーション・バックトラッキング・マッチングなどさまざまなテクニックを活用することが大切です。
しかしテクニック偏重になり相手の気持ちや思いを蔑ろにしてしまった場合、表面的でわざとらしいコミュニケーションになりかねないため注意が必要です。
「自分の仕草を意図的に真似されている」と感じた人は不快感を示すことが多く、「表面的な会話をされている」と感じた人は壁を強くしてしまうでしょう。あくまでもナチュラルなコミュニケーションを意識し、無理にテクニックに頼らないことが重要です。
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ラポール形成で組織力を高めよう
ラポール形成は、取引先や顧客との社外コミュニケーションだけでなく上司・部下・同僚との社内コミュニケーションにも役立ちます。
高い安心感からシームレスな会話ができるようになり、発言に対する心理的な壁も取り払われていくでしょう。
イノベーティブなアイディアや斬新な発想も生まれやすく、会社にとっても高いメリットがあります。
相手の価値観を尊重し、自分と相手との類似性を意識して距離感を詰めながら少しずつラポール形成をしていけるよう、意識してみてはいかがでしょうか。