「“誰”が言うかではなく“何”を言うか」バリューの徹底が組織を強くする
働きがい、エンゲージメント、インナーコミュニケーション……。これらの概念は、組織づくりをするにあたって欠かせないものになってきました。
ただ、それらを高める取り組みは各企業の中に閉ざされていることが多く、どのような取り組みをしていけばいいのか悩んでいる人が多いのではないでしょうか。
そこで今回は「働きがいのある会社」ランキングにて初エントリーで初選出されたインバウンドテクノロジー株式会社の人財開発室・野田様に、働きがいを高める取り組みについてインタビューさせていただきました。
- 組織作りで一番大切なのは、”ミッションの体現”
- 朝礼での代表のメッセージが強固な組織を作っている
- 若いメンバーの当事者意識でさらに組織を押し上げたい
この企画は、実際の企業様にインナーコミュニケーションなどに関する施策を取材し、紹介する目的で実施しております。
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インタビュイー:
野田怜奈
1998年2月10日、愛知県名古屋市出身。関西学院大学を卒業後、新卒としてインバウンドテクノロジー株式会社に入社。人財開発室に所属し、”インバウンドテクノロジーのファンを増やす”という想いのもと採用や育成、広報や社内イベントなどに携わる。1年目でMVP、新人賞を受賞し、2年目でリーダーに。ありたい姿は「自分の人生で関わった人が素敵な花を咲かせるための栄養になれる人」。それを実現する方法として、人事というキャリアを今後も深め、人と組織の成長に携わっていきたいと考えている。
インバウンドテクノロジー株式会社について:https://ib-tec.co.jp/
組織作りで一番大切なのは、”ミッションの体現”
――御社は「働きがいのある会社」ランキングで初エントリーでランクインされています。ランクインしている企業の中でも、御社は外国籍メンバーが多数いるという珍しい企業でもあると思います。ランクインの大きな要因はなんでしょうか?
おっしゃっていただいたように弊社は、外国籍のメンバーが多いので、メンバー間で文化の違いや育った環境の違いが大きい会社でもあります。
その違いをしっかりと受け入れて、どうすればメンバーが働きやすい環境を作れるのか、どうすれば活躍できるのか、というのを経営陣含めて全員で考える「多様性のある環境づくり」ができているのが大きな要因かなと思います。
また、私たちは組織ミッションとして、“One World”というものを掲げています。
“One World”とは、国籍・性別・年齢・役職など関係なく、誰が言うかではなく、何を言うかを重んじる行動基準の1つです。
実際にリーダー職についてる外国籍のメンバーがいたり、新卒1年目で新規事業をほぼ1人で回していたりするなど、組織ミッションや多様性のある環境づくりの体現はできている部分も大きいのではないかなと思います。
――すごいですね・・・!
とはいえ、“One World”を体現するのは容易なことではないかと思います。
具体的にどんなことに取り組んでいるのでしょうか?
やはり、外国籍のメンバーがいるので言語の違いが大きいです。
同じ日本語を話していても、日本人メンバーと外国籍のメンバーで受け取り方が違うことは多々あります。
ですので、メンバー間の相互理解を深める取り組みを徹底しています。
具体的には、口頭での確認をすることです。
本来であれば文章で終わるようなことでも相違がないか確認したり、日本人のメンバーもちゃんと意味が伝わっているかどうかこまめに確認したりしています。
そのおかげか、どのメンバーも誰が話していても理解しよう、認識を揃えようというスタンスがあるので、自然と”何を言うか”に集中しているのだと思います。
朝礼での代表のメッセージが強固な組織を作っている
――“One World”についておっしゃっておりましたが、多くの組織で理念浸透などに課題感を持っていたりします。御社はどういう施策をしているのでしょうか?
私たちもまだまだ課題感はありますよ(笑)
正直、これといった施策があるわけではありませんが、毎週月曜日に全員が集まって朝礼を実施しています。
朝礼では、代表や経営陣が弊社のビジョンや思いを話すのが主な内容です。
インバウンドテクノロジーがどこを目指していて、どうすればそのビジョンが実現できるのか。世界はどう動いて、私たちはどう動いていくべきか、など具体例を交えながらメンバーに伝えてくれています。
会社の規模が大きくなるにつれて、経営陣や代表とメンバーの距離は離れていってしまうものだと思いますが、毎週のように代表から直接メンバーに伝えられているのはまだ規模感が大きくない弊社だからこそだと思います。
――実際に朝礼があることでどんな効果がありますか?
