社内ニートとは?特徴や個人・環境要因、おすすめの対応策を解説
社内ニートとは、出社しても暇を持て余している人をいいます。
窓際族のほか若手世代も増えていますが、労働人口減少に歯止めがかからない環境下、従業員の個々のパフォーマンスを引き上げるため、社内ニートの改善は急務です。
この記事では、社内ニートの概要や増える環境・個人の原因のほか、対応策を解説します。
社内ニートとは?
社内ニート(社内失業)とは、出社しても取り組む仕事が少なく、暇を持て余している人を指します。
「雑務しか割り振られていない」などを原因として、終業時刻まで暇つぶしをしている社員を指して用いらる言葉です。本人のキャリのためにも、会社・チームとしてはいち早く対応したい状態の社員に分類されます。
こうなる原因は、個人(本人)にも、環境(会社)にもあると言えます。例えば本人の仕事が遅く、上司との関係性が良好でないこと、雑務しか割り振られていないことなどは原因となるでしょう。環境要因としても、会社の業績が悪かったり、教育制度・人材配置が適切でないなども原因として挙げられます。
社内ニートが増加する背景
日本では、近年、終身雇用制度が崩壊し、人材の流動性が高まっているものの、未だ、かつての終身雇用制や年功序列の文化が根強く残っています。
終身雇用制度について
労働基準法などの労働法規において、労働者の雇用は厚く守られていることから、企業は労働者を簡単には解雇できません。
こうした環境において、日本の企業は、終身雇用制度の下、パフォーマンスの上がらない従業員も雇用し続けることが多いでしょう。
年功序列について
日本では、近年、成果主義や役割主義の下、年功序列によらない人事制度を導入する企業が増えています。
しかし、全体では年功序列の企業が多く、成果主義や役割主義を掲げている企業でも、実質的に年功序列が根強く残っている企業もあるでしょう。
年功序列が根強い企業では、スキルや実力に拘らず、勤続を重ねることに昇進・昇格できることから、まともに仕事に取り組まない者が出てくるのです。
社内ニートが増加して起こる問題
社内ニート(社内失業)の増加によって、企業には次のような問題が生じることがあります。
- 生産性の悪化
- 社内全体の士気低下
- 業績の悪化リスク
会社は、社内ニートに仕事を任せることができず、放置することが多く、その結果、社内ニート自身は、生産性の低下とともにモチベーションも失われます。
会社全体としては、こうした社内ニートに対する不満から、全体の士気の低下を招き、業績悪化リスクをもたらすでしょう。
社内ニートの特徴
社内ニートは、ほとんど仕事をすることがありません。
「仕事をするふりをする」「忙しそうに振る舞う」こともあれば、「ネットサーフィン」や「YouTubeの閲覧」をするなど、終業時刻までひたすら暇つぶしをしていることが多いです。
また、上司や同僚など人間関係が好ましくなかったり、仕事の意義・内容をよく理解していない社員も「社内ニート」である可能性が高いと言われています。
社内ニートが発生する原因(環境要因)
社内ニートの原因は、企業や職場による環境要因と個人の要因に大別されます。
ここでは、社内ニートの原因としてあげられる企業業績や教育制度、所属部署の仕事多可、人材配置などの環境要因について説明します。
業界や会社の業績が悪い
業界特有の閑散期と入社時期・異動時期の兼ね合いが社内ニートの原因となることがあります。閑散期に、生産部門やデリバリー部門に配属された場合は、仕事が少ない状況になることがありますが一時的なものです。
一方で、会社業績の悪化が社内ニートを生み出す原因になることもあります。営業部門などは業績改善に向けて多忙になるケースがありますが、生産部門やデリバリー部門は、従事する業務が少なくなるでしょう。
業界や会社の環境による場合、自ら環境を変える努力も必要ですが、恒常的な社内ニートになる心配はありません。
教育制度が整っていない
社員が入社しても、教育体制が整っていないことが社内ニートの原因となることもあります。
何をすれば良いのかも分からずフォロー体制もなければ、優秀な社員であってもパフォーマンスを発揮することは困難です。教育制度が整っていなければ、周囲の社員も非協力的なこともあり、社員自ら成長していくマインドも醸成されないでしょう。
教育体制が整っていない場合、教育体制の整備をしなければ、恒常的な社内ニートを生み出す恐れもあります。
部署自体が暇で仕事が少ない
人的資源が豊富な大企業では、比較的仕事量が少なく、部署自体が暇なことが原因になるケースもあります。とくに、特命事項のみを行っている部門や突発的な事象にのみ対応しているような部門は、その傾向が高いといえます。
このような部署に所属している場合は、自らテーマや仕事をつくることをしなければ、社内ニートになる恐れがあります。その状況に慣れ切ったベテラン社員は、マインドチェンジをすることは難しいでしょう。
社内での評価が低い
上層部や周囲からの評価が低く、仕事が与えられないことも原因としてあげられます。自身の上司や同僚のほか、周囲の部署からも信頼されず、避けられていることもあるでしょう。
