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モラールサーベイとは?メリット・デメリットや注意したいポイントを解説

モラールサーベイとは、従業員が企業や仕事に対して抱く意識や問題を調査することです。モラールとは日本語で「士気」や「やる気」を意味しており、士気調査や従業員満足度調査などとも言われます。

自社への愛着を深め士気を持って業務に取り組んでもらうためには、経営陣が従業員の本音を読み取り、それに対応しなければなりません。しかし従業員が増えるにつれ、経営陣とのコミュニケーションは希薄になりがちです。

従業員の本音から自社の課題を導き出す際に、モラールサーベイが活用できます。

本記事では、モラールサーベイのメリット・デメリットや2種類の方式、さらに実施時に注意したいポイントを解説します。

目次

モラールサーベイとは

モラールサーベイとは、組織の状態や労働条件などの職場環境について、従業員がどのような意識を持っているか、科学的な指標に基づいて分析する手法です。「士気調査」や「従業員意識調査」、あるいは「従業員満足度調査」と同義と捉えて差し支えありません。

フランス語である「モラール」は、「士気」「意欲」といった日本語に訳され、組織目標の達成を目指す意欲や態度のことを意味します。こうした意欲・態度は、職場の人間関係や労働環境・条件といった組織の状態に影響を受けるものです。

士気の高い職場は、従業員が高いモチベーションで日々の業務に励み、生産性を向上させます。反対に何らかの課題を抱える職場は、士気が高まらず業績も低迷しがちです。こうした組織内の課題を洗い出し改善を図ることで、従業員のパフォーマンスを向上させることがモラールサーベイの目的といえます。

モラールサーベイのメリット

モラールサーベイを実施するメリットは、自社の現状を把握できる点にあります。従業員の本音を知ることで、自社の本質的な問題を明らかにできるのです。そのため、改善の方向性が的外れなものになりにくく、組織運営によい影響をもたらすことが期待できます。

具体的なメリットは以下の3点です。

  • 自社の課題が明確になる
  • 従業員の本音が把握できる
  • 離職率が下げられる

自社の課題が明確になる

モラールサーベイを実施するメリットは、解決すべき自社の課題が明確になることです。本質的な組織課題は、経営者の目線だけでは捉えにくい側面があります。モラールサーベイの結果は、従業員の意識を反映したものであり、自社の本質的な課題といえるでしょう。科学的な根拠に基づく調査であるため、調査結果には精度と客観性が担保されており、組織改善の根拠として説得力を持つものです。

経営陣にとっては、耳の痛い内容かもしれません。また、従業員の誤解により生じている問題もあるでしょう。こうした課題を正しく把握することが、組織を改善するためには欠かせません。

従業員の本音が把握できる

モラールサーベイを実施することで、経営陣は従業員の本音を知ることになります。従業員のためを思って実施していた施策が、「実は評価されていなかった」ことも多いものです。こうした本音に向き合う機会となることが、モラールサーベイの企業側のメリットといえます。

また従業員の側は、組織に対する不満や意見を、会社に届ける機会となることがメリットです。本来は仕事を通じたコミュニケーションにより、意見が集約されることが理想ですが、現実的には難しい面があります。モラールサーベイの形式をとることで、より本音の意見を経営陣に届けられるでしょう。

離職率が下げられる

モラールサーベイにより組織課題が明確になり、改善を図ることで離職の原因となる問題を排除できます。働きやすい良好な職場環境が構築され、従業員の離職を防ぐことにつながるでしょう。

また従業員が、「自分たちの意見で会社が改善された」という実感が持てることも、モラールサーベイのメリットです。従業員の本音に会社が向き合う姿勢を示すことで、「自分たちの力で会社をよくしよう」という貢献意欲を高めることにつながります。

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モラールサーベイのデメリット

一方でモラールサーベイの実施は、デメリットをともなうこともあります。調査結果を正しく活用しなければ、反対に従業員の士気を低下させる恐れもあるため注意が必要です。

具体的なデメリットは以下の2点です。

  • 時間やコストがかかる
  • 従業員満足度が減少する恐れがある

時間やコストがかかる

モラールサーベイの実施を外部サービスに委託した場合、相応のコストが発生します。また自社で実施した場合も担当者の人件費や、分析に要する時間など、さまざまなコストが発生するでしょう。

また、無視できないのが、回答者となる従業員の負荷と人的コストです。多くの情報を得ようとして設問数を多くしてしまうと、回答に時間を要します。モラールサーベイの調査に応ずる間、通常業務の手を止めなくてはなりません。通常業務に支障をきたさないよう、十分な配慮が必要です。

従業員満足度が減少する恐れがある

モラールサーベイを実施したことで、反対に従業員の士気を下げてしまうこともあるため注意しなくてはなりません。手を煩わせ調査したにもかかわらず、フィードバックがない場合や改善につながらないときに、こうした現象が起きてしまいます。

