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“フィードバック”という文化を根付かせる。習慣化の鍵を握るのは「タコ活」? 

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仕事における“フィードバック”は、上司から部下にするものだと考える人が大半ではないでしょうか。実はフィードバックとは、上から下へ発信するのみではなく、同僚、ときには部下から上司に伝えることで、組織全体の成長につながります。

今回は、株式会社コンカーのチーフカルチャーオフィサー(CCO)・田中由香さんにインタビュー。コンカーが考えるフィードバックと、独自のコミュニケーション法である“タコ活”について、語ってもらいました。

田中 由香さん

田中 由香
(たなか ゆか)

インタビュイー

株式会社コンカー
チーフ・カルチャー・オフィサー(CCO)

2012年、コンカーに製品翻訳担当として入社。2014年、コンカーの文化づくりに取り組む有志集団「文化部」の2代目メンバーに加入し、社内イベント、社内報づくりなどで尽力する。2016年には有志集団「コミュニケーションタスクフォース」を結成。雑談スポット構築など、社内でさまざまな仕掛けを実施する。2018年、製品翻訳業務との兼務でチーフ・カルチャー・オフィサー(COO)に就任。2020年よりCOOを専任し、コンカーの文化づくりに力を注ぐ。

インタビュアー

2019年よりフリーランスライター・編集者・Webメディアディレクターとして活動。前職ではベンチャー企業のメディア事業部に在籍し、Webマガジンの副編集長としてWebメディアの運営・企画やライターマネジメントに従事。

現在は、ourly magazine編集部にてコンテンツ企画やインタビュー、ライティングを担当している。

目次

“フィードバック”の固定概念を取っ払う

──コンカーではフィードバックをすごく重要視されているとのことですが、そもそもフィードバックをどのように捉えていますか?

一般的に、フィードバックは仕事の改善要求を伝えるもの、というイメージがあると思います。でも私たちはそれだけがフィードバックではないと考えています。日ごろから社員同士でさまざまなフィードバックを伝え合っているのですが、その9割がポジティブなフィードバックです。いわば、仲間の「成長を願うギフト」のようなものですね。

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「言わぬが花」ではいけない。コンカー代表が語るフィードバックの重要性と可能性 『みんなのフィードバック大全』の著者であり、株式会社コンカー 代表取締役社長の三村さんにフィードバックの重要性や、社内でフィードバック文化を醸成するための取り組みについてお話しを伺いました。

──たしかに、フィードバックは改善すべき点を伝えるもの、というイメージがありますね。

弊社ではまず入社したら、フィードバックの意味や考え方を研修でお伝えします。フィードバックは成長につながるだけではなく、信頼関係の構築にも役立ちます。また、日々繰り返すことでフィードバックを受け止めて自身の力へとする「コーチャビリティ」も向上すると考えています。

ただ入社時の研修だけだとフィードバックを習慣化するのは難しいので、その後もいろいろな施策を行っています。

“フィードバック文化”を根付かせる3つの施策

──具体的には、どういった施策を行っているのでしょうか。

大きく分けて3つあるのですが、ひとつは定点観測である「フィードバック実施調査」です。日常的にフィードバックを伝えているかどうかを、年2回全社員に答えてもらいます。匿名の調査なのですが、アンケートには所属部署、直属の上司を記載してもらい、上司・同僚・部下にフィードバックを伝えたかを回答してもらいます。

──上司へのフィードバックは心理的にブロックがかかってしまいそうになると思うのですが……。その点はどのように呼びかけているのですか?

最初の研修で、弊社にはフィードバックをし合って高めあう文化があることを伝えています。そのため、上司にフィードバックをすることが失礼になるんじゃないか、といった不安を感じにくい環境づくりをしているんです。

アンケートの後半では、もっとも有益なフィードバックをしてくれたのは誰なのかも回答してもらいます。もっとも票が集まった方はMVF(Most Valuable Feedbacker)アワードという称号で、社内表彰を行います。

──MVFアワードは、どんな方が受賞されるのですか?