評価が低い原因は、「反抗的・高圧的」「人当たりが悪い」「能力が低い」などが考えられます。周囲の誤解であるケースもありますが、個人の要因が大きく、自ら改善し周囲に理解を求めない限り、状況の改善は難しいといえます。
人材配置が適切でない
人材配置が適切でないため、人材が不足している、あるいは人員が過剰といったことが原因となることも多くあります。
人材が不足していると、本来教育すべき社員が自身の職務で手一杯で、入社してきた社員や異動してきた社員に十分な教育が困難となります。この結果、放置されたことを原因に社内ニートとなる恐れがあります。
人員が過剰になっていると、仕事が少ししか割り振られない社員が発生し、いつしか少ない仕事量が当たり前となり、社内ニート化していくと考えられます。人材不足、あるいは人員過剰いずれの場合も、人材配置が適正でないために社内ニートを生み出す原因となります。
社内ニートになる原因(個人要因)
社内ニートの原因の二つ目として、個人の要因があります。
ここでは、社内ニートの原因としてあげられる仕事の遅さやミスの多さのほか、指示待ちやモチベーション、コミュニケーションなど個人要因について説明します。
仕事が遅い
仕事の遅さが原因になることもあります。
社員本人は、丁寧に慎重に取り組んでいるつもりでも、「納期に仕事が終わらない」「いつまでたっても終わらない」「物事を進めることができない」といった評価になり、仕事上、避けられてしまうことが考えられます。
完成度が多少低くても、仕事を早く仕上げる社員に仕事が集まり、丁寧で完成度が高くても、仕事が遅い社員には仕事は集まりません。
仕事のミスが多い(完成度が低い)
仕事のミスが多い、あるいは完成度が低いことが原因となるケースもあります。
ミスが多く、何度指摘しても一向に改善しない場合は、信用を失い仕事を任されなくなります。頼んだ仕事のクオリティが低すぎるいった場合は、仕事の成果を期待されなくなり、干されることもあるでしょう。
仕事でのミスの多さやクオリティの低さは、いずれも信用をなくし、社内ニートになる可能性が大きくなります。
自発的に仕事を探さず指示待ち
自発的に仕事を探さず指示待ちのような、やる気のない社員の多くは社内ニートになる比重が多いといえます。
日常的に問題意識も持たず、指示待ちの社員は、指示を受けたとしても指示された範囲内でしか仕事に取り組みません。指示された業務において、たとえ、より良い結果となる手段を見つけても、自らその手段を採択しないでしょう。
結果として、意欲ある社員に仕事が割り振られ、指示待ちの社員には仕事の比重が少なくなります。
プライドが高い
プライドが高すぎることも、1つの原因になりえます。
プライドが高い人は、自身のミスを認めず、アドバイスは聞き入れないといった人が多く、上司や周囲から仕事が頼みづらい環境を自ら作っていることがほとんどです。
プライドが高い割に、自分が思っているほど能力が高くないケースも多く、扱いづらい上に使えないといった評価をされ、周囲から敬遠されてしまうでしょう。
結果として、プライドの高さと能力がアンバランスな人は、社内ニートの道に突き進んでしまいがちといえます。
仕事のモチベーションがない
教育体制があっても、自身の仕事に対するモチベーションがなく、社内ニート化することもあります。
毎日同じことの繰り返し、働き甲斐を感じないなど、仕事にやりがいを見出すことができないケースが多いです。あるいは、自身が志向しない方向の業務に就かされ、将来の仕事に対するモチベーションが保てないといったこともあるでしょう。
結果として、仕事に対するモチベーションが保てないと、生産性も低下し、さらに意欲を保つことができないという悪循環に陥ってしまいます。
コミュニケーション能力に問題がある
コミュニケーション能力に問題があることが原因となることも多いでしょう。
会社は組織として動いている以上、コミュニケーションを取れない社員は、仕事を回すことができません。とくに、報連相ができない社員は、ワンマンで突っ走り仕事に悪影響をもたらすほか、チームビルディングに大きな支障を与えます。
結果として、チームの一員として認められにくく、周囲から敬遠され、一匹狼の社内ニートになってしまう可能性が高くなります。
上司との関係性が悪い
上司との関係性が悪いケースも大きな原因の1つです。
企業の組織の大半は、トップダウンの組織形態で、仕事は上司からの指示に基づいて動いています。
しかし、上司との関係性が悪いと、仕事自体、上司から指示されることも少なくなり、チームから浮いてしまうことがあります。
自らコミュニケーションを絶ってしまっている場合は、とくに関係性が悪化してしまうでしょう。なかには、上司が一方的に非があることもありますが、上司との関係性が悪い場合は、仕事上で干されるケースもあります。
社内ニートの対応策・抜け出す方法
社内ニートは、社員個人の要因もあれば、会社環境の要因もあり、一様に本人が悪いものではありません。会社としては、会社環境の要因で社内ニート化しないようにするほか、個人要因をできる限り排除することが肝要です。
