Off-JTとは?メリットや効果的な事例と注意が必要な5つのポイントを解説
Off-JT(Off The Job Training)とは、職場から一時的に離れて参加するセミナーや研修などの訓練を指します。企業で指導的立場となるはずの層が、定年退職や氷河期世代で不足していることから、人材育成方法の一つとして必要性が注目されるようになりました。
Off-JTの実行にはいくつかのポイントがあり、その他の育成方法も含めた理解が不可欠です。本記事では、Off-JTや関連する用語を整理したのち、Off-JTによる習得が効果的な研修事例や、成功に導く5つのポイントを解説します。
Off-JTとは?
Off-JTとは、「Off The Job Training」の略で、職場とは別の場所で実施される座学研修やセミナーに参加する教育手法を指します。業務知識を体系的・網羅的に学習したい場合に適した手法です。
近年、Off-JTに注目が集まり、必要とする企業が増えている理由には2つの側面があります。一つは、従来であれば指導的立場となるべき人材層が、雇用の流動化により流失し人材不足になっている点です。そして、もう一つの理由は、研修やセミナーのオンライン化が進み、座学研修を開催するにあたっての物理的なハードルが下がったことが挙げられます。
Off-JTとOJTやSD(自己啓発)との違い
Off-JTと比較される育成手法にOJTがあります。Off-JTのような座学とは違い、OJTは実際の職場で上司や先輩社員の指導のもと、実務をこなしながら業務レベルを上げていく手法です。Off-JTのような知識のインプットが主体の学習とは違い、実務がともなうため常にアウトプットが求められる点が特徴です。
SD(セルフデベロップメント)は、自己啓発と訳されます。OJTやOff-JTのように企業が働きかける育成ではありません。育成対象者本人が自主的に業務知識やスキルを学び、能力開発をおこなう活動を指します。
Off-JTのメリット・デメリット
Off-JTは、メリットとデメリットを理解したうえでプログラムを構築することにより、高い育成効果を発揮できる手法です。ここでは、Off-JTのメリット・デメリットを解説します。
Off-JTのメリット
Off-JTの最大のメリットは、高度な専門知識やスキルを学べる点にあります。業務から離れ集中的に学ぶ環境が用意されるため、高度な専門知識も習得しやすくなるのです。カリキュラムは、整理された知識を体系立てて学べる内容になる場合が多く、幅広く知識を習得できる点もメリットです。
また、Off-JTは集団への教育に適した手法といえます。多くの社員にOff-JTを実施することにより、知識の習得度合いを一定にする効果も期待できます。
Off-JTのデメリット
Off-JTは、テーマによっては実務と直結せず、実践的な内容でない場合もあります。長期的な視点で見れば有用な研修であっても、受け身の受講姿勢となり、思うような研修効果が得られないこともあります。
Off-JTの実施は、費用が発生する点もデメリットです。集合研修の場合は、会場費や交通費など一定の費用が発生します。オンライン開催の場合でも、研修サービスの利用料や講師への謝礼など、なんらかのコストがかかることは避けられません。
Off-JTによる習得が効果的な研修事例
効果的なOff-JTの実施には、Off-JTに適した研修テーマを選択することが欠かせません。具体的には以下の内容が挙げられます。
- 1.働くうえで必須の知識
- 2.業務や階層別の基本的心構え
- 3.専門性の高い知識や技術
詳しく解説します。
1. 働くうえで必須の知識
社会人としての一般常識・マナーやコンプライアンスなど、働くうえで必須の基礎知識はOff-JTによる教育が適しています。受講者すべてに、共通認識を形成するような研修が該当すると考えればよいでしょう。
例
- ビジネスマナー研修
- コンプライアンス研修
- ハラスメント研修
- コミュニケーションスキル研修
2. 業務や階層別の基本的心構え
業務に必要な考え方や心構えといったビジネスマインドを学ぶ研修は、Off-JTに適したカリキュラムです。階層別研修は、立場や役割が変わるタイミングでおこなう必要があります。入社時・管理職への登用・昇進など、新たな役割に必要な心構えを持たせるためにOff-JTを実施すると効果的です。
