自己効力感とは?自己肯定感との違いや5つの高める方法を解説
自己効力感とは、ある状況下において、結果をだすために適切な行動を選択し、目標を達成するための能力を自らが持っていると認識している状態を指します。
自己効力感を高めるメリットには、
- チャレンジ精神が旺盛になる
- 高いモチベーションを維持できる
- 失敗からの立ち直りが早くなる
などがあります。
この記事では、自己効力感の概要、自己肯定感との違い、自己効力感の測定方法(一般性セルフ・エフィカシー尺度)、自己効力感の3タイプや構成する要素を解説します。その後、自己効力感を高めるメリットや5つの高める方法を紹介します。
自己効力感とは
自己効力感とは、目標達成のための能力を私は持っていると自分を信じている状態を指します。「成果を出せる自信」と言い換えることができるでしょう。スタンフォード大学教授であるアルバート・バンデューラ博士によって提唱された心理学用語で、英語では「Self-efficacy」と表わされます。
自己効力感が高まると、ポジティブ思考が身につきます。「自分にならできる」という気持ちが強いため、チャレンジ精神が旺盛になり新たなことや未知のことにも積極的に着手できるでしょう。
万が一ミスや失敗をしても「次こそ成功させる」と立ち上がるためメンタルバランスを崩すことが少なく、前を向いて行動できるのです
つまり、自己効力感は日々の生活において欠かせないものであると言えるでしょう。ビジネスシーンでも自己効力感が活きるシーンが多く、業務パフォーマンスが向上するとも言われています。
自己効力感と自己肯定感との違い
自己効力感とよく似た言葉のひとつとして、「自己肯定感」が挙げられます。どちらも自分に自信を持っている状態であるという点では同じですが、実は異なる点があることを理解しておきましょう。
自己効力感は前述の通り、「自分であれば成果を出せる」という自信のことを指します。目標達成にフォーカスが当てられており、パフォーマンスの発揮に価値を置く自信の持ち方だと言えるでしょう。
一方で自己肯定感は「ありのままの自分でいい」という自信のことを指します。
例え目標を達成できなくともパフォーマンスが低下したとしても、それに伴って自分自身の価値まで下がることはないと信じている状態なのです。
「できてもできなくても、自分は自分」と考えている状態であり、目標達成にフォーカスを当てている自己効力感とは異なります。
自己効力感の測定方法(一般性セルフ・エフィカシー尺度)
自己効力感を測定する方法のひとつに、「一般性セルフ・エフィカシー尺度(GSES)」があります。
16の質問にアンケート形式で回答することによって自己効力感の高低を可視化するものであり、ビジネスシーンだけでなく教育・医療・メンタルケアの現場でも活用されています。
項目は「行動の積極性」「失敗に対する不安」「能力の社会的位置づけ」の3つに細分化されており、それぞれどの項目の数値が高いか(低いか)もチェックできます。
自ら積極的に行動し、失敗に対する不安が強すぎず「次がある」と考えることができ、社会的な有用性の高いスキルを保有している人であれば、一般性セルフ・エフィカシー尺度で高い得点が出るでしょう。
反対に得点が低く自己効力感がないとされる人であれば、どの項目の点数が低いのか客観的に判断することが可能です。
自己効力感の3タイプ
自己効力感には、3つのタイプが存在します。
ともに自己効力感を持つ人がいてもタイプが異なる場合があるため、下記を参考にどのタイプなのか判断していきましょう。
自己統制的自己効力感
自己統制的自己効力感は、自己効力感のなかで最もスタンダードかつ数の多いタイプです。
自らの行動を統制することに楽しみを見出しており、「自分の選択であれば間違いない」「最適な選択をすることができる」という自信を持っています。
チャレンジ精神旺盛なタイプでもあり、人を巻き込んだ大規模なプロジェクトを得意とすることが多いでしょう。
万が一失敗しても、反省を活かしながら次にチャレンジできる点も魅力です。