代表の言葉はメッセージ性が強いので、「会社全体としてこんなことをやっていきたいけど、そのためにそれぞれ何ができる?」と問われているような感覚で毎週背筋が伸びる思いです(笑)
ただ、この朝礼があることで、自分はどうあるべきでどう行動していくべきなのか、を毎週のように考えられているので本当にありがたいですね。
また、朝礼では、代表自らが外国籍のメンバーに「日本にはこんな価値観や文化があるんだけど、君の国ではどう?」という質問を投げかけたりして、お互いの文化や価値観を知ろうとする場面も頻繁にあります。
朝礼は組織の目線を揃えるという目的がメインですが、メンバー間の価値観の理解を深めるという意味合いも強いと考えています。
若いメンバーの当事者意識でさらに組織を押し上げたい
――組織づくりのなかでいろいろな取り組みを実施されているかと思います。
その中で、今までうまくいかなかった取り組みはありますか?
強いていうのであれば、「英会話クラス」でしょうか。
外国籍のメンバーが多かったり、とあるチームは英語でミーティングをしていることもあり、日本人メンバー含め英語を話せるようになりたいという人が多く、「英会話クラス」を作りました。
英会話クラスは隔週くらいで行っていたんですが、参加率もとても高く、みんな楽しみにしているイベントの1つだったんです。
しかし、お客様にあわせた対応が増えてきており、今では開催される頻度も減ってしまいました……
ただ、開催頻度などを含めて状況にあわせた対応をし、「英会話クラス」を再構築中です。
インバウンドテクノロジーという会社だからこそ提供できる価値は何か、ということを考えたときに、社内で英会話クラスを実施して、メンバーが英語を話せるようになることはとても価値のあることだと考えています。
社内コミュニケーションという意味でもそうですが、弊社のサービス上、将来的に仕事にも活きてくることだと思うんですよね。
――「英会話クラス」は確かに御社ならではの取り組みですね!今後、外国籍のメンバーが増えてくることを考えると、とても価値のある取り組みだと感じました。ここまでさまざまな取り組みを聞かせていただきましたが、最後に今の会社をどんな組織にしていきたいと考えていますか?
若いメンバーや外国籍のメンバーが組織作りに積極的な組織にしていきたいです。
やっぱり経営層やリーダー層からの組織課題への取り組みや提言が多いのが現状ですが、今後はその枠に若手メンバーが入っていくのが理想ですね。
そのためには、もっと組織に対して当事者意識を持たなければなりません。
最近で言えば、ちょうど私たち新卒メンバーが集まって「この会社をどうしていきたいか?」ということを話しあったりしているのですが、正直まだまだ足りないのが現状です。
泥臭くはありますがこういう取り組みは大事だと思うので、これからも継続していきたいですし、もっと言えば外国籍メンバーや内定者などをどんどん巻き込んで取り組んでいきたいです。
ありがたいことに弊社の経営陣は若いメンバーからの提言を求めてくれており、言いやすい雰囲気はあるので、期待されている以上のものを組織に還元していきたいと考えています。
若いメンバーや外国籍メンバーの提案でどんどん施策が生まれはじめたとき、インバウンドテクノロジーはさらに良い組織になっているはずです。
編集後記
現在、計8カ国もの外国籍のメンバーがいるというインバウンドテクノロジー株式会社。
メンバー間での文化の違いがとても大きいなかで、その違いを全員が受け入れ、愚直にすり合わせているところが印象的でした。
多くの企業がメンバーの価値観のすり合わせは大事だと思いながらも、シンプルな取り組みゆえ、ないがしろにしてしまいがちだと感じています。
逆にいえば、その取り組みを創業以来ずっと続けているインバウンドテクノロジーの強さはそこにあるのではないか。
そう強く感じたインタビューでした。
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