インターナルコミュニケーションとは?目的やメリット・有効な施策と事例4選

人材の流動化や働き方の多様化、リモートワークの増加などにより、会社のビジョンの共有や社員間コミュニケーションが制限される中、それらの意義が再認識されています。
本記事では、インターナルコミュニケーションの概要から、その目的、メリットやインターナルコミュニケーションを向上させる施策と実際の取り組み企業事例4選を紹介し、インターナルコミュニケーションに関して網羅的に解説いたします。
インターナルコミュニケーションとは?

インターナルコミュニケーションとは、社内を横断して行われるコミュニケーション全般のことを意味します。これには、社員同士の日頃の身近なコミュニケーションから、経営層と全社員間での企業理念やビジョンの共有まで、あらゆる規模・内容のコミュニケーションが当てはまります。
別名インナーコミュニケーションとも呼ばれ、ICと略されることも多いです。
社内コミュニケーションとの違い
インターナルコミュニケーションやインナーコミュニケーションの他に、社内コミュニケーションという言葉がありますが、これらの指し示すものに違いはありません。名前からも推測できるように、インターナルコミュニケーションやインナーコミュニケーションは英語をの横文字であり、世界の共通語として認識されているのは、これらインターナルコミュニケーションが多いです。実際にInternal Communicationと検索すると、これに関する英語の記事を閲覧することができます。
インターナルコミュニケーションが注目される背景

社内を横断して行われるコミュニケーション全般を意味するインターナルコミュニケーションですが、なぜ昨今注目されるようになったのでしょうか?
この章ではその注目の背景を解説します。
キャリアの多様化による人材の流動化
インターナルコミュニケーションが注目される背景として、人材の流動化が挙げられます。
多くの人がこれまでの終身雇用を前提とする伝統的なキャリア思考から、転職を当たり前とするキャリア思考へと変化しています。
また、経済的な豊かさではなく、私生活を含めたワークライフバランスを見直す動きなど、働き手のキャリアに対する価値観の多様化が進んでいます。そしてそれに伴い、人材は会社を流動的に移動するようになりつつあります。
その際に、選ばれる企業として重要なのが、インターナルコミュニケーションを介することで生まれる、社員同士の繋がりの強さや理念やビジョンの浸透度です。
理念やビジョンが社員間でしっかり共有され一体感を持って仕事に取り組んだり、社員同士が活発にコミュニケーションを行い、私生活を含め充実している企業が、働き手からより選ばれる企業となるのです。
多くの企業が社内のコミュニケーションに課題を感じている
また、インターナルコミュニケーションが必要であると認識されている根拠として、HR総研が公表しているデータを参照します。こちらの調査によれば、全体の7割を超える企業が社内のコミュニケーションに課題があると感じていることが分かります。多くの会社は社内のコミュニケーションが思うように行うことができておらず、その改善を望んでいるのです。
図表1:「社内のコミュニケーションに課題があると思うか」という質問に対する回答

(引用:HR総研, 「『社内コミュニケーションに関する調査』結果報告」, 〈https://www.hrpro.co.jp/research_detail.php?r_no=222〉, 2021年1月閲覧)
インターナルコミュニケーションの目的

それでは、インターナルコミュニケーションはどのような目的のもと元に行われるのでしょうか?ここでは主な以下2つの目的を紹介します。
離職率の低下
まず1点目の目的は、「離職率の低下」です。
インターナルコミュニケーションを促進することによって、社員の会社に対するエンゲージメントや満足度を高め、離職を防止します。
次章で詳しく述べますが、インターナルコミュニケーションの促進には、理念・ビジョンの共有や社員間コミュニケーションの増加、企業文化の浸透などの効果があります。
これらの効果によって、社員は会社と同じビジョンを掲げて仕事に取り組むことができたり、様々な社員との関わり合いを持つことが可能となります。そしてこれらは、最終的に「離職率の低下」という成果を生み出します。
生産性の向上
2点目の目的は、「生産性の向上」です。
インターナルコミュニケーションを促進することによって、それぞれの社員の持つ生産性を向上させることが期待できます。
前述の通り、インターナルコミュニケーションには理念・ビジョンの共有や社員間コミュニケーションの増加などの効果があります。
これらの効果により、社員は明確な会社のビジョンを描きながらその実現に向けて仕事に取り組んだり、また良好な社員同士のコミュニケーションによって仕事を円滑に、また前向きに取り組んだりできるようになります。