例
- 新入社員研修
- 管理職研修
- リーダー研修
- ロジカルシンキング研修
3. 専門性の高い知識や技術
専門性の高い知識や技術は、OJTのみで習得するのは難しい側面があります。Off-JTにより集中的に学ぶことが、効果的な教育手法となるでしょう。また、高度な専門知識の研修は、適切な講師を社内で手配できないケースもあります。こうした内容は、外部講師を招いてOff-JTによる研修を実施する企業が多いようです。
例
- 経理・財務・法務などの専門知識の研修
- プログラミング研修
- クリエイティブ研修
Off-JTを成功に導く5つのポイント
Off-JTの教育効果を上げるためには、受講者の参加意欲を高める工夫が必要です。また、Off-JTだけに頼らず、ほかの手法を併用することにより相乗効果を狙うのも一つの方法です。
具体的には以下5つのポイントを押さえておくことで、効果的なOff-JTが可能になります。
参加者の当事者意識を高めておく
Off-JTは、講師から参加者にむけた一方通行の情報発信になりがちです。受講者が「ただ聴いているだけ」といった受け身の姿勢では、研修効果も半減してしまいます。事前に研修を実施する理由や、研修を受けることにより得られるメリットを伝え、受講者の当事者意識を高めておくとよいでしょう。
また、研修運営をサポートするスタッフを配置しておくことも効果的です。研修中に生じた疑問の解消やトラブルの対処を専任スタッフが担当することで、受講生が集中して学習できる環境を整えられます。
研修テーマを工夫する
テーマ選びも、参加意欲を高めるために重要なポイントです。会社が一方的にテーマを決めるのではなく、受講対象者が積極的に「学びたい」と感じているテーマを選択すると積極的な参加が期待できます。
また、外部講師を活用する場合は、自社にあった研修内容にカスタマイズすることが大切です。自社の課題解決につながるテーマを盛り込むなど、事前に講師と内容のすり合わせをおこなうとよいでしょう。
OJTやSDと組み合わせて実務に波及させる
Off-JTで教育する内容は、社員の成長に必要なものであっても、必ずしも業務に直結するとは限りません。受講者の意欲を高めるにはOJTと組み合わせ、Off-JTで学んだことを実務に波及させると効果的です。Off-JTで学んだことを現場に持ち帰り実践し、その結果を次のOff-JTで検証を繰り返す方法もあります。
Off-JTにより興味を引き出し学習意欲が向上した結果、受講者がSDにより学びを深めていく流れができれば理想的です。
コスト削減の可能性を探る
Off-JTの実施はコスト面のデメリットがあることは前述しました。こうしたコスト面の問題を少しでも解決できれば、学習機会を増やすことも可能です。オンライン研修やeラーニングなど、集合研修よりも低コストで実施できる方法も一般的になりつつあります。
また、すべての研修を外部講師に委託するのではなく、自社で研修担当者を育成し、内製化をはかることも教育コストの削減には有効です。自社で実施できる研修は社内講師が担当し、それ以外の専門的な内容は外部に委託するといった棲み分けをするとよいでしょう。
Off-JTの効果を測定して改善に活かす
Off-JTを実施した場合、必ず効果測定をセットでおこなうことが望ましいでしょう。研修の効果測定は、教育効果を高めるためには必須のプロセスです。アンケートや理解度テストによる効果測定は比較的簡単に実施できます。
受講者の反応や理解度を確認し、研修内容をブラッシュアップすることが大切です。学んだ知識が職場で活かされ、業務行動に良い変化がもたらされるよう、Off-JTの内容は常に進化させなくてはなりません。
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Off-JTを効果的に実施して人材育成の質を高めよう
人材育成は企業力を高めるうえで、必須の取り組みであることは間違いありません。人材育成の質を高めるには、Off-JTをはじめ現場におけるOJT、自己啓発を促すSDを効果的に機能させる必要があります。
そのためには、社員の成長意欲を高めることが大切です。Web社内報で人材育成のトピックを紹介するなど、社員の学びを促す取り組みを検討してはいかがでしょうか。