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事なかれ主義とは?陥りやすい人の特徴とデメリット、防止する方法

事なかれ主義(ことなかれしゅぎ)とは、事を荒立てて波風が立たないよう、穏便に済ませようとする人のことを意味し、問題や面倒から目を背けて見てみぬ振りをする消極的な態度の人を意味する表現です。

チームに事なかれ主義が蔓延することで、モチベーション低下、離職率の向上、問題の悪化などのデメリットが生じます。

この記事では、事なかれ主義の類語・言い換え・英語表現、陥りがちな人の特徴、デメリット、防止の方法について解説します。

目次

事なかれ主義とは

事なかれ主義とは、事を荒立てて波風が立つことを避け、穏便に済ませようとする態度・人を意味します。こうした態度の蔓延は、特にビジネスを行う会社においては、チームメンバーのモチベーション低下などを引き起こすリスクを孕んでおり危険です。

早急に対応しなければいけないことにも見て見ぬふりをしたり、本質を見極めようとせず「なんとかなるだろう」と行動を先送りしたりすることも多いです。

事なかれ主義という言葉に含まれる「なかれ(勿れ)」とは、もともと「なし」の命令形を表す言葉です。「驚くことなかれ(驚いてはいけない)」「待つことなかれ(待ってはいけない)」のように使う方もいるでしょう。

「事なかれ(問題となることが起きてはいけない)」とする考え方が、「事なかれ主義」という言葉に現れていると分かります。

事なかれ主義の類義語

事なかれ主義と似たような言葉として、下記の2つが挙げられます。

どちらもネガティブな意味で使われることの多い言葉であるため、チェックしておきましょう。

官僚主義

官僚主義とは、規則・ルール・マニュアルに固執し、柔軟な考え方ができないことを指します。

上下関係の厳しいトップダウン型組織や規模の大きな組織では、特に官僚主義が起きやすいとされています。

その名の通り政治家や公務員などに起きやすいことから「官僚主義」という言葉がついていますが、実際には民間企業で起きることも多いです。

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保守的

保守的とは、昔ながらのやり方や決まりごとから脱却できないことを指します。

時代のニーズやトレンドに合わせて考え方をアップデートできないことが、保守的になる原因だと言えるでしょう。

また、新しいことへの挑戦やルールの変更を好まないことも多いです。組織のなかでは若い人員と衝突することもあり、風通しが悪くなる原因となることもあるため注意が必要です。

事なかれ主義な人の6つの特徴

ここでは、事なかれ主義な人の心理・要因を紹介します。

自分自身のことを振り返るきっかけにもなるため、当てはまる項目がないか確認してみることをおすすめします。

小心者で自信がない

小心者で度胸がなく、自分に自信が持てない人は事なかれ主義になりやすいとされています。

自分の判断に自信が持てないからこそ、上司や同僚など他者の判断に身を委ねようとするのでしょう。マニュアルやルールが既に定められていれば、盲目的に従う傾向もあります。

万が一トラブルやミスがあっても「上司の判断が悪かった」「マニュアルが整備されていないから」と、他に責任を押し付けがちなことも問題です。

傷つきたくない

自分が傷つきたくないという心理が強い場合、わざわざトラブルに首を突っ込もうとせず事なかれ主義を貫くことがあります。

失敗に対する恐怖心もあり、あえて高いレベルにチャレンジして失敗のリスクを負うよりも、手堅くできる範囲のことだけをやろうとする気持ちが出るのでしょう。

「自分の責任を追及されたくない」と考えすぎるあまり、ミスを隠そうとすることもあります。後々ミスが発覚したときには大きな被害に拡大していることもあり、組織にとって痛手となるでしょう。

当事者意識がない

当事者意識がなくどこか他人事な人も、事なかれ主義になりやすいです。

今起きている問題が自分にどんな影響を及ぼすか考えなかったり、そもそも自分には関係がないと思ったりすることもあります。

そのため、問題解決に対して積極的なアイディアや意見を出すことができません。言われたことだけ淡々とこなすような働き方になることが多く、自主性に欠けることが問題視されています。

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面倒事に巻き込まれたくない

面倒事に巻き込まれたくないという気持ちが先立ち、トラブルやクレームの種に気づいても見て見ぬふりをするタイプの人もいます。

特にストレス耐性がなく気分が沈み込みがちな人は、自己防衛のため事なかれ主義を貫くこともあるでしょう。

前述した「傷つきたくない」という傾向も兼ねていることが多く、人間関係の悪化や周囲から過度に寄せられる期待から逃げようという気持ちも強くなります。

向上心の欠如

向上心が欠如しており、現状維持のままで問題ないと考える場合も事なかれ主義になりやすいことが特徴です。

起きている問題を積極的に改善しようとしたり、顧客や取引先のためを思ってよりよい商品・サービスを展開しようと考えたりする熱意に欠けることもあるでしょう。

環境の変化を嫌う傾向も強く、確実性や安定性を好むことが多いです。前述した「当事者意識がない」ことも、共通する要素として挙げられます。

八方美人:人に媚びる

人間関係でのトラブルや人に嫌われることを避けようとするあまり、誰にでも分け隔てなく無難な対応を意識しようとする人もいます。

場の空気を読んで周りの意見に同調することが多く、自分の意見を持つことがほとんどありません。そのため「前回と言っていることが違う」「何を言っても賛同してくれるが自分の芯がない」と思われやすく、却って人が離れる原因にもなるのです。

