組織において働きがい・ビジョンよりも大切なたった1つのもの
「ルールを守ることが絶対である」
ピアボーナスツール「THANKS GIFT」を提供し、数百もの企業の組織づくりに携わってきた株式会社Takeaction代表の成田さんはそう語ります。
自社の働きがいを高めるために、ミッション・ビジョン・バリューの策定や浸透、人事評価制度など、『ourly mag.』ではさまざまな取り組みを取り上げてきましたが、「ルールの厳守」を主張する方は今までいませんでした。
株式会社TakeAction代表の成田さんの発言の裏にある真意は何なのか。
是非読んでみてください。
インタビュイー:成田様
2010年に株式会社Take Actionを創業。『働く人に熱を。組織にエネルギーを』をミッションにHR TECHサービスを展開している。現在社員は40名。株式上場に向けエンゲージメントを切り口としたクラウドサービス「THANKSGIFT」を軸に、従業員エンゲージメントを高めるプロダクトを展開している。
株式会社Take Action:https://www.take-action.co.jp/
責任と権限で働きがいを最大化する
――昨今、働きがいが重視されていますが、御社ではどんなことを大切にしていますか?
責任と権限という概念は大切にしています。
どちらかが片手落ちだと、働きがいは生まれないと思っています。
例えば、弊社のCMO(Cheif Marketing Officer)は年間数億円の広告費の決裁権を持っています。その投資の成功の責任はCMOが背負っており、責任も権限も持っている状態です。
しかし、広告費の決裁権は代表の私が持っていて、責任だけCMOが持っていれば働きがいって生まれませんよね。逆も然りです。
ですので、メンバーによってその大小はありますが、全員が責任と権限を持ってもらっています。
離職率90%?苦い経験から学んだマネジメントの極意
――その考え方は元々持っていたんですか?
全くそんなことはありません。
TakeActionを創業して最初の数年は、自分以外の人に任せることが出来ず、全て自分でやっていました。
マネジメントに関しても「お客様のためにとことんやれ!」と言うだけで、メンバーのことを何も考えない、自分よがりのマネジメントをしていましたね……。
その結果、採用定着支援を提供している会社であるにもかかわらず、離職率は8割~9割ほど。常に人の入れ替わりがある状態でした。
尊敬している経営者の方に、「メンバーに任せて代表は仕組みづくりに時間を使わないと会社が伸びない」ということを教えていただいたことをきっかけに、任せることができるようになりましたが、私自身、責任と権限とは程遠い考え方をしていました。
――過去の苦い経験が、「責任と権限」を導き出したんですね。
そうですね。ただ、「責任と権限」という考え方を持ち込めば、働きがいが作られるかと言うと、そうは思っていません。
それらよりもっと大切なものがあります。それはルールです。
ミッション・ビジョン・バリュー(以下、MVV)などを重視する組織は多いですが、組織のルールを守ることを大切にしている組織はあまり多くないように感じています。
当たり前のことであるが故に、見落としている組織が多いんですよね。
働きがいはルールを守ることなくして、作られることはありません。
ルールの厳守から組織づくりは始まる
――どういうことでしょうか?
一般的に働きがいとかやりがいって「自由であること(=ルールがない)」と考えられがちなんですよね。
ただ、それは逆で。
例えば、日本で飲酒運転をしていると捕まります。
それが法律というルールで定められているからです。その法律がないと、国民は安心して暮らすことはできませんよね。
その法律があり、みんなが守ることによって安心した生活が送れる。
組織も同じです。
その組織で定められたルールをみんながしっかり守ることによって、仕事に打ち込むことができ、働きがい・やりがいが生まれます。
ルールを守れない人が現れだすと、仕事をする以前の問題なので、働きがいがあるとかないとか言ってられません。
――ルールとは例えば、どんなものでしょうか?
弊社の例ですと、「会議の前には議事録を送る」などですね。
何をルールとしているかは組織によって違うと思いますが、これらを守れない人が出てくると、仕事がままならないですよね。
ルールは存在していながらも、厳守するという強い意識を持っている組織はあまり多くないと思います。
弊社では、優秀な人材にしろ成果が上がっているにしろ、ルールを守らないと評価されません。
ルールは、絶対に守らないといけない鉄の掟なんです。
表彰式でも、今までは成果が出ている人を表彰したりしていましたが、最近ではルールが守れているかどうか、という部分も評価対象に入っています。
そうやってメンバー全員がルールを厳守することで、組織として健全な土台を作ることができ、その上で初めて「働きがい」を積み上げることができると思っています。
メンバーが心の底から誇れる組織にしたい
――最後に、働きがいを積みあげた先に、TakeActionをどんな会社にしていきたいのか教えてください。
メンバー全員が自社のことを誇れる、そんな組織にしていきたいですね。
例えば、メルカリやトヨタに友達が入社したら、その人の周りにいるほとんどの人が「すごいね!」って言うと思うんです。言われた本人はどこか誇らしげな気持ちになりますよね。
弊社も、周りの方々から「TakeActionに入ったのすごいね!」と言っていただけたり、メンバーが心の底からTakeActionへのMVVに共感し、所属していることが誇らしい。そんな組織にしていきたいです。
そのためにも、上場をしたり、もっと知名度を上げていかなければいけませんね。
編集後記
働きがいを作るために「ルールを厳守する」というのは、今回のインタビューまで私にはない考え。
「会議室を予約している時間の5分前に出る」「勤怠管理を月末までに申請する」
弊社にもさまざまなルールがありますが、私自身あまり厳守する意識がありませんでしたが、今回の取材で、その甘い意識が上長や他の方々の働きがいを削ってしまっているのだと感じました。
「この組織をもっと働きがいのある組織にしたい」
そう思って入社した以上、ルール厳守だけは死守していこう、そう思いました。
成田さん、ありがとうございました!
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