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2,400人参加のオンライン社員総会。決断の中心にはいつでも「人」があった

会社の進む方向や、いまの状況などを伝える目的で、多くの企業が社員総会を行っています。大きな企業だと、みんなで集まる機会もなかなかないものです。

社員総会はコミュニケーションの観点でも非常に重要な機能を持っていましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大によりで全員が集まる総会を開くのも困難になっています。

そんな中、ディップ株式会社では、2,000人を超える社員を集めてオンライン総会を開催したそうです。

今回はそんなディップ株式会社で組織開発を担う上野さん・青木さんにオンライン総会の裏側を取材してきました。

ディップ株式会社は新型コロナウイルスが世間で流行り始め、企業がテレワークを導入するか迷っている中、いち早く2020年1月に全社的なテレワークを導入。その後も、日本最大規模のオンライン総会を企画・実施するなど、環境の変化に適応しながら新しいやり方に挑戦し続けています。

そのような素早い対応の背景に込められた社長・社員の方の想い・工夫をお聞きしましたので、ぜひご一読ください。

この企画は、実際の企業様にインナーコミュニケーションなどに関する施策を取材し、紹介する目的で実施しております。

その他の企業事例はこちらからご覧ください。

インタビュイー

上野麻佑子様
ディップ株式会社に2007年新卒入社。営業部門にて全社1位の売上実績を上げ、その後人事本部新卒採用チームの責任者を担う。2014年9月より組織開発チームを新設。約120名の現場社員と共に活動する「女性活躍推進プロジェクト」や、事業価値を考える「社内季刊誌」「読後対話会」、全社員参加型の「クラウド型社内報」の立ち上げ・推進など、組織風土変革・理念浸透 等を担う。

青木陽子様
ディップ株式会社に2013年新卒入社。「バイトル」等を通じて顧客の採用支援を行う採用コンサルタントとして活躍。
2016年に人事本部新卒採用チームへ異動し、年間300~400人の採用活動に従事。2019年より組織開発チームにて「社員総会」や全社の部門間交流を促進する「ツナグバ!」を企画・推進など、主に社内コミュニケーション活性化を担当。

ディップ株式会社について:https://www.dip-net.co.jp/

目次

「人」が財産。社長が体現し続けるからこそ広まる思想

ーーまずは、日本で新型コロナウイルスが流行り始めたときの御社の様子・対応を教えていただきたいです。

写真左:上野麻佑子さん
写真右:青木陽子さん

(青木さん)
ありがとうございます。

まず、新型コロナウイルスの情報が世の中に流れ始めた段階で、弊社はすぐに完全テレワーク導入の準備に取り掛かりました。従来よりテレワークで働くことができる環境が整っていたこともあり、2020年の1月には、すぐに完全テレワークの導入を行いました。

ここには、代表冨田の「人がすべて、人が財産」という経営方針が貫かれており、「社員を第一に守りたい」という想いが強く現れています。社員にもその想いがきちんと伝わっていきました。

ただ、冨田は「ただテレワークを行えば良い」という考えではありませんでした。

去年のコロナ流行当初は、コロナの情報もまだまだ少なく、確かな感染対策方法が分からない状況でしたから、まずは安全を確保する意味で全社テレワークを導入しました。

しかしながら、徐々に情報が流れ始めてからは少しずつ考えが変わっていきます。

現在、冨田が大切にしているのは「正しく恐れる」ということです。闇雲に不安になって思考停止に陥り、何もしないことはむしろ経済を衰退させ、結果的に不幸な人を増やします。

弊社の求人情報サービス「バイトル」などのユーザー様には有期雇用者の方も多くいらっしゃり、その方達の生活不安や苦しさを目の当たりにしているからこそ、正しい対処の必要性をより強く実感しています。

冨田は常々「ユーザーのために、1つでも多くの求人案件を載せよう」というような言葉を社員にかけております。

危機的な状況の時にこそ、企業の姿勢が現れると思いますが、常にユーザーファーストで自分たちに出来ることを考えるという経営陣の姿勢に、社員たちが深く共感していると思いますね。

(上野さん)
「ピンチはチャンス」という言葉を弊社の行動精神として大切にしているのですが、まさに今回のような危機的な状況の時にこそ、経営陣と社員の日頃の関係性が問われると感じています。

冨田は「正しく恐れよう」というメッセージと共に、「感染防止ガイドブック」という冊子をご家族向けに配りました。社員がご家族の理解を得てストレスなく過ごせるように、またご家族も含めてみんなで乗り越えましょうというメッセージを込めてのアイデアです。

また、クライアントやユーザーに向けた、独自の「新型コロナウイルス支援施策」も矢継ぎ早に打ち出しました。資金繰りがすぐには難しいクライアントには「支払い延長施策」を、感染しお仕事を休まざるを得なくなったユーザーには「休業時の経済支援」を。

「人がすべて、人が財産」という弊社の経営指針を、具体的なアクションに変えスピーディーに体現していることで、ステークホルダーのみなさんとの信頼が深まっていると感じています。

「みんなで創る」一体感を大切にするディップが行う社員総会。

ーー御社では、社員総会を去年に引き続き今年もオンライン上で行ったと伺いました。それまでの経緯・困難など詳しく教えていただけますか?

