「成果にドライ、人にウェット」。仕組みで勝ちながらも人に向き合う組織づくりとは

スタートアップ、 SMB企業特化のマーケティング支援会社として2018年に創業

──サイバーエースの成り立ち、創業の経緯について教えてください。
サイバーエージェントは創業時からインターネット広告を主に扱ってきた会社です。サイバーエースは、広告事業における次なる成長戦略を実現するための戦略子会社として2018年に設立いたしました。日本企業の99.7%と言われる中小企業(SMB企業)、またスタートアップ企業も含めて、資金が潤沢にあるわけではないがこれからデジタルマーケティングを強化していかれるようなフェーズの企業様に対して、サイバーエージェントグループの知見やアセットを活用しながらデジタルマーケティング支援のサービスを提供させていただいています。
ありがたいことに創業から順調に業績を伸ばしていまして、現在では約250名の組織規模まで成長しております。
※SMB・・・Small and Medium Business
──親会社のサイバーエージェントと扱う商材は同じですが、ターゲットとする市場が違うということですね。創業期の組織づくりから意識していることは何でしょうか?
親会社であるサイバーエージェントと比較すると相対的に顧客単価は低く、ご支援させていただく企業数も多くなるため、収益性を保ちながら全ての企業に良質なサービスを提供していくという観点では、テクノロジーを活用した仕組み化や効率化には非常に力を入れてきました。
一方で、仕組み化や効率化を追及しすぎた結果、無機質で人と人とのつながりが希薄な組織になってしまうのは我々らしくないよね、という話は創業当初から代表の西島ともしていまして、仕組みで勝ちながらも思いっきり人に向き合う、そんな組織づくりをしようと決めていました。「成果にドライ、人にウェット」という言葉は、社内でも合言葉のように繰り返し話しています。
グループのアセットを活用しながら独自のカルチャーを醸成

──創業期から成長を続けるなかで、どのような組織づくりの取り組みを実施されてきたのでしょうか?
様々な取り組みをしてきましたが、2つご紹介します。
1つ目は創業期からやっている合宿で、「人材覚醒合宿」というものがあります。本気で人に向き合って、メンバーが覚醒したと言えるような急成長をするための支援をしていく、という目的で、役員を含む経営ボードメンバー全員で、全社員1人1人について、どういった支援を行えばよいか、どのような機会をセットすれば良いか、といった覚醒プランを丸1日かけて議論から決議まで行うというものです。先ほどお伝えした通り、人に向き合うカルチャーがサイバーエースの根幹でもあるので、徹底的にディスカッションして決めています。さすがに社員数も増えてきたので、長引いて結局2日間かかったなんてこともよくあります。笑
また半年後には、前回の人材覚醒合宿を通じての覚醒成功率はどうだったか?といった振り返りも行っています。
2つ目は組織が70〜80名規模へと拡大したフェーズで、MVVの策定と浸透を目的に「web社内報」をスタートしました。中途採用もかなり強化していたこともあり、多様なバックボーンを持つメンバーが増え、組織の拡大とともにカルチャーが薄まっていく感覚がありました。そこで、MVVを改めて整備し、会社として向かう方向性や大事にする価値観について、全社員が共有できるようにしています。しかし、策定しただけでは十分な効果が得られないので、浸透施策としてweb社内報を導入し、社内への発信を強化しました。
──創業期から組織崩壊などをほぼ経験していないように感じますが、なぜ先手先手で組織施策を打てるのでしょうか?
サイバーエージェントグループとしての総力戦で挑めている、ということが大きいと思います。親会社の役員陣から定期的にフィードバックをもらっているのですが、「そろそろ、こういう問題が起きる規模になってきたから先手で策を講じておくと良いよ」といったアドバイスをもらうことがあります。
今でも正直後手に回ってしまったなーと感じることも日々ありますが、致命的な失敗はなく今日まで業績を伸ばせているのは、メガベンチャーと呼ばれる規模まで会社を成長させてきた先人達の知恵を借りながら、組織と事業の成長のスピードを上げられるというグループ経営の恩恵を受けている部分が大きいです。
業界最高峰の武器を持ちながら圧倒的に人に向き合うカルチャーが強み

──競合他社と比較したときの競争優位性はどのようなところにあるのでしょうか?
事業としての優位性でいうと、やはりグループのアセットをフル活用できる、という点になるかと思います。サイバーエージェントは日本で最もインターネット広告を扱ってきた実績と知見のある会社です。エンジニア組織を抱えて自分たちでプロダクトやソリューションの開発も行っており、それらの強力な武器を我々が対峙しているスタートアップ、SMB企業に向けて提供できるということが、我々のクライアントにとっても大きな価値になっています。
そこに加えて、子会社だからこそ実現できるスピード感を持って、親会社よりも先行して我々独自の新たなチャレンジも日々行っているので、提供するサービスのレベルを高め続けられている点も大きいです。
また組織面でいうと、先ほどもお話しした人に向き合うカルチャーと組織力が競争力になっています。どれだけテクノロジーが発達しようと、結局それを扱ったり、顧客と対峙するのは人です。人に向き合う強固なカルチャーと組織力があることで、人の成長へのコミットメントを引き出して、結果として商品力だけに頼らず、提供するサービスの品質向上につながっています。
──今後は新規事業をサイバーエースとしても仕掛けていくようですが、どのような意図からでしょうか?
おかげさまで創業以来右肩上がりの成長を続けることができていますが、一方で今の事業だけでは、非連続的な飛躍的成長は難しいとも思っています。親会社のサイバーエージェントが、既存事業で得たキャッシュを新規事業に投資して大きく成長してきたように、我々もどんどんチャレンジをして企業価値を高めていきたいですね。
また組織としてのアビリティを拡張していくことで、我々のクライアントに提供できる価値の総和が大きくなりますし、組織面では新たな抜擢機会の創出や個々人のキャリアの可能性を拡げることにもつながると思っています。
『Can Be ACE – 誰もが最高を目指せる時代を創る – 』という我々が掲げているビジョンの実現に向けて、人や事業の可能性を最大化するチャレンジを今後もどんどん行っていきたいです。