インターナルコミュニケーションのメリット

この章では、インターナルコミュニケーションを促進させることによるメリットを5つご紹介します。
理念・ビジョンの共有
1つ目のメリットは、会社の「理念・ビジョンの共有」です。
会社が大切にする考えを意味する「理念」や、会社の目指すゴールを示す「ビジョン」は、経営層であれば常日頃から具体的にイメージしているものですが、いわゆる平社員には十分な共有がなされておらず、意識することができていない、もしくはその具体的なイメージが難しい場合が多いです。
理念やビジョンは、経営層や平社員全てを含めたコミュニケーションを可能にするインターナルコミュニケーションによって、共有できます。

社員間コミュニケーションの増加
2つ目のメリットは、「社員間コミュニケーションの増加」です。
こちらは直感的に理解しやすいかもしれませんが、インターナルコミュニケーションによって、社員同士のあらゆるコミュニケーションが増加します。
それは日常のたわいのない世間話から部署や年代を跨いだ会話、また仕事に関する会話など、あらゆるコミュニケーションが当てはまります。
企業文化の浸透
3つ目のメリットは、「企業文化の浸透」です。
それぞれの企業には、それぞれ固有の文化があります。利益を第一に掲げる文化もあれば、調和を大切にする文化、また多様性を尊重する文化など様々です。そしてそれら企業文化は、その会社で仕事を行う上での暗黙のルールとなっていることが多いでしょう。
そうした文化の共有は、社員が仕事を行う上では欠かせないものであり、それは社内報や社内イベントなどによるインターナルコミュニケーションを通じて浸透させることができます。

モチベーションの向上
4つ目のメリットは、社員の「モチベーションの向上」です。
インターナルコミュニケーションによって、社員はモチベーションをより高く持って仕事に取り組めるようになります。
前述の理念・ビジョンの共有を通じて、日々の仕事に対する意義を見出せたり、社員間コミュニケーションの増加によって、仕事を通じて同僚にも貢献しようという意識が働いたりと様々です。
情報共有の徹底
5つ目のメリットは、「情報共有の徹底」です。
インターナルコミュニケーションは、もちろんのことながら会社に関するあらゆる情報を共有することに寄与します。
会社の情報とは、一口に言っても様々です。会社の新たな商品やサービスを始め、新卒社員や中途社員の紹介、また部署を跨いだ社員の共有など、多岐に渡ります。
そうした情報は普段の仕事上だけでは十分な共有ができません。インターナルコミュニケーションを施策として行うことで、そうした情報の共有をしっかりと行うことができます。
インターナルコミュニケーション向上に有効な7つの施策
ここでは、インターナルコミュニケーションを向上させるための有効な施策として7つをご紹介します。
⑴社内報の発行

まず1つ目は、「社内報の発行」です。
社内報は、会社の内部限定で発行する情報冊子であり、古くから導入されてきました。社内報はインターナルコミュニケーションによって得られる上記メリットの全てに寄与するもので、中でも「理念・ビジョンの共有」に適しています。
普段は直接コミュニケーションを取ることができない経営層の社員がイメージしている会社のビジョンやそれを実現するために大切にする理念を、社内報を用いることでその人の言葉で伝えることができます。
昨今では、あらゆるもののデジタル化に伴い、インターネットを用いた社内報発信ができるWeb社内報も浸透し、またデータドリブンな経営を行うためのデータ分析が可能なWeb社内報も登場しています。

⑵社内イベントの実施

2つ目の施策として、「社内イベントの実施」が挙げられます。
ここでの社内イベントとは、スポーツ大会やBBQなどのようなカジュアルなイベントを指します。こうしたカジュアルな社内イベントを開催することで、日頃は業務中だからということで話を持ちかけにくかった社員同士が話す機会を得たり、普段の仕事モードとは異なるリラックスした状態での社員の新たな顔を見ることができます。
こうしたカジュアルな場面でのコミュニケーションが、社員同士の繋がりを強くし、それは日頃の仕事でのやりとりにおいて大きな効果をもたらします。
⑶オフィスレイアウトの工夫