一見すると人当たりがよく素直だと思われますが、付き合いが長くなるにつれ八方美人のデメリットが目立つため要注意です。

事なかれ主義の具体的なデメリット

事なかれ主義な人がいると、組織にとっても本人にとってもデメリットが生じます。

時には「穏便で優しい人」というイメージを覆してしまうようなデメリットになることもあり、周りを悩ませる原因にもなっていくでしょう。

下記では、事なかれ主義の具体例について解説します。

信頼関係が築けない

事なかれ主義の人は、目の前で起きている問題を見て見ぬふりしたりミスやトラブルを隠そうとしたりすることが多いです。そのため長期的な信頼関係を築くことができず、どこか疑いの目で見られることが増えるでしょう。

責任のある仕事や対外的な交渉が必要な仕事を任せられず、影響の少ない単純作業ばかり命じられることも出てきます。

事なかれ主義が組織のパフォーマンスを低下させると言われている理由は、ここにあるのです。

本音を言えない

事なかれ主義は、「面倒事に巻き込まれたくない」「傷つきたくない」と感じるあまり自分の本音を話すことがほとんどありません。

組織に対する意見・提案はもちろん、本人が持つキャリアプランなども聞き出しづらく、コミュニケーションが難しいと感じることも多いです。また、本音と建前を使い分け続けることで本人に生じるストレスも大きく、いつか疲れ果ててしまうことも想定されます。

責任の押し付け合いになる

事なかれ主義の人は、責任を追及されることや自分のミスを指摘されることを嫌います。

そのためトラブルが発生したときに人と責任の押し付け合いをすることが多く、言い訳を繰り返すこともあるでしょう。

社内の人間関係を悪化させることはもちろん、問題解決に向けた本質的な議論を先送りにしてしまい、より状況が悪化することも考えられます。

放置することで問題が悪化する

「ミスしたことを周りに知られたくない」とミスを隠したり、「嫌われないように話を合わせるしかない」と消極的な提案をしていたりするうちに、問題が悪化することがあります。

隠したミスが後から発覚し大きな問題につながれば、上司や同僚はもちろん社外にまで迷惑をかけてしまうでしょう。

消極的な提案を繰り返していては議論が活性化せず、アイディアや意見の創出につながりません。組織運営の最適化から遠ざかるため、事なかれ主義にはデメリットが多いとされているのです。

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事なかれ主義を防止する方法

最後に、事なかれ主義を防止する方法を紹介します。

事なかれ主義防止のためには、心理的安定性の高い組織風土を醸成することが重要です。

そのためには密な社内コミュニケーションを取ることが前提となるため、下記を参考にしていきましょう。

失敗を恐れない

事なかれ主義にならないためには、失敗を恐れず何事にも前向きに挑戦する姿勢が大切です。

「多少のミスがあっても大丈夫」「挑戦すること自体が大事」と考えれば、消極的かつ保守的な事なかれ主義に陥ることはないでしょう。

そのためには、本人の考え方以上に組織風土が問われます。ミスすることを前提に業務を任せたり、結果を問わず挑戦を歓迎したりする組織風土が育てば心理的安全性も高くなります。

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発言しやすい環境をつくる

発言しやすい環境をつくり、誰からの意見も歓迎するように意識してみましょう。

経営者や管理職だけでなく若手社員や新入社員からの意見も積極的に募れば、業務を自分事として捉える癖をつけられます。「自分だったらどう考えるか」に思いを巡らせることができ、やりがいやモチベーションの向上にも貢献します。

また、人の意見を聞くシーンが多くなり、傾聴力が高まる可能性もあります。事なかれ主義脱却だけに留まらない効果が期待できるため、ぜひ取り入れてみましょう。

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挑戦を評価する

「失敗を恐れない」でも触れた通り、挑戦を歓迎する組織風土が重要です。

「自分にもできるかもしれない」というモチベーションを喚起しやすく、組織全体が活性化するきっかけにもなるでしょう。

なかには、社内報で「今月新たなチャレンジをした人」をピックアップして社員インタビューを掲載したり、チャレンジによる成功に結びついたケーススタディを紹介したりする企業もあります。

挑戦している社員は積極的に評価するなど、人事評価面での優遇も検討してみましょう。

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チームでフォローし合う

チームでフォローし合う働き方ができていれば、個人のみが責任を負うことを避けられます。

「ひとりのミスはチームのミス」という意識を持って業務に当たることで、独りよがりな判断もしなくなっていくでしょう。

チームのために貢献したいと考えるエンゲージメントが育ち、事なかれ主義を予防できます。

コミュニケーションの活性化

コミュニケーションを活性化し、社員同士の信頼や結束を強めることも大切です。

誰がどんな業務を担当しているか分かれば、部門間連携やノウハウの共有がしやすくなります。自分ひとりでは難しい業務に対するハードルが下がり、事なかれ主義にならずとも問題を解決できるようになるのです。

また、人間関係が円滑になり、上司や同僚を疑うことなく本音を話せる効果も期待できます。エンゲージメントやモチベーションも高まるなど、さまざまなメリットが得られるでしょう。

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コミュニケーションを活性化して事なかれ主義を防止

事なかれ主義を防止するには、社内コミュニケーションの活性化が必要です。

コミュニケーションに基づく心理的安全性の高い組織では、事なかれ主義にならずとも業務を遂行する力が身につくでしょう。

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挑戦する気持ちを歓迎したり、何気ない雑談を喚起したりできるツールとしても注目されているため、導入を検討してはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

ourly株式会社組織開発チーム所属。前職はourlyの親会社ビットエーでSEとしてデータエンジニアリングに従事。エンジニアチームのマネジメントや社内イベント企画運営の経験から組織開発に興味を持ちourlyへ。
副業としてコーチングやインタビューライティングを行う。
趣味はスノーボードとスキューバダイビング。

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