【セミナーレポート】70年続く製袋企業が、社内報を紙からWebに変えた理由
組織改善のインナーメディアプラットフォーム「ourly(アワリー)」を提供するourly株式会社は、2022年6月1日(水)に、「社内報導入前後の苦悩と社内報運用のコツ」というテーマのオンラインセミナーを開催いたしました。登壇者にはシコー株式会社 代表取締役社長 白石 忠臣氏と、シコー株式会社 営業部兼社内報(シコータイムズ) 副編集長 炭野 孝輔氏の2名をご招待。モデレーターは弊社 執行役員/CSO 髙橋 新平が務めました。
パネルディスカッションでは、社内報を紙からwebに変えた理由や導入前後の苦悩、社内報運用のコツに関して、さまざまな角度からお話いただきました。
本記事では約1時間ほどパネルディスカッションを、一部抜粋してご紹介します。
また、当日のセミナーアーカイブ動画を無料で配布しております。ご希望の方は、本ページ下部よりダウンロードください。
登壇者
同社は1950年に設立。70年を超える歴史をもつ老舗の製袋企業。昨年6月に創業家3代目として代表取締役社長に就任。
工場での現場経験を経て、生産管理業務に従事。
その後、現場で得た知識を生かしながら営業として業務をこなし、社内報の担当も兼任。
モデレーター
ourly株式会社 執行役員/CSO
髙橋 新平
新卒で大手メーカーに入社。技術営業として都内の再開発案件に多数携わる。
その後、経営コンサルティングファーム ENERGIZE-GROUPに入社。4年間主にスタートアップ、ベンチャー、中小企業の事業コンサルティング、組織コンサルティング等に従事した後に独立。
2022年4月からourlyへ執行役員CSOとして参画。
コンサル経験を活かした総合的な提案とツール活用が強み。
「こういう会社にしたい」という想いを伝える方法がなかった
――白石:なぜ社内報を?というところからお話しします。
まず、web社内報を始める段階で、そもそもシコーには社内報というものはない状態でした。ただ、私の父が社長時代に、毎週社内報がメールで配信されていた時代があったんですね。
そのように継続できる点と内容に感心して、何となくポジティブな印象を持ってはいたんです。
その後、2021年6月に私が社長になったんですが、当時は、コロナで身動きができない状態。そして弊社は工場が全国に8拠点あるのですが「こういう会社にしたい」という思いを伝える方法が当時はなかったんですね。
そこで、私が社長になるタイミングで、デジタルでできる社内報を始めようということになりました。
――髙橋:御社のような創業70年という歴史のある会社ですと、デジタルへの抵抗感を持っている方も一定数いらっしゃるのではないかと思いますが、そのあたりはどのような考えをお持ちでしたか?
――白石:あまり考えていなかったです。笑
ただ、ourlyさんのサービスは、メールに紐づけて社内報を配信できるので、それをプリントアウトして、アナログ形式で出力することで、苦手な方・興味がない方に対して一方通行にならないようにしています。
――髙橋:なるほど、工場に関しては代替手段を取ったということですね。
社内報のサービスはさまざまあると思うのですが、その中でも当社の『ourly』に決めていただいた理由はどのようなところにありますか?
――白石:まず、検討したものが社内報とイントラネットの2つでした。
その際に、当時ビットエー(※1)さんは提案がわかり易かったというのと、システムを提供して終わりというのではなく、社内報運用の仕方や、より良くするアドバイスをしてくれる仕組みがあった、というのが決め手です。
髙橋さん、このような答え方でよろしいでしょうか。笑
※1 2022年4月に株式会社ビットエーから分社化し、ourly株式会社となりました。
――髙橋:100点満点中200点です、ありがとうございます。冗談です。笑
現在は炭野さんが担当者として運用していると思うのですが、どのようなサポートを受けているか紹介していただいてもよろしいでしょうか?
――炭野:まず、月次に発刊した記事へのいいねやコメント数、部署ごとのアクセス情報から、例えばどの部署が何の記事に興味があるのかなどのデータ分析を報告していただいています。
それを元に、どのようにすればよりよい社内報運用ができるのかということを考えています。
――髙橋:ありがとうございます。
炭野さんは、一社員という立場から、社内報が始まることに関してどのように思いましたか?
