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ウェルビーイングとは?企業が取り組むメリットや実践方法を解説

ウェルビーイングとは、「健康」「幸福」などを意味し、身体だけでなく、精神的、社会的に満たされた状態であることです。ビジネスにおいては、従業員が心身ともに健康な状態を維持することが企業全体に対してもプラスに働くため、積極的にウェルビーイングに取り組む企業が増えています。

本記事では、ウェルビーイングを構成する要素や注目されている社会的背景などの基本的な情報を解説します。さらに、企業にとってのメリットや具体的な実践方法、企業事例も解説します。

目次

ウェルビーイングとは

ウェルビーイングとは「健康」「幸福」などを指す言葉です。身体的・精神的・社会的に健康で満たされている状態であり、ストレスフリーかつ幸せな状態をイメージするとわかりやすいでしょう。

1日9時間近く働く場合、食事・睡眠・入浴など生活に最低限必要な時間を除けば、ほとんどの時間を仕事に費やしていることがわかります。だからこそ、職場でのストレスが蓄積して悩みが大きくなっていくと、心身のバランスを崩しやすくなるので注意が必要です。

従業員に健康でいてほしいときは、職場でのウェルビーイングに目を向けてみましょう。ウェルビーイングに注目する企業が増えているのは、企業側に求めるニーズが増えていることも影響しているのです。

ギャラップ社によるウェルビーイングの5つの構成要素

アメリカの世論調査会社であるギャラップは、ウェルビーイングが下記5つの要素で構成されるという研究結果を出しています。

  1. キャリアウェルビーイング

キャリアの形成や自己実現を叶えている状態

  1. ソーシャルウェルビーイング

家族や同僚との人間関係が円滑で社会的な居場所がある状態

  1. フィナンシャルウェルビーイング

生活に困らないだけの資金があり資産管理できている状態

  1. フィジカルウェルビーイング

身体的・心理的な症状がなく健康的な状態

  1. コミュニティウェルビーイング

地域社会との関わりがあり孤立していない状態

理想は、上記5つが全て満たされている状態です。また、特定のひとつが充実していても、別のひとつが極端に満たされていない場合、ウェルビーイングであるとは言えないことにも注目しておきましょう。

PERMAの法則によるウェルビーイングの5つの構成要素

もうひとつ、異なる5つの構成要素でウェルビーイングを測れる「PERMAの法則」が存在するのでチェックしておきましょう。

  1. Positive Emotion

ポジティブで前向きな感情でいられる状態

  1. Engagement

仕事や私生活にやりがいがあり楽しく没頭できる状態

  1. Relationship

良好な人間関係による心理的安全性が高い状態

  1. Meaning and Purpose

自分の人生には意味があり有意義であると感じている状態

  1. Accomplishment

目標を達成する楽しさや自己実現のやりがいを感じている状態

つまり、人生への満足度が高いと、ウェルビーイングであると言えます。それぞれの頭文字を取って「PERMAの法則」と呼ばれています。

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ウェルビーイングがビジネスでも注目される社会的背景

ここでは、プライベートだけでなくビジネスにおいてウェルビーイングが注目されるようになった社会的な背景を解説します。仕事での幸せが個人の幸せにつながる理由を知り、役立てていきましょう。

人材の多様化

近年、働く人の多様化が急速に進んでいます。女性の社会進出・働く高齢者の増加・外国人労働者の増加などにより、柔軟かつ相互理解のあるコミュニケーションが求められるようになりました。

一方で、性別・年齢・国籍の異なる相手とどうコミュニケーションを取ればよいかわからず、職場で居心地の悪さを感じる人も少なくありません。その状態が続くとウェルビーイングとはかけ離れてしまうため、多様化に伴いコミュニケーションの改善やウェルビーイングへの注目が求められるようになったのです。

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人材不足への対策

少子高齢化に伴う労働人口の減少により、今後も「労働の担い手不足」が深刻化すると予想されています。つまり、一人当たりにかかる労働の負担が増えることを意味しており、効果的なDXが叶わない限り残業・休日出勤の増加やワークライフバランスの崩壊が懸念されるようになりました。

早い段階からウェルビーイングの視点を持つことで、課題に対する行動も早まるでしょう。だからこそウェルビーイングについて考える企業が増えているのです。

働き方改革の推進

働き方改革が推進されたことで、ワークライフバランスを重視する人が増えています。「十分なプライベート時間がないとウェルビーイングではない」「リモートワークやフレックスタイム制度など柔軟性のある働き方ができるとよりウェルビーイングになれる」などの考え方が広がり、企業へのニーズが拡大するようになりました。

