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社内報で著作権違反はある?社内報での権利の取り扱いを事例を用いて解説!

社内報に記事を書く上で、著作権違反にどのように気を付ければいいのか判断に迷う方もいらっしゃるでしょう。

本記事では、社内報制作に関する著作権について解説し、社内報の記事執筆において気を付けるべきポイントについて解説します。

目次

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社内報制作に関連する権利

まずは、社内報制作をおこなう上で関係する可能性の高い権利について紹介します。

著作権

著作権とは、「著作物を保護するための権利です。著作物とは、思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいいます。著作権は、著作物が作成された段階で自然に発生するという特徴があります。
(参考:https://www.jpaa.or.jp/intellectual-property/copyright/

保護の対象

著作権で保護される著作物は、創作的に表現されている必要があり、単なるデータやアイデア自体は含まれません。また、他人の創作を模倣したものや、ありふれたものも著作物に該当しません。

刑罰

著作権を侵害した場合、個人に対しては10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性があります(著作権法第119条)。法人の場合は、3億円以下の罰金が科されることがあります(著作権法第124条)。

肖像権

肖像権とは、「人が撮影されたり、撮影された写真や動画などを公表・利用されたりしない権利」を意味します。法律で定められているのものではなく、憲法第13条の幸福追求権のもとに保障される権利と解釈されています。

明文化された権利ではないものの、一般的には憲法第13条の幸福追求権を根拠として保障される権利と考えられています(最高裁昭和44年12月24日判決)。
(参考:https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.lg.jp/kurashi/2311_12/wadai.html

保護の対象

肖像権は、個人の容貌や姿態が対象です。つまり、写真や動画で個人が特定できる場合に保護の対象となります。

刑罰

肖像権侵害は、民法上の不法行為に該当します。そのため、侵害された場合は、加害者に対して損害賠償請求を行うことが可能です。ただし、刑事罰としての具体的な規定は通常ありません。肖像権侵害かどうかの判断は、被写体の社会的地位や撮影の目的、場所、必要、性などを総合的に考慮して行われます。
(参考:https://kailash.co.jp/legals/post-9402/

パブリシティ権

著名人が自身の肖像や氏名を活用して経済的な利益を得られる場合、その利益を他者に与えない(排他的に利用する)ことができる権利がパブリシティ権です。人気アイドルの写真を二次利用して販売することや、著名な学者の名前を勝手に使って自社商品を宣伝することなどが、パブリシティ権の侵害として解釈されます。

保護の対象

該当人物の容貌や姿態・氏名などの情報が経済的な価値を持つ場合に保護の対象となります。

刑罰

「パブリシティ権侵害が認められた場合、民法上の不法行為に該当するところ、被害者は、加害者に対し、損害賠償請求(民法709条)や差止請求等を行うことが考えられます。」(出典:https://keiyaku-watch.jp/media/kisochishiki/publicity-ken/
パブリシティ権を侵害することによる直接的な刑事罰は存在しませんが、民法上の訴えが起きた場合には賠償請求などを求められる可能性があります。

商標権

商標権とは、企業が自社の商品やサービスを他社のものと区別するために使用するマーク(文字、図形、記号、立体的形状、色彩、音など)に対して与えられる独占的な権利です。企業ロゴや商品名などがイメージしやすいでしょう。商標権は、商標を特許庁に出願し登録することで取得できます。
(参考:https://www.gov-online.go.jp/useful/article/202208/2.html

保護の対象

商標法における商標権の保護対象は、「事業者が商品や役務を他のものと区別するために使用することができる」識別標識です。具体的には、文字、図形、立体的形状、動き、ホログラム、音、位置、色彩のみからなる商標などが含まれます。
(参考:https://www.jpo.go.jp/system/trademark/gaiyo/seidogaiyo/chizai07.html

刑罰

”商標権を侵害した者は10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金に処するとされているので、商標権を侵害されたときには刑事責任の追及も視野に入れることができます(商標法第78条)。また、懲役と罰金を併科(両方を科すこと)することができます。”
(出典:https://www.jpo.go.jp/support/ipr/trademark-kyusai.html

二次使用

二次使用とは、既存の著作物を基に新たな作品を創作することを指します。具体的には、小説を映画化したり、音楽を編曲したりする行為が該当し、これらは「翻案権」や「翻訳権」などの著作権に関連する権利によって規定されています。
(参考:https://www.pre.or.jp/knowledge/word04.html

保護の対象

二次使用において保護される対象は、元の著作物と新たに創作された二次的著作物の両方です。元の著作物の著作権者は、二次的著作物が利用される際にも一定の権利を持ちます。具体的には、元の著作物を基にした二次的著作物が利用される場合、その利用についても元の著作物の著作者が許可を与える必要があります。
(参考:https://www.g-soumu.com/dictionary/articles/dictionary-2010-03-post-226

刑罰

二次使用において適切な方法を取らなかった場合、著作権者からの損害賠償請求を受ける可能性があります。さらに、刑事罰の対象となる可能性もあり、重い場合には懲役刑や罰金が科された判例もあります。
(参考:https://www.ip-bengoshi.com/archives/3927