(上野さん)
弊社では年に1度、創業月の3月に全国の社員が一同に会する社員総会を開催しています。社長をはじめ経営陣から今期テーマや方針戦略を発表し、会社がこれからどこに向かうのか?それはなぜなのか?を全社の仲間たちと共有します。

また、1年の頑張りを讃え合う通期表彰式や懇親会を行い、各コンテンツはディップが大切にしているフィロソフィーやカルチャーを表現することに拘って企画しています。

2020年の総会コンテンツなどを考えていた2019年12月頃に新型コロナウイルスが流行り始め、何度か会場を延期したのですが、総会のオンライン化にチャレンジすることが決まりました。

急なオンライン化ということもあり、多くの課題に直面しましたが、1番工夫したことは、全員で同じ場所に集まれない状況下でどのように全社の一体感を創り出すかということです。

悩んでいた時、ちょうど目にしたのが、後ろにお客さんたちの映像を背負って歌っているアーティストのLIVE映像です。

オンラインだと目の前のPCスクリーンに映る視覚情報が全てですから、単に話し手の姿だけが見えているのではなく、同じ時間に一緒に話を聞いている仲間たちの姿を一緒に見られる視覚づくりをしたんですね。

「離れているけど私たちは繋がっているよ」という想いを演出に込めたんです。

オンラインで約6時間の開催でしたが、プレゼンや VTRを効果的に組み合わせたり、休憩時に会場とオンライン参加の社員との2WAYなやり取りコーナーを設けたりなど、さまざまな工夫を取り入れ、参加者にとってオフラインと遜色のない満足度の高い場を創ることができました。

一方通行にならない「相互コミュニケーション」を取り入れる

ーー第1回目の社員総会を行った中で出た課題などはありましたか?

(上野さん)
そうですね。難しいと感じたのは、効果的な相互コミュニケーションを生むことです。

話し手にとって、オフラインで行う場合はリアルタイムで拍手や表情の変化を見ることができましたが、オンラインだと、なかなか相手のリアクションを見るのが難しいですよね。

でも見方を変えると、逆にメリットを生むことができる。それがチャット機能です。というのも、オフライン開催の場合、見ている側からすると拍手だけではみんなが何を感じているのかまでは分からない。

一方オンラインは、みんなで聞きながらチャットを自由に書き込めることで、仲間と考えや感情を常に共有し合うことができるんですよね。前向きなエネルギーを共有し合うことで、一緒に頑張っていこうという気持ちがより高まると感じました。

(青木さん)
一体感をより感じてもらうため、2回目のオンライン社員総会では、

  • 同じタイミングで、みんなで同じケーキを食べる
  • 会社のロゴを入れたオリジナルグラスやドリンクを配り、一緒に乾杯して飲む

という「体験の共有」を行いました。

アンケート回答でも、「オンラインでも十分に参加感を味わうことができた。」「変わらないディップの熱を感じた」など、前向きな感想が多く、第1回目よりもさらに良い総会にできたと感じています。

第3回オンライン社員総会。次に挑戦するのは「オンライン」×「オフライン」のハイブリッド型

ーーお聞きしていると、第2回オンライン総会は完璧のような気がしてしまします。第3回に向け、何か新たな仕掛けなどは考えているのでしょうか。

(上野さん)
いえいえ、挑戦すればするだけ成果もあれば課題も生まれます。

もっとディップらしい、より良い場を創りたいと思うと、「オンライン」×「オフライン」のハイブリッド型にチャレンジしたいなと。

メイン会場と、各地域のパブリックビューイング会場をつなぎ、オンラインの良さを磨きつつもオフラインの良さも取り入れる。どちらか1つではなく、ミックスすることで生まれる新たな価値創出に挑戦してみたいなと思っています。

「人」のために頑張る仲間たちと働く

ーーこの企画では「最後に○○さんにとって働きがいとは?」という質問をさせていただいております。上野さん・青木さんにとって働きがいとはなんでしょうか。

(上野さん)
難しいですね……笑

でも、わたしにとっての働きがいは、「人のために働く」ことだと思います。

弊社のメンバーは社内外問わず、困っている人のために力になりたい!と心を燃やす人がとても多いんです。そんな誰かのために頑張っている仲間を少しでも支えたいという気持ちがエネルギー源であり、そのために夢中になっている時に働きがいを感じますね。

(青木さん)
私もすごく上野さんの考え方に近いです。いまのこのメンバーと働けていること自体が働きがいになっています。良い意味でおせっかいな人が非常に多い会社であり、その雰囲気が本当に好きなのだと思います。

編集後記

2,400人を一堂にオンラインに集める社内イベント。そしてその参加者全員が一体感を感じるようなコンテンツ。その壮大のイベントの裏に隠れていた企画者の方の想いなど垣間見ることができました。

今回特に感動したのはディップの担当者様が常により良いものを作ろうといていたことです。一回成功したからといって同じ企画をせず、より良いものを追い求める姿勢が、今回のような大成功イベントを実施するのかもしれせん。

第3回のハイブリッド型イベント。大成功していただき、再度その裏での苦悩とチャレンジをお聞かせ願いたいと感じました。

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