働きやすさやウェルビーイングは密接な関係性にあるからこそ、ウェルビーイング向上施策のひとつとして働き方改革を始めている企業も存在するのです。

SDGsの実現

持続可能な労働市場の継続のため、メンタルヘルスや健康状態に配慮した企業経営が求められるようになりました。健康経営や人的資本経営などもこの考えにより生まれた経営手法であり、そのひとつに「従業員のウェルビーイングの追及」も含まれています。

労働にやりがいを見出し、楽しく働いてくれる人が増えるほど、ウェルビーイングかつ持続可能な社会が成り立ちます。だからこそ、近年ウェルビーイングへの需要が増えつつあるのです。

新型コロナウイルスの影響

新型コロナウイルスが世界的に流行し、人との関わり方や働き方が急速に変化しています。リモートワークで社内コミュニケーションが取りづらくなったり、人との距離が開いたりしたことで息苦しさを感じる人もいます。

そのため、リモートワークでも支障なく社内コミュニケーションができる環境を整えたり、職場での心理的安全性を向上したりする取り組みが企業の急務となりました。成功できればウェルビーイングな状態で働きやすくなるので、企業側が特に力を入れて対策している理由がわかります。

企業がウェルビーイングに取り組むメリット

ここでは、企業がウェルビーイングに取り組むメリットを解説します。改めてどのようなメリットがあるか確認し、自社でも高い効果が発揮できそうかイメージしてみましょう。

1. 従業員が良好な健康状態を維持できる

ウェルビーイングな状態が続くと、精神的にも身体的にも健康になれるのがメリットです。体調不良による早退・遅刻・欠勤がなくなり、心配事が解消されるため目の前の業務に集中しやすくなるなど、さまざまな効果が発揮されます。

また、健康であれば他者の気持ちを思いやる余裕も生まれやすく、社内コミュニケーションが円滑かつ高い頻度でおこなわれることもメリットのひとつです。残業・休日出勤が多い、座り仕事の割合が高い、健康診断の受診率が低い、など課題のある企業では特に注力してウェルビーイング対策するのがおすすめです。

2. 従業員満足度が高まり離職率が低下する

ウェルビーイングに働く従業員が多いということは、それだけ自社での就労に満足している人が多いという指標にもなります。「この会社で働いていることが誇りである」「スキルアップしながら会社に貢献したい」などポジティブなイメージを持ってもらえるので、離職率も低くなるでしょう。

また、良い口コミが出回って優秀な人材を採用しやすくなるなど、副次的な効果も期待できます。人材の採用・定着には、ウェルビーイングが欠かせないのです。

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3. パフォーマンス向上により生産性が高まる

従業員が心身ともに健康でいることは、パフォーマンスの向上に直結します。慢性的な体調不良がなく健康であれば、業務への集中が高まるでしょう。社内での人間関係が円滑で自然なコミュニケーションができる場合、ノウハウを共有しながら助け合ったり早い段階でミスに気づいてサポートしあったりできるのも利点です。

反対に、ウェルビーイングでない状態ではストレスに悩まされることが多く、社内の雰囲気がギスギスしたりミスが増えたりすることがあるので注意しましょう。

4. 企業価値が向上する

従業員が総じていきいきと働いている会社では、取引先や顧客にも精力的かつ親身に対応できることが増え、評判がよくなります。パフォーマンスが向上して株価が上がったり、結果的に金融機関からの融資が受けやすくなったり、良いサイクルができあがっていくのです。

企業を支えるのは従業員であり、従業員がウェルビーイングでないと企業価値の向上は遠のいてしまいます。そのため、ウェルビーイング対策することは企業にとって非常にメリットがあることなのです。

ウェルビーイングの具体的な実践方法

ここでは、ウェルビーイングの実践方法を紹介します。具体的に何から着手すればよいかイメージできないときは、参考にしてみましょう。

コミュニケーションの促進

社内コミュニケーションを促進し、業務上の報告・連絡・相談をスムーズにする方法があります。ミスコミュニケーションによるトラブルやクレームが減るためストレスの要因を取り除きやすく、必要なときに必要なアドバイスを得やすくなるので業務効率も改善します。

また、意見しあえる社風になれば心理的安全性が向上し、ウェルビーイングがさらに近づきます。対面でのコミュニケーションも、チャットやオンラインミーティングツールを使ったコミュニケーションもバランスよく取り入れながら、対策していきましょう。

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健康増進に繋がる環境づくり

身体的な健康を維持・増進したい場合は、健康増進につながる環境を作ることが大切です。

例えば、健康経営宣言をして健康関連の福利厚生を導入したり、ストレスチェックや健康診断を徹底して病気の早期発見・早期治療を心がけたりする方法があります。運動・睡眠・食事に関する慢性的な生活習慣の悪化を防ぐことができれば、さらにウェルビーイングな状態に近づけるでしょう。