社会的自己効力感
社会的自己効力感は、対人関係に強みを持つタイプです。
コミュニケーション能力に長けており、人の話に耳を傾けたり共感したりしながら信頼関係を築くことができます。また、自分の意見を上手に伝えながら相手を納得させたり、不快感を与えず誰ともそつなく仲良くなれることが特徴です。
コツコツ距離感を詰めるタイプの営業職や、細かな交渉・折衝を担う対外部署に適性があるタイプだと言えるでしょう。
学業的自己効力感
学業的自己効力感は、学業に強みを持つタイプです。偏差値の高い学校や難関国家資格に合格したり、高い専門知識を有している人に多い傾向があります。
スキルやノウハウの習得を苦と思わず、コツコツ継続しながら勉強する粘り強さが魅力です。
また、新しい知識をインプットしたり時代に合わせて考え方をアップデートしたりすることに対する抵抗感が少なく、既存のルール・マニュアル・常識に捉われない判断もできます。
研究職など専門的な職種とは、特に相性のよいタイプでしょう。
自己効力感を構成する要素
前述したいずれのタイプであっても、自己効力感は「結果予期」と「効力予期」に裏付けられます。
これらが見通せない場合、自己効力感が発揮されることはないでしょう。下記でひとつずつ解説します。
結果予期
結果予期とは、過去の経験をもとに今後起きることを予測することを指す言葉です。
どんな行動をすればどんな結果になるか具体的にイメージできるため、ミスしそうな選択肢を除外したりよりパフォーマンスの高い選択ができたりするのです。
例えば部下のモチベーションが下がっている場合、無理にやる気を鼓舞するような声をかけをしたり叱責したりせず、何があったか傾聴するサポートができるでしょう。
これは「本人の気持ちを考えない声かけは却ってモチベーションの低下を招く」と予期しているからこその行動です。知識や経験を活かしてより良い選択をするための要素であり、自分の選択に自信を持つ自己効力感には欠かせません。
効力予期
効力予期とは、自分で選択した行動を上手に実行し、確実な成果に結び付けられると考えることを指します。
前述したモチベーションが下がっている部下の例を挙げると、例え傾聴・共感の姿勢を示したとしても根本的な問題解決ができるとは限りません。
なかには上手くコミュニケーションができず却って心理的な壁を高くしてしまったり、結局一方的なアドバイスをするのみで本人の気持ちに寄り添えなかったりすることもあるでしょう。
しかし効果予期が備わっていれば、自分の行動が確実にポジティブな影響を起こすと確信できます。自信を持って行動できるため、パフォーマンスも向上しやすくなるのです。
自己効力感を高めるメリット
自己効力感を高めることは、さまざまなメリットをもたらします。
下記では特にビジネスシーンでのメリットに触れるため、参考にしていきましょう。
チャレンジ精神が旺盛になる
自己効力感が高いと自分の選択や行動に自信を持てるようになり、チャレンジ精神が旺盛になります。
一見難しいことにも果敢にチャレンジしたり、自ら手を挙げて積極的に行動したり、自発的な様子が見られるでしょう。自発的な姿は経営層や上司に評価されやすく、昇進・昇給が早まる可能性もありそうです。
また、これまでにない新しい取り組みにも新鮮な気持ちで挑めるため、心理的な障壁なく業務に邁進できることもメリットです。
高いモチベーションを維持できる
「自分であればできるはず」という高い自己効力感は、モチベーションの維持に貢献します。
他の誰でもない自分にしかできない業務だという自負を負えば、責任感も増すでしょう。働きがい・やりがいを得やすく、ワークエンゲージメントも向上します。
より精力的に業務ができるため、結果としてパフォーマンスが上がり、周囲から評価されることもありそうです。
失敗からの立ち直りが早くなる
自己効力感が高いと、失敗からの立ち直りが早いことも魅力です。
一度失敗しても「次こそは成功させよう」と前向きに考えることができ、失敗を恐れすぎて二の足を踏むことがありません。