――炭野:今の社長(白石さん)は「何か面白いことをやりたい」と常に言っていたので、普通のことではないだろうと思っていました。何か面白いことやってくれると期待していました。
社長自ら運用メンバーに声かけを。運用しながらより良い社内報へ
――髙橋:導入前の段階で、どのように社内報を運用しようとされていましたか?
――白石:最初は毎週自分が書きたいことを書くためのツールでしたが、ourlyさんから、「社長一人で運用されるのか?」「チームでやった方がいいのではなですか?」とご提案頂いたので、「白石が好き勝手にやる場」から「若手も含めてチームでやる場」になりました。それから、従業員と共に走りながら形をつくってきました。
記事5・6本程度をourlyのサポートの方に見て添削していただくなかで、書き方に対する不安が減っているので、あまり苦悩した記憶はないですね。
――髙橋:最初は白石社長から記事を投稿されていたんですか?
――白石:初期は私が投稿していました。
当時、社内報のプロジェクトと、ビジョンのプロジェクトが被っていて、炭野さんはビジョンのプロジェクトメンバーでもありました。そこで、ビジョンの活動を社内報でアウトプットする形で、大きな抵抗がないようにじわじわと巻き込んでいったんです。
――髙橋:シコーさんは現在、有志のチームで社内報を運営されているとのことですが、どのようにチーム制に移行して、いろいろな部署の人を巻き込んだのでしょうか。
――白石:有志というものの、社長として口説きにかかったというか。笑
初めは炭野さんを合わせ、3人に声をかけました。「会社のことをもっと知ってほしいし、自分の考えを発信する場をサポートしてほしい」と、単純に社長の指示としてではなくお願いベースで相談しました。
ただ、業務としては既にやっていたことにプラスになるので、元々やっていたことをおろそかにするのはやめてねというお願いをしました。
その際に、社内報の書き方のサポートをourlyさんにお願いして、書き方の部分ではourlyさんのレクチャーを受けて、というお膳立ては自分なりにしました。
炭野さんも添削してもらっていましたよね?
――炭野:そうですね。
――髙橋:白石さんは、社内報メンバーを集める際にどういった観点で口説く人を選びましたか?
――白石:ビジョンのプロジェクトに参加していて、自分より若いというポイントで選びました。あとはやっぱり、ずば抜けて優秀だったというところですかね。笑
会社のことをもっと知ってほしいと思っていたのと、時間的拘束がある工場勤務のオペレーターの人よりも、色々な部署に転勤する可能性のある総合職の人のほうがいいのかなという思いもありました。
――髙橋:炭野さんは、口説かれた時率直にどう思われましたか?
――炭野:まさか白石社長がそういう思いで選んでくださったとは露知らずというのはあるんですが。笑
うちの会社は社長との距離が近いと個人的に思っていまして、社長と関われる機会が持てたということはシンプルにうれしかったですし、社長の考えを伺うことが自分にとってプラスになると思いました。
――髙橋:既存の仕事とは別ですし、業務としては増えることになったと思うのですが、そこに対して抵抗はありませんでしたか?
――炭野:同じような仕事ばかりではなく、神経をつなぎながら、いろいろなところまで行き及ぶようになったほうがいいという考えを持っていましたかね。
社内報運用のコツはスケジュールやネタをチームで共有すること、メンバー同士で”よりよくするため”の前向きなフィードバックをすること
――髙橋:記事はどのくらいのペース・配信時間で出されているんですか?
――炭野:基本的には週1回、木曜日に社員が出社してパソコンをチェックする朝一に配信するというのを私と社長を含めて5名の社内報チームでやっております。
――髙橋:社内報チームの他のメンバーはどのような構成ですか?
――炭野:私以外全員製造部門に携わっている人で、2人は埼玉の工場で、もう1人は広島の工場にいます。
――髙橋:ということは、炭野さんが東京の営業所、白石さんが大阪、そして埼玉・広島と、日本横断してチーム編成されているということですね。笑
ちなみに、社内報を運営していく中でのコツってございますか?
――炭野:スケジュールやネタをチームの中で共有するようにしていますね。あと、案を出す際も皆で考えるようにしています。
――髙橋:白石さんは社内報の運営に関して上手くいってると思うことは何かありますか?