社内報で権利の侵害に注意するべき事例

ここからは、社内報において著作権の侵害に特に注意すべき具体事例について紹介します。

画像・写真・イラストに関する事例

雑誌のカバーフォトを複製して社内報に使用する

雑誌のカバーフォトを複製して社内報に使用することは、著作権の侵害にあたります。適切に画像として引用するか、オリジナルでデザインを作成する方が望ましいです。

映画や音楽のジャケット写真を掲載する

映画や音楽のジャケット写真を掲載することも、著作権の侵害にあたります。映画やCDの制作会社によっては、著作物の使用に関して寛容である場合もありますが、その判断は著作物の管理者によっておこなわれるものであるため、自分で勝手に判断するのは☠です。

有名な建築物の写真を掲載する

有名な建造物の写真を使用したり、シルエットをイラストにすることは、著作権の侵害にはあたらないことが多いです。公開されている建築物は基本的に使用してよいとされていますが、他人がイラスト化したものや、建築物のシルエットを商標登録しているもの(東京スカイツリーなど)の無断使用は著作権侵害に該当するため注意が必要です。

絵画をモチーフとしたデザインを社内報に利用する

絵画をモチーフとしたデザインを利用する場合、類似度によって著作権の侵害にあたるかどうかが判断されます。類似度については、社内のみで判断するのではなく、判例を調べたり、専門家に問題がないかどうか確認してもらったりするのがおすすめです。

社内報用に撮影した写真を会社のウェブサイトにも使用する

業務として撮影された写真であれば、著作権は会社のもとにあるため、同社のウェブサイトに使用する場合は社内での確認を行えば問題ないとされています。ただし、写真撮影を外部のカメラマンに依頼した場合、当初の使用目的を超えての写真掲載は新たな許諾が必要になることがありますので注意しましょう。

また、社内報に掲載する写真に写っている従業員の肖像権も考慮する必要があります。社内報に掲載するときに従業員からの了承を得ていても、同じ写真を会社のウェブサイトに使用する場合には別途承認を得る必要があります。

自社イベントに参加した著名人を社内報に掲載する

自社イベントに参加した著名人を社内報に掲載することは、著作権侵害には直接該当しませんが、肖像権やパブリシティ権の侵害に該当する可能性があります。著名人本人や所属事務所に確認を取り、承認をもらってから掲載しましょう。

有名漫画のキャラクターをデザインに使用する

漫画のキャラクターは、漫画の作者の著作物にあたるため、著作権侵害に該当します。
社内報においてキャラクターを使用してキャッチ―で親しみやすい印象を与えたい場合は、自社のオリジナルキャラクターを作成するとよいでしょう。

過去に勤めていた会社で自分が作成した図表を、別の会社の社内報に掲載する

過去に勤めていた会社の業務内で作成した図表を、無断で別の会社の社内報に掲載することは、著作権侵害に該当します。業務において作成された図表などの著作物は、その会社が所有する著作物となるため、たとえ作者が自分でも自由に使用できない点に注意が必要です。もちろん、引用元を適切に示せば問題ないため、使用したい場合は引用をおこないましょう。

記事に関する事例

新聞や雑誌の記事を社内報に載せる

新聞や雑誌の記事を社内報に無断で載せることは、他者・他社の著作物を勝手に使用しているため著作権侵害にあたります。画像として使用する場合も、記事の内容を紹介する場合も、出典元の明記を徹底しましょう。

webサイトの記事や文章を社内報で引用する

webサイトの記事の内容も同様に、他者・他社の著作物となります。自分の考えたことのように内容を流用することは著作権の侵害にあたるリスクがあるため、参照したwebサイトがあるのであれば、該当のサイトを引用して参照した旨を明示しましょう。

社内で著作物を使う場合のポイント

社内報において、画像や外部の情報を使用する場合には様々なことに配慮しなければなりません。最後に、著作物を扱う上で押さえておくと安心なポイントについてまとめます。

著作権侵害で与えられる刑罰は?

繰り返しになりますが、著作権を侵害すると

  • 個人に対しては10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、またはその両方(著作権法第119条)
  • 法人の場合は、3億円以下の罰金す(著作権法第124条)

が課される場合があるため、著作物の取り扱いについては十分な注意を払う必要があります。

著作権侵害を防ぐための方法

著作権侵害を防ぐために、以下のポイントを守りましょう。

  1. 権利の確認
    使用する著作物が他者の著作権を侵害していないか、事前に確認し、許可が必要な場合には著作権者からの許可を得るよう相談したり、ライセンス契約を結んだりすることが推奨されます。
  2. 適切に引用する
    適切な引用のルールを守ることで、他社の所有する著作物を正しく紹介することができます。引用元を明示することや、あくまで引用部分は自分たちの主張を支える従属情報であることが重要です。
  3. オリジナルの著作物を作成・使用
    そもそも他者の著作物を利用せず、自らオリジナルのコンテンツを作成することで、著作権侵害のリスクを回避できます。社内報においては、自社のオリジナルキャラクターなどを使用すると、社員が社内報に愛着を持ちやすくなります。
  4. 専門家への相談・確認
    著作権侵害に該当しているか否かの判断は、専門家に相談・確認しながら進めましょう。侵害に値するかどうかの判断を適切に行うためには、法律や判例についての知見が必要です。社内だけで無理に解決しようとせず、専門家に相談しながら社内報運用を実施できると安全です。

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