また、失敗の経験から反省し次のチャレンジに活かすことができるため、回数を経るごとに失敗のリスクを減らせます。繰り返しているうちにさらに自分に自信が持てるなど、好循環が生じることも多いでしょう。
自己効力感を高める5つの方法
最後に、自己効力感を高める方法を紹介します。
自分の自己効力感を高めたいときはもちろん、部下のトレーニングやマネジメントに役立てることもできるためぜひご参考ください。
成功体験をする
自己効力感は、成功体験に紐づくものだと言われています。
過去に狙い通り成功できた経験があれば、そのときの行動・思考を参考にしながら次の作戦を練れるでしょう。「少しずつ成長している」という実感も得やすくなり、チャレンジする楽しさを見出せます。
反対に、どんなにチャレンジしても成功できない場合、やがてやる気を失いかねません。まずは自分にできる範囲の目標を定め、スモールクリアしながらレベルアップしていくことが大切です。
代理体験をする
他の人が成功している様子を観察し、あたかも自分が成功しているかのようにイメージしていく手法です。
イメージトレーニングの場で活用されることが多く、「こうすれば成功できるだろうか」と想像していく過程が重要です。やがて自分にもできそうなビジョンを抱ければ、次はチャレンジしてみようという意気込みにつながるでしょう。
代理体験をするときは、自分と距離感の近い人を参考にするのがおすすめです。
業界の第一人者や一流のプロを参考にするのもよいですが、上司・同僚・友人・家族などを参考にするとより「自分にもできそう」という気持ちが高まります。
言語的説得を受ける(他者からの説得や自己教示)
言語的説得を受け、背中を押してもらう方法です。
「君ならできる」と強くプッシュしてもらい、自分ひとりではチャレンジできなかったことができたという体験を持つ人は多いでしょう。
同様に、ノウハウ・スキル・ナレッジを授けてもらうレクチャー型の指導を受け、少しずつ自信をつけていく方法もあります。ポジティブな声かけをしてもらい、人からの協力を得て自己効力感を高めることもできると意識していきましょう。
生理的状態・感情的状態をコントロールする(情動的喚起)
生理的状態・感情的状態をコントロールし、自己効力感を高める方法です。
「昨日はたくさん寝たから集中できるはず」「緊張するけど意外とドキドキしていないから大丈夫なはず」など、自分の生理的状態を客観視しながら自信に変えていくとよいでしょう。
また、「前は悲しくて泣いてしまったが今回は我慢できた」など感情面での成功体験を得ることも効果的です。
このような情動的喚起には、生活習慣を整える必要があります。適切な睡眠・食事・運動による身体的なストレスを軽減するほか、好きなことに没頭するなど心理的なストレス緩和策を取る事も意識していきましょう。
想像的体験をする
想像的体験とは、成功している姿を想像してわくわくする体験のことを指します。成功に至るまでの行動・思考・他社との関わり・置かれた環境など、より詳細な想像ができれば自己効力感が高まります。
想像の内容は自分の成功だけに留まらず、他者の成功をイメージしても同じ効果が得られるためチャレンジしてみましょう。
いわゆる妄想に近いものがありますが、実際に似たようなシーンになったときには行動を後押しするきっかけになります。
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自己効力感を高めて組織を強くしよう
自己効力感が高まれば、チャレンジ精神が旺盛になる・高いモチベーションを維持できる・失敗からの立ち直りが早くなる、などさまざまなメリットが得られます。
個人にとっても組織にとっても大きなメリットとなるため、自己効力感を高める取り組みをしてみましょう。
自己効力感を可視化したいときは、一般性セルフ・エフィカシー尺度を用いるのがおすすめです。
どの要素が足りていないかチェックするきっかけとしても有効であるため、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。