――白石:スケジュールですね。木曜日の記事発行に向けて火曜までに記事を仕上げて、火曜・水曜に記事作成担当以外のメンバーがフィードバックを行う、というサイクルがうまく回っています。
フィードバックの内容としては主に、2点ですね。
- 記事の良い点
- よりよくするためのアドバイス
悪いところを指摘するのではなくて「よりよくするための」という観点でアドバイスすることで、いい提案が出てきますし、前向きにとらえることができるので、この仕組みが出来上がっていることはいいことだと思います。
また、ずっと同じメンバーでやっていると型にはまってしまうのではないかということで、年に1回程度メンバーを入れ替えることにしています。
――髙橋:ありがとうございます。
参加者からの質問:紙とwebはどんな点に強みと弱みがあると思いますか?
――白石:紙社内報で、字が詰まっていると、いくら内容がよくても読みたくない気持ちになりますよね。
デジタルであれば、文章が硬くても写真を入れることで間をつくりやすいのかなとは思います。
デジタルはコメントを付けることができますし、コメントをつけるのがしんどい人でも、いいねをつけることで意思表示ができます。気軽にコミュニケーションを図れるという点にメリットがあります。
紙にも紙の良さがあるのですが、読みやすさという面では、工夫することによってデジタルのほうが発揮しやすいと個人的には思っています。絶対にデジタルがいいということは言えないんですけれど、何をしたいかによって適しているものが変わると思います。
弊社の場合は、会社の向いている方向を気軽に伝える場として使っているので、デジタルとの親和性は高かったと解釈しています。
――髙橋:炭野さんは社内報に関わって1年以上経っていると思いますが、会社に対する思いはどのように変化しましたか?
――炭野:社長と話せる機会が増えて、社長が考えていること、会社をどのように持っていきたいのかが分かるようになってきたと思います。
今後どのようにシコータイムズを運用していきたいか
――炭野:若手の登竜門的な立ち位置ではあるんですが、自分も含めて運営に参加しているメンバーが楽しめるようにすることが何よりだと思います。そのためにやらないといけないことはありますが、まずは楽しむことだと思います。
――髙橋:白石さん、いかがですか?
――白石:若手の登竜門として確固たる地位をつくるということと、会社のことをもっと知りたいと思う人がいればカテゴリーにこだわらずにできるので、そういった人を増やしていけたらと思います。
そしていつかは、編集長の肩書を奪い取られる日が来ることを期待しています。
自分の手から離れるのがいいのではないかと思います。
――髙橋:ありがとうございました。
【サマリ】「こういう会社にしたい」という社長の想いが、若いメンバー中心に社内へ伝わる社内報運用
1時間のパネルディスカッションを通して、web社内報導入前後の変化や実際の運用体制についてお話しいただき、以下の運用に関するコツなどを多く語っていただきました。
- 若いメンバーを巻き込んで運用すること
- スケジュールやネタをチームで共有すること
- メンバー同士で”よりよくするため”の前向きなフィードバックをすること
そのなかでも「社長が自らの想いや会社の想いを従業員に適切に伝えることで、若いメンバーはそれらを理解し、自らがその想いを社内で体現する立場になる」そういった文化が、社内報を通してシコー社で生まれつつあると感じられたセミナーでした。
そんなシコー株式会社は「ourly」公式アンバサダーとして就任いただいているので、今後もさまざまな取り組みを本メディアを通して発信して参ります。
【無料】当日のアーカイブ動画のダウンロードについて
本レポートでは割愛させていただきますが、セミナーではシコーさんの実際に運用している社内報の画面も見せてもらいつつ、以下の点についてもご紹介いただきました。
- シコータイムズゆるキャラ紹介
- 従業員の方からコメントが集まる記事の紹介
- メンバーを入れ替えることで新たに生まれたシナジー
また、以下の質問はじめ視聴者の方からも数多くの質問をいただきました。
- 記事ネタはどのように決定していますか?
- どこまで砕けたネタを社内報に入れるべきですか?
- 社内報記事を取り上げることに社員が消極的な場合はどのように対応されますか?
- 今まで特に反響が大きかった企画を教えて頂きたいです。
本セミナーは全編アーカイブ動画で視聴可能ですので、ご興味の方はこちらよりダウンロードください。