ポジティブなフィードバックをしてくれるのと同時に、ギャップフィードバック(ネガティブなフィードバック)もよくしてくれる人が選ばれる傾向が高いです。そこで選ばれた方には、なぜフィードバックがよくできるのかについて、パネラーとしてお話しいただいたりしています。

2つ目に行っているのは、私たちが“合宿”と呼んでいるワークショップですね。泊まりがけで行うわけではないのですが、1日仕事の手を止めて会社の課題を認識し、解決策を話し合うイベントとなっています。

テーマは都度変わるのですが、フィードバックを受け止めて自身の力へとする「コーチャビリティ」を高めるにはどうしたらいいのかなどを話し合います。同時に、自分はいまどのくらい「コーチャビリティ」が高まっているのかを知ってもらう機会にもなっていますね。

たとえばパートナー様との協業関連の仕事をしているデジタルエコシステム本部では、どこかの廃校で合宿を実施したこともありました(笑)。マーケティング本部では古民家を借りて行ったこともありますね。そういった場所は少し日常から離れた環境なので、リラックスしながら話し合うことができました。

もちろんオンラインで開催した方が運営するのは楽なんです。でも、実際に集まった方が一体感や盛り上がりの密度が違うんですよね。

──たしかに、リモートと対面では一体感が異なりますよね。

3つ目は、「リモートワーク・コンカーStyle」です。これはコロナ禍になってリモートワークになった際に起きた課題なのですが、逐一Web会議を開かないと顔を合わせることが難しくなったんです。そうなると、とくに新人の方はなかなか成長しづらくなってしまいます。

そこで新しいコンカースタイルを設けました。たとえば、調べてもわからない場合はためらわずに電話をかける。電話を受け取る側も、出られない状況だったら不在通知にしてかけ直す必要はない。というように、連絡する側もされる側もストレスを感じないようなスタイルをつくって共有しました。

また、Web会議でお客さまが退出したあとにミーティングの振り返りを行うなど、ちょっとした“フィードバックのタイミング”を見逃さないように意識しています。

遊びで生まれる社内の風通し

──コンカーでは、「タコ活」というコミュニケーション方法を実施しているとお伺いしたのですが、これはどのような方法なのでしょうか?

「タコ活」というのは、他部署とのコミュニケーション活動の略称なんです。まず部署関係なく、4〜5人のグループをつくります。そしてそのグループで“遊んでください”というお願いをするんです。

──遊びですか?

仕事以外のことでいいんです。ちなみに私はみんなでサバゲーに行きました(笑)。ほかにも、脱出ゲームに行ったりトランポリンをしに行ったというグループもいましたね。

──本当になんでもありですね(笑)。

目的は、他部署と仲良くなって“コネ”をつくることなんです。そうすることで、仕事で何か頼み事をしなければいけないときに、相手の部署の空気感を知っているとスムーズにいくと思うんです。お互いの関係性の基盤づくりをして欲しいんですよね。

あとこれは私の実体験なんですけど、仕事でもっと成長したいと感じたときに普通は転職を考えると思うんです。でも他部署の仕事内容や空気感を知っていたら、社内で自分をもっと伸ばせる場所が見つかるかもしれません。弊社にはジョブポスティング制度があって、その判断の後押しにもなると考えています。

──なるほど。もっと社内のことを知るきっかけにもなるんですね。

田中:あとは「タコめぐり」という活動も実施しています。これは、他部署のマネージャーとの接点を無料でつくるマッチングサービスです。現在弊社にはマネージャーレベルの社員が約60人いるのですが、同じように新人さんを60人集めて、オンラインでそれぞれ2人きりの部屋をつくり、コミュニケーションをとってもらいます。1時間で3人のマネージャーと話せるように組み合わせを考えて、これからのキャリアやお互いのことを知ってもらう機会を設けています。

目指すはやりがいと働きやすさの両立

──さまざな方法でフィードバックやコミュニケーションを向上・維持されていると思うのですが、結果的に会社にとってどのようなメリットにつながると考えていますか?

いち社員として私が実感していることなのですが、生産性に大きく影響していると思います。あと運営してる側としては、すごく周りから感謝されたり、やりがいを感じる瞬間が多かったりしますね。コンカーは、「やりがい」と「働きやすさ」の両立を目指しています。ですから働きやすいだけではなく、自分がやってよかったと思える瞬間がどれだけあるかも重要です。

すべて社員がこの2つを両立できるようにするためにも、フィードバックの文化を根付かせ、心理的安全性の高い環境でい続けることを目指しています。そうすることで、結果的に離職率の低下や業績の向上にもつながると感じています。

interview / Design:Sachi Kagayama
Write:harumakimoe
Photo:Reiya Kaji

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