また、メンタルヘルス予防施策としてカウンセラーを常設するなど、時代に合った取り組みをすることも可能です。

労働環境の整備

無理な残業・休日出勤をしなくて済むよう業務のバランスや人材戦略を見直し、労働環境を整備する方法もおすすめです。子育てや介護に忙しい従業員がリモートワークで働けるようにしたり、DXツールを導入して外回りの営業社員が帰社することなく仕事を終えられるようにしたり、自社に合った制度にしていきます。

ワークライフバランスが整うと、ウェルビーイングを叶えやすくなるのもポイントです。現在自社に課題がある場合は、何が原因か可視化するところから始めましょう。

長期的なビジョンの共有

自社の成長戦略・経営戦略・理念などを広く従業員と共有し、エンゲージメントを高める方法もあります。社内報での周知や社内SNSを使った理解を得ておけば、理念に共感しながら働いてくれる従業員が増えるかもしれません。

自分がいる組織に誇りを持ち、やりがいを感じながら働くことはウェルビーイングを考えるうえで非常に重要です。従業員のエンゲージメントやモチベーションを可視化しながら、対策を考えていきましょう。

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ウェルビーイングに取り組む日本企業事例

最後に、ウェルビーイングに取り組む日本企業の事例を紹介します。具体的に他社がどのような施策を打ち出してるか調べ、自社にも役立つ取り組みがないか参考にしていきましょう。

味の素

URL:健康経営|味の素グループ

味の素では、2018年に健康宣言を制定して従業員の健康を維持・推進できる職場環境づくりに取り組んでいます。従業員の健康データを集約したり、健康改善度合を評価し表彰する「MyHealthチャレンジ~健診戦」を始めたり、独自の施策が多いことも特徴です。

また、就業時間内禁煙の実施や社員食堂とのコラボなども始めており、多彩な施策をしていることで注目されました。メンタルヘルス回復プログラムなど医療スタッフのノウハウが活きているサポートもあり、安心して働きやすい環境と言われています。

イトーキ

URL:新本社オフィス「ITOKI TOKYO XORK」を開設〜 組織の新たな価値創造と社員のウェルビーイングを実現する新しい働き方 「XORK Style(ゾーク・スタイル)」を本格始動 | プレスリリース一覧

イトーキでは、従業員のエンゲージメント向上によるウェルビーイング実現を目指し、従業員自ら働き方をデザインできるシステム「XORK Style(ゾーク・スタイル)」を始動させています。

働きやすさに焦点を当てた新オフィスの開設に伴い、多様な従業員がコミュニケーションを取りやすくなるデザインにするよう工夫しました。フリーアドレス制なども導入し、活発なイノベーションを喚起する効果も発揮されています。

先進のICT技術を活用した働き方変革アプリケーションも開発しており、今後更なるウェルビーイング施策が打ち出されていくでしょう。

楽天

URL:ニューノーマル時代に向けて、コレクティブ・ウェルビーイングを考えよう|楽天株式会社

楽天では、「仲間」「時間」「空間」の3要素から従業員のウェルビーイング向上施策を打ち出しており、オリジナリティのある取り組みとして注目されています。

具体的には、多様な仲間とのコミュニケーションを推奨したり、適切な休憩時間の確保を約束したり、物理空間とバーチャル空間の融合で働く空間を整備したりしています。個人が自律的に働き方を選択していくニューノーマル時代だからこそ求められるウェルビーイングを模索している事例であり、さまざまな取り組みがあることがわかります。

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ウェルビーイングを実践して従業員の心身の健康を守ろう

ウェルビーイングを実践することは、従業員の心身を守ることにつながります。また、企業にとってもパフォーマンスの向上や優秀な人材の定着などさまざまなメリットが発揮されるので、健康経営のひとつとして取り組んでみるとよいでしょう。

まずは、ウェルビーイングという考え方や自社理念との共通点について、社内報で取り上げるのもおすすめです。従業員の健康意識を高めつつ効果的な施策ができれば、ウェルビーイングが向上しやすくなります。

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この記事を書いた人

Kanei Yoshifusaのアバター Kanei Yoshifusa ourly株式会社 コンサルティングセールス・組織開発チーム

前職は店舗ビジネス向けの業務効率化SaaS事業を展開する企業でCSに従事。
その後、ourly株式会社に参画。
200社以上の企業に組織課題解決の提案、現在30社の組織開発を支援。
富山県上市町出身。趣味は筋トレ/声マネ/滝行。

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