「会社は自分たちの意見を軽んじている」という印象を持たれてしまうため、従業員満足度を低下させてしまうのです。サーベイの結果は速やかにフィードバックし、改善の方向性を示すことが重要です。

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モラールサーベイの2種類の方式

モラールサーベイを実施する際は、企業規模や実施目的により適した方法を採用するとよいでしょう。モラールサーベイの代表的な手法には、以下の2種類が挙げられます。

  • 厚生労働省方式
  • NRK方式

それぞれ、詳しく解説します。

厚生労働省方式

「厚生労働省方式」は、比較的小規模な中小事業者のモラールサーベイに適した手法です。この方式は、一般社団法人「日本労務研究会」が、1957年に考案した手法として知られています。具体的な調査項目は、以下の3点に絞られます。

  • 仕事
  • 給料
  • 上司

これら3つの項目に対して、従業員にアンケートを実施して意識調査をおこないます。アンケート調査の結果分析により、従業員の意識を明らかにすることで不満を解消し、従業員満足度を高める施策のヒントとします。

参考:http://www.nichiroken.or.jp/morale_survey/nrcs-about.htm

NRK方式

NRK方式も同じく、一般社団法人「日本労務研究会」が開発した手法で、従業員300人以上の大規模企業に向けたモラールサーベイです。具体的な方法は、比較的簡単に答えられる設問を用意し、マークシート形式で回答してもらいます。その結果を以下の観点から分析します。

  • 労働条件
  • 人間関係
  • 管理
  • 行動
  • 自我

過去に同法人が実施した調査結果はデータベース化されており、自社の結果と比較できる点がNRK方式の特徴といえます。

参考:http://www.nichiroken.or.jp/morale_survey/nrk-shindan.htm

モラールサーベイ実施時に注意したいポイント

モラールサーベイを実施する際に注意するポイントは、調査結果が組織運営にどのように反映されたかを明確に示すことです。また、従業員の本音を引き出すには、一定の配慮も必要になります。以下で詳しく解説します。

  • 調査目的をあらかじめ明示する
  • 従業員のプライバシーに配慮する
  • 事実を受け止めて冷静に分析する

調査目的をあらかじめ明示する

モラールサーベイを実施する際は、その調査目的を明確に示さなくてはなりません。目的を従業員に理解してもらわなくては、積極的な協力は望めないでしょう。

調査の目的とあわせ、調査結果の活用方法や範囲も明確に示すことも必要です。どのような課題があり、なぜ解決しなくてはならないのか、調査の重要性を理解してもらいましょう。従業員の本音を引き出したいのであれば、サーベイを実施する側は、丁寧で熱意のある説明をする必要があります。

従業員のプライバシーに配慮する

本音を引き出すためには、回答内容により不利益な扱いを受けないことを明示しなくてはなりません。調査結果は組織改善のみに利用し、人事評価や人事異動など個人の処遇には一切関係しないことを約束しましょう。

また、匿名性を担保することも本音を引き出すために必要です。記名式の調査では批判的な意見が出にくくなります。しかし、批判的な意見ほど、本質的な組織課題である可能性が高いものです。そのため、個人が特定されにくい、プライバシーへの配慮がされた調査方法を検討しなくてはなりません。

事実を受け止めて冷静に分析する

従業員の本音は、ときに経営陣にとっては耳の痛い内容の場合もあります。しかしこうした不満をしっかりと受け止める覚悟がなければ、モラールサーベイを実施する意味はありません。

コミュニケーション不足により、従業員が勘違いをしている場合もあります。批判的な回答に対しても事実を受け止めて分析し、改善の必要があると判断されれば即座に行動に移すことが求められるでしょう。

従業員が不満を抱えていることは、組織にとって、もっとも好ましくない状態です。従業員の不満を組織課題と捉え、対処する姿勢を示さなくてはなりません。

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モラールサーベイを活用して従業員パフォーマンスを向上させよう

モラールサーベイにより従業員の本音を知ることは、組織改善の方向性を定めるうえで有意義な取り組みです。しかし調査を実施しただけで、フィードバックや改善がみられない場合、従業員の不信感につながり、逆効果となることもあります。

調査結果や改善の進捗は、Web社内報サービスを活用するなどして、タイムリーに発信することが求められます。ぜひモラールサーベイを実施する際には、あわせて導入を検討してみてください。

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この記事を書いた人

Kanei Yoshifusaのアバター Kanei Yoshifusa ourly株式会社 コンサルティングセールス・組織開発チーム

前職は店舗ビジネス向けの業務効率化SaaS事業を展開する企業でCSに従事。
その後、ourly株式会社に参画。
200社以上の企業に組織課題解決の提案、現在30社の組織開発を支援。
富山県上市町出身。趣味は筋トレ/声マネ/滝行。

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