3つ目の施策として、「オフィスレイアウト工夫」が挙げられます。
何気なく設置しているオフィスのレイアウトにも、工夫次第で社員間のコミュニケーションを促進させることができます。
横長のデスクの他に丸型のデスクを用いたり、配置を変えてみたり、フリーアドレスとして誰でも自由に仕事に取り組める場所・デスクを用意したり、と様々です。
次章で具体的な取り組みとして、パーソルホールディングスの例を紹介しますので、ぜひそちらを参考にしてみてください。
⑷1on1ミーティング

4つ目の施策として、「1on1ミーティング」が挙げられます。
1on1ミーティングとは、主に上司とその部下が1対1で15分ほど話す機会を定期的に設け、日頃の話から仕事における悩みまで、幅広く話を行うミーティングを指します。
こちらは社内全体のコミュニケーションというよりは、上司と部下による濃いコミュニケーションとしての意味合いを持ちます。大人数のミーティングではなく、一対一であるからこそ話すことができる内容は多々あり、往々にしてそうした内容ほど重要で解決すべきものであることが多いです。

⑸社内研修・グループワーク

5つ目の施策は、「社内研修・グループワーク」です。
これら施策には、スキルと教えたり、課題を解決したりという目的がありますが、それに加えてインターナルコミュニケーションを促進するという側面での効果を持ち合わせます。
社内研修やグループワークでは、部署を超えた同期に近い社員同士が一同に介し、コミュニケーションを取る機会を得たり、時には部署だけではなく年齢を超えた社員同士がコミュニケーションを取る機会にもなったりします。
⑹社内表彰の実施

6つ目の施策は、「社内表彰の実施」です。
社内表彰の機会をつくることは、社員の頑張りをねぎらうことに加えて、手軽にインターナルコミュニケーションを促進することに寄与します。
表彰されている社員のことを認識することはもちろん、表彰する側の社員、経営層の社員など、日頃関わりを持ちにくい社員とのコミュニケーションを図る場面になります。
⑺ ourly profile

ourly profile(アワリープロフィール)は、個人のプロフィール機能や組織図機能などにより、組織のサイロ化を解消する社内コラボレーション創出ツールです。
3つの大きな特徴により、リモートワーク下でも部署を超えた相互理解や社内のコミュニケーション活性化を実現します。
- 人となりが一目でわかる自己紹介画面
- 独自の探索機能により、思いがけない出会いを創出
- 組織図により、チーム・部署を超えて組織を理解できる
顔写真や部署、役職などの基本的な項目以外に、強みや趣味、スキルなどが一目でわかりコミュニケーションのきっかけが生まれます。
また、全メンバーに共通のQ&Aを設定することができるので、部署・拠点・役職を超えたメンバー同士の相互理解促進にも役立ちます。
料金については、従業員規模に応じて幅広くご用意しております。詳しくはサービスページをご覧ください。
インターナルコミュニケーションを学べるセミナー
ourlyは、インナーコミュニケーションや社内報運用に関するテーマを扱った無料Webセミナー・共催セミナーを定期開催しています。
- 社内のコミュニケーション足りてますか?組織課題別の社内施策を徹底解説
- 社内報の企画の立て方~ネタ切れにならない思考法~
- 『働きがい』に精通した3社の経営者が語る、これからの時代の従業員エンゲージメントの作り方
また開催後、一定期間が経過した一部のセミナーについては、アーカイブ配信から閲覧可能です。是非ご覧ください!