ここでは、社内ニートの対応策として、人事体制や教育体制の改善のほか、キャリアアップ支援や相談体制、コミュニケーション機会の設定、モチベーション等の向上策について紹介します。
人事体制の改善
上司との関係性の悪さや仕事に意欲を持てないといったケースでは、人事体制の改善が考えられます。
職場の異動を申し出る「自己申告制度」を設ける、あるいは上司との関係性に悩んでいる場合に人事部と相談できる「人事相談窓口」など、社内ニートを予防する施策として人事制度を改善することが考えられます。
社内ニートを一方的に悪と決めつけず、彼らがどのようなことに悩んでいるかをヒアリングし、ニーズに応じた人事体制の改善をすることが重要です。
以下の記事では、リモートワーク環境での人事体制について解説していますので、是非ご覧ください。
教育体制の改善
新たに配属された社員が教育を受けられずに放置されていたようなケースは、教育体制を改善することが効果的です。
OJTやOFF-JTはもちろん、メンター制度などの相談体制を設けることで、孤立して社内ニートになることを防ぐことが可能でしょう。とくに、既存のメンバーは常識の内容であっても、社内独自ルールや業界特有の決まり事などについて予めレクチャーすることが有効です。
また、中途入社した社員は、周囲から仕事ができて当たり前と見られがちですが、しっかりと教育するようにしましょう。
キャリアアップ促進&支援
人材配置が適切でない、あるいは仕事にモチベーションがないといったケースでは、キャリア促進や支援をすることが有効です。
自身の希望するキャリアとは遠い、あるいは関係性を見いだせないセクションに所属している、あるいは仕事自体に意欲を持てず、今後のキャリアパスを描けていないことが考えられます。
これからのキャリアパスをどのように描きたいのか、将来目指す方向性などのキャリア支援おこない、必要に応じた異動や配置転換によって、社員のモチベーションを取り戻すことも可能です。
上司と相談する機会をつくる
上司との関係性が悪い、コミュニケーションに問題がある、部署が暇で仕事がないといった場合の改善策として、上司と相談する機会を設けることがあげられます。
上司と相談する機会をつくることで、部下は社内ニートになる前に解決策を上司と相談することが可能です。仕事が割り当てられない、暇といったケースでは、上司が組織的に仕事を組み立てることもでき、場合によっては他部署と連携するなどいくらでも解決策は考えられます。
会社の対策として、定期的な相談機会を制度として設ける、相談結果の報告も仕組み化するなどにより、制度が形骸化しないことにすることが重要です。
手法としては、1on1ミーティングが挙げられます。
社内コミュニケーションの機会を増やす
仕事にモチベーションがないケースにおける改善策の1つとして、社内コミュニケーションを増やすことがあります。
社内コミュニケーションの機会が少ないと組織が活性化せず、仕事にやりがいを感じないこともあるでしょう。人とのつながりは、仕事のやりがいに直結しやすいため、会社が社内コミュニケーションの場を作ることも効果的です。
単なる飲み会ではなく、会社が目的意識を持った者が集まる勉強会、あるいは課外活動などの機会を設けましょう。モチベーションの高い者同士でコミュニケーションをおこなえる場を与えることで、社内ニート化することを防ぐことができるでしょう。
モチベーションとエンゲージメントを高める
出社しても仕事がないという状況は、会社に必要とされていないと感じることもあり、本人にとって非常に苦痛なものです。状況に甘んじて、楽をする社内ニートの存在も否定できませんが、社内ニート化していることに苦痛を感じている社員は、やりがいを求めて転職することもあるでしょう。
せっかく入社した社員が不幸な転職をしないためにも、社内体制を整え、社員のモチベーションやエンゲージメントを高めることが不可欠です。
モチベーションやエンゲージメントを高めるには、会社の経営理念やビジョン、価値観などを従業員に浸透させることが肝要です。
これらを浸透させる手法の一つとして、分析機能やサーベイ機能が搭載されたWeb社内報ツールを導入し、エンゲージメントを可視化することが有効でしょう。
下記サイトには、分析機能やサーベイ機能が搭載されたWeb社内報ツール「ourly」を紹介していますので、ご参考ください。
企業は社内ニートの対策を
この記事では、社内ニートの概要や増える環境・個人の原因のほか、対応策を解説しました。
社内ニートが増えている背景には、日本に根強く残る終身雇用制度や年功序列によって、新たな努力へのインセンティブが働かない制度上の問題点があります。
社内ニートの発生要因は、「環境要因」と「個人の要因」がありますが、双方の要因を解決させるべく予防策を講じることがポイントとなります。
予防策は、人事体制や教育体制、相談体制などの「ハード面」、コミュニケーションやエンゲージメント向上などの「ソフト面」の双方を改善させることが不可欠です。とくにエンゲージメントを高めるには、分析機能が充実したWeb社内報ツール「ourly」がおすすめです。
社内ニートの予防対策をおこなうことで、エンゲージメントを高めましょう。