インターナルコミュニケーションに取り組む企業事例 4選
丸紅-社内報-

総合商社として有名な丸紅株式会社は、「M-SPIRIT」という社内報を発行しています。2015年度の社内報では、経団連推薦社内報として表彰もされています。
自社の社内報が表彰された理由として、商社グループ報らしく国際色豊かであることに加え、トップから若手まで多くの人が登場する点などが評価されたとしています。
自社の特性にあった社内報を発行することが、その意義を発揮するキーであることが分かる好例です。
(引用:丸紅株式会社, 「2015年度「経団連推薦社内報」で、「MS+」が優秀賞、「M-SPIRIT」が総合賞を受賞」, 〈https://www.marubeni.com/jp/news/2016/info/00007.html〉, 2021年1月閲覧)
富士通新潟システムズ-社内イベント-
富士通新潟システムズ株式会社は、社員が互いに『楽しく働ける』職場環境づくりの一環として、海外旅行を含めた社員旅行やビール向上見学、屋形船でもんじゃ焼きなど、様々な社内イベントを行っています。
社員旅行も5年毎には海外旅行を行ったり、ビール向上見学、屋形船でのもんじゃ焼き、ビアガーデンなど、ユニークな企画も目立ち、社員の特性に合わせた企画が伺えます。
(引用:富士通新潟システムズ株式会社, 「クラブ活動/社内イベント」, 〈https://www.fujitsu.com/jp/group/fjn/employment/club-event/〉, 2021年1月閲覧)
パーソルホールディングス-オフィスレイアウトの工夫-

パーソルホールディングスは、オフィスレイアウトの工夫によって社員同士のコミュニケーションの促進やアイデア創出を狙った取り組みを行っています。
社長室前にフリーアドレス席を設置し、誰でも役員陣と近い距離でコミュニケーションができるようにしたり、可動式のデスクやモニターやホワイトボードを自由に動かせるようにしたりするなど、目的に合わせたレイアウトの工夫を積極的に行っている好例です。
カフェエリアを用意することで、オフタイムのコミュニケーションの促進にも寄与しています。
(引用:パーソルホールディングス株式会社, 「新社屋オープン!『はたらいて、笑おう。』を目指してワークスタイル変革に挑戦」, 〈https://www.persol-group.co.jp/ing/2019/20190315_3514/index.html〉, 2021年1月閲覧)
Yahoo! Japan-1on1ミーティング-

Yahoo! Japanでは、1on1ミーティングを実施して上司と部下とのコミュニケーションを促進させています。
Yahoo! Japanでは、1on1を部下のためのミーティングと定め、週に1度30分間1on1ミーティングを行っています。『経験学習』というスキームの導入と社員の才能と情熱を解き放つことという二つのベースを定めて実施しています。
ただ単に1on1ミーティングを実施するだけではなく、ベースや目的を持って実施することの好例として挙げられるでしょう。
(引用:Yahoo!株式会社, 「『1on1ミーティング』で強い組織をつくる 人材育成のための部下とのコミュニケーション」, 〈https://about.yahoo.co.jp/info/blog/20181011/1on1.html〉, 2020年12月閲覧)
インターナルコミュニケーションの拠点に ourly
ourlyは株式会社ビットエーが提供する、組織改善に特化した全く新しいweb社内報サービスです。
web知識が一切不要で、誰でも簡単に投稿できるだけでなく、他のweb社内報よりも豊富な分析機能が特徴的です。
またourlyは、新たな社内コミュニケーションを創出するツールとして活用できるサービスとなっています。
ourlyの特徴
- SNSのように気軽にコメントできる仕様で、社内のコミュニケーション活性化を実現
- web知識が一切不要で簡単に投稿できる
- 豊富な支援体制で社内報の運用工数を削減できる
- 分析機能に特化しており、属性・グループごとにメッセージの浸透度がわかる
- 組織課題や情報発信後の改善度合いを可視化することができる
「社内の雑談が減った」「従業員にメッセージが伝わっているかわからない」といった悩みを抱える方におすすめのweb社内報ツールです。
インターナルコミュニケーションは企業経営の軸となる
本記事では、インターナルコミュニケーションの概要から、その目的、メリットやインターナルコミュニケーションを向上させる施策と実際の取り組み企業事例4選を紹介し、インターナルコミュニケーションに関して網羅的に解説しました。
インターナルコミュニケーションは、自社に合った施策を行うことが大切です。
この記事が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。